見積と実行予算の違いとは?作成目的やおさえるべきポイントを解説
2021.03.30
- 「見積と実行予算の違いってなんだろう」
- 「実行予算の正しい作成手順が知りたい」
こんな疑問はありませんか?
見積と実行予算の違いがわからないと、正確に実行予算が組めません。
本記事では、見積と実行予算の違いと併せて、実行予算の作成目的やおさえるべきポイントを解説します。
最後まで読むと、実行予算の正しい作成方法が学べます。
目次
見積とは
見積とは、金額・内容・期間を前もって概算することをいいます。
いきなりお客様に仕事を頼むのではなく、見積書を作成して提出して、同意すると契約となります。
建設業はもちろん、他の業種でも「見積」は必須となります。
見積はいかに正確に作成するかが大切です。
実行予算とは
実行予算とは、それぞれの工事に発生する原価を着工前に想定して組む予算のことです。
事前に想定することで、工事の目標原価を設定できるため、コストコントロールが可能になります。
どのような手段にするのか、費用はどの程度か、どれくらいの期間がかかるのかなどを示しています。
見積と実行予算の違いとは
設計図から材料費・労務費、その他経費などの工事にかかる費用を算出し、会社の利益を乗せて発注元へ掲示する金額が見積です。
その見積を元に、現場ごとの原価に組み替えたものが「実行予算」です。
見積金額から実行予算を引くと、会社に残る粗利がわかります。
正確な実行予算を作成するためには、正確な積算・見積を行うことが大切です。
これは大切!実行予算を作る3つの目的
建設業は一般の製造業とは異なり、同一の製品を同じ条件で反復して生産することができません。
たとえ、同じものを建設するにしても現場の環境や立地条件、現場の制約などが現場ごとに異なるため、あらかじめ正確な予算を組んでおかなければ万一損失が発生した際にもその原因を突き止めることが困難になります。
よって建設業界では、一般的に現場ごとに着工前に実行予算を作成します。
ただし形だけの実行予算では全く意味がありません。
精度の高い実行予算を作成することで事前に必要なコストや予定利益を把握できるようになり、完成後には実際に発生した原価と実行予算とを比較することでコスト削減ポイントの分析が可能になります。
実行予算を作成する主な目的は次の3つです。
- 契約内容と実際にかかる現場の予算を把握する
- 実行予算の予定利益と実際の完工利益を比較して改善を行う
- 工事担当者の責任を明確にし、管理能力を向上させる
契約内容と実際にかかる現場の予算を把握する
現場でかかる予算は、次のような事象に応じて変化し、一定額ではありません。
- 工事の規模
- 施工時期
- 使用する建築資材
- 工法
- 職人 など
一方、契約時には見積書を作成しますが、見積書に記載された内容だけでは正確な工事原価を把握することはできません。
そのため工事を契約通りに完成させるための費用や予定利益を事前に詳しく把握するためには、現場ごとに正確な実行予算を組む必要があります。
予定利益が思ったほど上がらない場合には、作業方法や人員配置の見直しをはかり、何らかの対策を講じる必要があります。
そして経営者や経営幹部は各現場の予定利益を見て、会社全体の営業目標や収支計画を立てることになります。
実行予算の予定利益と実際の完工利益を比較して改善を行う
実行予算と実際に発生した原価を比較することで現場の問題点を抽出し、次の改善計画を立てます。
また、特に大きな差異がない場合であっても、更なる改善を行うための参考にします。
このように実行予算は建設会社を運営していく上でも大切な役割を持っています。
工事担当者の責任を明確にし、管理能力を向上させる
工事担当者は契約時の予定利益を確保することを目的に実行予算を作成しますが、これによって担当者の責任範囲が明確になると共に、現場の管理能力を高めることができます。
現場の収支は、工事担当者の実行予算の作成次第といっても決して過言ではないでしょう。
「形だけ」はNG!実行予算作成時におさえるポイント
実行予算を作成する際には、以下の様な手順で作成します。
- 実行予算の作成者を明確にする
- 見積書を基に実行予算を作成する
- 実行予算書のチェック、決済を行う
実行予算の作成者を明確にする
実行予算は会社によっては専門の担当者が作成するケースもありますが、現場を直接担当する現場責任者が自ら作成するのが一般的です。
現場責任者が自分の意思で作成することで、当事者としてのコスト意識や利益確保のための意欲が向上することが期待できるからです。
現場責任者は多忙で実行予算が後回しになることも・・
一方、現場責任者は多忙なことが多いため、実行予算の作成が工事着工前ギリギリになってしまうことがあります。
最悪のケースでは、工事が着工してから実行予算が出来上がるといったケースもあるかもしれません。
しかし、そのような状況で作成された実行予算では、本来の目的が果たせません。
実行予算は利益を確保するための指標となるものなので、実行予算が未完成のまま見切り発車してしまう訳にはいかないのです。
実行予算が組めないと赤字になる可能性も!
見切り発車すると指標がないので、予定利益が確保できない場合でもそれを早期に発見することができません。
そのため、最悪の場合には建物は無事に完成したものの、結果的には赤字になってしまったということにもなりかねません。
実行予算で算出した予定利益を元に、必要に応じて次のことを実施し、契約時の予定利益を確保するのが本来の目的です。
- 材料仕入先の見直し
- 価格交渉
- 工程・工法の見直し など
見積書をもとに実行予算を作成する
実行予算作成にあたっては、見積書をもとに工事項目や数量を再度見直して、過不足があれば修正した上で単価を入れて計算します。
ここで扱う数字はすべて根拠のある数字とすることが重要です。
すなわち実行予算にはしっかりとした裏付けが必要で、決して作成者の主観や非現実的な数字を採用してはいけません。
実行予算書のチェック、決済を行う
実行予算を作成したら経営者や経営幹部、関連部署に回して最終的な承認を得ます。
社内の必要部署に回覧することで情報共有ができるだけでなく、それぞれが問題点を抽出することで業務改善やコストダウンにも繋がります。
実行予算作成ツールのメリット・デメリット
実行予算の作成方法にはエクセルなどの表計算ソフトを使って作成する方法と、市販の工事管理専門ソフトを使用して作成する方法があります。
それぞれの特徴をみていきましょう。
- エクセルで作成する
- 工事管理ソフトで作成する
実行予算の作成方法①:エクセルで作成する
エクセルなどの汎用表計算ソフトを利用して実行予算を作成しているケースは割と多いと思います。
インターネット上には無料のものも含め、数多くのエクセルテンプレートが用意されているため、必要なものをダウンロードして少し加工するだけで誰でも手軽に実行予算書として使用できるようになります。
このようにコストがかからず、誰でも気軽に使える点がメリットです。
しかし、工事会社に特化した専門性は低いので、用途や使用範囲が限られたものになってしまいがちなのがデメリットといえるでしょう。
実行予算の作成方法②:工事管理ソフトで作成する
近年増えているのが、リフォーム統合管理システムSAKSAKといった市販の工事管理ソフトを使って実行予算を作成するケースです。
工事管理全般に特化したシステムなので、導入すれば工事の契約から売上金の回収までを一元管理することが可能です。
そして、その多くが実行予算と発注管理が連動しているので、発注ミスを防ぎ実行予算との予実が明確になるメリットがあります。
また、中には工事台帳/原価管理に加えて顧客台帳、出面労務台帳、ファイル管理、工事写真アルバムなどの機能があり、商談中から引き渡し後までほとんどの情報が社内で共有できるものもあります。
しかし、一方で、このようなシステムを導入することで、効率的になる反面、今までとは違う作業が増えたり、コストがかかるため、導入する前に良く検討することが大切です。
まとめ【見積と実行予算の違いを理解した上で作成しましょう】
今回は、見積と実行予算の違いと併せて、実行予算の目的、実行予算で考える原価について解説しました。
見積とは、設計図から材料費・労務費、その他経費などの工事にかかる費用を算出し、会社の利益を乗せて発注元へ掲示する金額のことです。
その見積を元に、現場ごとの原価に組み替えたものが「実行予算」です。
この記事を参考にぜひ見積と実行予算の違いを理解してください。
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