建築業界における『属人化』解消に向けて~属人化の原因とデメリットを探り、解消方法を提示~
2022.03.23
『ある仕事になると特定の人ができていない・・』
『なぜか一人の人に業務が集中している』
このように施工管理であれ、営業であれ、事務であれ、仕事が属人化していることはありませんか?
建築業界のおける属人化の原因は以下の2点が主な原因です。
- IT化できていない
- 人材不足
ここでは、『属人化』の根本的な原因と、その解消方法について書いていきます。
建築業界の属人化とは?
建築・リフォームの現場では、『属人化』と呼ばれる、特定の人しかできない業務分担が多く見られます。
属人化は、「特定の人への仕事のかたより」や「社内の情報共有不足」を招き、企業にとってマイナスになる可能性があります。
新築や改修工事では、現場の状況や施主の希望が優先されるため、同じ工事は、二度とありません。
そのため、担当者の経験や判断で工事の詳細や方向性が決まってしまいます。
現場でも特定の人に仕事が集中しがち
また、専門的な知識が必要なため、新入社員や未経験者ではすぐに仕事ができません。
いまだに現場で経験をしながら仕事を覚えていく場面が多いのも事実です。
そのため、特定の経験者のみに業務が、集中しがちです。
そして何年もかけて一人の担当者のみが同じ仕事に取り組んでいるという状況がうまれます。
属人化の原因
属人化の原因は、いくつか考えられます。
建築業界では、IT化があまり進んでいない点も属人化が多く見られる理由の一つです。
社員のだれが担当してもITを活用し、業務の標準化ができれば属人化は、ある程度防ぐことができます。
他にも建築業界がかかえる代表的な悩みである以下の要因が属人化を招いています。
建築業界の人手不足
属人化の一番の原因は、何と言っても建築業界全体における人手不足です。
人員に余裕があれば、数人でチームを組んで一つの現場の仕事に取り掛かれます。
ところが従業員が少なく、一人で複数の現場を抱えているような場合がほとんどです。
そのため、他の社員への情報がまったく共有されません。
1人の担当者のみが見積もりから施工まで行い、工事は完了してしまいます。
こうして、完了した現場をふりかえり、精査する間もなく次の現場に乗り込むというサイクルです。
これでは業務にあたる担当者のみがわかっているだけで、上司や部下ですら、現場の進捗状況を把握できていない危険性もあります。
時間に追われる日々
工期が決められている現場では、天候や材料の搬入次第で仕事のはかどり具合も変わってきます。
自分の担当業務についてマニュアル作成すべきとわかっていても、なかなか時間が取れないことも事実です。
工期に追われる忙しい日々の中、わからない点について社内で顔を会わせ情報を共有する時間すら持てないのが現状です。
情報を一元管理できない体制
顧客や商品・工事の状況など様々な情報も社員が共有し利用できるシステムが無ければ、何の役にも立ちません。
結局特定の人が自分だけ情報を更新していくことになります。
優良な顧客や最新の商品知識を持っている従業員がいても、社内の他のメンバーに同じタイミングで知らせることができません。
知らずにいる他のメンバーは手間や労力ばかり増えてしまうことになります。
このような体制では属人化がどんどん進んで行ってしまう可能性があります。
属人化によるデメリット
それでは、なぜ属人化はダメなのでしょうか?
属人化がもたらす企業への悪影響をいくつか例をあげて説明します。
具体的に良くない状況を理解することで会社が脱属人化へ向かっていけるのではないでしょうか?
ぜひ参考にしてみてください。
属人化によるデメリット①:業務の停滞
属人化の状況では、業務が止まってしまう場合があります。
例えば、資材の注文一つをとっても担当者のみがわかっている場合…
仕入先から「材質や色について再度確認をしたい」と連絡があっても担当者不在で連絡がつかなければ発注業務が止まってしまいます。
材料納品が1日遅れるだけで現場の工事がストップしてしまう可能性があります。
年度末など忙しい時期では、たった一つの材料不足でも他の現場との関係で作業員の配置変更が必要になることも考えられます。
担当者は、属人化しているとは思っておらず、ささいな事でも情報共有ができていないため業務が進まなくなってしまうのです。
属人化によるデメリット②:人的ミスの見逃し
属人化していると担当者以外では、工事の進み具合や原価管理など企業にとっての重要な情報がリアルタイムでわかりません。
例えば、積算ミスで追加の材料発注や作業員手配が必要になっても…
属人化していると、上司や経営者がミスに気付きにくい状況が発生します。
また長年にわたり属人化がおこっていると、担当者がわざとミスを隠すことがあるかもしれません。
このような重大なミスは対応が少しでも遅れると、施主とのトラブルや粗利の大幅な減少につながりかねません。
属人化によるデメリット③:業務効率の悪化
属人化している業務があると、一人の担当者に業務が集中してしまうことも…
例えば役所や元請に提出する書類を作成するのがAさんだけである場合、年度末の工事が集中する時期にAさんに業務が集中します。
この場合、Aさんがスムーズに対応できていれば問題ありません。
ところがAさんの病欠や異動、退職などが起こると引継ぎ作業が必要になります。
しかし、マニュアルもなく業務が属人化しているとAさん以外では業務の進め方がわからない状況になります。
このような場合引継ぎに時間がかかり、Aさん以外の人の業務も進まず、企業全体の業務効率が下がってしまうことも考えられます。
属人化を解消するために
それでは、属人化を解消するためには、どのような取り組みが必要でしょうか?
日々の業務に追われていても、少しずつ時間を見つけて行うことで可能になります。
是非、会社全体で挑戦してみてください。
属人化の解消方法①:担当する業務を見える化
業務の見える化とは、各担当者が1か月単位や4半期毎にどのような業務を行っているか洗い出しをすることです。
各個人の業務フローを全体で照らし合わせることで次のことが把握できます。
- 誰にいつ頃業務が集中しているか
- 属人化している業務はどれか
- 誰にでもできそうな業務はどれか
そうすることで属人化を防ぎ、業務の集中や停滞を防ぐことができるでしょう。
属人化の解消方法①:情報を共有する仕組み作り
仕事をする上で報告・連絡・相談は必須事項ですが、報告を受けた情報が各担当者に共有されなければ何の意味もありません。
例えば、ある工事の見積もり案件があったとします。
その情報を一元管理して共有すれば、競合他社の状況や進捗状況など全て把握できます。
これにより、見積もりに関係する担当者が同時に動けるため、効率よく進められ、金額面でも他社より有利に働くかもしれません。
属人化の解消方法①:業務マニュアルの統一
急な病欠や異動、退社などの際、業務マニュアルがあれば、担当者不在でも業務を進めることが可能です。
例えば、請求や支払業務の担当者が休んでも、手順が示してあれば、それを読みながら、請求書控等を確認することで、誰でも作成できます。
マニュアル作成は、各個人が自分だけにわかるように作成したものでなく、誰が見てもわかるように、全体にヒアリングしながら会社として作成・更新していきましょう。
少し時間はかかりますが、属人化を解消し業務がスムーズに進むので、長い目で見れば決して無駄ではありません。
属人化の解消方法①:一元管理システムの導入
属人化を解消するためには、ITを活用することも一つの方法です。
担当者の経験や知識に頼り、ほかの社員が共有できない業務もITツールを利用し、業務の標準化を目指すことも可能です。
例えば見積、受発注、入出金など建築業務に関する情報を一元管理できるシステムがあります。
スマートフォンでも利用できるため、現場にいても確認することが可能になります。
一元管理システムには、様々な種類があります。
自社に適したものを選ぶ際には、金額や利用できるツール・建築業界向けかどうかなどを考慮してみてください。
まとめ
建築業界がかかえる属人化のデメリットや解消に向けての方法についての説明でした。
属人化が常態化してしまうと、業務が滞っていても気付かず、更には正しい人事評価が行えていない可能性もあります。
人手不足がなかなか解消されない中、効率を上げて業務を進めるには、属人化を解消しなければなりません。
ITツールの活用も含め、自社の属人化について再確認してみましょう。
デキる会社の手法を
カタチにしました
デキる会社の営業手法や顧客管理手法をまとめた小冊子を無料プレゼント!
- 顧客への営業方法をもっと知りたい
- 自社顧客リストをもっと活かしたい
- 業績をもっと伸ばしたい
次にデキる会社になって、売上を圧倒的に伸ばすのはアナタの会社です。