脱炭素社会とは?住宅業界の動向を徹底解説
2022.05.26
近年、脱炭素という言葉をよく聞くようになりました。
地球温暖化は世界的な大きな問題となっており、世界各国で脱炭素社会の実現に向けて動いています。
日本でも、脱炭素社会の実現に向け、各業界でさまざまな施策が行われている状況です。
その中で、住宅業界はどのような方向性に行くのか抑えておきたいポイントです。
本記事では、脱炭素に向けた住宅業界の動向をまとめました。
目次
脱炭素社会とは
脱炭素とは
脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を減らす取り組みを指します。
18世紀の産業革命以降、世界が石炭や石油などの化石燃料を使用することにより、二酸化炭素の排出量は急激に増えました。
しかし、近年では温暖化の原因となる二酸化炭素に代わり、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーを使用する動きにシフトしています。
カーボンニュートラルとの違い
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量の削減努力をしてもどうしても抑えきれない分を森林の保全・植林などによる二酸化炭素の吸収量を差し引き実質ゼロにすることです。
人間や動物が存在する限り、二酸化炭素はゼロにすることはできません。
温室効果ガスの排出を、産業など抑えられるところで抑え、森林を守ったり増やしたりすることでプラスマイナスゼロにすることが目的になります。
温室効果ガスの排出量を実質ゼロにできた社会を脱炭素社会といいます。
脱炭素の必要性
温室効果ガスは、地球の温暖化の原因となっています。
地球温暖化は、北極や南極の氷河を溶かし海面上昇の問題を起こすほか、海水温を上昇させ、気候変動の原因にもなっています。
近年、日本でよく起きている、異常に強い台風や豪雨もこの気候変動が原因といわれています。
この台風や豪雨などの自然災害は日本だけでなく、世界的に多く起きていることから世界的な問題になっているのです。
世界の動き
気候変動対策へ向けた、世界的な動きとして「パリ協定」があります。
パリ協定とは2015年にパリで開かれた、温室効果ガス削減に関する国際的な取り組みを話し合う「国連気候変動枠組条約国会議(通称COP)」で合意されました。
パリ協定であげた、世界共通の長期目標は以下の通りです。
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
- そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとる
上記の目標からでもわかるようにパリ協定でも脱炭素の実現に向け世界全体で取り組もうという動きがあるのです。
日本が目指す脱炭素社会
2020年10月に国会演説で菅元総理が所信表明で、「日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と発表しました。
日本は年間で約12億トンの温室効果ガスの排出量があり、2050年までにこれを実質ゼロにしなければなりません。
所信表明以降、日本で脱炭素やカーボンニュートラルなどのフレーズが浸透し、さまざまな業界でカーボンニュートラルに向けた取り組みが広がってきています。
日本の脱炭素社会の大きな問題点
遅れている日本の住宅
日本の住宅は世界と比べて非常に遅れているといわれ、日本は先進国の中でも最低レベルです。
日本では窓に結露が出てもさほど問題になりませんが、欧州では施工者が責任を問われるといいます。
日本がここまで省エネ住宅後進国になった理由は、新築の省エネ基準適合が義務化されていないことが大きな理由といえます。
古い省エネ基準
省エネ先進国の欧州は3〜5年ごとに省エネ基準を改正し、年々厳しくなっています。
その一方、日本は新築の省エネ基準を義務化していないうえ、日本の省エネの基準は20年前のままだといいます。
日本がどれだけ住宅の省エネについて遅れているか、よくわかる事例です。
出展:(図表)ドイツの省エネ基準強化の推移と日本の現行基準
生活の消費エネルギーの問題
日本は東日本大震災以降、原子力発電がストップし、電気の製造を火力発電に頼っています。
火力発電は石炭、化学ガスを必要とするため、温室効果ガスを大量に排出します。
そのため、日本の住宅が電気を使えば使うほど、温室効果ガスの排出量を増やし、地球温暖化の促進をしているといっても過言ではないのです。
住宅業界向けた地球温暖化対策計画
パリ協定を踏まえた「地球温暖化対策計画」において、日本があげた目標は以下の通りです。
- 中期目標2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減する
- 2050年までに、温室効果ガスの排出量を80%削減する
日本がこの約束を実現するためには、住宅の消費エネルギーを見直すことが大きな鍵になります。
まず、中期目標達成のため家庭部門において、2030年には温室効果ガスの排出量を27%削減することが求められました。
そのため、住宅・建築物の省エネルギー向上が大きなテーマになっています。
脱炭素社会へ向けたこれからの住宅業界
省エネ基準 適合義務化
国土交通省・経済産業省・環境省の合同の「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策あり方検討会」は2025年には新築住宅の省エネ基準適合を義務化すると合意しました。
これまで、何度も適合義務化について検討し、2020年に義務化という案もありましたが、実現はしませんでした。
やはり、菅元総理の所信表明が大きな引き金になったといえます。
ZEH(ゼッチ)普及
住宅の温室効果ガスの排出量を削減するためには、ZEH(ゼッチ)の普及が大きな目標になります。
ZEHとはネットゼロエネルギーハウスの略で、高い断熱性能、省エネ設備の設置、創エネ設備を採用することで、消費エネルギーを実施ゼロにする住宅です。
住宅からの温室効果ガスの削減には、住宅の性能を上げることが大前提になります。
ZEHにすることで、断熱性と省エネ設備で極力消費エネルギーを抑え、太陽光発電による創エネを採用することで電力会社からの電力に頼ることを大幅に減らすことができます。
ZEHの普及が進めば、「地球温暖化対策計画」で日本があげた目標に大きく近づくことでしょう。
LCCM住宅の普及
LCCM住宅とは、ライフサイクルカーボンマイナスといい、住宅の建設から生活、廃棄までのCO2の排出量を収支マイナスにする住宅です。
- CO2の排出量の少ない資源・材料
- 施工時でもCO2を抑える
- 長寿命の長く住める住宅を建設
- 生活時で省エネ・創エネによるCO2の削減
- 解体時でもCO2を削減する
などの基準があり、ZEHより厳しい基準を持っている住宅です。
より環境に配慮した住宅であり、脱炭素社会に向けた住宅であるので、国もこのLCCM住宅の推奨を進めています。
省エネ基準の引上げ
日本の省エネ基準は20年前から変わっていないと前項でも述べました。
しかし、「地球温暖化対策計画」における目標達成に向け、省エネ基準にも変化がありそうです。
国は2030年には省エネ基準をZEHレベルまで引き上げることを検討しています。
2025年には省エネ基準が新築住宅に適合義務化される予定になっておりますので、2030年には新築住宅全てがZEHになる未来が予想されます。
まとめ
脱炭素社会に向けて、住宅業界が大きく変化しています。
- 化石燃料から再生可能エネルギーへの変化
- エネルギーは自分でも作る時代
- 建築・住宅の省エネ基準の引上げ、義務化
省エネ基準も最低でもZEH基準が当たり前になる可能性が高いです。
今まで当たり前だった住宅の基準は、今後通用しなくなります。
これからは、脱炭素社会の実現に向け、大手だけでなく中小企業のハウスメーカーや工務店も変化する時代となるでしょう。
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