ウッドショックで木材価格が急上昇…今後の住宅事業はどうなる?
2022.05.31
現在木材の価格高騰が起こり、住宅事業の状況は大きな変化にさらされています。
これにはさまざまな原因があり、即時解決する方法はありません。
しかし、ただ価格が落ち着くのを待っているだけでは、競合他社に置いて行かれることになります。
本記事ではウッドショックと呼ばれる木材の価格高騰が起こった理由や今後の見通し、取るべき行動を解説していきます。
現在の状況から活路を見出す参考にしてください。
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目次
ウッドショックとは木材供給の減少
ウッドショックとは世界中で木材の需要が高まり、その結果木材供給が減少したことを指しています。
ウッドショックという名前は、1970年代のオイルショックになぞらえられたものです。
木材と一口に説明されますが、正確に言うと建材として用いられる木材の問題であるため、建築業界が特に煽りを食らっています。
原因は大きく分けて、以下の3つになります。
- 新型コロナウイルス
- ロシアのウクライナ侵攻
- アメリカの長期金利上昇
木材価格高騰の原因①:新型コロナウイルス発の第1次ウッドショック
ウッドショックの原因のひとつは、新型コロナウイルスです。
「ウイルスと木材にどんな関係が?」と思われるかもしれませんが、実は木材価格高騰の原因として大きな要素です。
海外の住宅事情の変動
新型コロナウイルスが流行し始めると、木材の需要はそれに合わせて徐々に高まっていきました。
感染させる・させられることを恐れた人達が、多くの人が住む集合住宅を避け、戸建てでの生活に移行しようとしたことが原因です。
一軒家の需要が世界各地で急速に高まった結果、木材の供給が追いつかなくなりました。
輸入の制限
新型コロナウイルスが流行すると、感染を防ぐために貿易が制限されました。
また、世界各国の木材を加工する業者や工場が、クラスターの発生やロックダウンなどの理由で業務停止になりました。
木材そのものの需要が高まっただけでなく、流通が滞ったことが木材価格高騰を加速させたのです。
現在はほぼ元の状態に戻っているとはいえ、完全ではありません。
木材価格高騰の原因②:ウクライナ侵攻発第2次ウッドショック
ロシアは森林大国であり、耐震性に優れるカラマツなどの木材を輸出してきました。
ところが2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵攻により、経済制裁の一環としてロシアからの輸入が制限されました。
第1次ウッドショックが納まらないうちに、第2次ウッドショックが引き起こされ、もともと供給不足だった木材がさらに不足しているのが現状です。
木材価格高騰の原因③:アメリカの内外金利差が引き起こす円安
2022年3月から、アメリカの内外金利差が拡大したことで円安ドル高が起こり、木材の輸入価格がさらに上昇してしまいました。
内外金利差とは国内と国外の金利差を示しています。
今回の場合、アメリカ国内の長期金利が上昇したことを受け、アメリカ国外の資産を持っている人達が金利目当てにドルを買い始めたということです。
そのため、相対的に円が売られ円安傾向が進んでいます。
世界情勢の煽りを食らう住宅事業
さまざまな原因により、建築事業は現在大打撃を受けています。
特に住宅事業は一般建築事業以上に、深刻な資材不足に悩まされています。
住宅の基本構造は木造
日本の住宅は、大部分が木造です。
梁や柱など躯体の部分に木材を使用するため、木材がなければ躯体を作ることもままなりません。
また、壁の下地となる合板や床板など、躯体以外の部分でも木材は使用されます。
住宅によっては、木材を使用して作り付けの家具材を設置したいという場合もあるでしょう。
全ての木材が同程度に供給不足となっているわけではありませんが、木材の出番が多い住宅事業では、木材価格が高騰すると何かと不便を強いられることとなります。
木材だけじゃない…住宅に欠かせないもの
木材価格の高騰は住宅事業にとって大きな痛手ですが、不足している資材は木材だけに限りません。
例えば、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るいだした直後は、TOTOが便器を作れないという事態に発展しました。
部品を作る工場が国外にあり、ロックダウンの影響で生産がストップしたためです。
また、ウクライナ侵攻による経済制裁で不足している資材に、ステンレスがあげられます。
ステンレスはキッチンなどの住居用設備にとってとても重要であり、不足すると住宅事業はやはり打撃を受けることになります。
木材の今後について
現在建材としての木材は供給不足であり、木材価格は高止まりのままです。
一体いつまでこの状態が続くのか、と思っている人も多いでしょう。
しかし、木材価格高騰の原因を理解すると、たちまちの解決は望み薄だと言わざるを得ません。
価格が落ち着くのは当分先の話
木材価格が高騰している原因は、次の3つです。
- 新型コロナウイルス
- アメリカの長期金利上昇
- ウクライナ侵攻
この3つはいずれも日本国内で始まったことではなく、いうなれば振り回された結果、現在の状態になっています。
したがって日本の努力だけでは、早期の解決は見込めません。価格が元の水準に落ち着くのは、当分先のこととなるでしょう。
国産の木材は頼れない
日本は森林大国と言われているものの、木材の供給不足を国内の木材で補うことはできません。
建材として使用される木材の元となる木は、木であれば何でも良いというわけではなく、適した品種の物を手をかけて育てていくものです。
しかし、日本の林業従事者は減少傾向にあり、人の手で建材用に育てられている森林はわずかであるため、木材価格の高騰を抑えるには至りません。
住宅事業を営む者が今後するべきこと
木材価格高騰の影響を受けている住宅事業ですが、今後価格が落ち着いてくるまでは、木材の供給不足を踏まえた行動をとる必要があります。
肝心なのは、世の中が大きく動いているときはその流れに合わせなければいけないということです。いつも通りの営業にこだわりすぎると、かえって事態は悪化します。
価格変動に敏感になる
世の中が動いているときは、何がきっかけで原価が変動するかわかりません。
そのため価格変動について、いつも以上に敏感であることが大切です。
前もっての価格変動予測は困難ですが、変動がわかれば出来る限り即応しましょう。
そのためには自分自身でアンテナを張るだけではなく、人との縁を最大限に活かすことが重要です。
取引先とのやり取りをいつも以上に丁寧に行い、協力関係を築くと情報収集がスムーズです。
リフォーム・リノベーションの好機とする
資材が手に入りづらい時は、リフォームやリノベーションを推進していくのも方法のひとつです。
リフォームやリノベーションは一般的に躯体が残ることが多く、資材を節約できます。
設計段階でも、できる限り供給不足となっている木材を使用しない方法を検討しましょう。
また、顧客側は一般的に新築よりもリフォーム・リノベーションの方が安く済むというイメージを持っています。
しかし、躯体に手を入れなければ資材が節約できるという発想はありません。
単純に価格が下げられるだけでなく、木材が揃いきるまで待つよりも早く施工できるなど、リフォームの方が得であるという提案をするのもおすすめです。
まとめ
ウッドショックの影響で、住宅事業はにわかに危機的状況に陥っています。
しかし、価格高騰が起こった理由や今後の状況を知ることで、どのようにするべきかが見えてきます。
黙って耐えるのではなく、自らこの危機を乗り越えるという気概をもって仕事をこなしていきましょう。
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