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【建設業】5S活動とは?目的とメリットデメリット、効果的な進め方について解説

2022.06.23

コラム

働き方改革が叫ばれるなか、業務効率化や生産性向上に有効な手段として職場環境の改善が注目されています。

5S活動は職場環境を維持し改善するための活動です。

しかし、5S活動と聞いても意味や活動内容について、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、5S活動の概要や導入メリットとデメリット、活動目的、進め方についてわかりやすく解説しています。

5S活動に取り組んでいるものの、効果が感じられないという方は、本文をぜひ参考にしてください。

5S活動の意味や目的を再認識でき、正しく活動を実施できるでしょう。

5S活動とは

5S活動はもともと自動車メーカーなどの製造業を中心に導入・定着してきた職場環境改善です。

最近では建設業やサービス業、小売業などでも5S活動を取り入れる企業が増えています

5S活動は「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5要素に取り組んで職場環境の維持や向上、改善を図る活動です。

5S活動の要素

5S活動の5Sとは職場環境を改善する次の5要素を指します。

  • 整理(Seiri)
  • 整頓(Seiton)
  • 清掃(Seisou)
  • 清潔(Seiketsu)
  • しつけ(Sitsuke)

5S活動は建設現場を安全かつ快適な職場に改善するための基本となる考え方です。

5S活動への取り組みで仕事やサービスの

  • 品質(Quality)
  • コスト(Cost)
  • 納期(Delivery)
  • 安全性(safety)

の向上を図ります。

それでは、具体的な5S活動の要素について解説しましょう。

整理(必要なものと不要なものを分ける)

整理とは、必要なものと不要なものを適切に分けて処分することです。

日々作業している現場や資材置き場を思い返してみましょう。

使っていない工具や機械、不要な建材、置きっぱなしの廃材などはありませんか。

不用品をそのまま放置していると、

  • ワークスペースが狭くなる
  • 必要なものがすぐに見つからない
  • 事故につながる可能性
  • 作業効率の低下

など悪い状況を招きます。

不要なものを整理するとワークスペースが広がり、職場環境の改善や業務効率の向上、生産性の向上につながります

執着心や捨てることへの抵抗感、まだ使うかもといった心理が働いて、うまく整理できない場合は、一定のルールを設定して不要なものを溜めずに捨てる習慣をつけましょう。

整頓(置き場所を決める)

整頓には必要なものの置き場所や置き方、並べ方を決めて使い勝手良く整えるという目的があります。

作業を始める際、材料や工具の置き場所がわからずに探してしまった経験はないでしょうか。

探しものに掛ける時間はムダでしかありません。なんと年間150時間も探しものに費やしているというデータもあるくらいです。

資材や工具、図面などの置き場所を明確に決めておけば、必要な物を探すムダな時間を削減できます。

使うタイミングや使用場所を思い描いて使い勝手のよい整頓を心がけましょう。

清掃(清掃だけでなく点検も)

清掃とは、現場を掃除してきれいな状態に保つことです。

しかし、清掃はきれいにすることだけが目的ではありません。

作業で出た切削クズや汚れを取りながら、大工道具や電設工具にトラブルがないかを点検する目的も兼ねています。

清掃やメンテナンスに気を配り、異常を発見しやすい体制を構築しましょう

清潔(きれいな状態を保つ)

清潔とは、整理・整頓・清掃を徹底して、常にきれいな状態を維持することです。

しかし、気を緩めるとすぐに散らかって乱雑な状態に戻ってしまいます。

整理・整頓・清掃(3S)の工程をマニュアル化して誰もができるように標準化したり、チェック項目を設定して現場を汚さない作業を心がけたりするなどの工夫が必要です。

例えば、整理整頓された状態を写真に撮って壁に貼っておく、誰がみてもわかるように工具の置き場所を表示するなど。

きれいな現場は事故の防止や安全性の向上につながり、良い職場環境を生み出す効果があります。

しつけ(ルールの習慣化)

しつけとは、5S活動のルールやマニュアルを、社員に教育して習慣化することです。

5Sの実行にはしつけが大きな役割を果たします。

一般的なしつけの基礎は次の3つです。

  • 他人とコミュニケーションがとれる
  • 自分の衝動を抑えられる
  • 他人を思いやり、周りと協調できる

仕事や職場問題の8割はコミュニケーション不足が原因といわれます。

大きな声で明るく挨拶することは仕事の基本です。コミュニケーションを円滑にして、社員のやる気を引き出しましょう。

5Sを定着させるには社員一人ひとりのやる気と意欲が必要です。

社内セミナーや情報共有などで意思疎通を図り、5S活動に取り組める体制を築きましょう。

5S活動で顧客満足度が高まる

製造業を中心に取り入れられてきた5S活動ですが、建設業や小売業、サービス業にとっても必要不可欠な取り組みです。

例えば、建設業の5S活動であれば、

  • 現場を整理
  • 作業しやすいように整頓
  • 現場全体を隅々まで清掃
  • 清潔を維持するためのマニュアル作成
  • 作業員に定着するようにしつけ

をしていきます。

5S活動は仕事やサービスの品質とコスト、納期、安全性の向上と改善を図る取り組みです。

建設業に置き換えると、質の高い技術やサービスをできるだけ低価格で顧客の望む時期に災害や事故なく安全にお届けすることになります。

5S活動 画像1

引用元:厚生労働省「参考5Sチェックリストの例」

このように、5S活動には顧客満足度を高める効果があるのです。

5S活動を定着させて業務を改善しよう

前述のように5S活動は整理や整頓などに取り組むことではなく、品質やコスト・納期・安全性の向上と改善を図る点にあります。

5S活動に取り掛かる前には、経営者から5S活動が必要な理由を従業員に説明して、目的や意義を社内で共有しなければいけません。

さらに課題を解決するために提案を出し合って、整理や整頓方法などをまとめたマニュアルをつくり、社内教育を通して5S活動を浸透・習慣化していきます。

最終的な企業目標は5S活動を定着させて業務を改善していくことです。

そうすれば、品質やコスト・納期・安全性が確実に向上します。

5S活動を導入するメリット

5S活動を導入するメリットは次の通りです。

  • 事故を未然に防ぐ
  • 業務効率を高める
  • コスト削減
  • 品質・サービス向上
  • 会社の評価アップ
  • ストレス緩和

項目ごとに詳しく解説します。

事故を未然に防ぐ

きれいに整理・整頓された使いやすい状態を維持し清潔な現場を心がけることで、労災事故や労働災害の発生率が下がります。

例えば、清潔な現場は通路にムダなものがなく安全通路を確保できるため、つまずき転倒といった事故を未然に防止できるでしょう。

業務効率を高める

不要なものが散乱した職場環境では、施工に必要な道具や資材を見つけるのにムダな時間がかかってしまいます。

5S活動が習慣化してムダがなくなると、必要なものを必要なときに手に取れる環境になり、本来の業務に集中して取り組めるため業務効率化を図れるでしょう。

5S活動のなかでも特に整理と整頓は、業務効率アップに効果があります。

コスト削減

業務効率や生産性が向上すれば、残業時間の削減や追加の人材を雇う必要がなくなるため人件費などのコスト削減が期待できるでしょう。

また、在庫管理を徹底することで無駄な消費を減らし、余分な出費を抑える効果もあります。

品質・サービス向上

5S活動を徹底し習慣づけることで、作業中のミスやムラがなくなります。

ミスのない作業は商品の質やサービスを高め、ムラのない正確な施工で納期が早まるなど顧客満足度を向上させる効果が期待できるでしょう。

会社の評価アップ

5S活動の成果が見え始めると顧客に与える印象も大きく変わるため、会社の評価を高める効果があります。

5S活動への取り組みを取引の評価基準にしている企業もあり、業務改善が進んでいれば契約率や受注率の向上が見込めるでしょう。

ストレス緩和

前述のように作業現場にものが散乱していると、業務のムダや事故発生の危険があるため、働き手にとっては大きなストレスです。

清潔で働きやすい職場環境は社員のストレスを和らげるだけでなく、従業員満足度や仕事へのモチベーション向上につながります。

さらに従業員の自主性が生まれるなどの相乗効果があります。

5S活動を導入するデメリット・注意点

5S活動を導入するデメリットや注意点は次の通りです。

  • すぐに効果が現れない
  • 手間とコストがかかる
  • 目的を履き違える

項目ごとに詳しく解説します。

すぐに効果が現れない

5S活動に取り組んだからといっても、すぐに効果は望めません

活動を定着させ習慣化させることにより、少しずつ業務効率が改善され生産性向上などの効果が現れます

効果や利益がすぐに現れないため、途中で挫折してしまう企業も少なくありません。

手間とコストがかかる

5S活動を継続するためには次のような手間とコストがかかります。

  • 整理・整頓などに費やす活動時間
  • 従業員への教育やマニュアル作り
  • 整理するための収納場所

上記のような手間やコストがかかることを前提に、5S活動の導入や取り組みを検討しましょう。

目的を履き違える

5S活動を継続していくためには、

  • ルールの明確化
  • 5S活動の実施そのものを目的としない

ことが大切です。

5S活動をいきなり従業員に押し付けるとやる気を失い、継続できなくなります。

社内全体が5S活動の目的や効果を理解しないまま活動を続けても、モチベーションが低下するだけで習慣化できません

5S活動の効果を実感するためには、目標を設定することがおすすめです。

  • 設備機器の取り付け時間を〇分短縮する
  • 売上目標を△%アップする

など、具体的な目標を設けると良いでしょう。

5S活動の進め方

5S活動は次の手順で進めていきます。

  1. 目的を明確にする
  2. 業務の洗い出し
  3. ルール・マニュアルの作成
  4. 5S活動の継続化・習慣化

各手順のポイントを押さえて5S活動を進めていきましょう。

1.目的を明確にする

5S活動に取り組む目的や理由を従業員が理解していなければ、ただの清掃活動になってしまい、5S活動も中途半端に終わってしまうかもしれません。

  • 今月の残業を◯時間削減する
  • 作業ミスを△%減らす

など、目的を明確にして従業員と情報を共有することが大切です。

社内全体が目的を認識していれば、5S活動にも取り組みやすくなります。

2.業務の洗い出し

現場を整理・整頓するためには、業務に必要なものや不要なものを知ることが大切です。

そのためには業務の洗い出しが必要不可欠で、整理・整頓を進めていく上での大切な判断基準になります。

業務の流れやプロセスをきめ細かく理解できれば、理想的な職場環境の姿が見えてくるでしょう。

3.ルール・マニュアルの作成

前のステップで見える化された業務フローやプロセスをもとに、現場の改善点を浮き彫りにしていきます。

5S活動の5要素である整理・整頓・清掃・清潔・しつけに至る流れに沿って、現状を見直していくと改善点を発見しやすいでしょう。

改善点を踏まえた上で従業員全員が意見やアイデアを出し合って、5S活動のルールやマニュアルを策定していきます。

ルールやマニュアルは作成したら終わりではなく、新たな課題や問題点が見つかった場合には、定期的な変更が必要です。

4.5S活動の継続化・習慣化

社内で策定した5S活動のルールやマニュアルを徹底して守りながら、清潔な環境を維持し業務を効率的に進めていきます

5S活動は取り組んだら終わりではなく、社内教育を通してルールを共有・浸透させていきながら活動を継続し習慣化していくことが重要です。

ルールやマニュアル通りに5S活動を実行してもうまく進められない場合は、できない原因や理由を探り改善点を見直しながら、解決案を検討しましょう。

5S活動の主な目的

5S活動を実践し続けると職場環境はきれいに整ってきますが、5S活動はきれいにすることだけが目的ではありません

他にも次のような目的があります。

  • 職場環境づくり
  • 作業品質や生産性の向上
  • 安全性の向上が図れる

目的を持たずにただ清掃するだけの活動ではモチベーションが低下してしまい、5S活動は継続できません。

社員それぞれが5S活動の目的をしっかりと理解しておく必要があります。

職場環境づくり

働き手にとっては職場が物理的にきれいなだけでなく、精神的にも心地よい環境が理想です。

5S活動の実施で心地よい職場環境を維持できればストレスも少なくなり、従業員のモチベーション向上にもつながるため、離職率低下などの二次的効果も期待できます。

職場環境が改善すれば従業員同士のコミュニケーションが増え、社内の風通しもよくなりチームワークが向上します。

作業品質や生産性の向上

資材や工具が乱雑に置かれた現場では、必要なものがすぐに見つからないだけでなく、業務効率を下げるなど生産性にも大きく影響します。

5S活動の整理・整頓を徹底し、マニュアルに沿ってきれいな現場づくりを心がけていくと、業務のムダを削減し効率化をもたらします

効率的に業務がしやすい環境になれば、作業時間の短縮や残業時間の削減など、従業員のストレス緩和やモチベーション向上につながり、生産性向上が期待できるでしょう。

安全性の向上が図れる

5S活動が定着せず作業導線にモノが散乱していたり、床が水や油で滑りやすかったりする現場は災害発生リスクが高まります。

整理・整頓・清潔の習慣化と5S活動を徹底して、きれいな現場を維持しながら安全で働きやすい職場環境を整備しましょう。

5S活動の習慣化は現場の安全性を高めるだけでなく、従業員のモラルを高め主体的に改善項目を見つけたり、安全への問題意識が芽生えたりなどの効果があります。

チェックリストを活用して5S活動を進めよう

5S活動のルールやマニュアルを作成しても、従業員によって認識に相違があれば適切に活動を進められません。

その対策として、下記のような5Sチェックリストの活用がおすすめです。

5S活動 画像2

引用元:厚生労働省「参考5Sチェックリストの例」

チェックシートを使うとチェックする人の経験値やスキルによるバラツキがなく、一定基準で5S活動の実施状況を評価できます。

業種や業務内容によってチェック項目が異なるため、社内で意見を出し合って職場にあったチェック事項を検討しましょう。

まとめ

建設現場で働く人たちにとって、安全で効率的に働ける職場はとても魅力的です。

5S活動には、それらを現実化する力があります。

しかし、5S活動の効果や目的を理解せず、ただやみくもに活動していてはかえって逆効果です。

正しく5S活動の目的を認識して取り組むことにより、多くのメリットを享受できます。

従業員が働きやすい環境の整備と顧客が満足できるサービスを提供できるよう、5S活動を定着させ習慣化していきましょう。

 

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