建築一式工事でリフォームは可能か?工事を請け負う際の注意点
2023.04.19
建設業許可には、リフォーム業という業種は存在しません。
では、リフォーム工事を行う際にはどの許可が必要かご存知でしょうか。
「建築一式工事を取得していれば、リフォーム工事を請け負っても問題ないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、実際にはどうなのでしょうか。
ここでは、建築一式工事でリフォーム工事を請け負っても問題ないのかどうか、工事を請け負う際の注意点について解説しています。
建築工事一式でリフォームを請け負っても問題ないの?
建設業許可は以下の29種類の工事においてそれぞれ許可をとる必要があります。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル、レンガ、ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃工事
- 解体工事
上記のように細かく分類されており、工事の内容によってそれぞれの建設業許可を取得する必要があります。
では、リフォーム工事の場合はどうなるのでしょうか。
上記で記しているように、リフォーム工事は建設業許可には含まれません。
建築一式工事を取得していれば、リフォーム工事を請け負っても問題ないのでは、と考える方もいるかもしれませんが実際のところどうなのか、解説していきます。
そもそも建築一式工事とは?
そもそも、建築一式工事とはどのような内容か、まずはその点をおさらいしておきましょう。
建設業許可においての建築一式工事とは、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」のことです。
例えば、家の新築工事の際に、大工工事や内装工事、電気工事などあらゆる分野の専門工事が行われます。
この場合、これらの専門工事業者を統括してお施主様と請負契約を締結する元請業者が必要になります。
つまり、この元請業者は、専門業者を統括するために建築一式工事の建設業許可を取得していなければなりません。
また、一般的に建築確認が必要な新築工事や増改築、大規模改修工事は建築一式工事にあたるため、建築一式工事の建設業許可がなければ工事を請け負えません。
専門工事は別途他の建設業許可が必要
建築一式工事の建設業許可は、建築一式での工事を請け負うための許可ですので、電気工事など他の建設業許可が必要な工事を請け負うことはできません。
ですので、専門工事を行う際には、その専門工事の建設業許可を取得する必要があります。
つまり、建築一式工事を取得しているからといって、リフォーム工事を請け負うことはできないのです。
500万円未満の「軽微な工事」であれば問題ない
税込500万円未満の「軽微な工事」であれば、建設業許可がなくても誰でもリフォーム工事を請け負うことが可能です。
住宅のリフォーム工事は、全体の8割近くは500万円未満の小規模工事であることから、建設業許可を取得せず小規模工事を請け負う小さな会社も存在します。
ただ、最近では同業他社との差別化や、集客のため、融資や助成金を受けるために建設業許可を取得する業者も増えてきています。
対象とする工事が建築一式工事に該当する場合は、請負金額が1500万円未満もしくは木造住宅で延床150m2未満の工事であれば無許可で施工可能です。
建築一式でリフォーム工事を請け負う際の注意点
500万円未満の小規模のリフォーム工事を、無許可で請け負う場合の注意点を解説します。
これから説明する注意点をしっかりと確認した上で、工事を施工しましょう。
軽微な工事ではなく、許可の必要な工事を無許可で施工してしまった場合、大問題に発展するので気をつけてくださいね。
軽微な工事とは何かを再確認!
軽微な工事とは、建築一式工事に該当する工事とそれ以外の工事で捉え方が異なってきます。
先にも述べましたが、それぞれ軽微な工事の内容を再確認しておきましょう。
対象の工事が建築一式工事の場合は、請負金額が1500万円未満もしくは延床150m2未満の木造工事です。
建築一式工事以外の工事は、請負金額が500万年未満の工事が軽微な工事に該当します。
もし、建築一式工事であると判断して、500万円を超える工事を受注したのに実は内装工事に該当する工事だった場合、建設業法違反になります。
後から問題にならないように、リフォーム工事の内容はしっかりと精査して判断するようにしましょう。
軽微な工事は金額から判断!
上記のように、軽微な工事であるかどうかは金額で判断する場合が多いです。
注意すべきは、この金額の考え方です。
含めるべき費用を含めず、軽微な変更と判断して無許可で施工して建設業法違反をしてしまわないためにも、以下の内容を確認しておきましょう。
- 工事請負金額は消費税込みで500万円・1500万円未満かどうか
- 分割発注している場合、その発注分も含めた金額で判断しているかどうか
- 追加工事があった場合、その費用も含めて金額を判断しているかどうか
- 資材の支給があった場合は市場価格で加算しているか
軽微な工事だからといって曖昧に計算せず、きっちりと金額を出した上で工事を請け負えるかどうかを判断してください。
500万円以上のリフォーム工事の場合は専門工事の許可が必要!
500万円以上のリフォーム工事を請け負う場合、専門工事の許可が必要になってきます。
ここでは、専門工事とは何か、リフォーム工事の実例から考える必要な建設業許可について解説します。
専門工事とは?
専門工事とは、先に述べた建設業許可の中の土木一式工事、建築一式工事以外の全ての業種のことです。
電気工事や内装工事など、請け負う工事によっては新たに専門工事を取得しなければならない場合もあります。
リフォーム工事の例から見る必要な建設業許可
よくあるリフォーム工事の6つの例をもとに、必要になる建設業許可について説明していきます。
これから解説する内容を参考に、請け負う工事にはどんな許可が必要かを判断してくださいね。
内装リフォーム・リノベーション工事
最近では、中古住宅のリフォーム・リノベーションする工事の人気が高まってきています。
内装リフォーム・リノベーション工事は、構造体はそのままにして建物の間仕切りを変えたり、壁紙や床材を張り替えたり、その他内装の改修・補修する工事です。
他にも、電気配線工事や塗装などさまざまな付帯工事も含まれますが、内装リフォーム・リノベーション工事の主たる工事は内装工事にあたります。
ですので、この場合に建設業許可で取得すべき工事は内装仕上工事になります。
エクステリアリフォーム工事
エクステリアリフォーム工事とは、外構工事のことです。
外壁の設置や門扉の設置、改装工事などが、エクステリアリフォーム工事にあたります。
この場合、とび・土工工事の建設業許可が必要です。
増改築リフォーム工事
建築物の増築や減築などのリフォーム工事は建築一式工事に該当します。
なぜなら、建物の床面積が変更になるため、建物構造の耐震強度などを総合的に見る必要があるからです。
浴室リフォーム・ユニットバス設置工事
ユニット式ではない浴室の場合、建設業許可で取得すべき業種は内装工事や防水工事、タイル工事など、工事の内容に該当する許可が必要になります。
ただ、ユニットバスの設置の場合は、とび・土工コンクリート工事に該当します。
これは、ユニットの固定する工事が主たる工事となるため、この作業はとび・土工コンクリート工事に分けられるからです。
外壁リフォーム工事
外壁の塗装工事の場合、主たる工事は塗装や防水工事になります。
外壁にガルバリウム鋼板を使用する場合、該当する業種は板金工事です。
他にも、外構壁を解体して新たに設置する場合は、とび・土工・コンクリート工事やレンガブロック工事などに当たる場合もあります。
キッチンリフォーム・システムキッチン設置工事
キッチン全体のリフォームとシステムキッチンの設置とで該当する業種が異なります。
床材の変更や収納棚の取り付け、壁や照明の交換など、キッチン全体のリフォームの場合、内装工事や塗装工事、大工工事などが主たる工事に該当します。
システムキッチン設置工事の場合、ユニットバスの設置と同様にキッチンユニットの固定が主たる工事となるため、該当する業種はとび・土工・コンクリート工事です。
キッチンリフォーム工事の内容はしっかりと確認しておきましょう。
付帯工事なら許可不要
付帯工事とは、主たる工事を施工する際に生じる建設工事のことです。
建設業法における付帯工事であれば、500万円以上の工事であっても建設業許可を取得せずに請け負うことができます。
例えば、クロスの張り替えなどの内装リフォーム工事を請け負った場合、内装仕上工事の許可を取得する必要があります。
その請け負った工事に関連して管工事にあたる空調設備の設置やコンセントの移設などの電気工事を行う際、これらの工事は付帯工事に該当するため、500万円以上の工事であっても許可は不要です。
ただ、たとえ建設業許可が不要でも、資格の取得など他の法律規定を遵守しなければなりませんので、その点は注意してください。
リフォームで建設業許可を取得するなら内装仕上工事業から
これから住宅リフォームを請け負う際に、まず取得する内装仕上げ工事業から取得するようにしましょう。
住宅フォームでは、内装・インテリアの請負・施工が多いです。
また、先に述べたように、内装工事に関連した付帯工事であれば無許可で請負・施工ができるので、大半の住宅リフォーム工事は対応が可能になります。
ただ、例えばすでに外壁塗装工事や木工造作工事を専門とするなど、すでに専門分野がはっきりしているのであれば、その工事に該当する許可を取得するようにしましょう。
外壁塗装工事であれば塗装工事、木工造作工事であれば大工工事の許可が必要です。
また、地域によってはリフォーム一式工事を建築一式工事と解釈する都道府県もあるため、事前に確認しておく必要があります。
他にも、マンション共有部分のリフォームや大規模な模様替えなどの工事の場合、建築一式工事の許可を取得しなければなりません。
不明な場合は建設業許可を申請する許可行政庁に確認をとって見るようにしましょう。
まとめ
建築一式工事でリフォーム工事を請け負うことは可能ですが、その場合は軽微な工事であることや500万円未満の工事である必要があるなど建設業法に従う必要があります。
軽微な工事だからと請け負ったが、後々建設業法違反を犯していたとなると大問題です。
また、リフォーム工事は請け負う工事の内容によって専門工事が全く異なってきます。
工事を請け負う際にどの専門工事の許可が必要か、しっかりと吟味するようにしましょう。
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