建設業界の賃上げにおける3つのポイントとメリット・デメリット
2023.04.18
建設業界ではここ数年賃上げムードが高まっています。
物価高に加え、人件費まで上げることは難しいと思っている経営者も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような状況でも賃上げを行うことにより優秀な人材の確保や社員のモチベーションを高めることで、利益の向上に成功している企業もあります。
本記事では経営環境を悪化させることなく、効果的に賃上げを行う方法を詳しく説明していきます。
目次
「効果的に賃上げを行うための3つのポイント」
慢性的な人手不足である建設業界において、他社との差別化を図り、優秀な人材を獲得したいと考えるのはどの経営者も同じでしょう。
その人材獲得において有効な手段として挙げられるのが賃上げです。
- まだ賃上げに踏み切れていない
- 賃上げしたいけど金額やタイミングが分からない
といった悩みを持たれている方に、効果的な賃上げの方法を以下の3つのポイントを元に解説していきます。
建設業の賃上げポイント①:賃上げの原資を確保する
賃上げを行うには原資が必要です、大企業であれば内部留保で賄えるかもしれませんが、中小企業の場合はそう簡単にはいきません。
ではどうやって原資を確保するのか、その答えは自ら利益を生み出すほかにありません。
無駄を無くし利益を残すためには以下に挙げる点を見直し対策していく必要があります。
- 受注金額の見直し
- 発注金額の見直し
- 経費削減
- IT技術を活用した業務効率化
建築業界にありがちな金額の下げ合いによる受注をなくします。
独自のサービスや技術を売り込んで無理のない金額で受注を行い、決して安請け負いをしないことが重要です。
また、材料費や下請けなどの外注費についても価格交渉を綿密に行いコストを下げることによって利益が生まれます。
さらには、光熱費や通信費など身近な費用の見直しは案外見落としがちなのでそこも注意が必要です。
最近では工程管理や写真整理アプリなど建築業界に役立つツールもたくさん出ていますので
業務の効率化を図るために利用するのも手立ての一つです。
建設業の賃上げポイント②:賃上げの方法とタイミング
主な賃上げの方法としては以下のものが考えられます。
- 基本給の増額(定期昇給)
- 賞与の増額(一時昇給)
- 初任給の増額
- 業績に応じた増額(ベースアップ)
賃上げの方法は業績や市場の環境にも影響されます。
一時昇給やベースアップは業績が好調な時に行われるのが一般的です。
定期昇給については年に1回もしくは2回(4月と10月)に行われることが多いです。
自社の業績に見合ったタイミングで賃上げを行いましょう。
建設業の賃上げポイント③:賃上げ額について
2022年度は大手ゼネコンが揃って3%程度の賃上げを行いました。
また、2023年度の政府の年頭会見では「インフレ率を超える賃上げの実現を」と発表がありました。
その影響もあり大手企業では今年度も3~5%程度の引き上げを行う企業が増えると予想されます。
中小企業においては大手企業より賃上げ率は低くなり2%~3%とする企業が多いと予想されます(OECD(経済開発協力機構)発表の2022年度のインフレ率は2.3%)。
経営状況に応じた無理の無い賃上げ額を算出しましょう。
賃上げにより得られるメリット
賃上げを行うことにより得られるメリットは以下のものが考えられます。
- 従業員のモチベーション向上
- 新規雇用の確保
- 税制優遇措置
- 人材流出の防止
- 入札時の加点措置
建築業界における賃上げは今後も予想されており、大手ゼネコンを中心に中小企業においても賃上げを実施する企業が増えるでしょう。
競合他社との差別化を図り自社の強みを生かせる賃上げ方法を考えていきましょう。
従業員のモチベーション向上
賃上げを行うことにより従業員の経済的な安心感が増しモチベーションの向上が期待されます。
給料や福利厚生が十分に整っていれば「会社のために頑張ろう」という意識も芽生えるので、双方にとってメリットがあります。
新規雇用の確保
建設業界は労働力が不足しているので他社との差別化を図る上で賃上げはとても重要です。
働きやすさや仕事のやりがいなど金銭面以外の条件も会社を選ぶ基準として重要ですが、初任給や基本給が他社より高ければ新卒や中途採用の際に有利になります。
税制優遇措置
政府が行っている中小企業向けの賃上げ促進税制は、中小企業が前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。
控除率は最大40%(上限は法人税額の2割)、現状では2年間限定となっていますが2023年3月末決算分から適用が開始されるので対象となる可能性があるか早急に確認しましょう。
制度の詳しい内容は下記資料をご確認下さい。
>>経済産業省「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」
人材流出の防止
建設業界では若年層の在職者が減少しているうえ他業界と比べても賃金が低い傾向にあり、賃上げは人材流出を防ぐ為の有効な手段となります。
また、業績に応じた一時金の支給やベースアップを行うことで従業員のモチベーションの向上や生産性の向上につながります。
キャリアアップやスキルアップの支援なども行い他社との差別化を図ること
で優秀な人材の育成、定着率の向上が期待できます。
入札時の加点措置
2022年4月から入札に参加している企業において、
- 大企業(資本金1億円超)の場合 → 対前年度比で3%以上
- 中小企業(資本金1億円以下)の場合 → 対前年度比で1.5%以上
の賃上げを行う表明があれば総合評価の5%以上が加点される優遇措置がスタートしました。
賃上げ表明期間終了後に実績を提出して確認が行われます。
賃上げ基準が未達成の場合や賃上げ実績確認書類が期限内に提出されなかった場合は、通知された日から1年間加点措置よりも大きな点数が減点されるので注意しなければいけません。
賃上げのデメリット
賃上げによるデメリットは以下のものが考えられます。
- 人件費の増加
- 投資資金の抑制
賃上げは企業に様々なメリットをもたらします。
一方、人件費の増大により利益が減少したり投資にまわす資金が抑制されるなどのデメリットもあります。
世間の賃上げムードに流されず自社の経営状態や従業員の意見なども織り交ぜながら、場面に応じた賃上げを行いましょう。
そして、経営を圧迫させる状況にならないよう気を付けなければなりません。
人件費の増加
基本給や初任給、一時金の増加など賃上げにはいくつかの方法があり、いずれの方法でも人件費は増加します。
人件費を上げることが会社の利益向上につながれば良いですが、その効果が出るまでには相応の時間が必要です。
その為、その間の資金調達についても考えておく必要があります。
投資資金の抑制
企業が成長していく上で必要な投資には以下のものが挙げられます。
- 設備投資
- 人材投資
- 不動産投資
- DX投資
経営状態や企業の特色により投資の優先順位も変わってきます。
賃上げを行うことによりこれらの投資にまわす資金が抑制されることも考えられます。
賃上げにより得られる効果より他に投資した方が得られる効果が大きのであれば、そちらを優先するべきです。
賃上げだけが企業を成長させるものではないので、自社の環境に合う形で投資を行うことが大切です。
まとめ
企業における賃上げは新たな雇用を生み出し生産性の向上や従業員のモチベーションの向上が期待できます。
賃上げを行う過程において、実は不要だったコストの見直しができたり、これまでに気付かなかった改善点が発見できたりします。
そのため、結果的に企業全体に良い影響を与える可能性が高くなります。
一方、やり方を間違えると経営環境を悪化させてしまう恐れもありますので、賃上げを行うことにより得られるメリット・デメリットを十分理解し計画的に賃上げを行うことが大切です。
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