専任技術者が退職したら建設業許可も失効?許可を維持する方法を紹介
2023.07.26
- 「突然会社の専任技術者が退職することになってしまったが、建設業許可も失効するの?」
- 「専任技術者が突然退職しても建設業許可を維持するにはどうしたら良いの?」
という悩みを抱えている経営者もいるのではないでしょうか。
今回は、突然専任技術者が退職した場合に建設業許可を維持する方法を紹介します。
万が一の事態に備え、これから紹介する対処法や企業がすべきことについて知っておきましょう。
目次
専任技術者の配置は建設業許可を取得するために満たすべき要件
建設業許可を取得するためには、満たさなければならない要件がいくつかあります。
その中の1つが、「営業所ごとに専任技術者を配置すること」です。
専任技術者が何らかの原因で退職することになった場合、建設業許可は要件を満たさなくなってしまうため、早急に対応を取らなければなりません。
専任技術者になるためには?
専任技術者を探す際、以下の要件のいずれか1つを満たさなければなりません。
- 建設業の業種ごとに定められた国家資格を有している
- 所定学科の高校を卒業後5年以上の実務経験がある、もしくは所定学科の高専・大学を卒業後に3年以上の実務経験がある
- 10年以上の実務経験を有している
専任技術者は、配置される営業所に常勤していなければなりません。
そのため、非常勤のパートやアルバイトは専任技術者として配置できませんので、注意ください。
また、専任技術者は複数の営業所を兼務することもできません。
専任技術者が退職した場合の対処法
専任技術者が見つかったら変更届を出さなければならず、前任の専任技術者がやめてから14日以内に必ず提出しなければなりません。
手続きには以下の書類を都道府県へ提出する必要があります。
- 変更届出書
- 専任技術者証明書
- 新たな専任技術者の資格や実務経験を証明できる書類
- 常勤性が確認できる書類
- 専任技術者一覧表
専任技術者が退職してしまった場合、会社としてできる対処法を紹介します。
後任の専任技術者を配置する
建設業許可を保持するためには、後任となる専任技術者を配置することがまずは必要です。
そのためには、以下の2パターンで専任技術者の候補者を探さなければなりません。
- 自社で適任者を探す
- 外部から適任者を雇用する
それぞれ見ていきましょう。
自社で適任者を探す
まずは自社の中に専任技術者として要件を満たしている社員がいないか探してみましょう。
要件を満たしていれば、その社員を専任技術者として配置して問題なく引き継ぐことが可能です。
外部から適任者を雇用する
自社で要件を満たしている社員が見つからなかった場合は、求人票を出して要件を満たすものを探さなければなりません。
この場合、短期契約ではなく社員として雇用して継続して働いてもらう必要があります。
後任の専任技術者が見つからない場合は廃業届
社内でも社外でも後任の専任技術者が見つからなかった場合は、廃業届を提出しなければなりません。
廃業届を提出すると、それまで所持していた許可が完全に取り消されてしまいます。
そのため、それまで請け負えていた大きな工事は請け負えなくなってしまいます。
建設業許可がなくても請け負える500万円未満の工事は引き続き請け負うことは可能ですが、会社にとっては痛手となるでしょう。
廃業届は、30日以内に都道府県へ提出しなければなりません。
廃業の届出をしないとペナルティ発生
後任の専任技術者が見つかっていないにもかかわらず、廃業届を提出しなかった場合、ペナルティが発生するので注意してください。
最悪の場合、今後5年間建設業許可の許可申請をできなくなる不利益処分を受けることとなります。
きちんと廃業届を提出しておけば、その後新しい専任技術者が見つかればすぐに許可申請を行って再び許可を取り戻すことが可能です。
廃業届は忘れずに提出しましょう。
後任の保有資格が退職者と異なる場合の建設業許可はどうなるの?
後任の専任技術者が見つかった場合にも注意しなければならない点があります。
それは、後任者の保有資格です。
- 後任者の保有資格が前任者と同じ場合
- 後任者の保有資格が前任者と異なる場合
後任者の保有資格が前任者と同じ場合は、特に注意することはありませんが、前任者と異なる保有資格を持った者が後任者になる場合は注意が必要です。
一部廃業せざるを得ない可能性もある
例えば、前任者の保有資格が二級建築士で、後任者の保有資格が二級建築施工管理技士(仕上げ)の場合を解説します。
二級建築士と二級建築施工管理技士では、取得できる建設業許可の業種が異なります。
取得できる建設業許可の業種 | |
二級建築士 | 建築一式工事、大工工事、屋根工事、タイル工事、内装仕上げ工事 |
二級建築施工管理技士 | 大工工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル工事、板金工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、絶縁工事、建具工事 |
上記を比較した時、二級建築士では建築一式工事を取得できますが、二級建築施工管理技士は取得できません。
そのため、建築一式工事を一部廃業しなければならなくなります。
上記のように、保有する資格によって一部廃業せざるを得なくなる可能性もあるので、後任者の保有資格から取得可能な建設業許可は何なのかを確認しておくようにしましょう。
専任技術者の退職で廃業にならないために企業がすべきこと
専任技術者が退職することによって、廃業届を提出しなければならない状況になると、会社として大きな痛手となってしまいます。
このような事態にならないためにも、企業が日頃からすべき対策をご紹介します。
中小企業や零細企業は労働環境の改善を
中小企業や零細企業では、社員の人数が少ないこともあり経営者が専任技術者となっている場合も多いです。
しかし、専任技術者が経営者しかいない場合、リスクが高くなってしまいます。
経営者が高齢であったり、思わぬ事故に遭遇して常勤できなくなったりした場合、代わりになる専任技術者がいないと建設業許可が取り消されて廃業となる可能性もあるからです。
廃業のリスクを避けるためにも、社員に国家資格を取得してもらう環境づくりが大切です。
ただ資格の取得を奨励するだけでなく、資格取得手当を創設したり、資格取得のための勉強会を設けるのも良いでしょう。
また、社員が長く勤めていたいと思ってもらえるように働き方改革につとめましょう。
賃金アップや残業時間の削減だけでなく、育児や介護をしていても柔軟に働ける環境があれば、社員も辞めにくくなり長く勤めたいと思ってもらえるはずです。
大企業は代わりとなる人材を確保すること
大企業の場合、社員数も多いので専任技術者が用意できないということは無いように思えますが、実はそういうわけでもありません。
例えば、専任技術者になっていた社員を異動させることが決まり、その営業所に専任技術者がいなくなるケースもあります。
また、専任技術者が急病で長期休暇することもあるかもしれません。
このような事態に陥っても冷静に対処できるように、人材は確保しておくようにしましょう。
また、専任技術者を移動させる時に代わりの人材がいるかどうかの確認や、専任技術者になれる社員のリストアップもしておくと良いです。
【違法】専任技術者の名義貸しは絶対やめよう
専任技術者の名義貸しとは、自社で雇用していない他社の従業員などの名前を借りて自社の専任技術者として登録することをいいます。
原則として専任技術者は自社で雇用している従業員でなければなりません。
昔は、名義貸しで専任技術者が取れる時代もありましたが、現在では名義貸しは禁止されています。
たとえ名義貸しで専任技術者を登録しようと思っても、保険証などの書類で自社が雇用しているかどうかの確認がされるのですぐに発覚します。
そして、名義貸しが発覚すると、営業停止処分や許可取消処分、最悪の場合は刑事罰を受けることになる可能性が高いです。
絶対に名義貸しはやめるようにしましょう。
まとめ
専任技術者が突然退職した場合、これまで解説したような対処法で乗り越えることができます。
ただ、会社はこのような事態にも冷静に対処できるように前もって準備をしておくことも大切です。
中小企業や零細企業であれば、数の少ない人材を大切にするためにも働き方改革をしましょう。
大企業でも、専任技術者が営業所からいなくなる事態に対処できるようにリストアップなどをしておくのが良いでしょう。
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