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建築資材が高騰した5つの理由とは?今後の展望と対応策について解説

2023.06.01

コラム

ガソリン代や電気代、食品に至るまで私たちの身の回りで物価が高騰していますが、建築資材においても、ここ数年価格高騰が激しくなっています。

コロナ禍やウッドショック、円安、ウクライナ危機などにより、建築資材の高騰が収束する気配はありません。

建築資材がどうして高騰し、今後いつまで続くのでしょうか。

本記事では建築資材が高騰した理由と今後の展望、対応策について解説します。

資材高騰に不安を抱えている建設業者の方は参考にしてください。

建築資材の価格動向と現状

国内の建築資材に用いられている原材料の多くは輸入品に頼っているため、現在のような円安の状況では、原材料の価格が高騰してしまいます

下記は木材・木製品・林産物の輸入価格動向について示したグラフです。

 

建築資材 高騰 画像①

引用元:経済産業省「いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響」

木材・木製品・林産物の輸入物価指数は、2021年9月の時点で前年末から69%上昇しています。

なかでも集成材は前年末から149%と大きな上昇幅で、全体を見渡しても価格高騰が著しい状況です。

具体的な建築資材価格のUP率は下記を参照してください。

 

建築資材 高騰 画像②

引用元:一般社団法人日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」

相次ぐ建築資材の価格高騰により、住設建材大手メーカーでは2022年から価格を改定して値上げを行うことを発表しました。

 

建築資材 高騰 画像③

引用元:リフォーム産業新聞「住設建材メーカー15社値上げ発表」

建築資材の価格高騰を受けて、建設会社では値上げ分のコストをどう価格転嫁するのか、また原価を見直してどのようにコストを削減していくのかが今後の課題です。

建築資材が高騰する5つの理由

建築資材が高騰した理由として、以下の5つを解説します。

  • コロナウイルスを起因とするウッドショック
  • 需要拡大によるアイアンショック
  • 高騰傾向にあるガソリン代や電気料金
  • 低金利政策を起因とする円安
  • ウクライナ危機によるロシアへの経済制裁

それでは、項目ごとに見ていきましょう。

コロナウイルスを起因とするウッドショック

建築資材が高騰したひとつ目の理由は、新型コロナウイルスをきっかけとしたウッドショックです。

ウッドショックとは、2021年3月頃から国内で影響が出始めている輸入木材の価格高騰を指します。

ウッドショックが起きた主な原因は以下の通りです。

  • 国内の住宅メーカーが使用する約7割を輸入木材に頼っている
  • コロナ禍で輸入先の伐採従事者が減少
  • 製材所の稼働率が滞り、木材の供給量が低下
  • アメリカや中国で住宅建築が急増し、国内に輸出される木材が減少
  • 世界的なコンテナ不足

木材価格の上昇がいつまで続くのか、まだ収束の見通しが立たない状態です。

需要拡大によるアイアンショック

アイアンショックとは、鉄や銅、アルミなどの金属価格が高騰している状況を指します。

アイアンショックが起きた主な原因は次の通りです。

  • アメリカや中国での住宅需要が急増
  • 原料である鉄鉱石の不足で輸入に頼る国内では供給量が低下
  • 世界的な物価上昇
  • 国内の長引くデフレ

鉄筋や鉄骨などの鋼材は、マンションや商業施設などの建設で多量に使用される建築資材です。

また、金属は住宅用の設備にも多く用いられるため、建築資材や住宅設備の価格に大きく影響します。

高騰傾向にあるガソリン代や電気料金

高騰するガソリン代や電気料金も建築資材の価格に大きく関係しています

ガソリンなどの燃料代が高騰すれば資材の輸送費や運送費が上がるため、建築資材の価格に影響を及ぼすでしょう。

さらに建築資材や住宅設備を製造する工場で使用する電気代が高騰すれば、建築資材の価格も上昇します。

低金利政策を起因とする円安

輸入木材や鉄鋼など多くの建築資材を輸入している日本では、円安が価格高騰の要因と考えられます。

昨今の円安は、国による低金利政策の影響です。

アメリカではインフレによる物価上昇を低減するため、早期から金利を上げるインフレ対策をとっています。

低金利の日本よりもアメリカの金利が高くなれば、円ではなくドルで運用する方が有利です。

そのため、円を売却してドルを買う動きとなり、円の価値が下がって円安となります。

円安になれば輸入するときの費用が増えるため、仕入れコストが高くなり建築資材が高騰する原因となるのです。

ウクライナ危機によるロシアへの経済制裁

ウクライナ危機を起因としたロシアへの経済制裁も、建築資材価格の高騰と関連があります。

経済制裁によって日本だけでなく多くの国々が、豊富な資源のあるロシアからの輸入ができなくなりました

ロシアは世界有数の資源大国で、天然ガスや石油などのエネルギー資源が豊富です。

そのロシアから輸入できないとなると、世界中のエネルギーコストは高騰します。

資源や木材を輸入に頼る日本では、高騰するエネルギーコストや円安の影響を受けて建築資材の輸入価格も高い状態になっている現状です。

 

建築資材 高騰 画像④

引用元:一般社団法人日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」

建築資材の価格高騰はいつまで?今後の展望について

建築資材の高騰は前述した5つの原因だけでなく、慢性的な人手不足や地球温暖化などあらゆる要因が絡んでいるため、早急な解決は難しいでしょう。

世界各国の情勢や経済対策などが重層的に重なりあっているため、ひとつの問題を解決したからといってすべてが解決できるわけではありません。

ただ高騰する原因のなかで、円安に関しては日本独自で対策がとれます。

現状の低金利政策から自主的な利上げに転換すれば、円安が解消でき輸入コストが抑えられるため、建築資材の高騰が解消できるでしょう。

しかし、利上げに踏み込んだとしても、建設業の人手不足問題は解決しません。

本質的な要因が宙ぶらりんの状態なので建築資材の価格高騰は今後も拡大する可能性はあります。

高騰する建築資材への対応策

建築資材の価格高騰を他人事と考えて何も対策を打たなければ、工事コストが高止まりしたまま利益が減り、資金繰りも厳しくなるかもしれません。

それでは、建築資材の高騰に対してどのような対策がとれるのでしょうか。具体的な対応策を3つ紹介します。

  • 早めの発注を心がける
  • 業務効率化
  • 日建連による協力要請

項目ごとに解説しますので、高騰する建築資材への対応策として参考にしてください。

早めの発注を心がける

施主との打ち合わせで仕様が決まれば、早めの発注を心がけましょう

なぜなら、建築資材は高騰傾向にあり、さらに商品によっては供給不足で納期が未定となる場合も考えられるため、早めの発注が有効的だからです。

住宅建築やリフォーム事業では部材がひとつ不足しているだけで、工程が遅延してしまうケースがあります。

早期に注文をしておけば、確実に資材や部品を手に入れられるため、余裕を持って作業に臨めるでしょう。

業務効率化

業務効率化や業務内容の見直しも、対応策として有効になります。

業務を改善するためには、業務効率化システムや顧客管理システムなどのIT管理ツールの導入がおすすめです。

業務の効率化が実現すれば従業員の生産性が向上し、労務コストの削減や時間外労働、休日出勤が減少します。

さらに業務内容の洗い出しを行って、ムダな作業や効率の悪い業務を見直して改善案を模索してみましょう。

例えば、工法の見直しも工期短縮や人件費削減に効果があります。

具体的な工法の見直し例は以下の通りです。

  • 作業ロボットの導入やIT化
  • 省力化できるプレハブ化やユニット化を行う
  • 外注先を変更する
  • 作業人員を増加する
  • 工程の一部を外注化する

上記のような対策を検討して、資材高騰で値上がりした分を価格転嫁できる打開策を考えてみましょう。

日建連による協力要請

あらゆる要因が複合的に重なり合った今回の価格高騰は、コロナ禍で落ち込んだ日本経済の回復を押し留める状況となりつつあります。

そこで国土交通省は2022年4月26日、経団連に対して「労務費、原材料費、エネルギーコスト等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や適正な工期の確保について」の周知を要請しています。

4月27日には日本建設業連合会(日建連)が経団連に対して、「建設資材高騰・品不足に係る協力要請」の要望書を提出して、民間発注者に対して次のような協力を求めました。

  • 直近の資材価格や調達状況を反映した価格・工期での契約締結
  • 民間建設工事標準請負契約約款を活用した契約締結
  • 既に締結された契約における資材高騰に伴う個別協議

現場の価格高騰は建設会社だけで対応することは難しい状態となっています。

資材高騰の尻拭いが下請け業者などの受注者に向かないよう、適正な工事費用と工期による契約を行うことが重要です。

まとめ

本記事では建築資材がなぜ高騰しているのか、その原因と対応策について解説しました。

建築資材の価格高騰は様々な原因が絡み合っているため、「すぐに解決できる問題なのか」それとも、「新たな打開策を見つけるのか」手探りの状態です。

建築資材が高騰すれば、建設費用にも大きく影響します。

値上げ分をうまく価格転嫁できればいいのですが、自社で抱え込んでしまうケースも。

建設会社は経営努力を行いながら、業務効率化や生産性向上に取り組むなど今できる対策を講じて、この苦境を乗り越えていきましょう。

 

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