Column コラム

積算ミスの原因と積算ミスを撲滅する方法

2023.05.01

コラム

建築会社の経営陣の皆様なら、積算ミスによる以下のような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?

  • 過少見積りによる低利益工事や赤字工事
  • 過大見積りによる入札不落
  • 修正対応による非効率な業務

積算ミスを防ぐ最も効果的な方法は、社内情報共有や全体勉強会と、社内チェック体制を見直すことです。

積算ミスの原因や事例をこの記事ではお伝えするとともに、積算ミスを撲滅する方法をお伝えします。

積算ミスの原因

積算ミスは、ITやAIなどのDX化が進むなかでもなかなか減らない現状があります。

それは、積算業務は人の地道なアナログ作業による積み上げであるためです。

主に積算ミスが発生する原因は以下の4点です。

  • 変更対応
  • 口頭指示
  • 社内チェック体制
  • ヒューマンエラー

変更対応

設計から施工段階において、図面の変更は何度も行われるのが通常です。

図面の変更が行われる原因は以下の点が挙げられます。

  • 発注者からの変更要望
  • 図面間の不整合
  • 申請指摘による変更
  • 設計内容と現場状況の不整合など

これら変更対応については、図面が変わる度に変更に伴う積算修正を行います。

建設業界は、設計の担当者、現場の担当者、積算の担当者はそれぞれ別の専門職で構成される特有な形態です。

設計図に変更があれば、設計の担当から積算の担当へ漏れなく伝える必要がありますが、ここでの伝言時に齟齬が生じ、積算ミスに繋がることが多くあります。

口頭指示

図面に変更がある場合は、原則書面により変更理由と変更箇所の履歴を残しておく必要があります。

設計段階や現場での施工段階において、常に時間に迫られている場合が多く、急ぎで積算修正を進める必要性があります。

そのため、変更理由と変更箇所の履歴は後回しとする場面が多く見受けられます。

この場合、口頭だけでの指示で設計担当と積算担当の認識違いもあり、積算ミスにつながる場合があります。

社内チェック体制

建設会社では、建物の設計業務については、設計から積算まで社内のチェック体制を基本設計完了時・実施設計完了時・成果品提出前など、各フェーズごとに構築しています。

ただし、設計が終わってからの変更対応については、その場その場での対応で担当任せとなっている場合が多く見受けられます

社内チェック体制が整わない理由
  • 変更の度に社内チェックをかけてられない
  • 変更対応は急ぎの場合が多い

設計図は幾度と変更することが通常で、変更がある度に社内のチェックを通すとなればチェック側の体制をいままで以上に確保する必要があり非効率となることから、変更対応については、その場その場の担当者のみでのチェックに頼らざるを得ない状況にあります。

また、変更対応は急ぎでの対応が多く、社内チェックにかける時間が確保できない場合もあり積算ミスに繋がりやすい状況にあります。

ヒューマンエラー

建設業における積算のヒューマンエラーは、単純な入力ミスだけでなく以下のような原因もあります

  • 業務過多による処理能力を超える
  • 取り違い、思い違いなど
  • 知識不足

積算に限らず、建設業界は常に人手不足で担当者への業務過多となる場面がよく見受けられます。

また、急ぎでの対応の場合が多く、口頭での指示や簡単なメモ書き等による変更指示により、取り違いや思い違いが発生します。

更に、積算知識だけでなく建設業ならではの専門知識も必要となり、知識不足による積算漏れに繋がる場合もあります。

これら複合的なヒューマンエラーが積算ミスに繋がっています

積算ミス事例

積算ミスによる赤字受注例や、入札不落のほか、発注者側の積算ミスによる理不尽な減額要請例について解説します。

過小積算による赤字受注事例

積算ミスが発生したのは、設計図面に記載の杉板型枠の打放し仕上げについての単価入力が過少であったことに原因がありました。

過小積算となってしまった原因
  • 積算担当の知識不足
  • 図面記載内容の取り違い
  • チェック体制の不備
積算ミスの経緯
  • 計画建物外装の主たる仕上げである杉板型枠を使用した打放し仕上げについて、通常の打放し仕上げに加え、杉板材の型枠分を積算に計上していた
  • 杉板型枠を使用する場合、杉板材の仕上げがコンクリート面に綺麗に転写させなければいけない難易度の高い技術であるにもかかわらず、通常の打放しの型枠として積算計上
  • 図面には、杉板の表面加工の方法や杉板の県産材の指定の記載があったが、見落としていた
  • 杉板型枠打放しの仕上り精度と、精度が悪かった場合の補修方法の記載も図面に表現していたが見落としていた
  • 入札までの時間がなく、これら知識不足、取り違い認識のあるまま社内チェックを通ることなく積算し受注、現場が始まり杉板型枠の表面加工の費用や、県産材でのUP分が必要であることが判明。
  • 知識不足のまま、杉板型枠の打放しが出来上がり、仕上がり精度に問題があったため、全面的な補修が必要となり、大きな費用が発生し赤字物件となってしまった

積算担当の知識不足と、図面記載内容の取り違い、更には時間がなかったため最後の社内チェックを通ることなく受注してしまったため、積算ミスによる赤字受注物件に繋がってしまった事例です。

過大積算による入札不落

過大積算により受注できない場面は以下のような原因があります。

  • 単純な単価入力ミス
  • 設計図ので表現が曖昧で安全側に割り増し

建設業界のDXが進む現代においても、入札時の見積り入力用ツールは手打ちのエクセル様式が未だに多くあります。

建設工事の内訳書は、工事の内容によっては千頁以上にも及ぶこともあり、エクセルでの手打ち入力はどうしてもヒューマンエラーに繋がりやすい状況となります。

また、受注した際に図面に記載内容の取り違いにより低利益や赤字にならないよう安全側への積算積み上げが過大となり受注に繋がらなかった例は多くあります。

東京都発注業務の積算ミスによる理不尽な減額要請

東京都が発注する業務で、積算ミスにより予定価格が過大な金額となり、入札参加者の上位3位までの業者が最低価格を下回り、上位4社目の業者が受注することになりました。

本来の積算であれば、上位3社のどこかの業者が受注した可能性があったが、東京都は入札参加者及び落札業者への事情説明を行い、契約金額を減額し工事を進める方針としました。

東京都の積算ミスの原因
  • 設計図に記載の新工法への知識不足
  • 新しい工法であったため、都の他の担当者も間違いに気付かなかった
  • 都の積算システムへの入力は、新工法の場合手入力であった

発注業務に用いられる工法が、新しい工法であったため東京都の担当者も積算を取り扱うことが初めてであったとされています。

また、通常積算システムにより、工法と数量を入力すれば、都の決められた単価が自動で入力されるところ、新しい工法であったため、単価も手入力でする必要があり積算ミスが発生し落札業者が理不尽な減額要請を受け入れることになった事例です。

参照:日経クロステック(2021.09.15)

積算ミスを撲滅する効果的な方法

積算ミスを撲滅する効果的な方法は以下の4つが重要です。

  • 失敗事例に習う
  • 積算システムや施工パッケージ型積算方式の導入
  • 社内チェック体制の構築
  • 勉強会

失敗事例に習う

熟練技術者になると、積算ミスが起こりやすい勘所があり事前に注意するべき点や、チェックするべき点が感覚的につかめています

これは、長年積算業務を経験することで沢山の失敗をしてきたからこそできる術です。

積算ミスが起こりやすい勘所は、なんども失敗例で挙げられることがあるため、失敗事例は社内で共有し、若い技術でも気をつけなければいけない部分に気付ける体制をつくることが積算ミスを撲滅することに繋がります。

積算システムや施工パッケージ型積算方式の導入

従来はエクセルで積算、見積り書を作成してきましたが、最近では積算システムを採用している企業も多くなってきました。

積算システムは、数量の入力により、自動計算と集計をしてくれるソフトで、計算ミスや集計ミスをなくし、業務の効率化に繫げることができるシステムです。

また、国土交通省が平成24年から実施している施工パッケージ型積算方式は、従来別々に計上していた材料費・工賃・機械損料などをパッケージ化した単価を作成し、積算にかかる労力軽減を目的に作成されたものです。

これら積算システムや施工パッケージ型積算方式を導入することで、従来の単純な計算ミスをなくし、単価の入力ミスも防げることになり、更に業務の効率化に繋がります。

社内チェック体制の構築

積算ミスを未然に防ぐ方法として、最も効果が高いとされているのは社内チェック体制の構築です。

複数人の目でチェックすることが重要で、同じ人間がチェックしてもミスに気付かないこともあります。

複数人の目を通す体制を構築することで、社内的には人手が余分に必要となり経費のかかる方向となりますが、成果の品質を上げることができます。

また、全てを闇雲にチェックするのは効率が悪いため、機械的にチェックできるシステムとして積算チェックリストを活用することも有効です。

積算チェックの内容には、建築知識の不要となる数字の記入漏れや転記ミスなどは、チェックリストさえあれば、派遣やアルバイトの人間であってもチェックは可能となります。

建築知識や技術力を要するチェックと、機械的にチェックできる項目を分け、チェックリストを活用することで、効率的に積算ミスを撲滅することに繋がります。

チェックリストについては、国土交通省も作成し公表しています。

そのまま社内のチェックリストとして活用することも可能です。

参考:営繕工事積算チェックマニュアル 国土交通省官庁営繕部

勉強会

上記で挙げた失敗事例や積算チェックリストについては、実際に積算業務に取り入れた際の使用感や、新たな発見等もあり、社内で共有することが重要です。

国が公表しているチェックリスト等についても、自社での利用方法については、こんなアレンジを加えた方が、自社には合っているという発見や、自社ではこの部分は使用しない方がよいなど、より効率的に使用できるよう、社内で意見交換を行うことが重要です。

また、積算に限らず技術やソフトは進化し続けるものであるため、常に社内で得た新しい情報は、水平展開できる環境を整えることが重要です。

まとめ

積算ミスに伴う、低利益工事や赤字工事、入札不落などは、会社の利益に直結する重大な問題です。

積算ミスを撲滅する最も効果的な方法は、社内情報共有や全体勉強会と、社内チェック体制を見直すことです。

勉強会や社内チェック体制は、時間も経費もかかることではありますが、成果の精度が信頼にもつながり、やがて会社の利益を左右するブランド化にも繋がる内容で非常に重要なポイントとなります。

 

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