建設業や工務店でも活用できるIT導入補助金【2022年版】を詳しく解説!
2022.06.27
【2022年11月4日更新】
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツール導入の際に活用することができる補助金です。
IT導入補助金を活用して社内にITツールを導入することで、建築提案内容の充実や社内外の様々な業務をより効率化させることができます。
2022年で6回目となるこの補助金制度、
- 「毎年内容が変わってわかりにくい」
- 「そもそも自分の会社が補助対象になるか分からない」
といった声が多く、せっかく使える制度なのにみすみす見逃している法人様、個人事業主様が多くいらっしゃいます。
生産性が低い業種と言われる建設業ですが、デジタル化によって収益力の向上を図る事ができます。
そこで今回はITツール導入時にIT導入補助金を利用する方法についてまとめてみました。
IT導入補助金を国が施策する背景
建設業は、
- 高齢化
- 募集しても人が来ない
- たまに若い人が入っても生産性が低く給料を上げられないので辞めてしまう
といった慢性的問題がかかえています。
中小企業のデジタル化の遅れが指摘されて久しいですが、
- 現場の段取り
- 工程管理
- 人員配置 など
昔から電話と職長の頭の中だけてやっていた業務管理にITツールと導入する事が急務となっています。
対応できない中小企業は大手ゼネコンの仕事が受けられなくなる時代が目の前まできています。
そこで今回はITツール導入に補助金が出る「IT導入補助金」のご紹介を致します。
今年度事業概要
申請枠
令和元年度に設定された「通常枠(A・B類型)」
生産活動に資する事業を行っている中小企業及び小規模事業者等が補助対象となります。
自社の強みや弱みを認識、分析し、生産性向上のためのプロセスの改善と効率化を目的とし、事務局に事前に登録されているITツールを導入する事業者に対して、導入するITツールの費用の一部を補助する事を目的としています。
令和4年度に新設された「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)」
中小企業・小規模事業者等のみなさまが導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。
令和4年5月に新設されたセキュリティ対策推進枠
生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等においてサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避する費用支援です。
さらに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや中小企業・小規模事業者等の生産性向上を阻害するリスクを低減するための費用支援を行います。
公要要領
IT導入補助金は国の予算で行われる補助事業となりますので、行政に対する「申請」をして「採択」をされる事が大前提となります。
その為行政側の規定を順守できていなければ採択になりませんので、まず公募要項をよく理解して、どの申請枠を申請するかを決定しなければなりません。
「通常枠(A・B類型)」の補助対象
【A 類型】
- 必ず“1 種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること。
- 上記を満たしていることを要件として、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」に係る各経 費も補助対象となります。
- 補助額は 30 万円以上 150 万未満。
【B 類型】
- 4種類以上のプロセスを保有するソフトウェアを申請すること。
- 上記を満たしていることを要件として、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」に係る各経費 も補助対象となります。
- 補助額は 150 万円以上 450 万円以下。
※プロセスとは;本事業において登録されるITツールのうち、ソフトウェアは次の各号のいずれかに該当する生産性を向上させる工程あるいは効率化させる工程(以下「プロセス」という。)の機能を有しているものを対象とする。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 調達・供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
- 業種固有
- 汎用・自動化・分析ツール
※この4種類のプロセスは1つのソフトウェアではなく複数のソフトウェアを選定して4種類以上にする事も可能です。
本事業で B 類型に申請しようとする者は、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが必要です。
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用 に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準が必要です。
種類 | 通常枠 | |
A類型 | B類型 | |
補助額 | 30万~150万円未満 | 150万~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | |
プロセス数※1 | 1以上 | 4以上 |
ITツール要件(目的) | 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。 | |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象 | ソフトウェア費・クラウド利用料(最大1年分補助)・導入関連費等 |
※1:「プロセス」とは、上記にも記載ありますが業務工程や業務種別のことをさします。
「デジタル化基盤導入枠」の補助対象
ソフトウェア、オプション、役務 IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたソフトウェア、オプション、役務の導入費用。
なお、月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等) およびその保守は、最大2年分の費用が補助対象となります。
ハードウェア 補助対象経費となるソフトウェアの導入と併せて購入する場合に限り、ハードウェアの購 入費用を補助対象経費と認められます。
種類 | デジタル化基盤導入類型 | |
補助額 | ITツール | |
5万円~350万円 | ||
内、5万円~50万円以下部分 | 内、50万円超~350万円部分 | |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
対象ソフトウェア | 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト | |
賃上げ目標 | なし | |
補助対象 | ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分補助)・導入関連費等 レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円 |
「セキュリティ対策推進枠」の補助対象
【補助対象となるITツール】
本事業において補助の対象となるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、本事業にお いてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを指しています。
セキュリティ対策推進枠は2022年5月31日に公開されたばかりの新しい枠です。
その為、現在8月頃申請開始という予定しか出ていません。
通常枠 | |
補助額 | 5万~100万円 |
補助率 | 1/2以内 |
機能要件 | 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス |
補助対象 | サービス利用料(最大2年分) |
補助対象となるITツール
通常枠にて補助対象となるITツールの分類
本事業において補助の対象となるITツールとは以下3つのいずれかに分類されるツールです。
- 大分類Ⅰ「ソフトウェア」
- 大分類Ⅱ「オプショ ン」
- 大分類Ⅲ「役務」
デジタル化基盤導入枠にて補助対象となるITツールの分類
本事業において補助の対象となるITツールは、次の4機能です。
- 会計
- 受発注
- 決済
- EC
大分類Ⅰ「ソフトウェ ア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」、大分類Ⅳ「ハードウェア」のいずれかに分類されるツールです。
3-3セキュリティ対策推進枠
本事業において補助の対象となるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、本事業にお いてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを指します。
サイバーセキュリティお助け隊サービスリストとは国の実証事業を経て実用化された中小企業特化型の【安価・簡便】【安心・安全】のサービスです。
「攻撃は完全に防ぐことは出来ない」ことを前提に【攻撃の被害化】【被害の実害化】を防ぐことに主眼を置き、中小企業の社会的信用の向上に貢献するサービスです。
IT導入補助金申請の流れ
IT導入補助金の申請や事業実施後の報告などの手続きはIT挿入支援業者のサポートが受けられますが、申請準備のためにも実際の申請から交付までのフローを確認いたします。
IT導入補助金申請の流れ①:本補助事業についての理解
まず、公式サイトの申請・手続フローのページで公募要領を読み、補助事業についての概要を把握しましょう。
IT導入補助金申請の流れ②:ITツールの選定
補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。
IT導入補助金申請の流れ③:gBizID取得
交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となります。gBizIDプライムをお持ちでない場合は「gBizID」ホームページより取得する事になります。
※gBizIDプライムアカウントID発行までの期間は、おおむね2週間となっております。
IT導入補助金申請の流れ④:事業計画の策定
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。その後、中小企業・小規模事業者等のみなさまの交付申請は、以下の流れで行います。
- IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
- 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
- IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
- 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。
IT導入補助金申請の流れ⑤:交付決定
交付申請を完了し、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払い等を行うことができます
IT導入補助金申請の流れ⑥:証憑の提出
補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出します。
証憑の提出は、以下の流れで行います。
- 中小企業・小規模事業者等のみなさまが『申請マイページ』から事業実績報告に必要な情報及び証憑の添付を行い、事業実績報告を作成する。
- 事業実績報告が作成された後、IT導入支援事業者が内容の確認及び必要情報の入力を行う。
- 最終確認後、中小企業・小規模事業者等のみなさまが事務局に事業実績報告を提出する。
IT導入補助金申請の流れ⑦:補助金交付
事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。その内容を確認した後に補助金が交付されます。
IT補助金申請に必要な書類
法人の場合
- 法人の場合 履歴事項全部証明書(発行から 3 ヶ月以内のもの)
- 事業継続確認書類 税務署の窓口で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その 1」もしくは「その2」)
※納税証明書についてはいろいろな種類がありますが、認められるのは上記の納税証明書その1もしくはその2のみになりますので、ご注意ください
個人事業主の場合
- 本人確認書類 (有効期限内の)運転免許証もしくは運転経歴証明書もしくは住民票 (発行から 3 ヶ月以内のもの)
- 事業継続確認書類1 税務署の窓口で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その 1」もしくは「その 2」)
- 事業継続確認書類2 税務署が受領した直近分の確定申告書 B の控え
※ 履歴事項全部証明書及び本人確認書類は、交付申請提出時点で発行から 3 ヶ月以内のものとする。
※ 納税証明書は、納税した領収書ではなく納税証明書その 1 もしくはその 2 のみです。必要となる添付資 料は「税務署が発行」しており、税目が「法人税(個人事業主の場合は所得税)」の直近に納税されて いるものであることを確認した上で提出しましょう。
この部分は書類不備で指摘される事が多い部分ですので、税務署に書類請求する前に十分確認しましょう。
2022年のスケジュール
2022年の交付申請期間は、2022年3月31日(木)受付開始しています(終了時期は後日発表予定)。
締切スケジュールは以下のとおりです。
【通常枠(A・B類型)】
■9次締切(最終締切) 12月22日(木)17:00
【セキュリティ対策推進枠】
■5次締切 12月22日(木)17:00
■6次締切 2023年1月19日(木)17:00
■7次締切(最終締切) 2月16日(木)17:00
【デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)】
■17次締切 12月22日(木)17:00
■18次締切 2023年1月19日(木)17:00
■19次締切(最終締切) 2023年2月16日(木)17:00
国の事業ですので、予算がなくなるとこの年度の事業は締切予定にかかわらず完了となります。
締切が近づくと事務局からの返信も遅れがちになります。また予算に限りがある事業ですので、当然後の方の申請は採択率が下がってきます。
gbizID取得にも時間がかかりますので、少しでも検討する可能性がある場合gbizIDだけでも先に取っておいた方がよいです。今後他の補助金申請でも必要とされてきますので、取っておいて損はありません。
まとめ
IT導入補助金は基本的に中小企業・小規模事業者がIT導入支援事業者にサポートを受けながら、申請から交付まで手続きを進めるスキームです。
1つの物件に対して広範な業務や複数の担当者を必要とする建設業に特化したツールもありますので、検討する価値があります。
複数の独立したファイルを各部署で管理する煩わしさや、追客からアフターまでの顧客管理の徹底など、この機会にITツール導入補助金を活用して改善してはいかがでしょうか。
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