施工写真とは?撮る目的や撮り方のポイントをわかりやすく解説
2023.06.21
工務店の施工管理のひとつに工事の進捗状況を記録する施工写真の撮影があります。
施工写真は何気なく気付いたところを撮るのではなく、施工状況や品質管理の資料となるため、
- 何を写すのか
- いつ撮影するのか
- 何のために撮るのか
- 誰に見せるのか
を考えて、事前に撮影計画を立て、準備を整えることが大切です。
本記事では施工写真の目的や撮影ポイント、管理方法について解説しています。
施工写真を撮る目的や効率的な管理方法を知りたい方は参考にしてください。
目次
施工写真とは
施工写真は工事写真とも呼ばれ、
- 施工前
- 施工中
- 施工後
それぞれの段階において、施工状態や進捗状況、工事過程などを撮影し記録することです。
工事完成後に見えなくなる箇所を記録しておけば、施主検査や工事管理の際に確認する資料として役立ちます。
また、工事完成後に施工中の問題が見つかった場合、証拠資料や証明資料になるなど施工写真は大切な記録資料といえるでしょう。
国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課による「営繕工事写真撮影要領 令和5年版」には、施工写真の撮り方や提出方法がわかりやすく解説されています。
さらに仮設工事や土木工事、鉄筋工事、防水工事など工事種目ごとの撮影項目や対象物、撮影時期が記載されているので参考にしてください。
施工写真を撮影する目的
さまざまな資料として活用される施工写真には次のような目的があります。
- 施工や工程の記録
- 資材や建材の記録
- 完成後に見えなくなる箇所の記録
目的ごとにみていきましょう。
施工や工程の記録
施工写真を撮影するひとつ目の目的は、施工や工程の記録です。
施工写真を撮影していれば、工事や工程状況を確認する証拠資料として活用できます。
トラブルがあった際にも適切な工事を証明する資料となるでしょう。
資材や建材の記録
施工で使用した資材や建材を工事資料として記録しておけば、類似した施工をする際の資料として役立ちます。
また、材料品質を確認したり、アフターフォローや修繕をしたりする際の参考資料としても重要です。
私もマンション施工後の半年点検や1年点検のたびに、作業内容や取り付け建材を確認するため、図面や施工写真を参考にしていました。
写真をみれば、施工当時の状況や現場について思い返せるため非常に役立ちます。
完成後に見えなくなる箇所の記録
建設工事では完成後に資材などで隠れてしまって、見えなくなる部分が多くあります。
例えば、コンクリート打設前の基礎や壁のなか、天井裏などです。
施工過程で見えなくなる箇所の写真を残しておけば、作業工程や工事内容に問題がないことを示す証拠資料となります。
施工写真を撮影する流れ
施工写真を撮る際の流れについて解説します。
撮影計画
施工写真を撮影するためには、撮影計画を立てなければいけません。
撮影計画がなければ目的とする写真を撮り忘れる可能性があるため、しっかりと計画を立案しましょう。
計画の立案にあたっては施工工程や仕様を考慮して、
- どのタイミングで撮影するのか
- 何のために撮影するのか
- 誰に見せるための撮影なのか
など、撮影目的や必要な写真を明確にしておきます。
撮影機材の準備
施工写真の撮影には、デジタルカメラや黒板、三脚などの機材が必要です。
あらかじめ黒板に必要事項を記入しておけば、効率よく撮影作業に取り掛かれるでしょう。
撮影
計画の立案と機材の準備が整ったら、施工写真を実際に撮影します。
撮影後には画像にブレやピンボケがないか、黒板の文字が読めるか、不要な写り込みがないかなどをチェックし、必要であれば撮影し直してください。
施工写真は工事着工から完成まで順を追って撮影を繰り返すため、枚数が膨大になります。
撮影後には写真を仕分けして、写真台帳に整理しておきましょう。
提出
撮影した施工写真に工事情報を記載して提出します。
特に指示がなければ、背表紙には「工事名称 施工写真」と記載。
表表紙にも「工事名称 施工写真」と題名をつけ、
- 施工期間
- 設計者名
- 施工業者名
- 監理者名
を明記します。
写真を工程ごとに貼り付け、余白に工事情報を書き込むとよりわかりやすい施工写真台帳になります。
施工写真を撮影するポイント
施工写真を撮影するときのポイントを4つ紹介します。
- 5W1Hを示す
- 完成イメージを想定する
- 黒板の情報がわかるように撮影する
- 公共工事の場合、画像編集は不可
項目ごとにみていきましょう。
5W1Hを示す
施工写真を撮る前に撮影計画を立て、撮影項目や撮るタイミングを決めます。
さらに、5W1Hの情報が網羅された写真を撮ることがポイントです。
5W1Hとは以下に示す情報です。
- Who (誰が )
⇒請負業者・施工業者 - When( いつ)
⇒撮影時期・施工日時 - Where (どこで)
⇒工事現場名・施工箇所 - What( 何を)
⇒工事名称・工事の種類 - Why (なぜ)
⇒施工目的・規格 - How (どのように)
⇒施工状況・施工方法
写真のなかにこれらの情報をすべて取り込むことは困難なため、補足事項を黒板に記入して撮影します。
完成イメージを想定する
工事の進捗状況や変化をわかりやすく記録するため、できる限り同じ撮影場所や構図を意識して撮影してください。
特に全景を撮る定点写真の場合、建造物が大きければ完成したときに1ショットで全景を収めきれない状況も考えられます。
定点写真で全景を撮るためには、完成イメージを想定して1枚の写真に収まる場所をあらかじめ探しておきましょう。
どうしても写真に入りきらないときは、複数の場所から角度を変えて撮影する工夫が必要です。
黒板の情報がわかるように撮影する
黒板に記入されている工事名や撮影日、工事種目、施工者などの情報が写真をみて把握できるように撮影してください。
太陽の光やフラッシュで黒板の文字が反射して、読み取れなくならないよう撮影角度を考えて撮影しましょう。
公共工事の場合、画像編集は不可
公共工事に提出する施工写真の場合、次のような画像編集は一切できません。
- 写真全体が暗いので明るさを補正
- 不要な写り込みがあったのでトリミング
- 写真を加工して改ざん
- 黒板の誤字を訂正
公共工事の写真だけでなく、すべての施工写真は工事過程の記録や品質を確認するために用いられる大切な資料となります。
写真を編集してしまうと資料としての信ぴょう性が揺らぐため、撮影後には問題がないかをよく確かめ、必要であれば撮り直すようにしてください。
施工写真の管理方法
工事が完成に近づいてくれば写真の枚数も膨大になるため、工程ごとや進捗に合わせて分類するなど、適切な管理が求められます。
ここでは、施工写真の具体的な管理方法について解説しましょう。
紙面にファイリング
紙面でのフィリングは印刷した写真を施工写真台帳に貼り付けて管理する方法です。
写真を印刷して貼るだけの簡単な管理方法ですが、着工から完成まで工程の流れごとにまとめたり、写真が増えると印刷に手間がかかったりして管理が大変になってしまいます。
また、写真が増えていけばファイリングした台帳を保管するスペースを確保する必要がある点に注意しましょう。
エクセルに貼り付ける
エクセルで施工写真台帳ファイルを作成し管理する方法です。
デジタルカメラで撮影した写真をパソコンに取り込んで、エクセルに貼り付けて管理します。
紙面にファイリングする方法と異なり、保管スペースも必要ありません。
しかし、台帳作成や施工写真の添付作業は時間と手間がかかるため、管理担当者の作業負担が増える点に注意が必要です。
スマートフォンやタブレットの活用
デジタルカメラは便利で使い勝手が良いのですが、業務効率や手軽さを考えるとスマートフォンやタブレットの活用がおすすめです。
スマートフォンやタブレットを使えば、撮影画像のメール送信や共有が容易でオンラインストレージを利用すれば容量を気にせずに保存可能です。
デジタルカメラの場合、一旦パソコンにデータを移行する必要があるため、画像の取り込みに手間がかかります。
また、パソコンの保存容量にも限度があり、USBやSDカードなどにデータを保存すれば紛失してしまうかもしれません。
データ移行の手間や保存容量を考えると、スマートフォンやタブレットでの撮影を推奨します。
オンラインストレージの活用
施工写真のデータ移行や管理にはオンラインストレージの利用が便利です。
オンラインストレージとはWeb上にデータを保存できるスペースのことで、ネット環境さえあれば保存媒体を用意しなくても写真データを保存できます。
保存だけでなく、ネット環境があればどこでも閲覧可能でファイル共有がしやすい点もメリットのひとつです。
オンラインストレージにはGoogleDriveやOneDrive、Dropbox などのツールがあり、自社に合った機能や容量を検討してサービスを選びましょう。
業務管理システムや写真管理アプリを活用
工務店や建設業に特化した業務管理システムを導入すれば、施工写真を管理できます。
業務管理システムは写真の管理以外にも、
- 工程管理
- 見積もり作成
- 顧客管理
- 施工管理
- 発注管理
- チャット機能
など広範囲にわたる工務店業務に対応しているため、情報の一元管理が可能です。
また、写真管理アプリを利用すれば施工写真の撮影や保存、整理、閲覧が簡略化されるほか、
- 写真の自動保存機能
- 写真台帳の作成機能
- 写真データ管理機能
- 電子黒板機能
など施工写真を円滑に管理する機能が装備されています。
業務管理システムや写真管理アプリを活用すれば、紙面でのファイリングやエクセルで写真台帳を作成する必要がありません。
施工写真を管理する手間が大幅に軽減され、業務を効率化できます。
まとめ
本記事では施工写真を撮る目的や撮影ポイント、管理方法について解説しました。
施工写真は工事着工から建設完了までの一部始終を記録し、施工状況や工事内容を確認するための大切な資料です。
完成後にみえなくなる鉄筋や配管、基礎などを撮影するため、撮影計画を綿密に練る必要があります。
5W1Hの内容を盛り込んで、写真をみただけで状況がわかる写真を撮りましょう。
また、施工写真の管理には業務効率化システムや写真管理アプリがおすすめです。
写真の自動整理や分類機能で帰社後の業務軽減が期待できるでしょう。
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