【建築業】工程管理に欠かせないPDCAとは?上手く回すコツやメリットを解説
2022.05.13
納期を守ることが大前提の建設工事において、工程管理はとても重要な役割を果たします。
特に大きな建設現場では多くの業者が施工に携わるため、わずかな工程のズレが工事全体の進捗を遅らせます。工程の遅れは納期に関わるため、工程の進捗状況を常に把握して管理することが大切です。
この記事では、工程管理の概要からPDCAを回して効率的に工程管理を行うコツについて解説しています。ぜひ、参考にしてください。
目次
工程管理
工程管理とは、工程表で決められたスケジュールを維持するため、施工業者ごとの作業日程を調整して管理していく業務です。
建設現場において作業をキビキビと進めることは仕事として大前提ですが、さらに効率よく作業を進めるために工程管理が必要です。
職人たちは、工程表に基づいて作業を進め、期日までに住宅を完成させて施主に引き渡す必要があります。
計画通りに作業が進んでいれば問題ありませんが、さまざまな理由で工程が遅れることがあります。
具体的には、施工ミスや人手不足、悪天候、資材納入の遅れ、急な設計変更などです。
定例会議はとても大切
工程に無理がある場合や人手不足で工事の進捗が悪いときには、スケジュール調整や人員補充など臨機応変な対応が求められます。
また調整だけでなく工事におけるムダを排除したり、効率が悪い作業を確認したりする作業も工程管理の大切な仕事です。
工程管理をスムーズに進めていく上で朝礼や昼礼、職長会議などの定例会議もとても大切です。
会議を通じて作業状況や工程の進捗具合、問題点などを把握できるので他の業者が関わる作業にも柔軟に対応でき、工程通りに進めやすくなります。
さらに業者間のコミュニケーションを深めることで横のつながりも増え、仕事上での助け合いや連携、トラブル防止に寄与し作業現場に一体感が生まれます。
工程管理の目的
工程管理には、お客様の品質や納期のニーズに応えながら、現場が抱える課題を把握・解消して生産性向上やコスト削減を達成するなどの目的があります。
具体的な工程管理の目的は次の通りです。
- 納期を守る
- 施工品質の確保
- 生産リードタイム短縮
- 生産性を高める
- コストダウン
それぞれについて解説していきます。
納期を守る
工程管理を適切に行えば、納期までに作業を完了することができます。
納期遵守のためには工程の進捗状況を正確に把握して、効率的に作業を進める必要があります。工程にズレがある場合はスケジュール調整と同時に人員配置や作業手順を見直して適切に工程管理を行います。
的確に工程を把握しておくと急なトラブルに順応でき、計画的に工事を進められるため納期を守ることができます。
施工品質の確保
適切に工程管理を行えば、お客様が満足する高品質な施工サービスを提供できます。工程管理によって、あらかじめ準備や段取りができるため、効率よく作業が進み工期に余裕が生まれます。
余裕を持った作業への取り組みは施工ミス防止につながり、品質の良いサービス提供が可能になります。
生産リードタイム短縮
工程管理を行うと生産リードタイムが短縮します。
リードタイムとは、商品の受注から納品までの時間のことです。
工事中や作業現場のムリ・ムダ・ムラの洗い出しと業務改善により引き渡しまでの生産リードタイムを短縮できます。
リードタイムの短縮はコスト削減や生産性向上に直結します。
生産性を高める
工程ごとの進捗具合に合わせて調整と改善に取り組めば、生産リードタイムの短縮化と生産性を高められます。
適材適所への人員配置や作業のムダ排除でさらに生産性が向上します。
生産性の向上は、工期短縮だけでなくリピート受注や収益増大が見込めます。
コストダウン
工程管理を行うと各工程のムダを見つけやすくなり、コスト削減につながります。
工程管理は、工程に必要な人員やスケジュールが明確化されるためムダな人件費や工事費を省くことができます。
工程管理を効率化させるPDCAとは
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスを1サイクルとして繰り返すことで効率化する手法です。工程管理を効率化させるPDCAサイクルについて解説します。
Plan(計画)
施工法や施工順序をもとに各作業の日程や作業手順を考慮して計画を練り、工程表を作成します。
工程計画は、全ての工事スケジュールがわかる全体工程表だけでなく、主要な施工については部分工程表(細部工程表)を作成しましょう。
部分工程表で細かく管理しておくと、全体スケジュールを円滑に進められます。
Do(実行)
作成した工程表と作業手順に従い、資材や建設機械の手配や段取りと合わせて工事の指示や監督を行います。
施工を行う上で改めて気付く課題や問題点、さらに悪天候やトラブルなどにより当初に計画していた工程が滞るケースがあります。
工程計画を再確認して適切なトラブル対応を心がけると共に現況を正確に掴むため課題や問題点を記録しておきましょう。
Check(評価)
工事の進捗状況を確認し、工程計画と実績を比較検討してズレがある場合はその原因を特定します。
進捗状況に問題があれば、Do(実行)で記録した課題や問題点を踏まえて、現状の体制を見つめ直し対応策を考えます。
Action(改善)
Check(評価)で再考した対応策の改善に取り組みます。
工程の進捗具合と工事計画にズレが生じていたり、安定していなかったりする場合は、遅延作業の改善または工程を促進するための措置をとります。
状況次第では、工程表を組み換えるなど改めて計画を練り直しましょう。
工程管理の手順は、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」のサイクルを繰り返します。
4つのプロセスを上手く回すことで業務改善や品質向上、工程管理がしやすくなります。
PDCAを上手く回すコツ
PDCAを効率的に回すコツについて説明します。
具体的な目標を立てる
PDCAを上手く回すコツは、具体的な数値目標を設定することが大切です。例えば、次のような具体的な数値を立てましょう。
- リフォームの新規問い合わせを10軒増やす
- リピート受注を5軒伸ばす など
目標が抽象的な場合は、PDCAが失敗しやすくなります。
「業務のムダを省いて生産性を高める」などの目標では何をどうすれば良いのかわからず行動できません。
期間を設定する
工程計画に取り組むときは、期間設定を必ず行います。
期間設定を正しく行わなければ、PDCA全体の安定性が失われます。
計画段階で期間に余裕を持たせておくと日々の遅れに対応できるのでおすすめです。
具体的な改善案を見出す
PDCAを上手く回すためには、評価段階で原因を推し量ることが大切です。
当初の計画が最後まで上手くいくことは滅多にありません。仮説でも構わないので具体的な改善案を思い描きましょう。
仮説を考えるときは、トヨタ生産方式の「なぜなぜ分析」の活用がおすすめです。
「なぜなぜ分析」は何か問題を見つけたとき「Whyなぜ」を5回繰り返し自問します。
「なぜ」を繰り返すことで発生した問題の根本原因を洗い出しができるため、仮説を立てやすくなります。
PDCAを導入するメリット・デメリット
PDCAを導入するメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
- 目標や方針が明瞭化しているので実行しやすい
- 目標達成に向けての課題点や問題点に気付きやすい
- 明確な行動計画により作業に集中できる
デメリット
- 計画が抽象的で不明瞭だと失敗しやすい
- 改善するまでに時間を要する
- PDCAを一度しか回していないので課題が見つからず効果が得られない
最初の計画段階で目標や行動計画を具体的に数値化し、評価と改善を実行しないとPDCAが機能しないので注意しましょう。
まとめ
この記事では、工程管理の概要と目的、工程管理を効率化するPDCAについて解説しました。
PDCAは計画・実行・評価・改善の4つのサイクルを回し、工程管理や品質向上に取り組む手法で工事を効率的に進めるためには欠かせません。
効率よく作業に取り組むことで品質向上やコストダウンが期待できます。
施工品質の向上はお客様からの満足度も高く、信頼獲得やリピート受注につながります。
その結果、従業員の品質向上や生産性意識の向上につながり、ひとりひとりがモチベーションを高く持つことで現場の雰囲気も明るくなり、より高品質な施工サービスを提供することができるでしょう。
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