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グリーンインフラとは何か?メリット・デメリットと課題を解説

2023.12.01

コラム

  • 「グリーンインフラって何?」
  • 「世界ではどんな取り組みが成されているの?」

そんな疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

ここでは、グリーンインフラとは何か、メリット・デメリットについて解説しています。

また、日本をはじめ各国での取り組みや、グリーンインフラを行ううえでの課題も解説していますので、ご覧ください。

グリーンインフラとは?

そもそも、グリーンインフラとは何か、ご存知でしょうか。

グリーンインフラとは、環境に配慮し、環境保全のためのさまざまな機能や仕組みを都市部や地域に積極的に取り入れて行こうとする考え方のことです。

従来のコンクリートやアスファルトでできた人工的な物だけでなく、自然の要素を取り入れることで、住む人は自然と触れ合える機会を得ることが可能です。

グリーンインフラが取り入れられると、環境にも人にも優しい持続可能な地域づくりに繋がるとされています。

建設業界でもグリーンインフラに積極的に取り組む傾向にあるため、この記事を読む皆様もしっかりと理解を深めていくことをおすすめします。

グリーンインフラを構成する要素

グリーンインフラは3つの要素で構成されています。

  • 防災・減災・国土強靭化
  • 地域振興・地方創生
  • 生態系・環境保全

それぞれについて詳しくみていきましょう。

防災・減災・国土強靭化

近年、世界では急速な気候変動による自然災害に悩まされています。

グリーンインフラの取り組みは、自然災害から地域を守る可能性が秘められています。

都市部では、アスファルトばかりの人工物に覆われており風がうまく通らなくなっています。

また、人口が増加したことで排熱も増加しており、それが原因でヒートアイランド現象が引き起こされています。

ヒートアイランド現象は、人々に熱中症や循環器系疾患など健康被害を引き起こしたり、二酸化炭素の排出量を増やし、大気汚染へも大きな影響をもたらします。

そんなヒートアイランド現象を防止する意味でも、グリーンインフラの取り組みはとても重要です。

具体的には、建物の屋上や周辺に植物を植えて水分を蒸発させて熱を逃して、高温化を防ぎます。

他にも、樹木を植えることで地盤の強化や貯水の役割も果たします。

毎年のように断水が発生する地域にはとても頼もしいのではないでしょうか。

このような防災・減災を期待した生態系の活用をeco-DRRとも呼びます。

グリーンインフラの整備は、最終的には自然の力を借りて強靭な地域と国を形成することにも繋がっていきます。

地域振興・地方創生

グリーンインフラの整備がされるということは、緑や水のある場所が整備されるということです。

これは、地域の人々に癒しの場を提供することにも繋がります。

公園や学校の校庭などを芝生に変えるだけでも景観が良くなります。

また、子供の怪我や熱中症の予防も期待でき、さらには学校の授業や地域のイベント事で活用することで地域の人々のコミュニケーションの場にもなるのです。

○北海道札幌市の事例

雨水浸透型花壇を実施しています。これは、花壇の下に砕石を敷き詰め、雨水を花壇の中で一時的に貯水する仕組みとなっています。

大雨の際に浸水する恐れがあっても、花壇の中に溜め込んだ水をゆっくり循環させることで浸水を防いでいます。

人々の目も楽しませてくれるので、コミュニケーションの場の提供にも繋がるのです。

生態系・環境保全

グリーンインフラはただ単に水や緑を増やせば良いというわけではありません。

すでにある生態系を崩すわけにはいかないため、生態系・環境保全を考慮した上で、的確な整備を行っていくことが重要です。

例えば、地域の中にある森林や河川の環境を大幅に変えると、そこに暮らす生物の住処を奪うことになり、生態系が崩壊します。

これは環境を破壊しかねません。

グリーンインフラでは生態系の保全を意識することで、人々の住むエリアを守ることにも繋がります。

各国での取り組み

近年日本では、グリーンインフラの活動が注目されていますが、1990年代からすでにアメリカや欧州ではさまざまな取り組みが行われていました。

日本をはじめ、各国での取り組みについて見ていきましょう。

日本

日本は、欧州やアメリカよりグリーインフラの取り組み始めた時期は遅いですが、近年では各地で整備が進められています。

宮城県岩沼市の岩沼海岸は、大地震の発生による津波の被害を最小限にするために海岸に緑の防波堤を整備しました。

緑の防波堤により、津波の勢いを抑え人々の命を守るだけでなく、良い自然景観を保つなどさまざまなメリットがあります。

シンガポール

シンガポールでは洪水対策や雨水・下水の再生利用に向けてグリーンインフラを推進しています。

コンクリート張りの排水路だった川を自然河川へと再生し、緑豊かなビシャン・パークを作り出しました。

市民の憩いの場としても人気です。

イギリス

イギリスをはじめ、欧州では積極的にグリーンインフラが導入されています。

積極的に導入している理由は、生態系のサービスの維持や形成を目的としているためです。

イギリスのロンドン市では、公園内にある湖へ洪水時に川から生活排水が流入して水質汚濁を発生させないために、河川の一部を埋め立てて新たな水路を作りました。

これにより、湖に生活排水が流れにくくなり、湖に住む生き物たちの生態系を守りました。

アメリカ

アメリカのオレゴン州ポートランド市では、気候変動による集中豪雨や洪水などの水害から人々の身を守るために、以下のようなグリーンインフラ整備を一体的に行っています。

  • グリーンストーン
  • 緑溝
  • 雨水プランター
  • 屋上緑化
  • 透水性舗装

これは、緑が雨水を受け止めて浸透させることで洪水のリスクを軽減しているのです。

アスファルトやコンクリートでは雨水を浸透させることができずに洪水のリスクに繋がります。

なぜグリーンインフラが注目されているのか?

グリーンインフラが注目されている理由は3つあります。

  • 地球温暖化や気候変動への対応のため
  • 持続可能な地域づくりのため
  • 製作かだいの解決に繋がる可能性があるため

それぞれの理由を見ていきましょう。

地球温暖化や気候変動への対応のため

各国での取り組みでの内容からもわかるように、グリーンインフラは洪水や大雨などの気候変動への対応策としても使われています。

被害を最小限に食い止めるためにも、グリーンインフラの整備はとても重要です。

欧州ではグリーンインフラによる生態系の維持・形成によって気候の緩和や水質浄化などの効果ももたらすとして、2013年から本格的な取り組みがなされています。

年々深刻化する気候変動への対応策として、グリーンインフラに積極的に取り組むことが重要となってくるでしょう。

持続可能な地域づくりのため

国土交通省がまとめた「現在のインフラ整備費と今後の推移」では、インフラ整備費に5兆円以上を費やしており、年によっては7兆円を超える可能性もあるほどメンテナンス代は高額です。

しかし、グリーンインフラは植物や水などの自然資源を活用するので、一度整備すれば長い期間利用できます。

長い目で見るとコストパフォーマンスを抑えられ、持続可能なインフラ整備が実現できるのです。

政策課題の解決に繋がる可能性があるため

グリーンインフラは、以下のような問題を解決する糸口になると期待されています。

  • 安心安全で持続可能な社会の形成
  • 防災・減災・地域づくりや生物生息空間の場の提供
  • 人口減少や高齢化などに対応した持続可能な地域社会の形成

他にも、自然災害のリスクを抑えるための対策としてグリーンインフラの推進が政策として

掲げられています。

グリーンインフラの整備を積極的に進めることは、政策課題の解決に繋がると言われているのです。

グリーンインフラを行ううえでの課題とは?

メリットが多く、快適で持続可能な地域の実現も可能とするグリーンインフラですが、いくつか課題があります。

  • コストパフォーマンスは良いが初期費用がかかる
  • 定期的に緑の整備とメンテナンスが必要になる

従来のアスファルトやコンクリートでできたグリーンインフラは初期費用が安価でもその後のメンテナンスや修繕費を考えると安価とは言い切れません。

グリーンインフラは初期費用はかかりますが、整備した後はメンテナンスや修繕コストが抑えられるため長期的に見れば費用の節約を可能とします。

ただ、整備した後の植物などのインフラの種類によっては、定期的にメンテナンスをしなければならない場合もあります。

グリーンインフラを持続可能なものにするためには、インフラ整備の目的や運用・管理方法をしっかりとした検討が必要です。

まとめ

グリーンインフラについて解説しました。

これからグリーンインフラの整備は世界でどんどん取り組まれていくことでしょう。

建設業界でも、グリーンインフラの整備を目的とした工事などが増えていく可能性があります。

新しい取り組みとしてグリーンインフラについて、内容を把握しておくようにしましょう。

 

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