見積書に計上される予備費とは?役割や注意したいポイントを徹底解説
2022.11.28
予備費という言葉をよく耳にしますが、その内容について、しっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。
- なんのための費用?
- 見積もりに必要?
- どう扱えばいい?
- なかったらどうなる?
など、多くの疑問があります。
見積書の作成は、予備費をどのように扱うかがポイント。
なぜなら、発注者と施工業者との間で予備費に対する認識にズレが起きやすく、双方の認識違いによるトラブルも考えられるからです。
本記事では、予備費の概要や役割、注意したいポイントについて解説しています。
予備費の本質や扱い方を学び、リスクを回避するための参考にしてください。
目次
予備費とは
予備費とは、当初考えていたプランや仕様で算出した見積もりでは対応できない変更に対して、あらかじめ備えておく、準備しておく費用のことです。
新築工事やリフォーム工事など、建設業では見積書によく計上される費用になります。
建設工事では建設途中に
- 仕様変更
- オプションの追加
- グレードアップ
など、工事内容の変更や追加依頼は日常茶飯事です。
急な変更に備えてあらかじめ予備費を確保しておくことで、柔軟に対応できると同時に安心して工事を進められます。
予備費の役割
新築工事やリフォーム工事は、見積もりの段階で費用や工事内容について念入りに話し合い、互いに納得した上で施工されるものです。
しかし、計画通りに工事を進めていく過程で、
- 不測の事態やトラブル解決
- 仕様変更やグレードアップ
などがあり、費用がアップしてしまうことがしばしばあります。
具体的には次のような例です。
- 土地を掘削中に残存物が見つかったため、新たに撤去費用が発生した
- リフォーム中に腐食や雨漏りが見つかったため、補修工事が必要になった
- 施工途中に建材や設備を変更したいと要望され、施工費用がアップした
あらかじめ追加工事を想定した予算案を見積もっておけば、変更やトラブルがあっても工事が停滞することなく、スムーズに対応できるでしょう。
予備費にはこのようなリスクを回避する役割があります。
見積書に予備費を計上していないと……
基本的に見積書には予備費を計上しますが、予備費を記載していない場合も見受けられます。
使われるか使われないかわからない費用である予備費を計上するよりも、
「必要な予算だけを見積もる方がわかりやすくて良いのでは?」
と考える人も多いことでしょう。
しかし、予備費がなければ想定外の追加工事や補修、仕様変更が起きたときに対応が遅れたり、トラブルが発生したりする可能性もあるため注意が必要です。
国家予算でも自然災害や急激な景気低迷に備えて、予備費を計上しています。
最近ではコロナ予備費として約12兆円が計上されました。
もし、予備費を計上しないのであれば、追加工事や仕様変更が起きたときにどう対処するかを事前に確認し、費用面なども含めて合意できるまで話し合うことが大切です。
予備費について気になる点
予備費について発注者が疑問に感じている事柄は次の2点です。
- 予備費を省くことは可能か
- 使われなかった予備費は精算されるのか
2つの疑問点について解説します。
予備費を省くことは可能か
発注者に「予備費を省いて欲しい」と言われた場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
全体的な費用を抑えられるため、予備費を省きたいという気持ちは理解できますが、予備費には「不測の事態に備える」「リスクを回避する」といった大切な役割があります。
そのため、予備費を計上する際には予備費の必要性を丁寧に説明し、同意を得ることが大切です。
また、「相見積もりを取った業者の見積書には予備費が入っていない」と言われることもあるでしょう。
確かに、予備費を計上していない業者も存在しますが、
- 施工単価が高くなる
- 追加で工事費が請求される
など当初の計画以上に負担が増える可能性が高い点について、しっかりと伝えておきましょう。
このように見積もりの見方や比べ方を説明することは「自社の信頼」にもつながります。
使われなかった予備費は精算されるのか
基本的に使われなかった予備費は返金を求められます。
しかし、予備費をそのまま利益として計上し、返金しない業者も数多く存在しているのも事実です。
また、一部を返金しても説明が足りず、予備費が正当な使われ方をしたのか発注者にわからずトラブルとなるケースも……。
予備費は発注者側にとってわかりにくい費用であるからこそ、誠実な対応が必要です。
見積書で顧客から信頼を勝ち取るポイント
見積もりの際には、次の点について説明しましょう。
- 施工範囲
- 見積書の有効期限
- 予備費の使用用途・費用内訳
項目ごとに解説します。
施工箇所と有効期限を説明する
見積書を提示する際には、必ず施工範囲と有効期限について説明しましょう。
建設工事では、発注者と施工業者の認識違いや解釈のズレが原因で、トラブルとなるケースがよくあります。
特に施工範囲と有効期限について説明が足りていない場合、解釈の相違が生まれやすくなるため注意してください。
施工範囲をしっかりと伝える
発注者は見積もり費用について専門知識がないため、自分に都合良く仕上がりまでを想像しているのです。
例えば、「トイレ取付工事」の項目があるとペーパーホルダーやタオル掛けまで費用に含まれていると思い込んでいます。
実際には別途、工事代が必要です。
私も家を建てる際、外構工事と記載されていたので庭も仕上げてくれると思い込んでいましたが、実際は別途費用が掛かりました。
あとでトラブルとならないためにも、しっかりと施工範囲を伝えておきましょう。
有効期限があることを伝える
見積もりには有効期限があることもしっかりと伝えましょう。
発注者のなかには、以前に見積もりした内容がずっと変わらず有効だと思い込んでいる人がいます。
しかし、価格は常に変動しているため、見積もりが変わらないということはありえません。
見積もりから半年や1年後に契約につながることもあるため、契約前には変動した価格に見合った再見積もりが必要です。
施工業者の利益確保にもつながるため、施工範囲と有効期限についてしっかり説明するようにしましょう。
予備費の使用用途や費用内訳をしっかり説明する
予備費は前述の通り、計画当初に予想していた費用では賄えない変更やリスクに備えて余分に見積もっておくための費用です。
使わなければ返す必要のある費用のため、予備費を使う場合には使用用途を説明して合意を得る必要があります。
予備費を説明する際には、着工前や施工中、完工後の3つの場面に分けて伝えるとわかりやすいでしょう。
- 着工前:
過去の実績をもとに使用用途について説明する - 施工中:
実際に現場を見ながら費用内訳について説明する - 完工後:
費用を返金する場合は、現場写真と共に仕様明細を作成して説明する
予備費は使用用途があいまいな費用のため、説明には時間を割いてしっかり取り組むことが大切です。
説明を怠ることなく徹底すれば、他社との差別化が図れ、顧客から信頼を獲得できます。
まとめ
本記事では見積書に計上される予備費の概要と役割、注意したいポイントについて解説しました。
予備費は一見すると、使用用途がわかりにくい費用と言えるかもしれません。
あいまいな費用であるがゆえに、発注者と施工業者の認識違いによるトラブルが起きる原因にもなります。
逆にこの認識の差を解消できればトラブル回避だけでなく、発注者からの信頼を得ることも可能です。
また、予備費を計上していなければ、仕様変更やトラブルが発生した際に請求金額が大幅にアップすることも考えられます。
そうならないためにも、施工業者は予備費についてしっかり説明し、事前に合意を得ておく必要があるでしょう。
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