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初心者にもわかりやすい工事完了報告書の書き方【建設業・工務店向け】

2022.05.20

コラム

工事完了報告書はその言葉の通り、建築業者が工事の完了を報告するための書類です。

官公庁から一般企業、個人の顧客に至るまで、依頼主に対して契約通りに施工が進んだことを伝える役割を持っています。

他の業務と同時並行で進められることの多い工事完了報告書の作成は、効率的かつ正確性が求められる作業のため、初めて作成する方は戸惑うことも……

本記事は工事完了報告書の書き方や作成ポイント、記載項目について初心者の方にもわかりやすく解説しています。

基本的な工事完了報告書の概要について知りたい方は、この記事を参考にして作成してみてください。

工事完了報告書とは?

工事完了報告書とは建築工事を受注した建設業者や工務店が、工事を発注した元請業者に対して契約通りに工事が進み完了したことを報告するための書類です。

作成する施工業者側は工期や工事場所、施工にかかった費用や材料費の明細、工事施工写真など、あらゆる項目を漏れなく記載する必要があります。

テンプレートを使用すれば記載する項目を事前に決めておけるので、情報の抜け漏れ防止に役立つでしょう。

ただし、発注先が官公庁や大手企業などの場合には、専用書式を用いた工事完了報告書の提出を求められることがあります。

工事完了報告書の必要性

工事完了報告書は書面やデータを用いて、工事が契約通り問題なく完了したことを元請業者に報告する役割があります。

また、工事完了報告書は施工後に不正が発覚した場合の証拠書類となるだけでなく、固定資産を計上する際の根拠にもなるため、必要事項を正しく記載して提出しましょう。

工事完了報告書の作成義務

マンション建築資材の不正使用が判明し、裁判で工事完了報告書が証拠書類として採用されたケースがあります。

工事完了報告書の作成は法律上、義務ではありませんが、施工後のトラブルを未然に防ぐため工事完了報告書の作成を心がけましょう。

また、官公庁から発注を受けた場合は一般的に工事完了報告書の提出が求められることがあります。

その際には各自治体のwebサイトから、

  • 工事完了報告書の書式
  • 委任状
  • 確認書
  • 必要な工事写真
  • 建築基準法の検査済証の写し

など、提出に必要な書類を調べておきましょう。

工事完了報告書の作成方法

工事完了報告書は市販やエクセルの書式を利用する場合と元請業者が提供する専用書式を利用する場合があります。

それぞれについて解説します。

作成方法①:市販の書式利用

工事完了報告書の書式を一から自作するのが手間と感じる場合は、市販のフォーマットを購入する方法がおすすめです。

必要事項を網羅した書式を選べば、効率よく工事完了報告書の作成が可能です。

作成方法②:エクセル・ワード使用

エクセルやワードを利用して工事完了報告書を作成する方法です。

エクセルで自作する場合は必要事項を入力するためのひな形やレイアウトを一から作成する必要があるため、時間と手間がかかります。

手間をかけたくない場合は、エクセルやワードで作られた無料テンプレートをダウンロードする方法がおすすめです

ダウンロードしたテンプレートを利用すれば、手際よく報告書を作成できます。

以下の参考URLからエクセルで作られたテンプレート(A4サイズ)のダウンロードが可能です。ぜひ活用してください。

参考URL:工事完了報告書のテンプレート(エクセル)一覧

作成方法③:元請業者から

官公庁や大手の建設会社など元請業者のなかには、専用フォーマットを用いた工事完了報告書の提出を求めることがあります。

その場合には、指定された書式に従って提出してください。

工事完了報告書で注意したいポイント

工事完了報告書は法律で定められた形式はありませんが、提出先によって必要な項目が違う点に注意が必要です。

作成・提出する前にはトラブルとならないよう各項目について内容を把握しておきましょう。

費用

工事完了報告書の費用項目には、工事で発生した人件費は含まれない点に注意しましょう。

工事完了報告書の費用はガソリン代や交通費などを請求するための項目です。

そのため、工事現場が遠方の場合に発生するガソリン代や有料道路の領収書や明細を添付できるようにしておきます。

例)

  • 遠方の工事現場を往復するガソリン代や高速代などは高速利用区間を記入の上、領収書を添えて提出します
  • 工事現場付近の有料駐車場を利用した場合、利用時間や金額のわかる領収書や明細を提出します

領収書を提出せずに有料道路の利用状況を記入しただけでは、承認が受けられず費用がもらえない場合もあるので、領収書は確実に保管しておきましょう。

材料費

材料費は工事で使う建材の仕入れ費用を記入する項目です。

指定の建材や商品であれば事前に手配されているケースもありますが、その他必要な建材や機械、工具などは自社で購入しなければいけません。

この購入する際にかかった費用を材料費の欄に記入します。

領収書や納品書は必ず発行してもらい、工事完了報告書を提出する際に添付できるようにしておきましょう。

工事完了報告書の提出先が元請の場合、使用建材や素材の品質を求められる場合もあります。

その場合には、

  • ホルムアルデヒド発散量
  • F☆☆☆☆☆の等級
  • JIS規格

などの証明が必要になります。

出荷証明書や施工中の写真を記録するなどして、材料品質を明らかにできる体制を整えておきましょう。

工事写真

元請業者によっては工事現場写真を求められる場合があります。

工事現場写真といっても、

  • 着工前
  • 工事中
  • 完成後
  • 修繕や改修の場合、工事前の写真と工事後の写真
  • 完成後に見えなくなる箇所

などがあるため、どの写真が必要なのか前もって元請業者に確認しておきましょう

工事写真は施工状況や施工過程を証明する資料となるため、施工後にトラブルや不備が発見されたときにも役立ちます

工事写真アプリを活用すれば、

  • 電子小黒板を活用した撮影が可能
  • 撮影業務の効率化
  • 写真の共有や管理が楽

などのメリットがあり、おすすめです。

提出期限

工事完了報告書には提出期限が設けられているため、元請業者に確認を取りましょう。

工事完了後、1週間〜1ヶ月くらいの間に提出を求められるケースが一般的です。

工事完了報告書は記入する項目が多いため、必要な情報をあらかじめ整理しておくと作成作業もスムーズにこなせます。

記入以外にも添付種類や施工写真の準備なども必要なため、期限ギリギリになって慌てないように余裕を持って取り掛かりましょう。

特に工事完了後には請求書の発行や検査の立ち合いなど、他の業務が絡んできます。

時間に余裕がある時にわかる部分を記入するなどして、提出期限を厳守してください。

保存期限

提出後にも工事完了報告書をチェックできるよう、控えを保管しておきましょう。

建設業法施行規則の第28条には「帳簿及び図書の保存期間」が5年間と定められています。

そのため、5年間を保存期限の目安とすればいいでしょう。

参考URL:建設業法施行規則

工事完了報告書に記載する項目

工事完了報告書に記載する基本的な項目を解説します。

それぞれの内容について理解を深め、工事完了報告書を作成する際の参考にしてください。

宛名

請負元の業者名や個人名を記載します。

業者名は(株)や(有)のように省略してはいけません。必ず、株式会社や有限会社と正式に記載しましょう。

例えば、株式会社◯◯建設様や△△太郎様など。

請負元が官公庁の場合は、広島市長様や大阪府知事様のように市町村名や都道府県名を記載します。

また、市長や知事の名前を記載する場合には、◯◯市長△△太郎様と記載してください。

ただし、提出時期が選挙と重なれば首長が変わる可能性も考えられるため、記載前に確認しておきましょう。

工事件名

工事の件名や正式な現場名を記載します。

契約書がある場合、工事件名に記載されている「ビルの名前」や「店舗名」を正確に記載しましょう。

現場名だけでなく、現場住所の記載も必要です。

新築現場でまだ住所が定まっていない場合には、「△△地内」「◯◯地先」のように具体的な場所がわかるように書きます。

特定箇所の施工を請け負った場合は、「屋根雨漏り箇所修繕」や「自転車置場設置工事」など具体的な工事内容を詳しく記載してください。

工期

実際に工事が行われた日、または工事期間が数日間の場合は工事開始日と完了日を記載します。

請負金額

請負金額は契約の際に取り決めした請負金額を記載します。

トラブル防止のため、また金額について元請側と認識の差が生まれないように請負契約書を結び、内容を把握しておきましょう。

請負契約に材料費が含まれている場合、または別途支払われる場合であっても材料費にかかった金額と明細の記入が必要です。

また費用明細も必須のため、添付資料となる材料費の領収書や納品書のコピーは工事完了報告書を提出するまで保管しておきましょう。

工事内容

工事内容の項目には工事に関する具体的な仕様や内容を記載します。

担当者名と会社名:押印

法人の場合は会社の横判と角印、個人事業主の場合は会社名と認印を押印します。

さらに実際に工事を行った担当者名を記載の上、担当者印を押印してください。

工事写真

元請業者によっては工事写真の提出を求められる場合があります。

工事写真は工事を正しく行ったことの証明となるだけでなく、不備が見つかった際に責任の所在を明らかにするための証拠にもなるため重要です。

特に修繕や改修工事の場合には工事前と工事途中、完了後の写真などなるべく多くの写真を撮影しておくといいでしょう。

効率よく工事完了報告書作るために

建築業界は決算期や新年度が繁忙期です。

忙しい時期は施工だけでなく、施主検査や報告書の作成など事務作業も増えていきます

そのため、より効率的に工事完了報告書を作成することが大切です。

現場名や請負金額など記入できる項目は事前に準備しておき、提出前に慌てないよう領収書などの添付書類はしっかりと保管しておきましょう。

無料でダウンロードできるエクセルテンプレートを利用するのも効率的に報告書を作成する手段のひとつです。

エクセルを利用する際は元請からの問い合わせに素早く対応できるよう、作成日や現場名、元請ごとにデータを分類して整理しておきましょう。

まとめ

本記事では工事完了報告書の書き方を中心に作成ポイントや記載項目について解説しました。

工事完了報告書は工事が無事完了したことを元請に伝えるだけでなく、施工後のトラブルを避けるためにも重要な報告書です。

法律上の作成義務は定められていませんが、元請から報告書の提出を求められた際は速やかに作成し提出してください。

添付書類がなければ承認されない場合も多いので、領収書や納品書は紛失しないように確実に保管しておきましょう。

 

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