庭とエクステリア|エクステリア事業の可能性と工務店が取り組むメリット
2022.09.16
ウッドショックによる長引く建材の価格高騰や資材入手の遅れなど、建設業界では厳しい状況が続いています。
そのような厳しい状況のなか、市場規模を拡大しているエクステリア事業に注目が集まっています。
この記事ではエクステリアの概要や種類、工務店がエクステリア事業に参入するメリットなどについて解説しています。
新たにエクステリア事業を手がけていきたい工務店の方は参考にしてください。
目次
エクステリアとは
エクステリアは建物の外にある壁や工作物、庭などを含めた外観全体の空間を指します。
門扉やカーポート、ウッドデッキ、照明など美しい外観を整えるためには欠かせません。
室内のインテリアと比べると後回しになりがちですが、周囲からの視線も多いエクステリアに手を加えることで外観の印象がガラリと変わります。
ここではエクステリアの概要について解説します。
エクステリアと外構
建物の外側を指す用語として「外構」があります。外構は建物の外にある門扉や塀、カーポートなどの構造物そのものを指します。
他にも、フェンスやアプローチ、シンボルツリー、ウッドデッキなども外構に含まれます。
上記のような構造物を指す外構に対して、エクステリアは建物周囲の外観全体を意味しています。
つまり、さまざまな外構が組み合わさってエクステリアが構成されているイメージです。エクステリアは家の周囲全体の雰囲気などを含めた意味合いで用いられます。
住まいと公共のエクステリア
「住まいに関するエクステリア」は、戸建住宅及び集合住宅における建物以外の敷地空間を指し、「公共に関するエクステリア(パブリックエクステリア)」は、公共スペースにある建物以外の敷地空間を指します。
「住まいに関するエクステリア」が住人やお客様など限られた使用者の嗜好や機能面を考慮して計画されるのに対し、「公共に関するエクステリア」は幅広い使用者を想定してプランニングされます。
いずれのエクステリアに関しても、ユーザーの意向を丁寧にヒアリングしてプランを練り、予算や外観、安全性などバランスの取れたエクステリアを提供することが大切です。
インテリアとエクステリア
「インテリア」は室内、「エクステリア」は屋外の装備品や装飾品を指す対義語です。「インテリア」と「エクステリア」の具体例をあげます。
「インテリア」の具体例
- 床材・クロス・室内ドアなどの内装建材
- キッチン・トイレ・バスなどの設備
- 照明・ブラインド・カーテンなどの装飾品
- 室内調度品
「エクステリア」の具体例
- カーポート
- アプローチ
- 門扉
- 外壁
- 垣根
- 庭
エクステリアは外観をよくすることだけが目的ではありません。インテリアと同様にデザインだけでなく安全性や動線のよさ、防犯性、メンテナンス性などを加味して設計されます。
以前はエクステリアとインテリアの設計を分けて行うことが多くありました。しかし、エクステリアはインテリアにも大きく影響を与えます。
そのため、最近では工務店にエクステリアプランナーを配置したり、設計者がインテリアとエクステリアデザインを兼務したりするなど屋内と屋外は非常に重要な関係性をもっています。
拡大するエクステリア事業
下表は、一般社団法人 日本エクステリア工業会による2021年度エクステリア製品の出荷統計です。
ガーデンエクステリア | |
門扉・カーポート・フェンス・照明・ポスト・合成木材デッキなど |
1,799億3,670万円 |
ウォールエクステリア | |
テラス・バルコニー・風除室・サンルーム・笠木・手すり・スクリーンなど |
449億2,180万円 |
パブリックエクステリア | |
自転車置場・シェルター・大型門扉・大型フェンス・防護柵・ ベンチ・サイン・車止め・ゴミ収納庫など |
182億1,690万円 |
出荷統計 |
2,430億7,540万円 |
参考元:一般社団法人 日本エクステリア工業会「製品別出荷統計表2021年度」より
上記のようにエクステリアの市場規模は拡大しています。
市場規模拡大の理由にコロナ禍があります。コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えたことがきっかけとなり、庭や外構を見直す動きが活発化し、エクステリア需要が伸びています。
また、ネットショッピングを利用する方が増えて、宅配ボックスが普及したこともエクステリア市場拡大をバックアップしました。
工務店がエクステリア事業に取り組むメリット
工務店がエクステリア事業に取り組むメリットは次の通りです。
- 他社との差別化
- 品質と利益率がアップ
- リフォーム受注などの相乗効果
それぞれのメリットについて解説します。
他社との差別化
工務店はハウスメーカーのようにネームバリューや知名度がありません。そのため、独自性を出して他社との差別化を図る必要があります。
もちろん、耐震性や断熱性などへのこだわりや地域密着型の手厚いフォロー体制なども大切な要素ですが、多くの競合他社も同じ取り組みをしています。
しかし、建築とエクステリアの両方を得意とする工務店はそれほど多くありません。
建築やインテリア、エクステリアを総合的にコーディネートすることで住まい全体に統一性が保たれ、お客様へのプランニングの幅も広がり、付加価値の高い提案ができるでしょう。
品質と利益率がアップ
エクステリアや外構工事は下請けに任せて、中間マージンを得るパターンが一般的です。
しかし、自社で施工を行えば品質を確保したままコスト削減が可能になります。また、お客様とのやり取りもスムーズに行えるでしょう。
建物とエクステリアとのバランスも取れるため、より建物の魅力を際立たせるデザインや空間を提案でき、お客様の満足度もアップします。
リフォーム受注などの相乗効果
建物が経年劣化するとともに、エクステリアもリフォームが必要になってきます。
エクステリアは通行人からの視線も多く、家のイメージを印象付ける大切な部分です。
そのため、劣化してくるとリフォームを依頼する方も多く、エクステリアのリフォームに合わせて、住宅の気になる部分をまとめて提案すれば新たな受注につながります。
庭を彩るエクステリア
エクステリアには次のようにさまざまなアイテムがあります。
- 門扉
- 門柱
- カーポート
- 自転車置き場(サイクルポート)
- ウッドデッキ
- サンルーム
- エクステリアライト
それぞれのアイテムについて特徴を解説します。
門扉
門扉は外部と住宅を仕切り、プライベート空間を保つ役割があります。一般的には開戸タイプが多く、敷地に奥行きがない場合には引き戸タイプが用いられます。
サビや腐食に強く耐久性のあるアルミ製の門扉が主流で、デザインも豊富に揃っています。
門扉を設置するメリットは次の通りです。
- 防犯性の向上
- 安全性の向上
- プライバシーの向上
オープン外構と比べると防犯性があり、門扉があることでお子さんやペットの急な飛び出しも回避できます。
エクステリアの中でも住まいの印象を大きく左右する門扉。住宅とのトータルバランスを考えた施工が大切です。
門柱
門柱は玄関先に設置される壁状の構造物です。表札やインターホン、ポストが取り付けられた機能的な門柱が人気です。
アルミ素材や鋳型、樹脂のほかコンクリートブロックやレンガなど、さまざまな素材の門柱があります。
門柱を設置するメリットは次の通りです。
- 見栄えが良くなる
- 外からの目隠しや仕切りの役割があるため、プライバシーが守られる
- 門柱の照明による防犯性の向上と安心感
上記のようなメリットがある反面で、門柱の設置場所が玄関から離れていれば、雨の日に郵便物を取りに行くのが面倒だったり、訪問者を外で待たせたりなど不便に感じる場合もあります。
門柱選びは、住まいの外観とのバランスが大切ですが、設置する位置を考慮することも大切なポイントです。
カーポート
カーポートは柱と屋根で構成された簡易的な車庫のことです。1台用から複数台駐車できるタイプなどさまざまなバリエーションから選べます。
カーポートを設置するメリットは次の通りです。
- 紫外線や風雨、雪などから車を守る
- 乗降するとき、雨に濡れない
- 短い工期で施工できる
上記のようなメリットがある反面、運転に不慣れな方はカーポート内に駐車しにくい、柱が邪魔で乗り降りしにくいといったデメリットもあります。
また、広い駐車スペースを確保するため、境界線ギリギリにカーポートを建てると屋根からの雨水が隣に流れ込む可能性もあります。
カーポートは機能面を重視しながら、トータルバランスを考えて設置することが大切です。
自転車置き場(サイクルポート)
サイクルポートは自転車やバイクの駐輪スペースのことです。
テント式の簡易なものから基礎工事が必要な本格的なサイクルポートまで幅広いラインナップがあり、自転車の劣化防止や防犯性を向上させる役割があります。
サイクルポート設置するメリットは次の通りです。
- 雨や雪から自転車を守る
- 鳥のフンから自転車を守る
- チェーンでつなげば盗難リスクが減る
- 直射日光による劣化を防ぐ
カーポートを利用して自転車を置くことはできますが、出し入れで邪魔になったり、自転車が倒れて車を傷つけてしまったりなどのデメリットがあります。
サイクルポートを設置する際には、自転車のサイズや台数を考慮して、十分なスペースを確保しましょう。
ウッドデッキ
ウッドデッキは木材や合成木材で一段高く作られたテラスのことです。リビングと一体化しており、バーベキューやホームパーティ、ガーデニングなどに最適です。
ウッドデッキを設置するメリットは次の通りです。
- 物干しスペースとして活用できる
- 家族の団らんが増える
- ガーデニングやDIYの場として活用できる
- 子供やペットの遊び場になる
ウッドデッキの素材は天然木が人気ですが、太陽光や風雨にさらされるので塗装などのメンテナンスが必要になります。
こまめなメンテナンスが苦手なお客様には合成木がおすすめです。最近は天然木と変わらない見た目の合成木があり、色目も豊富に揃っています。
合成木は耐久性やシロアリ対策にも強く、天然木と比較すると長く美しさをキープできるメリットがあります。
サンルーム
サンルームは壁や天井をガラス張りにした多目的に利用できるエクステリアです。
サンルームには素材や屋根の形状、床の種類、大きさなど多くの種類があり、外観デザインに合わせて選択できます。
サンルームを設置するメリットは次の通りです。
- 天候に関係なく洗濯物が干せる
- 室内に洗濯物を干せるので花粉や黄砂対策になる
- 開放感のある室内スペースを楽しめる
- 子供やペットの遊び場として活用できる
- ガーデンスペースなど多目的に利用できる
上記のようなメリットがある反面、次のようなデメリットもあります。
- 夏場は暑くなりやすい
- 冬場に結露が起こる
- ガラス面の汚れが目立つ
- 固定資産税の課税対象になる
サンルームの活用方法を明確にして、目的や機能面、配置、動線などを考えたプランニングが大切です。
エクステリアライト
エクステリアライトは屋外に設置された照明器具の総称です。
表札や玄関までのアプローチ、ガレージや植栽などを照らすエクステリアライトは、住まいの外観を引き立てるだけでなく防犯対策としても重要な役割を担います。
まとめ
この記事ではエクステリアの概要と工務店が取り組むメリット、エクステリア製品の紹介などについて解説しました。
市場規模は拡大傾向にあり、新たに参入される工務店も多いことでしょう。売上アップだけでなく他社とは違ったカラーを出す意味合いでも、エクステリア事業へ参入する価値は大きいと思われます。
そのためには、お客様の嗜好や趣味に順応に対応できる提案力と技術を併せ持つことが大切です。
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