図面の拾い出し作業とは?拾い出し作業の注意点と効率化について解説
2023.06.02
建築会社の経営陣の皆様なら、図面の拾い出し作業による以下のような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?
- 図面の拾い出し作業の手順や必要作業量の把握
- 図面の拾い出し作業の注意点
- 図面の拾い出し作業の効率化
見積りを作成する上で重要な図面の拾い出し作業は、技術力と正確な作業が必要で、大きく作業量を減らすことが難しい内容ではあります。
ただし、注意するポイントを抑え、積算ソフトなどのDX化を図ることで図面の拾い出し作業の効率化に繫げることができます。
目次
図面の拾い出し作業とは
図面の拾い出し作業とは、建設工事に必要となる材料や作業人工を設計図に基づいて数量を算出する作業を示します。
一般的な建設工事では、算出した数量を以下の工種順に整理し、内訳書が作成されます。
(建築工事一式)
- 仮設工事
- 土工事
- 地業工事
- 鉄筋コンクリート工事
- 鉄骨工事
- 防水工事
- 石工事
- 木工事
- 屋根工事
- 金属工事
- 左官工事
- 建具工事
- 塗装工事
- 内外装工事
(電気設備一式)
- 電灯設備
- 動力設備
- 受変電設備
- 発電設備
- 情報通信設備
- 映像音響設備
- 誘導支援設備
- テレビ設備
- 防犯設備
- 火災報知設備
(機械設備一式)
- 空気調和設備
- 換気設備
- 衛生器具設備
- 給水設備
- 排水設備
- 給湯設備
- 消火設備
- ガス設備
上記の工種ごとに算出した数量に単価をかけ合わせれば、建設工事費が算出できます。
図面の拾い出し作業の手順
図面の拾い出し作業の手順としては、内訳書に記載する工種ごとに数量を算出していきます。
建設工事にかかる数量の拾い出しは、膨大な作業量となるため工種ごとに担当者を割り振り作業分担して拾い出し作業することが一般的です。
例えば、以下のような担当分けがあります。
- 建築工事構造担当
- 建築工事意匠担当
- 電気設備担当
- 機械設備担当
建築工事構造担当は、建築工事のうち、仮設工事から鉄骨工事までの建築の構造躯体に関係するところを担当します。
建築工事意匠担当は、上記構造躯体関係以外の防水工事以降の工種を担当します。
電気設備担当及び機械設備担当は、それぞれ電気設備一式、機械設備一式を担当します。
図面の拾い出し作業に必要な日数
図面の拾い出し作業にかかる日数については、建設工事規模によって様々です。
例えば、100㎡程度の戸建住宅であれば2週間程度で算出します。
1,000㎡超える規模になってくると、複数の担当者で1カ月程度かけて拾い出し作業することになります。
【拾い出し日数事例:3,000㎡ 3階建てRC造 学校施設の新築工事】
- 構造躯体拾い出し作業 約1カ月
- 意匠関係拾い出し作業 約1.5か月
- 電気設備拾い出し作業 約2~3週間
- 機械設備拾い出し作業 約2~3週間
これらをそれぞれ担当に振り分けて同時作業しますので、最も時間のかかる意匠関係の拾い出し約1.5か月が必要な日数となります。
図面の拾い出し作業に必要な基準類
図面の拾い出し作業では、会社によってルールがことなる場合がありますが国が定めている基準類があります。
民間発注工事の場合は、この基準に則る必要はありませんが、国や地方自治体などの公共物件の場合は、以下の国の定める積算基準に則った積算が必要となります。
【国土交通省の定める公共工事における積算基準類】
- 公共建築数量積算基準
- 公共建築工事積算基準等資料
- 建築工事標準歩掛り
- 電気設備工事標準歩掛り
- 機械設備工事標準歩掛り
- 建築工事積算基準
- 建築工事共通費積算基準
- 建築工事数量積算基準
- 建築設備数量積算基準
- 公共建築工事標準単価積算基準
公共工事の場合は、これら基準類に則った図面の拾い出し作業となり、建築積算士など資格を有した専門知識をもった担当者が必要となります。
図面の拾い出し作業の注意点
図面の拾い出し作業は、会社の利益を左右する工事費を算出する非常に重要な作業の1つですが、作業量が膨大であり積算ミスが発生することも多々あります。
特に以下の点に注意して拾い出し作業をする必要があります。
- 項目の拾い漏れを防ぐ
- 数量拾い間違いを防ぐ
- 転記ミスや合計ミスを防ぐ
項目の拾い漏れを防ぐ
図面の拾い出し作業は、設計図に記載の項目を漏れなく計上しなければなりません。
項目漏れを防ぐポイントは以下の2つです。
- 設計図の特記事項に注意する
- 作業分担した場合の境界部
設計図に記載の線一本一本にすべてマーカーしながら項目漏れがないかチェックしながら作業を行いますが、図面表現を省略するための特記事項が記載されていることあり、その特記を見落として項目漏れとなる場合があります。
図面だけでなく、特記事項にも十分注意しながら拾い出し作業を進めることが項目漏れを防ぐポイントとなります。
工事の規模が大きく複数人で分担して作業する際の、それぞれ作業の境界部は特に項目漏れが発生しやすい部分となります。
例えば、以下のような場合に注意が必要です。
鉄筋コンクリート工事では、鉄筋と型枠とコンクリートを別々に拾い出し作業を行います。
これらを作業分担で範囲分けをする場合、特に鉄筋工事は柱や壁に連続して配筋される工種です。
平面図上だけで分担すると、連続する鉄筋の項目が漏れてしまう場合があります。
詳細図により明確に作業分担範囲を設定する必要があります。
数量拾い間違いを防ぐ
数量拾い間違いとは、実際は100m3ある数量を50m3と過少に算出してしまう間違いです。
数量拾い間違いを防ぐポイントは以下の2つです。
- 図面再チェックによる検算
- 別の担当者による複数人でのダブルチェック
建築設計図は、3次元で完成するものを2次元的に図面で表現します。
平面図、断面図、展開図、詳細図などを読み解き3次元的に理解し数量を積み上げていく必要がありますが、図面の理解不足により過少や過大な算出となる場合があります。
これらは、経験豊富な技術者の場合は数量を見て間違いに気付く場合がありますが、若手技術者ではなかなか気付かない場合があります。
数量拾い間違いは、図面を再度チェックし検算による担当者によるチェックのほか、複数の担当によりダブルチェックすることが数量拾い間違いを防ぐポイントです。
転記ミスを防ぐ
設計図はデータで作成しますが、積算作業する時は紙ベースやPDF上の設計図に拾い出し計算を記入していくことが一般的です。
紙ベースやPDF上の設計図で算出した数字をエクセルや積算ソフトへ転記する作業があります。
この作業はアナログ的に1つ1つ間違いがないか確認しながら作業していくわけですが、人間のすることなので、少なからず転記ミスが発生することがあります。
転記ミスを防ぐポイントは、基本的なことですが、1つ1つ丁寧に確認しながら作業することと、複数人でのダブルチェックを行うことです。
図面の拾い出し作業の効率化
図面の拾い出し作業は、専門知識を必要とするだけでなく、1つ1つ丁寧な作業とダブルチェックなどの非常に手間の時間のかかる作業です。
図面の拾い出し作業を効率化するポイントは以下の3つです。
- 積算ソフトの導入
- 勉強会による積算技術の向上
- 積算事務所への発注
積算ソフトの導入
膨大な拾い出し作業を効率化する積算ソフトは、各社さまざまなソフトを開発しています。
特に建設DXで国をあげて推進されているのはBIMの導入です。
BIMは、ビルディング インフォメーション モデリングの略称で、パソコン上に仮想的に作成した建物モデルに、部材や管理情報などのデータベースが入力できるソフトです。
設計や積算、施工、管理運営まで一貫してデータベース上で管理することが可能です。
BIMで作成された建物モデルがあれば、設計で入力した情報により部材の数量を自動計算することが可能です。
まだまだBIMの導入は進んでいないところもありますが、図面の拾い出し作業だけでなく、設計や施工において、さまざまな場面で効率化が図れるソフトです。
今後ますます推進されていくものといえるでしょう。
勉強会による積算技術の向上
図面の拾い出し作業は、専門知識に加え経験による勘も非常に重要なところでもあります。
どの拾い出し作業がミスが多いのか、どのような場面で積算ミスが発生するのかなど、ベテランを交えた勉強会を定期的に開催し情報交換することが重要です。
【勉強会で情報共有するポイント】
- 積算ミス事例の共有
- 積算テクニックの共有
- BIMなどの新技術の共有
積算事務所への発注
積算事務所へ発注するメリットは以下の2つです。
- 社内の人手不足解消
- 専門家による精度の高い積算成果が期待できる
図目の拾い出し作業は、1物件につき積算する担当が数カ月張り付くことなります。
積算の熟練度が浅い場合は、要する時間も増え、積算精度も低くなります。
積算の専門知識を有する積算事務所へ発注することで、社内の人手を割くことなく、精度の高い積算成果を期待することができます。
まとめ
図面の拾い出し作業は、専門的な技術を要し大変手間のかかる作業ですが、会社の売上や利益に影響する非常に重要な作業です。
拾い出し作業ミスがよく発生する注意点を抑え、積算ソフトの導入による作業の効率化や勉強会などによる積算技術の向上を図ることで、効率的に精度の高い見積り書を作成することができます。
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