【建築業】国産材を使うメリットとデメリットとは?国産材の特長と市場
2022.05.10
- 「国産材について詳しく知りたい」
- 「国産材を使うメリット・デメリットってなんだろう」
こんな疑問ってなんだろう?
国産材のデメリットを知らないと、使用した際に違和感を覚えます。
本記事では、国産材の概要と併せて、国産材を使うメリット・デメリットについて詳しく解説します。
最後まで読むと、国産材について詳しくなれます。
国産材の特長
国土の7割を森林が占める日本では古来より、木材の特性を活かしながら多様な用途に利用する木の文化がありました。
住宅の材料として木材を活用するだけでなく、木の実を食糧としたり、燃料として落ち葉や樹皮を利用したり、食器、農具、工芸品など木材とは密接な関係を育んできました
現代でもあらゆる形で私たちの暮らしを支える国産材の特長について解説します。
高品質で仕上がりがきれい
国産材の仕上がりは、高品質で世界一きれいといわれています。
四季の寒暖差がある日本の風土で育まれた木は、木目が真っ直ぐで年輪の間隔が狭く、耐久性に優れた特長があります。
一方で外国産材は温度変化が穏やかな地域で育つため、国産材と比べると年輪が大きくなります。
高温多湿な日本の環境では、年輪が大きい外国産材は乾燥による変形リスクがあります。
大量に生産される外国産材と異なり、植林と間伐のサイクルでしっかり管理された国産材は、木目が美しく肌触りもなめらかで高品質できれいに仕上がります。
世界最古の木造建築といわれる法隆寺は、ヒノキで建てられ1300年経過した今でもその美しい姿を維持しています。美しい見た目だけでなく長い歳月を息づく力が国産材の魅力でしょう。
香りが良い
森林浴をするとほのかな木の香りが爽快な気持ちにさせてくれます。
森林から放出されるフィトンチッドといわれる成分が、自律神経を安定させ、深いリラクゼーション効果を導き出します。
森林の木は製品になっても、次のようなフィトンチッド効果が持続します。
- ヒバで建てた家はカビが生えにくく蚊が近寄らない
- クスノキが使われたタンスには防虫剤がいらない
- 猫のトイレにヒノキやヒバのチップを使うと消臭効果がある
法隆寺の大改修工事のとき、柱に使用されているヒノキを数ミリ削ると香りが蘇ったという話がありますが、国産材の持つ天然の香りは、心身ともにリフレッシュできるアロマテラピー効果があります。
国産材のメリット
国産材のメリットは以下のとおりです。
- 国産材のメリット①:日本の風土に合った建築ができる
- 国産材のメリット②:日本の森林を保護する
- 国産材のメリット③:薬剤による健康リスクが少ない
- 国産材のメリット④:耐久性が高く、寿命が長い
- 国産材のメリット⑤:地域の活性化につながる
日本の風土に根付いた国産材は、素材の良さだけでなく使うことで自然環境への貢献や森林保全に寄与します。
昨今、注目されている国産材のメリットについて解説します。
国産材のメリット①:日本の風土に合った建築ができる
日本の気候風土にあった建築には、国産材が最も適しています。
1年を通して変化に富む日本の温暖で湿潤な気候のなか、木材は気温や湿度に合わせて呼吸をし伸び縮みを繰り返しています。
気候や風土に合った木材で作られた建築物は耐久性が高く、高寿命のため安心して長く居住できます。
建築材としての木材は、耐久性や性能だけではなく、香りや木目、風合い、装飾性なども大切です。
日本の長い歴史のなかで使われてきたヒノキやスギ、松やケヤキなどの国産材は、その全てを合わせ持つ良材といえるでしょう。
国産材のメリット②:日本の森林を保護する
国産材の使用は、日本の森林を保護することにつながります。
森林は長い期間、手間をかけて育てることが大切です。山にしっかりと根を張った樹木は、健全な土壌を育てさらに大きな木に育ちます。
多くの木が二酸化炭素を吸収し、雨を濾過して河川に還元し私たちの水源となります。
台風や豪雨が起きても、しっかりと張られた木の根が土壌を守り、土砂災害や地滑りを防いでくれます。
手入れのされていない森林は、木が密集して日が当たらず根も張らないため土砂災害が起きるリスクがあります。
積極的な国産材の使用は日本の森林を守り、その地域に住む人々を守るといっても過言ではないでしょう。
国産材のメリット③:薬剤による健康リスクが少ない
輸入に時間がかかる外国産材は、虫がつきやすく外来種であるシロアリなどの侵入を防ぐため防虫剤や防腐剤が使われます。
国産材にも使われることがあるので確認は必要ですが、薬剤使用はアレルギー反応などを引き起こす健康リスクが懸念されます。
特に小さなお子様がいるご家庭は、健康被害のリスクを抑えるためにも安心して暮らせる国産材を選ぶメリットは大きいでしょう。
国産材のメリット④:耐久性が高く、寿命が長い
四季があり寒暖差の激しい気候と急斜面など厳しい環境で育った国産材は、耐久性が高く寿命も長い特長があります。
森林・林業学習館が平成13年から8年間、4種類の木材を野ざらしにして耐久実験を行いました。実験木材は、建築木材でよく使われる次の4種類です。
- ヒノキ(静岡県産)
- スギ(宮崎県産)
- ベイツガ(カナダ産)
- ホワイトウッド(フィンランド産)
8年後の実験結果では、国産材はほぼ原型をとどめたにもかかわらず、外国産材は崩れ落ちボロボロになりました。
日本で育ち、日本の気候に耐えてきた国産材は耐久性があり日本の建築に適していることがわかります。
参考URL:森林・林業学習館「木材の耐久性(野ざらし実験)」
国産材のメリット⑤:地域の活性化につながる
国産材を使えば、地域の活性化につながります。
日本の林業は人材不足が進んでおり、高齢化も深刻な状況となっています。
こういった状況下で、国産材を使用して林業が活性化されれば、新たな雇用が生まれ地域に潤いをもたらします。
さらに国産材を使用することは、地域の暮らしを支えることにもつながるでしょう。
国産材のデメリット
国産材のデメリットは以下のとおりです。
- 国産材のデメリット①:流通量が少ない
- 国産材のデメリット②:加工に手間がかかる
- 国産材のデメリット③:価格が高い
林野庁により国産材の利用拡大に向けた取り組みが行われています。
多くのメリットがある国産材ですが、デメリットにはどのようなものが考えられるのでしょうか。
詳しく解説していきます。
国産材のデメリット①:流通量が少ない
日本では、1955年頃から高度成長期に入り、木材の需要が急速に増大しました。
需給逼迫を懸念して外国産材の輸入が段階的に開始され、1964年の木材輸入の全面自由化をきっかけに外国産材の供給量が大幅に増え、木材供給量の7割を外国産材が占めています。
国内では林業就労者の減少と高齢化により、手入れの行き届かない森林が増え、高品質な木材の安定的な供給が困難な状況になっています。
十分な乾燥設備がない零細な木材供給者も多く、乾燥や強度など一定品質の木材を継続的に供給できず流通量が少ない傾向にあります。
国産材のデメリット②:加工に手間がかかる
小さい径や曲がりなどの癖が多い国産材の原木を多様な品質の木材に加工するためには、高度な加工技術が必要です。
木材の含水率にはバラツキが多く、含水率が高いとネジレが発生しやすいなど品質や性能を保つには多くの手間と労力がかかります。
曲がりや割れ、狂いが起きにくい乾燥した品質の良い木材の供給が求められ、乾燥技術と製材加工の強化を図り、安定供給体制の構築が今後の課題です。
国産材のデメリット③:価格が高い
国内において原木価格は長期的にみて下落傾向にあり、加工前においては外国産材と変わりません。
しかし、上記の通り加工に手間がかかり流通量が少ない希少価値などで、価格が高くなる現状があります。
また森林から木を伐採し、工場や市場までの流通コストが高いのも価格が高い原因のひとつです。
原木を安定的に供給できるシステム作りと需要者のニーズに迅速に対応できる製品流通の低コスト化、効率化が求められています。
なぜ国産材が使われないのか
国産材が使われない理由は以下のとおりです。
- 価格が高いイメージがある
- 品質
- 供給側が対応できない
価格が高いイメージがある
国産材が使われないのは価格が高いイメージがあるからです。
原因としては以下のことがあげられます。
- 為替の影響により1980年代は国産材の価格が高かったため
- 戦後の木材貿易完全自由化によって林業現場は伐採圧力から開放され、銘木・役物といった高級路線で売上を伸ばそうとしたから
上記の理由から、国産材は高いイメージがあります。
品質
国産材が使われない理由としては、品質が考えられます。
木材はしっかりと乾燥させないとひび割れや反り、曲がりにつながります。
品質を保つためには、木材を乾燥させた「乾燥材」を使用する必要があります。
日本では、乾燥剤の定義があいまいです。
どのくらい木材を乾燥させて含水率を下げると乾燥剤と呼ぶのかはっきりとした基準はなく、乾燥の期間も会社によってかわります。
上記のことから、ひとえに国産材といっても品質はさまざまです。
供給側が対応できない
木材の需要が急に増えても、それに応じて即座に供給量を増やすのは難しいでしょう。
木を成長させて建築等に利用できる状態にするまでには、最短でも40年程度の時間が必要だからです。
伐採のタイミングを早めて供給を増やそうとすれば、その後の伐採可能な木の数が減ってしまう恐れがあります。
新しく伐採のためのアクセス道路などを作成するにも、それなりの時間と費用がかかります。
加えて、日本の林業の現状として、事業のスケールアップを考慮する場面で、適切な土地を見つけるのが一筋縄ではいかない状況があるでしょう。
このような背景から、日本の林業者は需要の急激な増加に迅速に応えることが難しいのかもしれません。
国産材の需要について
利用を促進するための制度や国産材の需要動向について解説します。
木材利用促進法による国産材の利用促進
2021年10月1日に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、木材自給率50%を目指しています。
参考URL:林野庁「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」
政府だけでなく各自治体でも助成金や補助金を支給するなど、国産材の需要拡大への積極的な取り組みを行っています。補助金事業を行っている自治体を一部紹介します。
新型コロナウイルス感染などによりもたらされたウッドショックで外国産材の価格が高騰し、国産材の需要にチャンスの波が押し寄せています。
林野庁によると2020年の木材自給率は41.8%になり、48年ぶりに40%台を回復しました。2002年には、最低木材自給率18.8%を記録しましたが、2011年から10年連続で上昇しています。
出典:林野庁「木材需給の構成等 木材供給量及び木材自給率の推移」より
外国産材の伐採量減少
地球環境保護や森林破壊のため外国産材の伐採量が減少傾向にあります。
さらにウッドショックにより外国産材高騰や供給が追いつかず、木造建築市場に大きな影響を及ぼしています。
国内には豊富な森林資源があり、建築材料として優秀な木材がたくさんあります。
しかし、木材資源を上手く活用できていません。これまで安価な外国産材に市場を席巻されていましたが、国産材の需要に大きな期待が寄せられています。
新技術CLT
近年、CLTという間伐材を有効利用する新技術が注目され、新しい市場の拡大が期待されています。
CLTとは直交集成板を指し、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略です。
集成材とは違い、ひき板の繊維方向を直交積層した材料でヒノキやスギが主原料になっています。
面で構造を支える仕組みのCLTは、パネル材として使われコンクリートにも劣らない強度があり軽くて施工もしやすく、耐熱性や遮音性に優れています。
CLTが全て国内生産され、3階までの建築物を木造にすると新規需要として1〜1.9兆円の新規需要を生む効果が推測されています。
CLTが本格化すると森林資源の有効活用につながり、木材自給率を解決する手立てになるかもしれません。
参考URL:一般社団法人 日本CLT協会
まとめ【国産材のメリット・デメリットを理解しましょう】
今回は国産材を使うメリット・デメリットや特徴について解説しました。
国産材を使うメリットは以下のとおりです。
- 日本の風土に合った建築ができる
- 日本の森林を保護する
- 薬剤による健康リスクが少ない
- 耐久性が高く、寿命が長い
- 地域の活性化につながる
国産材を使用する前に、メリット・デメリットを理解することが大切です。
本記事を参考にぜひ国産材を活用してください。
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