建設DXが遅れる理由と、推進する方法
2023.04.14
社員のより効率的な生産性が求められる近年、建設業界でも急ピッチで建設DXが進められています。
ただし、AIやIOTなどのデジタルテクノロジーの波に乗れず、導入がスムーズに進めていない会社も多いのではないでしょうか。
建設DXが現場に浸透していない理由は、建設業界ならではの協力会社との関係性に加え、DXの専門知識をもつ人材が不足していることなどがあげられます。
これら現状を踏まえ、以下の4点を正しく理解することで自社をDX化するロードマップが見えてきます。
- 建設DXが遅れる理由
- 導入による効果
- 建設DXで進められているツールの種類
- DXを推進する方法
目次
建設DXが遅れる理由
DXは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンによって提唱されました。
2018年に経済産業省がDXを推進するためのガイドラインを取りまとめたことを契機に広がりつつあります。
まだまだ歴史は浅いものの、働き改革での業務効率化の課題もあり、デジタルテクノロジーはかつてない速さで様々な企業で取り入れられ始めています。
建設業界では以下の理由により建設DXの導入がスムーズに進んでいません。
- 協力会社のDX化が進まない
- DXの専門家が不足している
- 導入コストが高い
- 上層部のDX理解不足
協力会社のDX化が進まない
建設業界ならではのDX化が進まない理由として一番に挙げられるのは、協力会社との関係性によって建設業が成り立っていることです。
建設業は沢山の協力会社と手を組み、1つの現場を完成へと導いていく業種です。
協力会社を無くして現場の完成はありません。
建設業での協力会社の特徴
- 一人親方
- 零細企業
- 年齢層が高い
建設DXを進めるには、協力会社まで浸透させる必要があります。
年齢層の高い一人親方のような零細企業が新しいデジタルテクノロジーを購入し、使いこなすことのハードルが高いことが建設DXが遅れる理由の1つとなっています。
DXの専門家が不足している
市場のニーズやトレンドがめまぐるしく変化する中、様々な業界でDX化が求められており、DXの専門家の需要は増え続けています。
DXの専門家が不足している理由として、以下の点が考えられます。
- 少子高齢化
- デジタル技術の発達の速さ
- DXの専門家の需要が急速に伸びている
少子高齢化に加え、デジタル技術の発達の速さが加わり、DXの専門家の需要が急速に伸びたことによる複合的な要因となることで、DXの専門家が不足することに繋がっています。
導入の費用対効果が不明確
DXを導入するにはある一定の費用が必要となります。
建設DXを進める上で、必要なツールとしては以下のようなものが挙げられます。
- BIM等への対応のハイスペックPC
- 現場で作業用のタブレット
- 建設用の専用ソフト
これらすべて揃えると数十万円から数百万円の経費が必要となります。
また、継続して使用するとなるとメンテナンス費用や、更新費が必要となります。
これらの費用が本当に回収出来ているのかが不明確なところがあります。
導入したが費用対効果が上がらないため、違うソフトへの切り替えや、その取り組み自体を中止することもあります。
一般的にも、DXの費用対効果は長期での効果が期待されています。
建設業界では、現場は待ったなしの状況で施工が進められていることのギャップもDXが遅れている理由にもなっています。
上層部のDX理解不足
DXは本来、全社をあげて取り組み、社員の隅々まで浸透して初めて効果があるもので、一部の詳しい人材だけでするものでもありません。
DXを推進する上層部の役割
- 全社で取り組むんだという社員への意識付け
- 導入後の変化に対しての意思決定の迅速化
- DXを推進するための組織体制の整備
上層部や経営者の中には、部分的な業務効率化や、デジタルテクノロジーによる人材不足への対応などを重視してしまい、必要なときに必要なだけで終わらせてしまう傾向があります。
また、既存の利益をあげているモデルへのしがみつきもあり、大きく変革できないでいる企業が殆どではないでしょうか。
建設業では、基本的に現場での作業に重きを置いていることもあります。
そのため、DXの専門家を入れてまでする必要はないと理解し自前の詳しい人材だけでなんとか対応する場合もあります。
こういった上層部のDXへの理解不足が、建設DXを遅らせている理由の1つになっています。
建設DXの導入による効果
建設業に関わらずDXの導入による効果としては、デジタルテクノロジーによる効率性向上や、AIやIOTを活用した人材不足対策として認識されています。
建設業におけるDX効果としては、以下の3点があります。
- 業務の効率化
- データの一元管理による技術の継承
- 生産性の向上
業務の効率化
建設DXでは、業務効率化のツールが沢山開発されていますが、国を上げて取り組みしている代表的な業務効率化ツールはBIMの導入です。
BIMの特徴
- 3Dモデルによる視覚化
- データの一元化
- 図面修正の効率化
- 環境シミュレーションや積算の自動計算
BIMの導入により、様々な情報をもつ立体的な3Dモデルが作成されます。
複雑な形状であっても視覚的に関係者と容易に共有することができ、意思決定のスピードが早くできるようになります。
また、2Dモデルの時代では図面修正にかなりの時間と労力が必要とされていました。
3Dモデルの図面修正では、1つの図面を修正するとすべて連動して修正がされることとなり、作業効率が各段と向上します。
データの一元管理による技術の継承
建設業では若手の人材不足が課題として挙げられています。
また、建設業では技術を習得するためにかなりの時間を要するという業界特有の問題があります。
今までであれば、時間を掛けて熟練技術者が若手を育て上げることをしてきましたが、近年ではそんな余裕さえない状況となっています。
建設DXでは、IOTの活用により今まで蓄積した技術をデータ化し、クラウド上でデータを一元管理することで、現場のどこにいてもモバイルツールで確認することができます。
また、技術教育の場面においても、熟練技術者が直接指導しなくとも一元管理されたデータを見ることで効率的に技術を継承していくことが可能となります。
生産性の向上
建設業の現場でもっとも重視されることは安全性です。
安全性を確実にするための仮設工事などの安全対策については、構造物を造るまでの裏側の作業であり、生産性の向上とは相反する内容です。
建設現場で安全性を確保しながら生産性を向上させる技術として近年導入が進んでいるのが、ドローンやロボットによる無人作業です。
ドローンやロボットを用いることのメリットドローンやロボットを用いることのメリット
- 危険な場所でも作業ができる
- 測量やデータの集積
ドローンやロボットを用いることで、高所などの危険な場所であっても効率的に作業を進めることができます。
さらにIOTを組み合わせることでデータの集積も同時に行い生産性が向上するだけでなく建設現場の安全性確保、及び人材不足の解消にもつながります。
建設DXのおすすめソフト
現在現場で使われているDXツールは沢山ありますが、その中でも比較的導入が進んでいるもので、効果の高いものは以下の3点が挙げられます。
- BIM
- ドローン
- ANDPAD
BIM
BIMは、ビルディングインフォメーションモデリングの略です。
コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを再現することが可能です。
視覚的に確認しながら設計を進められるだけでなく、情報が入った立体モデルにより複雑なシミュレーションを行うことが可能なツールです。
BIMの活用例としては以下のような場面があります。
- 日照量に応じた最適な外装材の選定やコストを抑えるための解析
- 立体モデルを現場で再現し、墨だしなどの作業を自動化
- 3D測量した現場データを用いて、設計した仮想モデルを合成しVRで確認
ドローン
建設現場でのドローン活用は、導入のハードルが比較的低いため建設DXツールの中では進んでいる部類になります。
建設現場にドローン活用が進む理由は次のとおりです。
- DXツールのなかでは比較的コストが抑えらる
- IT技術の専門性も必要としない
- 作業員の安全性を確保できる
ドローンの最大のメリットは、現場の作業員の安全性を確保できる点です。
それにくわえて、構造物の点検やデータの収集を行うことができることです。
ドローンの活用例としては以下のようなものがあります。
- 建物やダムなどの構造物の施工状況の全体把握と状況記録撮影
- 上空からの点群測量
- 高層ビルの点検作業など
ANDPAD
ANDPADは、現場写真の整理、日報、工程表の管理などの施工管理アプリです。
設計や建設現場では、かならず現場での写真を報告書として整理する必要があります。
現場で写真を取り、それを事務所へ持ち帰り、事務所内で整理、編集する作業がアプリを使用することで自動的に報告書形式にまとめられます。
また、現場での工程表の管理は非常に重要ですが変更に対する対応が非常に効率を悪くすることがあります。
これら工程の管理や、変更への対応もこのようなデジタルツールを活用することで、作業効率の向上が図れます。
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建設DXを推進する方法
建設DXがなかなか現場に浸透してしていない現状を踏まえ、今後DXを推進していくためには、以下の3点が効果的です。
- 上層部も含めて全社でDXを盛り上げる
- DXの導入コストを抑えるためにクラウドサービスを活用する
- DXの専門家を社内に配置する
上層部も含めて全社でDXを盛り上げる
社員の隅々まで建設DXを浸透させるには、上層部を含めた全社でDXを盛り上げる必要があります。
DXはまだまだ過渡期の段階で、更に進化を続けています。導入しても様々な変化があり、それらに対応する柔軟な心構えと、スピーディーな意思決定が出来る組織体制が必要となります。
組織が柔軟に変化に対応し、長期間掛けてDXを浸透させることでDX本来の効果が得られると考えられています。
そのためには、上層部も含めた全社での取り組みが必須です。
DXの導入コストを抑えるために、クラウドサービスを活用する
建設DXが遅れる理由の1つとして導入に対する費用対効果の問題があります。
DXを進めるにあたり、高性能パソコンやタブレット等のハード面での整備が必要となります。
また、社内教育や導入テスト期間、DXの導入評価付けなど、DXを導入するまでの人件費が相当かかることになります。
これら導入コストを抑える方法として、まずはクラウドサービスを活用することをおすすめします。
クラウドサービスでは、現場での工事写真、黒板、図面などの情報を、クラウド上に保存されることで、現場のメンバーとリアルタイムに共有し、スピーディーな状況把握ができることがメリットです。
このようなクラウドサービスは、高性能なパソコンを必要とせず一般的なパソコンスペックで利用が可能です。
また、難しい専門的な知識も必要としないため、社内教育などの人件費もかからないことから、DXの導入コストを抑えることができます。
DXの専門家を社内に配置する
建設DXの効果が高く、注目度も高い技術としてBIMの導入があります。
BIMについては、ある程度の教育を受ければ使用することはできます。
まだまだ使用方法についての標準化が確立できていない状態で、企業によってBIMの使用方法にかなりの差があるのが現状です。
手書きの時代から2DのCADに変革した時代は、社内の人材で教育し普及した経緯があります。
今回のBIMへの変革も同様に考えている経営者も多くいるようです。
ただし、BIMは3Dモデルを立ち上げ視覚的に確認できるようになったとしても、BIM本来の情報共有の効果が得られていないのは、CADの延長上だと認識していることにあります。
BIM本来の社内の誰もが共有できるような効果を得るためには、BIMを社内に浸透させるロードマップ知識をもった専門家を社内に配置させることが一番の近道です。
まとめ
建設DXが遅れる理由として建設業特有の問題があります。
めまぐるしく変化する時代に対応するためには、社内全体での意識付けに加え、協力会社も含めた全体的な取り組みが必要です。
建設DXをスムーズに推進していくには、まずは上層部を含めた自社での意識付けと、需要が高まっている専門家を速やかに社内に配置することです。
建設DXへの理解を深め、BIMなどのDXツールの導入やコストを抑えたクラウドサービスを活用します。
そうすることで、効率的にDX化が進み、社員の生活をより良いものへと変革させることにつながります。
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