【後編】建設業『販売管理』とは?目的や流れを理解して収益アップへ
2022.08.02
※販売管理の目的や流れについては、【前編】を参照ください。
目次
建設業 販売管理に必要となる帳票類
販売管理では、得意先や仕入先とのやり取りにおいて様々な帳票が取り交わされます。
帳票は大きく2つに分けられます。
- 帳簿
- 伝票
このうち『伝票』にあたる得意先や仕入先と個々の取引の証拠となる書類が販売管理において必要になります。
もし帳票を正しく作成していない場合、双方の意見が食い違ってトラブルになることも想定されます。
納品や工事が完了してもクレームやトラブルがあると代金の回収がスムーズに進まずに、資金繰りが悪化してしまう恐れもあります。
また帳票は一定期間保存することが法律で義務付けられていますので、各取引のおいて必ず帳票を作成しましょう。
販売管理として扱う帳票として重要になるものは以下の3つです。
それぞれの目的や注意点について説明します。
見積書
見積書は、顧客に対して最初のアプローチとなる重要な書類です。
見積提出期限を守ることも大切ですが、何よりも顧客が望んでいる情報を正しく提示することが求められます。
- 見積金額
- 納期・工期
- 商品明細・仕様
- 支払条件
顧客が取引する相手を決める際の重要な書類です。
数量や金額に誤りがあり、何度も訂正することの無いように注意しましょう。
納品・工事完了後、「見積より実際に多く費用が発生しても請求できなかった」ということの無いように仕様の内容や金額は詳細に提示します。
- 施工日や施工場所による追加請求の可能性
- 特注品使用による工期遅れなど
工事開始までに顧客からの要望により見積内容が変更になる場合は、必ず最終見積書を作成・提出しましょう。
企業によっては、請求書提出時に見積書の添付を求められることがあります。
請求時に「見積書と金額が違う」とトラブルになるのを防ぐためです。
注文書
注文書は、商品の購入や工事が正式に決定した際に作成される書類です。
建築業界で取り交わす正式な契約文書の一つです。
見積書の内容よりも詳細な内容が記載されます。
見積書と照らし合わせ相違が無いか確認しましょう。
納品書・請求書
モノを納めたり、工事が完了した際に、発行する帳票が納品書です。
納品書については、特に発行義務はありませんが、「納品が完了した・工事が完了した」ことをお互いに確認し、トラブルを避ける為に作成することをおすすめします。
請求書については、モノを納めたり、工事完了の際に随時作成・提出する場合と1か月分をまとめて作成・提出するパターンがあります。
また請求書は、取引先指定の様式で作成を指示される場合があります。
事前にどのような様式・タイミングで作成・提出するか事前に担当者同士で確認しましょう。
特に決められた様式が無い場合は、見やすい帳票を作成し、不備があれば、取引先に指示を仰ぎ修正します。
建設業 販売管理の課題
ここまで解説したように、建設業にとって販売管理は、収益アップに直結する重要な業務です。
ところが、実際の担当者にとっては、取り扱う帳票も多く、現場が多い場合は、計算ミスなどによるトラブルも発生しやすい業務です。
そこで、これから提示する販売管理の問題点や課題について、自社の取り組みが該当する場合は解決策を検討するべきでしょう。
計算ミスによる修正業務
建設業界では、同じ工事は二度とありません。
また途中で工期や仕様変更が起こることも度々あります。
そのため原価計算が煩雑になり、計算ミスや確認ミスによる原価訂正作業が頻繁に起こります。
また見積提出後の軽微な追加工事の請求漏れなど、請求書の再提出を求められることも。
このように決算での報告が義務付けられている「完成工事原価」のミスが頻繁に起こると、「会社のコンプライアンス面に問題あり」と思われてしまいます。
- 原価計算
- 請求漏れリスク
建設業の販売管理では、計算ミスや入力ミスをどように防いでいくか?
二重のチェック体制を取るなどの対策が必須となっています。
確認・承認・集計作業の遅れ
販売管理業務は、契約に関する注文書や回収業務である請求書作成など、重要な帳票を作成し取引先に提出します。
そのため、上長による帳票類の確認・承認作業や経理部門による支払手続きなど、多くの部門によるチェック作業があります。
入金確認作業や支払業務の遅れは、資金繰りを立てる際にも影響が出てきます。
いかにスムーズに確認作業を進め、上長による承認を得て滞りなく毎月の請求・支払作業を行うかが非常に重要になってきます。
- 営業・経理など各部門での連携・承認
- 売上・原価計算の集計作業
保存・管理コスト
販売管理に必要な帳票を紙で保管している会社も多いでしょう。
その場合、毎月のようにファイルにまとめ整理、保存する作業が出てきます。
保管場所の確保や用紙代など費用も多く発生します。
今後は、電子帳簿保存法によるペーパーレス化が進んでいきますが、建築業界では依然として紙による帳票のやり取りが残っています。
紙による保存や管理のコストと電子化の費用を検証し、数年先の会社の形態を模索することが早急に取り組むべき課題の一つです。
- ファイル保存スペース確保
- コピー代や用紙代
改ざんのリスク
【前編】でも述べた通り、販売管理のデータは、決算業務や建設業許可申請の際の重要な資料です。
そのため、故意又は、不正アクセスによるデータ改ざんは絶対にあってはならないものです。
社内でのデータ取扱者に管理者制限を設けている場合が多いと思いますが、随時確認する必要があります。
- 各データの改ざん
- 管理者制限
建設業 販売管理方法 ―メリット・デメリット―
現状、建設業界の販売管理は、以下の3つの方法が取られています。
それぞれのメリット・デメリットを示しますので、自社に合った方法を再検討する際の参考にしてください。
①紙による既存帳票管理
長年建築業として会社を継続している場合は、既存の帳票を利用していることが多いでしょう。
見積や請求など、その都度定型フォームに必要事項を入力・印刷後、上長に検印後、取引先へ送ります。
メリット | デメリット |
既存の帳票利用につき、余計な費用が不要 | 帳票印刷費用や書類の送料がかかる |
担当者が業務に慣れているため、作業時間が予測可能 | ファイル保存場所の確保や紛失の可能性 |
データ改ざんが容易にできる |
②エクセルによる管理
販売管理に必要となる帳票をオフィスソフトを利用してエクセル作成・管理している建築会社も多いでしょう。
エクセルにより、販売管理に重要な集計作業や必要となる帳票類をオリジナルで作成・運用することも可能となります。
メリット | デメリット |
エクセルを導入済ならば追加費用が不要 | エクセル関数に慣れた担当者が必要 |
多くの人がエクセルを使用しており、誰にでも容易に作成できる | エクセル作業は、同時に複数人の作業が出来ない |
集計作業や必要となる新たな帳票をすぐに作成可能 | 不用意なファイル削除や改ざんの可能性あり |
③販売管理システム導入
建設業でもすでに多くの企業の導入が進んでいる販売管理システムは、作業効率の向上やセキュリティー対策が整っています。
一元管理による顧客情報や過去のデータへのアクセスも容易で管理しやすく、データ改ざんのリスクも低く安心です。
メリット | デメリット |
帳票作成がシステム上で一元管理でき、効率化が図れる | 初期の導入コストや数年置きに更新費用がかかる |
データによる保存可能で保管場所や用紙代が不要 | 業務担当者が操作方法の取得が必要 |
集計作業や顧客管理などシステム上で管理できる | 既存方法との同時並行作業が必要となり業務負担増 |
操作履歴が残るため改ざんのリスクが少ない | 既存データを新規システムへ正しく移行する業務発生 |
まとめ
建設業にとって、販売管理は、日々の収支を可視化し、業務改善による収益アップを図るためにとても重要です。
また正しい帳票作成による集計作業の効率化により業務担当者への負担軽減が見込まれます。
今後ますますのIT化が進むことが予想されるなか、効率よく販売管理を進める方法を社内で検討する際の参考にしてみてください。
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