工事台帳の書き方|建築業務の効率化アップと適切な管理を実施
2022.01.21
建築工事を請け負っている会社では、工事にかかる経理作業である「工事台帳」をつけているかと思いますが、ただ工事の収支を記入しているだけで終わっていませんか?
工事台帳の目的は、「工事ごとの原価を集計し、経営状況を把握する」ことです。
取引明細のすべてを記録することで、原価計算が明白になり、工事の進捗状況の把握をすることができます。
収支内容を確認できることは、工事にかかる利益率を把握することができるので、経営判断に役立つことになるのです。
また、工事台帳を作成する提出書類の作成も容易になります。
工事台帳は、公共事業の入札に参用する建設業者の規模・経営状況などを、客観的に数値化して審査する「経営事項審査」に必要となるため、必ずつけるようにしましょう。
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目次
記入するだけで終わらない。活用できる工事台帳を作ろう
ただ「記入しているだけ」の工事台帳を、どうすれば「業務の作業効率が向上する」工事台帳にすることができるのでしょうか?
工事台帳には、工事ごとの取引明細を明記します。
そこで工事ごとに「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の記載が必要となってきますので、それぞれ解説していきます。
工事台帳に必要な項目
工事台帳に必要な項目①:材料費
工事の材料の仕入れにかかった費用のことを言います。材料費には材料の引取り運賃などの取引にかかる費用も含みます。
工事台帳に必要な項目②:労務費
自社で雇用している作業員の給与・賃金・手当のことです。
これはあくまでも建設現場での作業に従事している従業員のみを指すので、事務所で事務作業に従事する事務員は含みません。
工事台帳に必要な項目③:外注費
自社で雇用している作業員以外の人へ支払う費用のことです。
工事現場では下請け業者の人や一人親方、外注業者とともに働いています。
工事を発注している側からすれば、その人たちは外注に当たり、外注費が発生するのです。
工事台帳に必要な項目④:経費
材料費・労務費・外注費に当たらない費用が経費になります。
例えば、重機のレンタル費用や電気代・水道代などの光熱費、事務用品の購入費、駐車場代、事務員の給料などが含まれます。
工事台帳で利益率と収支内容を把握する
ここまで、工事台帳を作成するときに必要になる項目をあげてきましたが、上記の内容を記載していくことで、工事台帳の「工事の利益率や収支内容の把握」ができるようになるのでしょうか?
はじめにもお伝えした通り、そもそも工事台帳は「工事にかかる経理作業」になります。
お金の管理をするということは、収支を把握するということです。
収支を把握するには原価を知らなければなりません。
工事台帳で工事の損失を防ぐ
どの工事内容にどのような金額がかかっているのかを把握することができれば、どんぶり勘定による見積作成を避けることができます。
また、各工事で原価予測をすることができるので、原価割れしていることに気付かずに工事を終えてしまい、「この現場は赤字になった」なんていうことも避けることができます。
つまり工事台帳を付けて管理をするということは、工事の利益管理ができて、工事の損失を防ぐことができるということなのです。
また、工事台帳にはこうした工事の利益率を把握する以外にも、未成工事支出金(未完成の工事現場に支払われているコスト)の算出をするときにも必要になります。
この未成工事支出金を算出する場合も「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4つの項目が必要です。
工事台帳をエクセルで作成方法するポイント
では、次に工事台帳の作成方法をみてみましょう。
システムやアプリなどもたくさん導入されていますが、最初にここではエクセルで作成する方法をみてみましょう。
まず上で挙げた項目は必ず必要ですが、先頭の行に入力するのは以下の項目になります。
工事台帳の先頭の項目①:日付
工事台帳を作成した日付です。
工事台帳の先頭の項目②:工事名(現場名)
ファイルに工事名を記載することで、たくさんの工事台帳を管理しなければならない場合に、入力間違いや提出時の間違いを防ぐことができます。
工事台帳の先頭の項目③:仕入先(元請先)
どこから発注をうけている工事なのかが分かるようにしておきます。元請先を記入してもよいかもしれません。
工事台帳の先頭の項目④:工事請負契約金額
工事請負契約金額だけではなく、同じ現場で追加工事を請けた場合も記入します。
工事台帳はすべての工事で同じフォーマットにする必要があるので、マスターとなる工事台帳を作成しておきましょう。
また、マスターとなる工事台帳に上の項目を入力したものを、費用が発生する前に作成しておけば、慌てずに日々発生する費用に対応できます。
必要項目の入力
上の項目を入力したらいよいよ「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の項目の入力となります。
日々発生する費用としては「材料費」「外注費」「経費」がメインとなりますが、項目ごとに集計ができるように別シートで関数を用いて管理する方法もあります。
また、予算や見積内容を別シートに入力しておくと、予算管理をスムーズに行えます。
エクセルで作成する工事台帳のメリット
メリット①:自社に合わせた工事台帳の作成・管理が可能
ただ入力だけを行いたい場合や、関数などを利用して管理したい場合など、利用したい形は様々です。
どのような場合では、ある程度エクセルに詳しければより管理も容易になります。
メリット②:使い慣れている
色々な関数を使いこなすことはできなくても、学生時代などに多少は触ったことがあるのではないでしょうか?
そういった意味でも抵抗感なく取り組むことができるかと思います。
メリット③:コストが安い
基本的なパソコンには、エクセルは標準装備されているかと思いますので、導入のコストをかけずに済みます。
メリット④:ファイル共有しやすい
ファイルを共有フォルダに保存したり、工事に関わる人にメールをしたり、データの共有を簡単に行うことができます。
メリット⑤:テンプレートを使用できる
一から作成できない場合でも、インターネットにはたくさんのテンプレートが公開されています。
そのようなテンプレートを活用すればより簡単に作成することができます。
エクセルで作成する工事台帳のデメリット
エクセルで作成する工事台帳にはこのようなメリットがありますが、次のようなデメリットもあります。
デメリット①:関数の入力・更新のミスが起こる
関数を組んで数値の反映を行ったりすることは、すべて手作業です。
ミスが起こった場合にエクセルに詳しい方に毎回頼ることになるので、業務に偏りができてしまいます。
デメリット②:情報共有にタイムラグが生じやすい
インターネット上でファイルを共有している場合だと、編集作業から更新までのタイムラグが生じやすくなります。
常に最新の情報であるか確認が必要です。
また、共有フォルダなど、サーバー内でデータをやり取りする場合、データが重たくなり更新作業に時間を取られる場合もあります。
デメリット③:管理方法の変更にコストがかかる
使用してきた工事台帳の使用を変更する場合や、エクセルのバージョンが変更になった場合など、どうしてもエクセルに詳しい方に頼ることになりがちです。
もしその人が管理から外れた場合、編集できる人がおらず旧バージョンを使い続けるといったリスクが発生します。
工事台帳がある管理システムを利用してみる
こうしたエクセルで作成する工事台帳のデメリットを避けるために、現在では様々な工事管理システムが活用されています。
管理システムでは工事台帳の作成だけではなく、工事に関わる工程表の作成や見積書・発注書の作成など、すべてを管理することが可能なものも多く存在しています。
手作業になる工程が少なくなるので、エクセルで起こりがちだったミスを最小限に抑える事にもつながります。
また、システムを活用することで外出していてもデータの更新などが可能になり、リアルタイムな情報を取得することができます。
さいごに
システムを導入することで手間がかからずになり、他の業務に集中することができます。
どのような工事台帳を作成し使用するか、自社にとっての使いやすさ・メリットを把握して使いこなすことで、利益を上げることのできる工事台帳を作成しましょう。
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