Column コラム

グリーン成長戦略の背景や具体的な内容、建築業にできる施策をわかりやすく解説

2022.05.10

コラム

気候変動や環境問題、地球温暖化、脱炭素など環境問題をメディアやニュースでよく耳にするようになりました。昨今では、国内だけでなく世界中でも環境問題への取り組みが推し進められています。

建築業においてもリサイクルや廃棄物削減、エネルギーの有効利用など自主的に環境問題へ取り組む企業が増えてきました。その背景には、カーボンニュートラルとグリーン成長戦略があります。

この記事では、グリーン成長戦略の具体的な内容と建築業が貢献できる取り組みについて詳しく解説しています。快適で安心な環境づくりのための参考にしてください。

グリーン成長戦略とカーボンニュートラル

グリーン成長戦略とは、経済と環境に好循環をもたらすため政府により策定された実行計画や産業政策のことです。今後のエネルギー利用と経済成長において最重要課題のひとつといえます。

再生可能エネルギーや省エネルギーなどのグリーンエネルギーにシフトチェンジを図り、経済成長の実現にアプローチしていく取り組みをグリーン成長といいます。

グリーン成長は、日本だけではなく世界各国共通のテーマです。世界中でグリーン成長戦略を実現するために法整備や産業構造、ライフスタイルの転換が求められています。

カーボンニュートラルとは

CO2やメタン、フロンガスなどの温室効果ガスが原因といわれる地球温暖化を防止するため、世界中で脱炭素社会への取り組みが行われています。

2020年から運用が始まった気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」で世界の平均気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑える目標が示されました。

目標実現のためには、大気中に排出される温室効果ガスを実質ゼロにする必要があります。特に温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素(CO2)の削減が重要です。

実質ゼロとは、大気中に排出されるCO2の量と森林などが吸収するCO2の量に均衡が取れた状態を指し、「カーボンニュートラル」とも呼ばれます。

グリーン成長戦略の背景

2011年に発生した東日本大震災での原発事故を受け、原子力発電への依存度を減らし、再生可能エネルギーや省エネルギーなどのグリーンエネルギーへシフトしていく取り組みが始まりました。

グリーン成長をさらに推進するため、2020年12月に経済産業省は関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(通称グリーン成長戦略)」を策定し、2050年までにCO2の排出量をゼロにするという大きな目標を打ち立てました。

グリーン成長戦略の背景には、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を達成する目標があります。

「2050年カーボンニュートラル」の実現には、従来の産業構造を抜本的に転換する必要があります。民間企業は、技術開発や大規模な投資が必要となるため、国が具体的な見通しや方針を示すことが重要です。

グリーン成長戦略が必要な理由

グリーン成長戦略が必要な理由には、日本をはじめ世界各国が抱えているエネルギー問題への課題が考えられます。

  • 原子力エネルギーからグリーンエネルギーへのシフトチェンジについて
  • エネルギーの需給形態と社会インフラの構築について
  • 再生可能エネルギーと省エネルギー技術の普及と経済発展の両立について

上記課題を解決するため、経済発展と環境を好循環させていくグリーン成長戦略が不可欠です。

グリーン成長戦略の具体的な内容

これまでは、経済成長と比例してエネルギー消費も増えていくと考えられていました。

しかし、グリーン成長戦略では、経済成長や快適さは維持しつつ、エネルギー消費を削減していくデカップリングの実現を目指しています。

デカップリングを実現する具体的な内容について解説します。

今後の成長が期待される14の産業分野

2050年カーボンニュートラルを実現するため、産業とエネルギー政策の両面から、今後成長が期待される14の重要分野について以下の実行計画が策定されました。

いずれの分野も温室効果ガス削減に向けて、重要な分野として位置付けされています。

出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(広報資料)より

上記の図の通り、各分野において今後の目標や課題、具体的な見通しが示されています。

こうした目標の実現を見据えて、研究開発や経営戦略を前向きに展開する企業をバックアップするため、次のような政策が取り組まれています。

 

  • 予算
    • 2兆円のグリーンイノベーション基金
    • 多様な企業が参画できる柔軟な仕組みづくり
    • CO2削減効果などの重要分野に投資
  • 税制
    • カーボンニュートラルに向けた投資促進税(最大10%の特別控除・50%の特別償却)
  • 金融
    • 円滑な資金供給に向けたガイドライン
    • グリーン国際金融センターの実現
    • 金融機関による融資先支援と官民連携
  • 規制改革・標準化
    • 新技術に対応した規制改革
    • 成長に貢献するカーボンプライシングへの取り組み
  • 国際連携
    • 日米・日EU間の技術連携強化
    • 日本のカーボンニュートラルへの取り組みを世界に発信
    • アジア新興国のエネルギー転換期を支援

グリーン成長戦略と中小企業支援

政府は、2050年カーボンニュートラルを目標とした中小企業の研究開発や設備投資への取り組みを幅広くサポートしています。

具体例として、事業再構築補助金(令和3年度補正)に新たにグリーン成長枠が設定されました。グリーン成長枠は、研究や技術開発、人材育成を行いながら14分野の課題に取り組む企業を支援する枠です。補助上限も通常枠と比べて優遇されています。

  • 中小企業 1億円(補助率1/2)
  • 中堅企業 1.5億円(補助率1/3)

ものづくり補助金(令和3年度補正)にもグリーン枠が新設されました。グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減などに取り組む企業が対象です。グリーン枠の補助金上限は、最大2000万円(補助率2/3)で通常枠より優遇されています。

2050年カーボンニュートラル実現への課題に取り組む企業には、今後も多面的な支援策の実施が期待されます。グリーン成長戦略を熟知して今後のビジネスチャンスを掴み取りましょう。

グリーン成長戦略で求められる建築業の施策

グリーン成長戦略において住宅・建築物産業は重要な14分野のひとつとなっています。建築業が求められる施策について具体的に解説します。

エネルギーの管理と最適化

AI(人工知能)やloT(インターネットに接続した家電など)を活用したエネルギー消費の管理と最適化は、グリーン成長戦略の取り組みのひとつです。

例えば、各家庭のエネルギー消費の把握や管理が可能なスマートメーターを導入し、電気の見える化をすることで効率的に電気を使えるので省エネにつながります。

また、エネルギー消費の管理において蓄電システムや太陽光発電による電力の自家消費は省エネに大きく寄与します。既存住宅や建築物への省エネリフォームを推し進め、太陽光発電などを普及促進していくことも建築業として大切な施策です。

高性能な省エネ住宅の普及

高性能な省エネ住宅であるZEHやLCCM住宅などの普及もグリーン成長戦略に有効的です。

ZEHゼッチ(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高性能な断熱材・省エネルギー設備導入・太陽光発電での電力創出などにより、生活で消費するエネルギーと生み出すエネルギーの収支がゼロにすることを目指した住宅をいいます。

一方でLCCM住宅(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅)とは、建設段階から居住、廃棄に至る住宅のライフサイクル全体において、CO2の収支をマイナスにする住宅のことです。LCCM住宅はZEHよりもさらに環境にやさしい住宅といえるでしょう。

ZEHやLCCM住宅の普及は、カーボンニュートラルへの重要な取り組みです。しかし、工務店における省エネ住宅への知識やスキルがまだまだ乏しく、普及への取り組み体制やスキル向上、専門知識の習得など今後の課題は山積みです。

関連記事:ZEH住宅のメリットとデメリット|そして差別化を図るには?

木造建築の普及

建築業において木材利用や木造建築の推進は環境にやさしく温暖化対策に効果的です。建築への木材利用は、次の点において地球環境に大きく貢献します。

  • 建設中や製造中のCO2排出量が少ない
  • 炭素を貯蔵できる
  • 持続的な森林管理に結びつく
  • 化石燃料の代替エネルギー
  • 再生可能資源

総務省統計局の調査で、1978年に8割を占めていた木造建築は徐々に低下し、2008年には6割を下回りました。一方で非木造建築の割合は、1978年の18.3%から2008年には41.1%に増加し、住宅の非木造建築化が進んでいます。

参考URL:総務省統計局「住宅の種類、建て方及び構造」

今後は、実用的で社会貢献度の高い木造建築が見直され、木造建築の普及が求められます。2021年10月1日には、国の主導のもと「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、さらなる木材利用の促進が期待されています。

参考URL:林野庁「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」

高性能な建材・設備機器

断熱サッシや高効率エアコン、蓄電システム、太陽光発電などの高性能建材や設備機器の利用促進は、建築物の省エネ性能向上のためにも欠かせません。

新築だけでなくリフォームやリノベーションなど既存住宅へも提案できるので、今後の普及が期待されています。

しかし、高性能建材や設備導入のメリットが十分に認知されていないため、今後の導入促進への課題となっています。普及拡大のためにも、国や地方自治体による補助金やコスト削減などの見直しが必要でしょう。

まとめ

CO2排出量をゼロとするグリーン成長戦略は、日本の産業構造やライフスタイルを見直す大きな一歩になります。2050年カーボンニュートラルの頃には生活環境も大きく変化しているでしょう。

ZEHやLCCM住宅の普及など建築業にできる施策も多く、グリーン成長戦略の波に乗って新たな取り組みをはじめてみてはいかがでしょうか。より快適で環境にやさしい住まいをこれからも提案していきましょう。
 

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