建設業でよくあるクレーム事例とは?対処法と対策をわかりやすく解説
2022.02.15
建設業は、クレーム産業と言われるくらいクレームの多い業種です。
しかし、ビジネスを展開していくなかで、クレームは避けて通れません。
- 建設業にはどんなクレームがあるの?
- クレームの対応方法が知りたい
- 迅速に解決したい
- クレームを防ぐ方法が知りたい
など、対応に困っている建設業者も多いことでしょう。
本記事では、建設業でよくあるクレーム事例や対処法、未然にクレームを防止する方法について解説しています。
ぜひクレーム削減や再発防止のために役立ててください。
建設業でよくある4つのクレーム
工事中に起こりやすいクレームの具体例は、以下の4つです。
- 工事中の作業音や振動によるクレーム
- 現場から出るゴミやホコリへのクレーム
- 作業員のマナーに対するクレーム
- 工事内容や施工についてのクレーム
建設現場では、騒音や職人の立ち居振る舞いが苦情となりやすく、無用なトラブルを回避するためには、クレームが発生した際の対策を考える必要があります。
クレーム①:工事中の作業音や振動によるクレーム
工事中には、電動工具やクレーン、荷下ろしなど、どうしても大きな作業音や振動が発生します。
近隣住民が音や刺激に敏感であれば、事前に説明していてもクレームとなることもしばしば。
クレームの防止には、防音パネルやシートを用いた騒音対策や、作業する時間帯に注意するなどの対策が必要です。
どうしても大きな音や振動が出る場合は、具体的な作業日時を書面に明示して、近隣住民に配ると良いでしょう。
工事で作業音や振動が出ることは避けられません。
事前説明と対策に取り組んで、慎重に施工を進めましょう。
クレーム②:現場から出るゴミやホコリへのクレーム
建設現場では、木材の切断や石材の加工で粉じんが舞うなど、作業の性質上どうしてもゴミやホコリが発生します。
そのため、各現場では粉じん対策やゴミの分別を徹底しなければいけません。
もし、ゴミやホコリへの対策が不十分であれば、近隣住民からクレームが起きてしまいます。
クレームを回避するには、防じんシートで養生したり、ホコリが舞わないように散水や掃き掃除をしたりなど、現場外への拡散を防止する対策が必要です。
また、現場近辺に弁当ガラやペットボトル、空き缶などのゴミを捨てないよう、現場作業員にはゴミ捨てやゴミの分別についての指導を徹底しましょう。
クレーム③:作業員のマナーに対するクレーム
- 作業員の話し声や笑い声がうるさい
- すれ違っても挨拶がない
- 工事車両が駐車しているので邪魔
- 近くのコンビニでたむろしていた
など、工事現場では作業員のマナーの悪さから、クレームが発生するケースも。
このようなクレームを防ぐには、マナー研修の実施や、現場監督への指導を徹底して作業員のマナーを改善する必要があります。
クレーム④:工事内容や施工についてのクレーム
近隣に音が響くような大きな工事の前には、一般的に現場監督が近隣住民を訪問して、工事内容や施工について説明します。
しかし、このような手順を踏んでいても、
- 作業音が大きい
- 説明で聞いた作業時間を過ぎてもまだ作業している
- 工事について聞いていない
などといったクレームが起きるのです。
クレーム原因のほとんどは、事前説明があいまいだったり、着工後に工事内容や施工体制が変わったりして、変更についての説明が行き届いていなかったことに起因します。
説明する際には口頭だけでなく、工事内容や施工時間、日程などを明記した書面を渡して説明することが大切です。
施主は、完成後も近隣住民との関係性が継続するため、クレームやトラブルにならないよう細心の注意を払って作業に臨みましょう。
建設現場でクレームが発生した際の対処法
クレーム対応のポイントは、不平や不満を持つ顧客や近隣住民に対する真摯な態度です。
相手の感情に寄り添いながら、柔軟かつ人間味のある対応が求められます。
クレーム対処法のポイントをいくつか挙げてみましょう。
- 真摯な態度で話を聞く
- 当事者意識を持って対応する
- 相手の立場に立って対応する
- クレーム内容を社内で共有する
- クレーム対応の記録を残す
- 解決策を提示する
クレーム対応に苦手意識を感じている方は、参考にしてください。
真摯な態度で話を聞く
顧客や近隣住民から苦情やクレームが発生した際、相手方の多くは感情的かつ興奮状態になっています。
そのため、自分に非があろうとなかろうと、まずは「相手の話をしっかりと聞く」ことが大切です。
「面倒なので、早く済ませたい」という態度や気持ちは、相手にも伝わるので注意しましょう。
相手の気が済むまで話をしてもらい、ひと通り話が終わるまでよく聞くことがクレーム対応の基本です。
クレーム内容をただ聞いているだけではいけません。
「相手の心情を理解してあげる」聞き方が大切で、そうすることで不快感や怒りは徐々に収まってきます。
話を聞いている姿勢を示すために、適度にうなずいたり、あいづちを打ったりして声に出すこともポイントです。
当事者意識を持って対応する
クレームを受けた際、他人事のように無責任な態度をとって、事態を悪化させるケースがあります。
例えば、下請けがしたことだからと責任逃れをしたり、外注先のミスで工事が遅れたからと言い訳したりなどです。
クレーム発生原因が自社に無かったとしても、誠実な態度で謝罪し、話し合いを進めなければいけません。
当事者意識を持って対応するだけで、大きな問題にならず解決するケースも多いのです。
相手の立場に立って対応する
建設現場にかかわらずクレーム対応の際には、相手の立場に立って話を進めていく必要があります。
まずは、クレーム内容をしっかり確認し、相手が何を求めているのかを明確にしてください。
相手の立場に立って考えることで、対応策も変わってきます。
クレーム内容を社内で共有する
クレーム発生後には、社内や仲間へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底し、クレーム内容を共有することが大切です。
社内で共有することによって、「どのような問題が発生したか」を全員が認識できるため、再発防止やサービス向上に役立ちます。
クレームが発生した際の解決策や対応フローなど、クレーム処理のノウハウが社内に蓄積されることは、会社にとっても大きな資産です。
会社全体で情報を共有できる体制づくりを徹底しましょう。
クレーム対応の記録を残す
クレーム対応後にはクレーム内容の大小にかかわらず、以下のような項目をまとめたカルテを作成して、記録を残しておきましょう。
- クレームの内容
- 対応策
- 経緯
- 結果報告
カルテの作成を継続的に行えば、会社独自のクレーム対応データベースとなります。
手間がかかるし面倒だからといって、カルテの作成を怠っていると、いざクレームが起きた際にあいまいな記憶だけが頼りとなり、毎回あたふたしてしまうかもしれません。
簡単な形式でも記録に残すことで、社内に正確に伝達され、情報を共有できます。
再発防止のために、カルテを用いて社内教育や対策会議を実施することもおすすめです。
解決策を提示する
クレーム対応は相手の話を聞いたり、謝罪したりするだけではありません。
大切なのは、クレームに対してどのような解決策を提示できるかです。
相手の希望やクレーム内容について、把握したうえで解決案を提示しましょう。
すぐに解決案を提示できない場合は、「対策案を検討しますので、もうしばらくお待ちいただけますか」と丁寧に伝え、折り返し連絡する旨を告げてください。
このときに適当な対応をしてしまうと、余計に反発を買ってしまう可能性もあるため、注意したいポイントです。
建設業のクレームを未然に防止するには
よくあるクレーム事例や対処法について解説してきましたが、なんの対策も取らなければクレームが発生し、工事が中断してしまうかもしれません。
ここでは、クレームを未然に防ぐための対策について紹介します。
作業時間の調整
作業する時間帯を調整することで、近隣住民からのクレームを防止できます。
特に大きな作業音やホコリ、振動が出るような場合、朝や夕方の作業は避けるようにしましょう。
騒音規制法で定められた作業時間の制限を守るだけでなく、近隣住民に十分気を配り、スケジュールを調整することでクレームを未然に防止できます。
工事前には近隣住民へ挨拶と説明
近隣住民への挨拶回りや工事内容の説明は、クレームを防止するためにも必ず実行してください。
訪問により、地域住民と意思疎通が図れ、お互いに言葉を交わすことで相手に安心感を与えられます。
訪問の際には、1軒ごとに口頭で説明するだけでなく、工事内容や日程を示した書面を手渡すことで、あとで「聞いていない」といったトラブルを防止できるでしょう。
作業員にクレーム事例を共有
クレームを未然に防ぐためには、これまでのクレーム事例や対策について、作業員に情報共有する必要があります。
共有すべきクレーム事例は前述した通り、以下のような内容です。
- 工事車両の路上駐車に注意する
- 作業中にムダ話しない
- ゴミの分別に注意する
- ホコリや粉じんの飛散防止対策
- 近隣住民の敷地に入らない
- 休憩中のタバコや飲食に注意する
作業員には講習や指導を徹底して、マナー違反や同じクレームを繰り返さないような対策をとりましょう。
マニュアルを整備して、二次クレームを防止する
担当者によってクレーム対応や解決策に違いがあると、新たなクレーム(二次クレーム)につながる可能性があります。
クレームの初期対応で失敗しないためにも、クレーム対応マニュアルを整備しましょう。
マニュアルには具体的なクレーム対応の手順を明記します。
- クレーム発生の初期段階
- クレームの調査段階
- クレームの解決策・代替案を検討する段階
など、クレームの段階を想定して、対応方法をまとめておけば、クレームが発生しても迅速に対応ができ、社員ごとに対応がバラバラになるといった個人差がなくなります。
専門家に依頼する
いくら上記のようなクレーム対策を実施しても、悪質なクレーマーは存在します。
悪質クレーマーへの対応は、激しい物言いに動じない強い意志が必要ですが、なかにはタチの悪いクレーマーも。
対応が難しい場合は、無理せず弁護士など専門家に依頼しましょう。
法的な立場から、問題解決に向けた相談を受けられます。
好印象を与える話し方
顧客と会話するときは、余計なクレームを増やさないためにも、相手に好印象を与える話し方が大切です。
普段から正しい言葉遣いを心がけ、クッション言葉を取り入れるなど、好印象を与えるコミュニケーションを取りましょう。
正しい言葉遣い
尊敬語や謙譲語など、敬語の使い分けをマスターして、正しい言葉で話をするようにしましょう。
言葉遣いに気を使いすぎて、不自然になるのも問題ですが、会話が盛り上がるとフランクな言葉遣いになりがちです。
会話しているもの同士は平気でも、周りで会話を聞いている人に悪い印象を与えかねません。
職場内でも普段から、誰が聞いても好印象をもつ言葉遣いを意識して、自然に正しい言葉が出るように心がけましょう。
クッション言葉
クッション言葉は、相手に不快感や悪い印象を与えないように、柔らかく伝えるクッションの役目をする言葉です。
クレーム対応の際に、何気なく言った言葉が、顧客を不快な気持ちにさせてしまうかもしれません。
このような状況にならないためにも、顧客への気遣いを示すクッション言葉を適切に使用して、円滑なコミュニケーションを取りましょう。
参考URL:クッション言葉とは?クッション言葉の一覧とクッション言葉が役立つ場面
わかりやすい説明と提案を心がける
顧客の話から、クレーム解決に必要な事実を確認できれば、最大限の誠意をもって解決策や代替案を提示しましょう。
解決策を提案するときは、わかりやすく簡潔な表現で行い、一方的に提案するのではなく、顧客側に立って、話を進めていくスタンスが大切です。
解決策は、以下に示す6W3Hの枠組みで考えると、その場しのぎの安易なものにならず、おすすめです。
- Who(誰が)
- Whom(誰のために)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How many(どれくらい)
- How much(いくらで)
モンスタークレーマーの対応
「モンスタークレーマー」と呼ばれる悪質なクレーマーに対して、どのように対応すればいいのでしょうか。
モンスタークレーマーの特徴
モンスタークレーマーは、身勝手かつ理不尽な物言いで、不当な要求をしてきます。
モンスタークレーマーの特徴は、次の通りです。
- 状況確認を嫌がる
- 証拠を求めても提出しない
- 解決を急かす
論理的、物理的にあり得ないことで苦情を訴え、自己中心的で支離滅裂なため、会社側としては、非情に厄介な存在になります。
モンスタークレーマーの対処法
モンスタークレーマーは、事実を確認していくと、次第に辻褄が合わない部分が出てきます。
会話内容をメモしたり、通話を録音したりなど、記録に残すことが大切です。
会社の対応方針を明確にしておき、あるレベルを超えた場合は、弁護士や法的機関に相談すると良いでしょう。
その都度、対応が変われば、足もとをすくわれる原因となるため、会社としては堂々とした態度が必要です。
具体的なモンスタークレーマーへの対処法は、以下になります。
- 個人情報を提供させる
- 不当要求は警察に相談する
- 警察に通報すると告げる
- 解決策や代替案を提案せずに、交渉を打ち切る
- 個人で対応せず、会社組織として対応する
- 対応する回数や時間などを決めておく
クレーマーのペースに巻き込まれることなく、初期対応から毅然とした態度ではねつけることが大切です。
まとめ
本記事では、建設業でよくあるクレーム事例や対処法、クレームを回避するための対策について解説しました。
クレームをネガティブにとらえるのではなく、ポジティブに考えることが大切です。
クレームを自社の課題としてとらえることで、「顧客に期待や満足感を与えるにはどうすべきか」と対策を練り、業務改善を図れます。
迅速で誠実な対応ができれば、顧客から信頼を得て、リピート受注など新たな商談の場が生まれるかもしれません。
リフォーム業は、リピート受注が業績アップに直結します。
クレーム対応は、業務改善と信頼回復のいい機会だと前向きに考えましょう。
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