建設業の利益率とは?アップさせる方法や計算方法を詳しく解説
2022.03.03
- 「建設業の利益率ってなんのことだろう」
- 「現場の利益率をアップさせたいけど方法がわかんない」
こんな疑問や悩みはありませんか?
利益率を上げる方法を知らないと赤字の現場になる可能性があります。
本記事では、建設業の利益率の概要と併せて、利益率を上げる方法を解説します。
最後まで読むと、利益率を上げる方法が理解でき、現場で活躍できます。
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【建設業】利益率の定義は?どうして低くなるのか
利益率を上げるには、利益率についての理解を深めなければいけません。
知識が身に付き、利益率が低い理由がわかれば、利益率を上げるポイントもおのずと見えてくるでしょう。
利益率の概要
利益率とは、完成工事高に対する利益の割合です。
完成工事高には、原価(工事費)が含まれています。
これを差し引いて残ったのが利益です。
厳密には粗利ですが、この記事では『利益』と記載していきます。
利益率の計算方法
利益率の計算式は以下のとおりです。
利益率=利益÷完成工事高×100
「完成工事高-原価=利益」なので、下の式に置き換えられます。
利益率=(完成工事高-原価)÷完成工事高×100
この式から「利益率が低い=原価の割合が高い」という関係がわかります。
利益率の相場
建築工事の利益率の相場は、20%~25%です。
これより高く設定した場合、受注が難しくなります。
顧客の予算をオーバーし、案件が取り消しになる。
あるいは相見積もりをされ、より安価で依頼できる他社に頼むといった結果に、終わりやすいためです。
逆にこの数値を大きく下回っている場合、その工事は利益が少ないということです。
利益率を改善するには、まず相場を頭に入れて目標を知りましょう。
利益率が低い原因
利益率が低くなりやすい工事とは、小規模工事のことです。
小規模工事は、利益率に関して常に2つの問題があります。
- 基礎工事に費用がかかる
- 顧客が安く見積もっている
これを解決しなければ、小規模工事で高利益率は維持できません。
基礎にかかる費用は削れない
利益率の改善にあたって、基礎にかかる工事費用は悩みの種です。
基礎工事における次の費用は、他の工事費用に比べて下げにくいためです。
- 鉄筋
- コンクリート
- 型枠
建物において非常に重要な部分なので、材料や工法は色々な条件を検討して決定されます。
そのため、安さを優先できません。
割高とわかっていてもこの材料・この工法でなければいけないと判断されることも多いのです。
基礎工事の費用が削れないならば、他の部分の工事費用をおさえるのが定石です。
規模が小さい場合、工事の種類は元から少なく、抑えられる部分がほとんどありません。
そのため、原価である工事費をあまり削れないという結果になるのです。
顧客のイメージとのズレが利益を削る
顧客は「小規模工事=安い」という考えを持っています。
建築のことを知らないため、工事の規模から予算をはかってしまうのです。
実際の工事の予算は、規模の大小以外に様々な要因を踏まえ、総合的に決定されます。
しかし、建築を知らない相手に予算の根拠まで納得してもらうのは、至難の業です。
顧客のイメージと工事の総額が食い違うと、顧客は難色を示します。
そのため受注側は、利益率が低いと分かっていても、総額の低減を優先してしまうのです。
建設業の利益率をアップさせるためには
建設業の利益率をアップさせる方法は以下のとおりです。
- 正しい計算方法を確認する
- お金の動きを把握する
- 必要最低限の粗利を算出する
- 社員とのコミュニケーションを密にとる
正しい計算方法を確認する
正しい計算方法を行うと、利益率が上がるでしょう。
正しい計算方法は以下のとおりです。
売上総利益率=売上利益(粗利=売上高ー原価)÷売上高×100
現場によっては、工事期間が長期になる場合もあるため、見積額が実際に近くなるように分析し、予測しましょう。
以下の計算式も押さえておくと活用できます。
- 予想利益額= 受注額 ― 実行予算額(原価予想額)
- 粗利率 =予想利益額 ÷ 受注額 × 100(%)
お金の動きを把握する
お金の動きを把握するためには、「ITツール」の導入がおすすめです。
ITツールなら見積作成や発注管理、入出金管理まで一括で行えるため、お金の流れを把握できます。
お金の流れを把握できれば、不必要に原価が増えることが減るため、利益率が高まります。
必要最低限の粗利を算出する
必要最低限の粗利を算出することが、利益率アップにつながります。
必要な費用は以下のとおりです。
- 一般管理費(光熱費や通信費など)
- 借入金の支払利息
- 借入金の元本返済
- 設備投資費
- 社員に対する賞与
過去の決算書を参照しながら必要最低限の粗利益額を算出します。
粗利益額が判明したら「売上高はどのくらい必要か」「粗利率は何%欲しいか」などが決まります。
上記で決めた項目を社員と共有すると、会社としての方向性が定まり、会社全体で利益率を高める意識が生まれます。
社員とのコミュニケーションを密にとる
社員との交流を活発にすると、情報が行き届きます。
さらに新しいアイデアも生まれるため、会社にとってプラスなことばかりです。
社員とのコミュニケーションが不足している会社では、以下のような支障がでるでしょう。
- 現場担当者と営業担当者で顧客情報を共有できていない
- 協力業者への発注書と支払額に差異がある
- 見積書と実行予算の内容が合わない
上記のような不具合があるため、社員同士のコミュニケーションをしっかりとりましょう。
【建設業】利益率を上げる工事案件
利益率を上げるには、原価を抑えやすい工事や、予算が通りやすい工事を請け負うことです。
特に次の2つがポイントです。
- リフォーム工事
- 大規模工事
この工事が得意であれば、利益率を上げるのは難しくありません。
リフォーム工事は利益率を上げるねらい目
リフォームは、原価にあたる工事費用を抑えやすい工事です。
そのため、利益率が相対的に高くなりやすいのです。
リフォーム工事は原価を低くできる
リフォーム工事のメリットは次の通りです。
- コストを削減できる、外装や内装の工事が多い
- コストを削減しにくい基礎や躯体の工事は、少ない・やらなくてよい
- コスト削減を顧客に提案しやすい
多くのリフォーム工事は、基礎や躯体がもうできあがっています。
基礎から上の外装工事や内装工事は、材料の種類や工法が沢山あります。
そのため欲しい性能を満たしつつ、安価に抑えられる手段を見つけやすいのです。
また、外装や内装は多少性能が落ちたとしても、命に関わる大事故に繋がることはまれです。
そのため顧客にも、「少し性能が劣りますが、こちらの方が安価でコストパフォーマンスに優れています」と提案しやすいです。
リフォーム工事で利益率を上げる注意点
リフォーム工事であれば、必ず利益率が上がるわけではありません。
次の2つに注意しなければ、リフォーム工事であっても利益率は下がります。
- ボリュームのある基礎工事
- プランニングの時点で知識不足
顧客の要望にこたえつつ、原価を下げていく。
この基本を忘れないで、利益率を上げていきましょう。
基礎工事のボリュームに注意
基礎工事がともなう案件は、慎重に対応しなければなりません。
リフォーム案件は基礎工事が不要な場合が多いです。
しかし、100%不要とは言い切れません。
基礎に一部手を入れたり、新たに基礎を作る必要が生じることもあるでしょう。
そうなってしまえば、リフォーム案件であっても利益率は上げにくくなります。
工事全体に対して、基礎工事はどれほどのボリュームなのか。
そのことに注意しつつ、計画を立てましょう。
安価の追及には知識が必要
安価な材料や工法を選ぶには、幅広い知識が必要とされます。
外装や内装の工事にともなう材料・工法は、リーズナブルなものが沢山あります。
しかし、安さにばかりこだわって、最低限の機能さえ果たせない建物になってしまえば、大問題です。
プランを練る段階で検討するべきことですので、時間も有限です。
検討に時間がかかれば、それだけ人件費もかさんでいきます。
顧客の希望を叶えながら、安価な工事をする。
そのためには多種多様な材料・工法を頭に入れ、必要に応じて、素早く提案する力が必要です。
大規模案件は利益率を維持できる
大規模な工事は、利益率を高く設定しやすいです。
原価を抑えて、徐々に利益率を上げていくのではありません。
最初から高い利益率に、据え置きやすいのです。
大規模工事の予算は顧客の納得に繋がりやすい
大規模工事は、顧客側があらかじめ、予算に余裕をみている場合が多いです。
顧客は建築を知らないため、規模で予算をはかりがちです。
そのため大規模工事の場合は、「大きい工事だから、高額の予算が必要に違いない」とみなされがちです。
そのため小規模工事に比べて、利益率を相場に設定した予算を出しても、そのまま通ることが多いのです。
大規模工事で利益率を上げる注意点
大規模工事は利益率を高くキープしやすいですが、リスクもあります。
利益率が低くなるどころか、赤字になる場合まであるため、注意が必要です。
大規模工事でのミスは損害も大きい
大規模工事は、ミスが起きるとそれが利益に大きく響きます。
顧客の指示変更などの場合は、顧客側からの申し出なので、追加料金を要求することもできます。
しかし、受注側がミスをした場合、顧客側に追加料金の請求などできません。
リカバリーの工事費用には、利益になるはずだったお金を出すしかないのです。
例えば、居室に設置する照明の予算を、計上し忘れた場合。
一般の住宅程度なら、居室の数は10も無い場合がほとんどなので、数個の照明代金を支払うだけで済みます。
ところがタワーマンションだった場合、千単位・万単位の照明代がのしかかってきます。
もちろん工期は待ってくれないので、人員を大急ぎで調達し、いっせいに取付せねばなりません。本来不要であった人件費まで、上乗せされることになるのです。
ミスがあってはならないのは、もちろんです。
ですが大規模工事のミスは、小規模工事以上にあってはなりません。
手直しの工事をすればするほど、利益が犠牲になることを常に覚えておきましょう。
まとめ【建設業の利益率を理解して会社に貢献しましょう】
今回は、建設業の利益率の概要と併せて、利益率を上げる方法を解説しました。
利益率とは、完成工事高に対する利益の割合です。
完成工事高には、原価(工事費)が含まれています。
これを差し引いて残ったのが利益です。
計算式に当てはめることで、正確な利益率がわかります。
この記事を参考にぜひ利益率を上げてください。
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