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作業員名簿の最新版!書式の項目比較と書き方

2023.11.28

コラム

建設現場には必要不可欠な作業員名簿。

2021年に国土交通省から新しい書式が提示されたことはご存じでしょうか。

作業員名簿は実質義務化され、工事に携わる限り作成しなければならない書類の一つとなりました。

本記事では、2021年に提示された作業員名簿の書式とこれまで多く使われている書式の違いを中心に、作業員名簿の書き方をお伝えします。

作業員名簿とは

作業員名簿とは、建設現場に携わる人すべてを把握するための労務安全書類のひとつです。

現場に新規入場する時までに作成しなければなりません。

起きてはならない事故や災害が発生した際、いち早く係る人を特定するだけでなく、原因を特定する際にも用いられます。

「いつ・誰が作業するのか」を建設現場で把握するためにも役立ちます。

作業員名簿の作成義務化

2020年10月の建設業法の改正に伴い、施工体制台帳に記載すべき内容に「建設工事従事者に関する事項」が追加されました。

これが作業員名簿です。

施工体制台帳の位置づけとなった作業員名簿も、現場に据え置く帳簿の一部となり、引き渡し後5年の保存義務が生じることになりました。

作業員名簿の作成義務化の目的

作業員名簿の作成が原則義務化された目的として、建設業に携わる人員の確保作業員への待遇改善などが挙げられます。

具体的には

  • 働き方改革と働く人の見える化
  • 社会保険加入状況の把握
  • 一人親方の管理と労働環境

以上の3点が挙げられます。

働き方改革と働く人の見える化

2019年、建設業の働き方改革に対して法律が成立しました。

慢性的な人手不足、長時間労働、人材育成など、働き方に対して待遇を改善していく課題が山積みである建設業界。

作業員名簿の作成・提出には、「いつ、どこで、だれが」従事するかを明確にする目的があります。

社会保険加入状況

作業員名簿の義務化の目的として、社会保険加入の確認があります。

建設業に携わる作業員の待遇改善には、社会保険などの福利厚生を受けられる環境が必要です。

社会保険に未加入の作業員がいた場合、作業員を雇用している会社に対し、保険に加入させるよう指導がなされます。

一人親方の管理と労働環境

一人親方とは、建設業などで、自分と家族だけで事業を行っている事業主を指します。

自身が事業主である一人親方は、社会保険の加入義務はなく、有給休暇の取得や時間外労働などの規制が適応されません。

本来、法定福利費として、保険などに加入するための費用を下請負契約を結ぶ会社などへ請求することが可能です。

立場上弱い下請負業者にとっては、価格競争などで法定福利を請求できないことも存在します。

弱い立場になりやすい一人親方などの労働環境改善を行うことも、作業員名簿の義務化の目的なのです。

作業員名簿を作成したら

作業員名簿は、作業員を雇用する会社ごとに作成します。

作成したら、一次の会社が元請業者へ提出します。

作業員名簿は現場に新規入場するまでに作成し、提出しましょう。

 

作業員名簿提出後に、新たに作業員が入場する場合には、一度提出したものに追記するか、新たに作業員名簿を作成し提出します。

作業員名簿の書式

作業員名簿の書式は、広く全建統一様式が活用されていますが、「絶対にこれ」といった定型の書式はありません

2021年3月国土交通省から新たに提示された作業員名簿の書式は、全建統一様式から記載の項目が減っています。

全建統一様式第5号

全建統一様式

建設現場で広く活用されている全建統一書式。

2021年に新たな書式が提示されていてもなお、使われている様式です。

これまでに作業員名簿を作成したり、建設現場で見たりしてきた方であれば馴染みのある書式かも知れません。

2021年国土交通省提示

国土交通省

2021年に国土交通省が提示した作業員名簿の作成例は、全建統一様式に比べるとシンプルになっています。

作業員名簿の項目の比較

作業員名簿に必要とされている情報と広く活用されている全建統一様式、2021年に提示された国土交通省の書式、以下に記載事項の比較を示します。

 

作業員名簿に
必要な情報
全建統一様式
第5号
2021年3月
国土交通省提示
事業所の名称・現場ID
所長名
作成日
提出日
一次会社名・事業者ID
*次会社名・事業者ID
ふりがな/氏名/技能者ID
職種
※特記事項・属性
雇入年月日/経験年数
生年月日/年齢
現住所/TEL
家族連絡先/TEL
最新の健康診断日/血圧
血液型
特殊健康診断日/職種
健康保険/年金保険/雇用保険
建設業退職金共済制度/中小企業退職金共済制度
教育・資格・免許
入場年月日/受入教育実施日

住所や電話番号などの個人情報は作業員名簿に必要な情報項目にありません。

作業員名簿だけに限らず、書類の作成には時間を要したり、個人情報の取り扱いにも多くの注意が必要です。

建設現場では、緊急時の連絡先の必要性などから、これまでの全建統一様式を使用しているところもあります。

書類を作成する前には、元請業者への書式などの確認が必要です。

その指示に従いましょう。

作業員名簿の書き方

作業員名簿は、多くの場合、元請業者の指示に従って作成します。

どの様式でも困らないよう、項目ごとに説明していきます。

事業所の名称・現場ID

事業所とは、工事を行う事業所や作業所名、工事名称を記入します。

元請業者の名称に倣います。

建設キャリアアップシステムに登録がなされている場合は、現場IDを記入します。

所長名

元請業者の現場代理人の氏名を記入します。

作成日

作成した日を記入します。

提出日

提出日が確定していれば記入し、提出する際に記入するよう空欄でも構いません。

一次会社名・事業者ID

一次請負業者の会社名と、建設キャリアアップシステムに登録していれば、事業者IDを記入します。

会社名の代わりに一次請負業者の現場代理人の氏名も記入することができます。

*次会社名・事業者ID

「*」には二次、三次請負業者の「二」ないし「三」が入ります。

会社名の代わりに現場代理人の氏名でも構いません。

ふりがな/氏名/技能者ID

作業員の氏名を記入していきます。

身分証明書や免許証、資格証明書などと照合できないと、現場への入場ができないこともあります。

正確に記入しましょう。

作業員が建設キャリアアップシステムに登録している場合は、技能者IDを記入します。

職種

職種の表現は、会社によって様々ですが、作業員が工事でどのような役割を担うのかが分かれば大丈夫です。

※特記事項・属性

「※」印には、特記事項として以下の記号を入れます。

 

記号 意味
現場代理人
作業主任者
女性作業員
18歳未満の作業員
主任技術者
職長
安全衛生責任者
能力向上教育
危険有害業務・再発防止教育
外国人技能実習生
外国人建設就労者
1特 1号特定技能外国人

職長であれば「職」を記入します。

書式にも注記がありますので確認して記入しましょう。

雇入年月日/経験年数

作業員を会社が雇用を開始した年月日と、当該職種に従事している経験年数を記入します。

生年月日/年齢

生年月日と記入日の年齢を記入します。

18歳未満の作業員を入場させる場合、住民票記載事項証明書などの年齢証明書が必要となります。

現住所/TEL

作業員の現住所、電話番号を記入します。

家族連絡先/TEL

作業員に災害が発生した時などの緊急連絡先となります。

最新の健康診断日/血圧

労働安全衛生法により、雇入時と年1回の健康診断の実施が義務付けられています。

最新のものを記入する必要があります。

血圧は、最低血圧と最高血圧を記入します。

血液型

作業員の血液型を記入します。

重要な情報なので、詳細まで記入します。

特殊健康診断日/職種

有害業務従事者には半年に1回の特殊健康診断の受診が義務付けられています。

該当しなければ空欄とします。

有害業務従事者には半年に1回の特殊健康診断の受診が義務付けられています。

該当しなければ空欄とします。

健康保険/年金保険/雇用保険

社会保険加入状況は、別紙になっている作業員名簿もあれば一枚になっているものもあります。

 

健康保険の被保険者番号は、2020年10月以降、記入することが禁止となっています。

健康保険の種類(健康保険組合・協会けんぽ・建設国保・国民健康保険)または、後期高齢者など適用除外であれば「適用除外」と記入します。

 

年金保険は、年金の種類(厚生年金・国民年金)または、受給者であれば「受給者」と記入します。

 

雇用保険は通常の作業員であれば「加入」、日雇労働被保険者であれば「日雇保険」、事業主などの場合は「適用除外」と記入します。

右欄に被保険者番号の下4桁を記入します。

建設業退職金共済制度/中小企業退職金共済制度

加入していれば「有/〇」、加入していなければ空欄とします。

または、建設退職共済金は「建」、中小企業退職金は「中」、その他であれば「他」と記入します。

【教育・資格・免許】雇入・職長・特別教育

「雇入」とは作業員が雇入時に受ける「雇入時教育」のことで、全ての作業員は教育を受けることが義務付けられています。

職長教育を受けた作業員であれば「職長」と記入します。

特別教育を受講したものがあれば記入します。

「特別教育」とは法令に沿ったカリキュラムで企業や現場が実施する講習のことです。

業務の難易度や範囲は、特別教育・技能講習・免許の順に大きくなります。

【教育・資格・免許】技能講習

「技能講習」とは各都道府県の労務局に登録されている教育機関で受けた講習のことです。

【教育・資格・免許】免許

「免許」は試験を受験して合格したものを指します。

入場年月日/受入教育実施日

その建設現場に新規入場した日、新規入場者教育を実施した日を記入します。

作業員名簿の注意点

作業員名簿を作成するとき、提出するとき、それぞれ注意点を確認しておきましょう。

作業員名簿にも添付書類がある

18歳未満の作業員や外国人建設就労者などの証明書のコピー、業務に必要な資格を保有していれば免許証のコピーなど、添付書類が必要になるものがあります。

多くの作業員が従事する会社などでは、添付書類を集めるだけでも時間を要します。

個人情報の取り扱い

作業員名簿に記載する内容は、氏名や生年月日・社会保険加入状況など、すべて個人情報です。

電子化されているとはいえ、漏洩のリスクはゼロではありません。

取り扱いには十分注意しましょう。

作業員名簿など書類の電子化

建設業界でも業務効率向上のためのIT化は加速し続けています。

Excelデータで作成し、出力ではなく、クラウドサービスや施工管理アプリなどへアップロードで提出。

作業員名簿をはじめ、日報や図面のやり取りもインターネット上で完結するようになりました。

まとめ

作業員名簿を作成するときは以下の通り確認しましょう。

①作業員名簿の書式は元請業者の指示に従う

②提出方法も元請業者に確認

③個人情報の取り扱いに注意

④添付書類も忘れずに

 

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