電子帳票システムで工務店の業務効率向上へ|メリットや導入の際の注意点
2022.05.06
工務店では、次のように多くの事務作業が発生します。
- 日々の取引を管理する「仕訳帳」や「総勘定元帳」
- 補助簿等の帳簿作成
- 請求や支払処理の伝票作成 など
取引先毎の締日に合わせた請求書郵送や、正しい決算、経営判断のための帳簿を付ける作業も、もっと効率よく行いたいと思っている方も多いのではないでしょうか?
ここでは、日々の帳票作成を電子化することにより、業務の効率化をもたらす「電子帳票システム」についてメリットや導入の際のポイントを解説します。
事務作業の効率化のみならず、経営者向けの管理業務の活用も視野に入れ、電子帳票システムを導入する際の参考にしてみてください。
電子帳票システムのメリット
電子帳票システムを取り入れることで、社内のデータベースや販売管理システムと連携できるため、一連の帳票作成に費やす時間の削減や効率化が図れます。
ここでは、電子帳票システムのメリットを具体的に紹介していきます。
業務効率の向上
工務店の経理業務において、次のような作業があります。
- 得意先ごとに施工後の請求書の作成・送付
- 仕入先からも材料購入の請求書確認・支払処理
社内システムに入力した情報がそのまま電子帳票システムのへ連携できるので、請求書を作成するためにわざわざ再度入力する作業も無くなります。
紙ベースの場合と違い今まで手作業で行っていた各帳票の確認・作成・送付作業が一元管理され業務が効率化されます。
業務効率による恩恵
- 人的ミスの削減
- 働き方改革の推進
- 管理業務の強化
各取引先毎に自動送信する設定も可能なため、メール先を一度登録すれば、人的ミスによる誤送信もなくなります。
インターネット環境さえあれば、テレワーク中の社員でも帳票の確認・管理や送信作業が可能になり、通勤時間の削減による「働き方改革」の推進も図れます。
過去のデータについても検索機能によりすべてのデータの抽出・作成が簡単にできるため大幅に負担が減るので、管理業務を強化することもできます。
情報漏洩を防ぐ
紙ベースでの帳票作成の場合、一定期間にわたる保管が必要になります。書類が増えるにつれ保管場所の確保や書類の破損の心配もあり、管理が煩雑になってしまいます。
帳票を印刷することにより、社員はもとより、管理がしっかりとされていない場合は、取引先の人にも漏れる危険性もあります。
電子帳票システムの場合、アクセス権限も設定できるため、安全に機密情報を取り扱うことができます。
ファイルを破棄する場合も簡単にデータ消去が可能なため、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
書類送付の手間を省く
工務店の請求書や契約書などの帳票を書面で作成して郵送する場合、印刷・封入と言った作業が発生します。
業務が集中する年度末などは、書類が多くなるため、送付ミスや郵送遅れによる請求書未着などの可能性もあります。請求書未着による支払保留は、資金繰りの悪化にもつながります。
取引先からの請求書を受け取る場合も、書類入手から確認までの時間がかかるため、業務がスムーズに進まなくなります。
電子帳票システムの場合、リアルタイムで双方の確認ができるため業務効率がアップします。
電子帳票システムのデメリット
電子帳票システムを導入する場合、初期費用や取引先の協力が必要になります。
ここでは、電子帳票システム導入のデメリットを紹介します。
初期費用や導入にあたり事前準備が必要
電子帳票システムを導入する際は、必ず初期費用が発生します。
すでに何らかの販売管理システムを導入している場合や独自にオプションを付ける場合には基本システムを変更する必要があり更にコストがかさんでしまいます。
工務店が電子帳票システムを導入する際、どのような機能が必要なのか?社内での十分な検討時間も必要です。
また、電子帳票システムを導入する際には、紙による帳票から問題なく変更できるよう、従業員へシステム利用の周知を図らなくてはなりません。
取引先が紙帳票を要望
例えば、家族経営のような小規模な取引先の場合、従来通り紙による帳票を希望される場合もあります。
そのような場合は、取引先別に電子帳票システムと紙による帳票の併用となります。
メリット | デメリット |
業務効率の向上 | 初期費用がかかる |
情報漏洩を防ぐ | 導入前に事前準備が必要 |
書類送付の手間を省く | 取引先が紙での帳票希望 |
電子帳票システムの主な機能
電子帳票システムでは、帳票に必要な電子印鑑の押印、帳票のメールやFAX送信など、帳票作成以外にも多くの機能があります。
帳票類をすべて電子データ化
帳票作成
電子帳票システムを利用すると、帳票類をすべて電子データ化し、帳票作成ができます。
帳票作成時のフォーマットやレイアウトの変更もできます。
すでに社内にある業務システムと連携することで、帳簿の自動作成も可能です。
帳票管理
帳票の分類、仕訳、自動取り込みや検索に対応可能。
PDFやエクセルデータへの変換・出力も可能になります。
電子印鑑利用
電子印鑑とは、請求書や契約書と言った押印が必要な帳票にパソコン上で押印できるシステムです。
この電子印鑑に電子帳票システムは対応しているため、取引先とのやり取りを全てパソコン上で完了できます。
印刷された帳票に会社印の押印が不要になり、リモートワークにも対応できるため業務効率が上がります。
メール・FAXでの正確な帳票送信
電子帳票システムで作成した帳票は、そのままシステムの画面上で取引先へ送信できます。
- メール送信
貼付ファイルとして送信 - メール送信
ダウンロードURLを送信 - FAX送信
FAXの機械やサーバーが無くても、システム上で取引先へ送信 - 郵送代行
取引先が紙による帳票希望の場合、郵送代行を利用
いずれの場合も送付先を登録しておけば、正確に送付でき、郵送にかかる日数も不要になります。
帳票作成後にすぐに取引先の手元に届くため、修正がある場合も瞬時に対応可能です。
電子帳票システムを選ぶ際のポイント
電子帳票システムは、建築業界だけに特化しているわけではなく、すべての業種に対応しているシステムです。
工務店がシステム導入を検討し、選ぶ際には自社に合ったシステムかどうか、確認すべきポイントがあります。
ポイント①:業種に対応したフォーマット
電子帳票システムのフォーマットにはエクセルやPDF,CSVなどがあります。
自社で利用するフォーマットを確認し、電子帳票システムを選ぶ際に、対応しているかどうか確認が必要です。
「元請である取引先が利用している電子帳票システムだから」との理由で選ぶことなく、工務店独自に必要な機能が備わっていて、帳票出力や検索が出来るか確認しましょう。
ポイント②:セキュリティー対策
セキュリティー対策が不十分であった場合、情報漏洩やデータが改ざんされ悪用される恐れがあります。
自社だけでなく電子帳票システムで扱う取引先の情報も含めセキュリティー対策が十分かどうか真っ先に確認しましょう。
例えば、データにアクセスできる担当者を限定する『アクセス権限』機能や取り扱う個人情報を保護するためのデータの暗号化などです。
ポイント③:データ処理の速度
電子帳票システムで作業する際に、取り扱うデータの量が多くなると処理に時間がかることが予想されます。
データ処理に時間がかかると業務に支障をきたす恐れもあり、処理能力の大きなシステムを選ぶことがポイントになります。
処理スピードの高いシステムは、コストが高くなるため、導入前に各システムのデモを利用して、あらかじめ処理スピードを確認しましょう。
導入する際の注意点
電子帳票システムを導入する際には、いくつかの事前の準備が必要になります。
せっかく高価なシステムを導入しても「使いこなせなかった」「費用対効果が得られなかった」と言う企業も多く見られます。
そのような状況にならないように、ここでは、電子帳票システム導入前の注意点を解説します。
注意点①:システム内のフォルダー管理
電子帳票システム利用にあたり、電子帳簿保存法とe-文書法が定める方法での管理が必要です。
- 電子帳簿等保存
⇒電子的に作成した帳簿・書類をそのままデータ保存 - スキャナ保存
⇒紙で受領・作成した書類を画像データで保存 - 電子取引データ保存
⇒電子的に授受した取引情報をデータ保存
このように必要な時に帳票を検索可能にするためにシステム内のファイルやフォルダの管理が必要です。
システムトラブルによる被害も避けるため、必ずバックアップを取っておきましょう。
電子帳票システムが全ての処理を自動で行うわけではないので、システムに関し、然るべき知識を備えた担当者が必要になってきます。
参考:電子帳簿保存法が改正されました―国税庁より
注意点②:導入コストや移行準備の人員配置
電子帳票システム導入には、膨大な初期費用や運用後もかかる費用があり、即座に事務作業効率の改善により、経費が抑えられる訳ではありません。
また紙ベースの帳票類からの移行準備~運用開始に向け、社内での意見のとりまとめやルール作りも必要です。
電子帳票システムへの移行にあたり、帳票の誤送信や漏れを防ぐためにも担当者による準備が重要になってきます。
まとめ
今後ますます進む、ペーパーレス化やリモートワークによる働き方改革につながる電子帳票システムについて解説しました。
電子帳票システムは費用も種類もさまざまです。
この記事を参考にしていただき、工務店が選ぶ際、実際に必要な業務が効率よく行えるか?費用対効果を得られるか?など自社に合ったシステムを選んでみてください。
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