建築見積書の作成方法と効率をあげるポイント
2023.07.07
経営者の中には、正式な見積書の作成方法やミスのない見積書の作成方法に疑問やお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
建築見積書の正式な作成方法は、法的に定められるようなものはありません。
国土交通省作成の「公共建築工事内訳書標準書式」「公共建築工事積算基準」があり、一般的には、これらの基準をベースに作成されています。
また、ミスのない効率的な見積書の作成方法については、以下の4つがポイントとなります。
- 正確な建築見積書の作成方法を知る
- 見積書作成でよく見落すポイントを抑える
- テンプレートやチェックリストを活用する
- 建設DX化
目次
正確な建築見積書の作成方法を知る
建築見積書は、工事内容・条件など契約書と同等の効力をもつ内容が盛り込まれておりトラブル回避のためにも重要な書類の1つです。
条件を明確にお客様へお伝えするために、わかりやすい建築見積書の作成方法を理解しておく必要があります。
正確な建築見積書の作成方法は、以下の4つを理解することが重要です。
- 建築見積書の基本構成
- 内訳書の構成
- 工事条件書の内容
- 見やすい見積書の作り方
建築見積書の基本構成
建築見積書の基本構成は、以下のように作成されます。
- 見積書表紙
- 内訳書
- 工事条件書
見積書表紙では、以下の情報を記載します。
- 見積書の宛先
- 見積書が適用される工事名
- 工事の場所
- 工事の期間
- 工事概要
- 見積書の作成年月日
- 見積書の有効期限
- 見積書作成会社・担当者・連絡先
これらの内容が表紙に明確に記載されている見積書は、わかりやすく信頼につながるものになります。
内訳書の構成
内訳書は、工事に必要となる材料の数量及び単価を記載し、工事費の根拠となる詳細内容を示すものです。
内訳書の基本的な構成は、国土交通省作成の「公共建築工事内訳書標準書式」をベースに作成します。
公共建築工事内訳書標準書式では、以下のような構成例が示されています。
- 種目別内訳書
- 科目別内訳書
- 中科目別内訳書
- 細目別内訳書
例えば、科目別内訳書では、以下のようなイメージで作成します。
- 直接工事費
1、建築工事費 一式 ※※円
2、電気設備工事 一式 ※※円
3、機械設備工事 一式 ※※円
4、外構工事 一式 ※※円 - 共通費
1、共通仮設費 一式 ※※円
2、現場管理費 一式 ※※円
3、般管理費 一式 ※※円 - 合計(工事価格) 一式 ※※円
- 消費税 一式 ※※円
- 総合計(工事費) 一式 ※※円
この科目別内訳書で、各種工事がそれぞれいくらかかっているかを一目瞭然にしておいてから、それぞれの詳細内訳を後ろに作成します。
詳細な内訳内容から始まる見積書もありますが、まずは大項目のそれぞれの合計を示す方が見やすい見積書となります。
詳細の内訳書作成書式については、国土交通省の「公共建築工事内訳書標準書式」に記載があるので参考にしてください。
国土交通省「公共建築工事内訳書標準書式」:https://www.mlit.go.jp/gobuild/kijun_touitukijyun_s_utiwakesyo_syosiki.htm
工事条件書の内容
工事条件書については、設計図や内訳書では読み取りにくい内容を明確に記載しておくことで、発注者との認識違いを防ぐことが出来ます。
具体的には、工事条件書には以下のような内容が記載されます。
- 内訳書を作成する基となる設計図書の種類
- 契約書・図面・内訳書などの優先順位
- 工事支払条件、支払時期
- 設計変更があった場合の処置方法
- 天災や不可抗力による工事期間や工事内容の変更に対する処置方法
- 近隣住民とのトラブルがあった場合の処理方法
- 各種検査や完成検査の立会いの取り決め
- 契約に関する紛争の解決方法など
見やすい見積書の作り方
見積書は、詳細な内容で素人には難関に見えます。
見やすいと感じられる見積書は、表紙がシンプルで明確なことです。
また、内訳書の詳細内容は専門的な内容が多いため、表紙の次に条件書を先に整理することで、分かりやすい見積書となります。
また、内訳書についても、大項目、中項目、小項目それぞれの小計で、工事種目ごとの金額が一目瞭然に把握できるようにすることです。
内訳書の詳細な構成は、前述でも挙げたように国土交通省作成の「公共建築工事内訳書標準書式」を参考にするとよいでしょう。
建築見積書作成の見落としがちなポイント
建築見積書作成の際に、よく見落とされる代表的なポイントは以下の3つです。
- 工事場所、工事内容を明記すること
- 見積り条件を明確にすること
- 見積り作成日と有効期限を明記すること
工事場所・工事内容を明記すること
工事場所、工事内容を明記していない見積書を見かける場面は、意外とよくあることです。
この原因は、工事の発注者及び見積りを作成する建設会社とも、当然知っていると思い込んでいることに起因します。
発注者によっては、複数物件を同時に対応している会社があります。
また、発注手続きは担当部署が異なる場合もよくあることです。
そのため、工事場所や工事内容は発注されている工事で間違いないか確認できる非常に重要な情報となります。
見積り条件を明確にすること
設計図、内訳書で工事の内容を網羅できないため、工事条件書で見積りを作成した条件等を明確にすることは重要です。
見積りを作成する担当者によっては、経験値や技術力不足により、見積りの条件が抜けてしまう場合もあります。
見積り条件が不明確のまま工事が進んでしまうと、お互いの認識のズレによりトラブルに繋がる可能性もあります。
見積り条件を抜けないようにするためには、経験豊かなベテラン担当者のチェック体制を作ることが重要です。
見積り作成日と有効期限を明記すること
見積り作成日と有効期限は、昨今の物価変動の激しい時代では必ず明記しなければいけない情報の一つです。
以下のような原因により、見積りを作成してから工事着工まで時間が空いてしまう場合があります。
- 建築確認申請に時間を要する
- 社会情勢の影響により資材が入ってこない
- 見積り金額の増減調整による設計変 など
見積り作成から工事着工まで時間が経ってしまい、その間に物価上昇し金額が合わないというようなトラブルも考えられます。
このようなトラブルを防ぐため、見積り作成日を明記し、見積り金額がいつまで有効であるかを明確にすることが大切です。
建築見積書作成の効率をあげるポイント
建築見積書作成の効率をあげるポイントは以下の3点です。
- 見積りテンプレートの活用
- チェックリストの活用
- 建設DX化、BIMとの連動
見積りテンプレートの活用
見積りテンプレートの活用は、建築見積書の効率的な作成と項目抜けをなくす方法として有効な手段です。
見積りテンプレートの活用は、以下のメリットがあります。
- 項目抜けがない
- 建設業に使える無料エクセルテンプレートが豊富
- 専用ソフトのような操作を習得する必要がない
- 合計ミスなどのケアレスミスを防止できる
無料のテンプレートは変更できない部分や、自社の使用方法に合っていない場合もあるため、いくつか試してみることをおすすめします。
チェックリストの活用
チェックリストの活用については、見積りミスによるトラブルを回避するために非常に重要な位置づけとなります。
また、建築見積作業は、1回積算して終わりではなく、修正や設計変更の調整などを行う場面が多く見られます。
そんな時にも、当初の積算にミスがあれば、修正や設計変更などの調整の前に、改めてミスがないかの確認が必要となり、2度手間となることも多くあります。
チェックリストにより、建築見積書の精度を上げておくことで、後々のトラブル回避や修正時の効率化に繫げることになります。
建設DX化、BIMとの連動
建築見積作成業務のなかでも、建設DX化としてBIMとの連動を取り入れようとする動きがあります。
BIMは、基本設計・実施設計・積算・施工・運営まで一気通貫して、データ上の仮想空間の建物モデルで管理できるものです。
BIMをフルに導入している企業はまだまだ大手にとどまっているところはありますが、中小企業でも徐々に導入が進んでいるところです。
BIMを活用することで、設計で入力した部材情報が自動計算により各項目ごとに数量が算出されることになります。
これからは建築条件の多様化や見積作成期間の短工期化などにより、精度とスピードが求められ、よりDX化が求められることになると言われています。
まとめ
基本的な見積書作成のポイントを抑え、テンプレートやチェックリストなどを活用することで、お客様から信頼される見積書を作成することに繋がります。
これからは、建築条件の多様化や見積書作成の効率化が求められる時代になっていくことと考えられています。
社内の見積り技術の向上に加え、BIMなどの建設DXを導入することで効率的に精度の高い見積書作成することに繋がります。
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