発注メールの書き方と注意点は?メリットやデメリット、例文などをわかりやすく解説
2022.06.21
発注作業は、取引先と直接関わる大切な業務です。
しかし、初めて発注メールに取り組む方にとっては、
- 発注メールの書き方がわからない
- 発注メールの例文を知りたい
- 発注メールに返信するには?
など、不安な面も多いため、書き方や例文があれば参考になるのではないでしょうか。
本記事では、発注メールの書き方と例文、注意点、メールで発注するメリットやデメリットについて、わかりやすく解説しています。
失敗やマナー違反を避けるためにも、発注メールの書き方や手順を正しく理解しておきましょう。
目次
メールで発注しても問題ない?
発注の手段としてメールを利用することは、法的に問題ありません。
発注とは、企業や組織に対して商品やサービスを申し込む行為です。
民法第522条では、注文する側からの「申し込み」に対して、注文を受ける側の「承諾」があれば契約が成立すると定められています。
参考元:e-GOV法令検索 民法
したがって、申し込みや承諾に関しては、書面だけでなく 電話やFAX、口約束など発注を依頼する手段は自由です。
もちろん、メールで発注しても差し支えありません。
特に、発注メールの場合は口約束や電話と違い、送信日や記載内容などの履歴が残ります。
誤発注や納期遅れが起きた場合でも、メール履歴を再確認すれば大きなトラブルに発展しません。
ただし、下請法が適用される取引については、下請法の第3条で「取引内容や支払い方法を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない」と定められています。
そのため、下請事業者に対して、発注書などを書面で発行しなければいけません。
しかし、下請事業者から承諾を得れば、メールなどの情報通信技術を用いた発注書面の交付が認められています。
メールで発注するメリット
メールで発注を依頼している企業も多いことでしょう。
- 書面だと手間がかかる
- FAXで送信するよりも楽
- ずっとメールで発注しているから
など、さまざまな理由でメールを利用していると思いますが、特に注目したい3つのメリットについて紹介します。
メールで発注するメリット①:業務効率化
メールで発注するメリットのひとつ目は、スマホやタブレットなどのモバイルツールがあれば、現場から発注手配ができる点です。
今までは事務所に戻って、FAXを送信したり、受注を確認したりしなければいけませんでした。
そのため、時間と手間がかかっていましたが、メールで発注すれば業務を効率化できます。
また、発注依頼への問い合わせがあった場合でも、メールの履歴を検索すれば外出先にいてもすぐに対応可能です。
発注内容や発注日も容易に確認できるため、業務効率の改善につながるでしょう。
メールで発注するメリット②:トラブル防止
メールで発注するメリットの2つ目は、発注内容が履歴として記録されるため、トラブル防止につながる点です。
電話や口約束で注文を受発注した場合、双方の認識違いでミスがあったり、納品が遅れたりなどの問題が起きる場合も……。
受発注でトラブルが発生すると、
- 取引先との信頼関係が失われる
- 再発注による納品遅れや工期延長
- 発送や返品費用が増えて利益が減少する
など、企業にとって大きな不利益になります。
メールで発注していれば、トラブルがあっても発注履歴を確認できるため、発注側と受注側の双方にとって安心して取引できるでしょう。
メールで発注するメリット③:手間やコストの削減
発注書を郵送する場合、書類の作成から印刷、封入、切手貼りなど時間や手間がかかり、さらに郵便局まで足を運ばなければいけません。
発注数が多ければ人件費や交通費、郵送料も増え、用紙代やインク代などの費用もかさみます。
しかし、発注手段がメールであれば、このような手間やコストが削減可能です。
さらに、郵送すれば、取引先に発注書が届くまでタイムラグがありますが、メールの場合、早ければ即日に対応できるなど、納品までの時間を短縮できます。
メールで発注するデメリット
メールで発注するメリットがある反面、デメリットも存在します。
メールで発注する際には、デメリットがあることも認識しておきましょう。
メールで発注するデメリット①:発注メールが読まれない可能性がある
メールで発注するデメリットのひとつ目は、送信した発注メールが取引先に気付かれず、読まれない可能性がある点です。
メールを大量に受信する企業であれば、多くのメールに埋もれてしまって見過ごされてしまうかもしれません。
また、取引先のセキュリティ状況によっては、迷惑メールとして扱われたり、添付ファイルの受信を拒否されたりして、正しく届かないケースも考えられるでしょう。
発注メールが読まれなければ、取引が進まずトラブルに発展しかねません。
メールで発注するデメリット②:ミスが起きやすい
発注書作成は書面やメールにかかわらず、人が携わるためヒューマンエラーが起こりやすいデメリットがあります。
発注メールに関するミスの多くは、アドレス間違いやファイルの添付忘れなどです。
もし、誤ったメールアドレスに送信してしまった場合、相手先に届かないだけでなく、大切な情報が漏洩してしまう恐れがあります。
メールで発注するデメリット③:属人化しやすい
発注書が郵送やFAXで届けば、事務所にいる全員が閲覧可能ですが、メールは確認できる人が限定されるため、共有不足や属人化しやすいデメリットがあります。
業務の属人化が進むと、担当者が休んだときや引き継ぐ際に時間と手間がかかるため、注意が必要です。
関係者全員が閲覧できるメールの管理方法や社内全員が情報を共有できるシステムを検討してみましょう。
メールで発注する際の注意点
前述のように、発注メールにはさまざまなメリットがあります。
だからといって従来の電話やFAXによる発注方法から、急にメールに切り替えることには賛同できません。
いきなり発注方法がメールに切り替わったら、取引先は混乱するでしょう。
また、書面で発注書が届かなければ、発注見落としによる納品ミスも考えられます。
納品ミスは工程の遅れに直結するため、注意が必要です。
発注方法を切り替えるのであれば、事前に「メール対応は可能か」を取引先に確認し、了解を得たうえで取り組まなければいけません。
発注メールの書き方
発注方法をメールに切り替える際には、上記注意点に加え、以下の点にも注意を配りましょう。
発注とわかる件名をつける
件名が目立たなければ、他のメールに紛れて気付かれず、見落としてしまうかもしれません。
そのため、発注メールを送る際には、
- 注文お願いします
- 【重要】発注書を添付します
- 注文(見積N.〇〇)の件
- 【発注書】
というように、ひと目で注文依頼だとわかるような、目立つ件名にしましょう。
丁寧でわかりやすい文を心がける
これまで電話や口約束で注文を依頼していた気心の知れた相手であっても、取引の場である以上、丁寧な文面を心がけましょう。
互いに心地よく仕事を進めるためには、マナーやモラルが大切です。
特に発注内容や納期、納入場所に関しては、メールを受け取った側が混乱しないように、わかりやすい文章で記載しましょう。
注文内容を箇条書きにして明確に記載すると、認識違いによるトラブルを防止できます。
PDFで添付する
発注メールの添付には、PDF形式がおすすめです。
エクセルやワード形式のまま送信した場合、受け取り側のパソコン環境によっては、文字化けしたり、レイアウトが崩れたりして、正しく表示されないケースがあります。
また、誤って内容が編集されてしまう可能性もゼロではありません。
互いに改ざんを防止し、トラブルを回避するためにも、添付する発注書はPDF形式にしましょう。
本文に発注内容を記載する
たとえ発注書を添付していたとしても、メールの本文には発注内容を記載してください。
添付ファイルを見れば内容を確認できるため、面倒に感じるかも知れませんが、メール本文に注文内容を明記しておくことで、認識の相違を防止できます。
発注をメールで依頼する際の例文
発注をメールで依頼する際に、「どう書けばいいのかわからない」という方もおられるのではないでしょうか。
以下の例文を参考にして、自社の発注内容に合うようにアレンジしてください。
件名:【注文依頼】◯◯(商品名や案件名)の発注に関して |
株式会社△△××部 ⬜︎⬜︎様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の⚫︎⚫︎と申します。 先日は◯◯についてお見積もりいただきありがとうございます。 弊社で検討した結果、ぜひ貴社へ発注したいと考えております。 発注書を添付いたしますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 念のため、発注内容を以下にも記載いたします。 ・案件名: ・数量: ・納品希望日: ・納品場所: ・発注単価: ご不明な点や不都合等ございましたら、下記までご連絡ください。 <添付内容> ◯◯発注書 1通 <担当者連絡先> 電話番号:xxx-xxxx-xxxx メール:xxx@xxx.com 何卒よろしくお願いいたします。
|
前述のように、ひと目で発注とわかる件名にすることで見落としを防ぎ、後から検索しやすくなります。
また、本文は長くなりすぎないように意識し、わかりやすく簡潔に情報を記載しましょう。
取引先から受信した発注メールへの返信方法
これまで注文を発注する側の視点で解説してきましたが、取引先から受信した発注メールには、どのように対応すればよいのでしょうか。
受信したメールにはなるべく早く返信する
メールで注文をもらった際には、可能な限り1営業日以内の返信が理想です。
ビジネスメールの場合、「7割以上の人が24時間以内に連絡がないと遅いと感じる」というデータがあります。
参考元:一般社団法人 日本ビジネスメール協会 ビジネスメール実態調査2023
担当者からの返信が遅ければ、
- 本当に注文を請けてくれるのか
- 希望の納期に間に合うのか
と不安を与えてしまい、取引先を変えられてしまうかもしれません。
今後、スムーズに業務を進めていくためにも、できる限り早めの返信を心がけましょう。
件名は変更しない
取引先から届いた発注メールに返信する場合、返信ボタンをクリックすると、自動的に件名の頭に「Re:」が付きます。
特に初めての取引相手とメールをやり取りする場合、「Re:」を削除して、「感謝を伝える件名」に変更した方が丁寧でいいのではと考える方もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、「Re:」を消して件名を変更する必要はなく、むしろ「Re:」の付いた件名の方が、やり取りの続きだと把握しやすいメリットがあります。
また、後から確認したときにわかりやすい面もあり、特に件名を変更する必要はないでしょう。
ただし、同じ件名のメールを何通もやり取りすれば、「Re:Re:Re……」というように「Re:」の表記が増えて見栄えが悪くなってきます。
その場合、末尾に番号を付けておくと、後から見返したときに区別しやすく便利です。
例えば、「Re:○○○注文依頼の件(5)」や「Re:【発注書】◯◯依頼の件について(4)」というように、内容が追加されるごとに()内に補足していきます。
お礼や納期などを明記する
返信メールには、注文に対するお礼と出荷状況を記載しましょう。
ただ感謝を伝えるだけのメールでも問題ありませんが、発注者が最も気にする納期の情報を記載すると、より親切で安心感を与えられます。
発送日や納品予定日、手配状況などを明確に伝えることがポイントです。
発注に対する返信メールの例文
上記の返信方法を踏まえ、発注に対する返信メールの例文を紹介しますので、参考にしてください。
件名:Re:【注文依頼】◯◯(商品名や案件名)の発注に関して |
株式会社□□⚫︎⚫︎様 いつもお世話になっております。 株式会社△△××部 ⬜︎⬜︎と申します。 この度は弊社にご注文いただき誠にありがとうございます。 貴社のご期待に添えるよう尽力いたします。 早速、◯◯を手配いたしました。 納品は◯◯年◯◯月◯◯日を予定しております。 しばらくお待ちいただけますと幸いです。 ご不明な点がございましたら、担当の⬜︎⬜︎(連絡先xxx-xxxx-xxxx/xxx@xxx.com)までお気軽にお申し付けください。 引き続きご愛顧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
|
前述のように、件名は変更しないほうがわかりやすく、互いに把握しやすい面があります。
ただし、初めての顧客に感謝の気持ちを伝えたい場合には、件名を変更するなど、取引相手に応じて使い分けても問題ありません。
発注メールに返信がない場合
発注メールに返信がない場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
すぐに連絡を取る
発注をメールで依頼しても返信が無い場合、取引先の担当者が返信を失念している可能性があります。
建設工事では、発注や手配遅れが工程の変更につながるため、メールにこだわらず、すぐに担当者に電話で連絡を取りましょう。
既にメールを送っている旨を告げ、取引先に受注確認や納期連絡について回答をお願いしてください。
発注を依頼したメールを引用する
督促メールを送る場合、以前にメールで依頼した注文を取引先が認識しているか確認する必要があります。
そのため、前回送った注文依頼メールの全文を引用し、再度メールを送信しましょう。
督促メールの例文
【確認】◯◯(商品名や案件名)の発注に関して |
株式会社△△××部 ⬜︎⬜︎様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の⚫︎⚫︎と申します。 先日依頼しました◯◯の発注について、ご確認いただけましたでしょうか? 念のため、△月△日に送信済みの発注メールを再送いたします。 ⬜︎月⬜︎日に得意先へ納品予定のため、受注確認並びに納期回答について ご連絡をいただければ幸いです。 お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 (以下、最初に発注依頼をしたメールの全文を引用)
|
督促メールで気をつけたいポイントは、次の3つです。
- 納品希望日を明記して、早急に回答が欲しい旨を伝える
- 以前に発注を依頼したメールの全文を引用して、送信している事実を伝える
- 二重手配にならないよう確認する
督促メールを送信する際には、以上の点に注意しましょう。
まとめ
本記事では、発注メールの書き方や注意点、メールで発注を依頼するメリットとデメリットについて解説しました。
取引先が多い企業では、今後もメールで発注する機会が増えてくるでしょう。
しかし、電話やFAXで発注書を送受信している工務店もまだまだ多いのが現状です。
メールに不慣れな方にとっては、荷が重い作業かもしれませんが、「ひと目でわかる件名」や「丁寧な文章」などポイントを押さえれば、問題ありません。
取引先との関係を良好に保つためにも、例文や注意点を参考に、取引先と「正しい情報のやり取り」を心がけ、発注ミスによる納品遅れを防ぎましょう。
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