工務店の空き家活用方法|空き家の現状と活用メリット、補助金について解説
2023.02.22
国内では人口減少や高齢化などにより、空き家が年々増えており社会問題化しています。
空き家問題を解決するためには有効的な空き家活用が重要です。
しかし、活用方法がわからないという空き家所有者の方も多いため、工務店では経験や技術を活かした最適なアドバイスが求められます。
本記事では、工務店の空き家活用法と空き家の現状や活用メリット、補助金について解説しています。
空き家を有効的に活用して、売り上げアップを目指したい工務店の方はぜひ参考にして下さい。
空き家が増加している現状
空き家とは「常態的に人が住んでいない、または使われていない家」と国土交通省の「空き家対策特別措置法」で定義されています。
総務省が実施した住宅・土地統計調査(平成30年)によると、空き家の総数は20年間で576万戸から849万戸となり、1.5倍も増加しています。
空き家の種類別内訳をみると、「その他の住宅(349万戸)」が20年間で1.9倍増。「その他の住宅」のうち木造一戸建ては最も多い240万戸も存在しています。
空き家の数は総住宅数の13.6%に及び、年々増加傾向です。
空き家が増えていく原因は次の通りです。
- 人口減少
- 既存住宅の老朽化
- 社会的ニーズの変化
- 産業構造の変化
空き家の増加は倒壊の恐れがあるなど社会問題化され、各自治体では独自の空き家条例を制定して空き家所有者への対応を実施しています。
しかし、自治体の条例だけでは対応が困難なケースも多く、平成27年5月には空き家に対する計画的な施策と公共福祉の増進、地域振興を目的とした「空家法」が制定されました。
さまざまなトラブル原因となる空き家を上手に活用するためには、空き家所有者だけでなく自治体や国をあげて取り組む必要があります。
工務店の空き家活用方法
空き家には次のような活用方法があります。
- 修理やリフォームを施して賃貸住宅にする
- 建て替えを施して賃貸住宅にする
- 更地にする
上記の活用方法には工務店によるリフォームやリノベーション、解体作業などの作業が伴います。
工務店としてそれぞれの活用方法に合った最適で有効的な提案を行いましょう。
空き家を賃貸住宅にして活用する
空き家の現状によりますが、
- 不備がなければクリーニング
- 手を加える必要があればリフォームやリノベーション
- 老朽化していれば建て替え
を行って賃貸住宅にする活用方法があります。
クリーニングや簡単なリフォームで済めば、初期費用を抑えてすぐに収益化が可能です。
また、建物の老朽化や耐震基準を満たしていない場合には、それ相応の費用が発生するため、空き家所有者に対して収支計画をしっかりと伝えたうえで提案しましょう。
空き家を賃貸住宅として活用する例として次の3点が挙げられます。
- 戸建賃貸
- シェアハウス
- 民泊
項目ごとに解説します。
空き家を賃貸住宅として活用する例①:戸建賃貸
取り組みやすい空き家の活用方法は戸建賃貸です。
大規模な修繕の必要がなければ、クリーニング後すぐに収益が得られます。
ただし、外観が古くみすぼらしい場合にはリフォームが必要でしょう。
リフォーム済みの物件は入居希望者が増える傾向があるため、おすすめです。
また、安定して借り手を見つけるための提案、例えば管理会社選びなどをアドバイスして、空き家所有者の不安を解消してあげるとリフォームの提案も受け入れやすくなるでしょう。
空き家を収益物件として活用すれば、家賃収入から修繕費や固定資産税を確保できるメリットもあります。
とはいえ、家賃相場が低い立地条件ではリフォームにコストをかけても、家賃収入から回収できる見込みは薄いため注意が必要です。
立地と照らし合わせた最適なリフォームやコストパフォーマンスの高い提案を心がけましょう。
空き家を賃貸住宅として活用する例②:シェアハウス
シェアハウスは複数人が共同で住みながら、トイレや浴室、キッチン、リビングなどを共有して利用する賃貸住宅のことです。
一軒の家を複数人で賃貸するため、通常の賃貸住宅よりも高い家賃収入が得られるメリットがあります。
シェアハウスを成功させるポイントは次の通りです。
- 他の物件との差別化を図る
- シェアハウスのコンセプトを明確にする
上記を踏まえたうえで、工務店はどのようなリフォームやリノベーションを施して、空き家をシェアハウスとして活用するのか、具体的な提案が必要です。
また、他人が生活を共にするシェアハウスは、トラブルが起きる可能性も高いため、管理業務が煩雑化しやすくなります。
信頼できる管理会社の紹介や管理業務の要点についても事前に伝えておきましょう。
空き家を賃貸住宅として活用する例③:民泊
観光地に近いロケーションであれば、民泊にする提案もおすすめでしょう。
民泊とは戸建住宅やマンションの空き部屋を貸し出して、旅行者などを宿泊させるサービスです。
急増する外国人客への宿泊対応や空き家対策といった観点からも民泊は注目されていますが、近隣とのトラブルや公衆衛生の確保などの課題を抱えています。
そこで平成29年に健全な民泊サービスを行うため、一定ルールを定めた住宅宿泊事業法が施行されました。
この法律で留意したい点は、民泊を利用できる最大宿泊日数が180日間と規定されている点です。
そのため、賃貸物件と比べると安定した経営が難しく、民泊を提案する際にはしっかりとした収益計画を練る必要があります。
更地にして活用する
空き家が老朽化しており、リフォームにコストがかかる場合には、空き家を解体して取り壊し、更地にして活用する方法もあります。
具体的な活用例は次の通りです。
- 月極駐車場
- コインパーキング
- 太陽光パネル設置
- 土地を貸す
- 事業用の土地
- 賃貸物件、マンションを建設
更地にすれば立地に合わせた活用方法が選択できる反面、解体に費用がかかったり、固定資産税が増額されたりするデメリットもあります。
建物付きの土地には住宅用地特例による減税制度がありますが、更地にすると減税措置がなくなり、固定資産税が跳ね上がります。
更地にする場合には解体費用や税額負担などを考慮しつつ、しっかりと市場調査を行うことが大切です。
空き家を活用するメリット
空き家を活用するメリットは次の3点です。
- 物件の収益化
- 倒壊の危険性を抑えられる
- 資産価値の向上
項目ごとに解説します。
空き家を活用するメリット①:物件の収益化
空き家活用の最大のメリットは物件から収益が得られる点です。
前述した戸建賃貸やシェアハウス、民泊などさまざまな活用方法により収益化できます。
空き家を放置していても収入を得ることは難しいので、少しでも収益化できるのであれば空き家の活用を勧めてみましょう。
空き家を活用するメリット②:倒壊の危険性を抑えられる
空き家利用に際して多くの場合、リフォームなどの改修工事を行います。
空き家の状態がよければ現状のまま利用できますが、経年劣化した古い物件の場合には改修工事によって耐久性を確保し、倒壊の危険性を抑えることが大切です。
空き家を管理せずに放置してしまうと、「特定空き家」に指定される可能性があり、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。
特定空き家とはそのまま放置すれば倒壊の危険や景観を損なう状態の物件のことです。
税金負担の軽減や空き家の安全性、美観などの観点からも空き家の活用を勧めてみましょう。
空き家を活用するメリット③:資産価値の向上
空き家を活用する3つ目のメリットは資産価値の向上です。
通常、年数が経つごとに家の資産価値は減少していきますが、リノベーションを行うことで資産価値が高くなります。
資産価値のない空き家を売却するよりも、改修工事を行って価値を高め、収益物件として空き家を活用する提案を勧めてみましょう。
空き家活用に役立つ補助金や助成金
この項では空き家の解体・改修・取得する際に利用できる補助金や助成金について、自治体の事例を交えて紹介します。
空き家解体への補助金
空き家の解体や除去にかかる費用に関して、自治体から補助金や助成金が交付されます。
利用予定のない空き家を更地にして活用する場合には解体が必要です。
空き家の解体・除去に利用できる補助金事業を2つ紹介しましょう。
東京都荒川区老朽空家住宅除却助成事業
荒川区では災害に強いまちづくりの一環として、空き家の除去費用を助成する制度が設けられています。
助成建築物 |
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助成対象者 | 老朽した空き家の所有者 |
助成額 | 除去費用の2分の1(上限50万円) |
愛知県江南市危険空き家解体工事費補助金
江南市では倒壊する危険がある空き家解体に対して助成金制度を設けています。
補助対象者 | 危険空き家の所有者(個人) |
補助対象建築 |
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補助額 | 解体費用の5分の4(上限20万円) |
空き家改修への補助金
空き家の改修工事やリフォームにかかる費用に関して、自治体から交付される補助金や助成金です。
空き家にリフォームやリノベーションなどの改修工事を行えば、倒壊する危険を回避し老朽化対策が行えます。
空き家の改修に利用できる補助金制度を2つ紹介しましょう。
大東市空き家リフォーム補助金
大東市では市内にある空き家をリフォームする工事費の一部を補助する事業を行っています。
補助対象者 |
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補助対象 |
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補助額 | 工事費の2分の1以内(1住戸20万円) |
久留米市空き家活用リフォーム助成事業
久留米市では空き家活用の促進と住環境の向上を目的に、空き家リフォームにかかる工事費用の一部を補助する事業を行っています。
補助対象者 |
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補助対象 |
|
補助額 | 対象工事費の50%(上限額30万円) |
空き家取得への補助金
空き家を取得・購入する際にかかる費用に関して、自治体から交付される補助金・助成金です。
空き家所有者が売却を希望する場合、購入希望者とうまくマッチングできなければいつまで経っても売れません。
そのため、各自治体では空き家の売買を促進する目的で、空き家取得に利用できる補助金を設けています。
空き家取得に対して補助金を給付している自治体を2つ紹介しましょう。
伊賀市移住促進空き家取得費補助金
伊賀市では空き家の有効活用を促進するため、市外から定住する目的で空き家を取得する方に対し、経費の一部を補助する事業を行っています。
補助対象者 |
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補助額 | 空き家取得費の2分の1以内(上限額30万円) |
津山市空き家活用定住促進事業補助金
津山市では空き家を購入した移住者の方に、購入費の一部を補助する事業を行っています。
補助対象者 |
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補助額 | 空き家取得費の100分の10以内(上限額30万円) |
空き家対策に利用できる補助金制度は、「地方公共団体による空き家対策支援制度」のサイトから検索できます。
上記サイトでは都道府県ごとの空き家対策への支援や補助金制度が検索可能です。
まとめ
本記事では、工務店の空き家活用法と空き家の現状や活用メリット、補助金について解説しました。
空き家の活用は居住環境改善と地域貢献につながる有意義な取り組みです。
年々増加傾向にある空き家を放置していれば、倒壊の危険があるだけではなく、まちの美観まで損なわれてしまいます。
工務店で培ってきた設計や建築、リフォームのノウハウを活かして、空き家問題解決のため積極的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
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