V2Hとは?家庭や企業が導入する際の注意点や費用についてわかりやすく解説
2022.09.29
V2H(ブイ・ツー・エイチ)(Vehicle to Home=ビークル トゥー ホーム)をご存じですか?
エネルギー価格の高騰や環境問題対策を通してSDGs貢献を期待されている電気自動車。
この電気自動車に蓄えられた電力を家庭や企業用に有効活用する考え方のことです。
この記事ではV2Hの基本的な知識やメリット・注意する点についてわかりやすく解説します。
これから電気自動車に乗り換え・同時にV2Hの検討を考えている個人や事業所の方はぜひ参考にしてみてください。
V2Hとは?
V2Hとは「Vehicle」クルマから「Home」家へという意味で、電気自動車に蓄えた電気を住宅や事業所でも使えるようにするシステムです。
災害時に長時間停電になった際に、電気自動車に蓄えた電気を自宅で使用することが可能になります。
V2Hのしくみ
V2Hには2つの役割があります。
- 家庭用電気(交流)を電気自動車(直流)に変換し充電
- 電気自動車に蓄えた電気(直流)を家庭用(交流)に変換し放電
V2Hに必要となるもの
実際にV2Hを導入するにあたり機器以外にも以下の点について各家庭や企業であらかじめ検討しておくことが大切です。
- V2Hシステムを置くスペース
- 駐車場と電気配線の位置関係
- V2H機器・電気工事代・電気代等の計算
V2H機器
V2H機器には、太陽光発電の有無や発電した電力の使い道で選べる2タイプがあります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
「非系統連系」
- 太陽光発電を未設置、または設置済でも太陽光発電を「売電」のみ利用
- 電気自動車から給電中は電力会社からの電気利用不可
- 電気使用量が電気自動車からの給電量を上回ると給電停止し、電力会社から供給に切り替わる際に瞬時停電発生
「系統連系」
- 太陽光発電を設置済
- 発電した電気を自家消費している家庭や企業
- 太陽光発電の電力、電気自動車から給電した電力、電力会社からの電力を同時に使用可能
V2H対応の電気自動車
V2Hに対応した電気自動車は、現時点で販売されている日本ブランド車は問題ありません。
ただし海外ブランドの場合、注意が必要です。
- 日本の急速充電コネクターは「CHAdeMO」(チャデモ)方式で双方向に電気のやり取り可能
→V2H対応する給電規格 - 欧米車の充電コネクターは、「CHAdeMo」での急速充電対応のみ可能
→外部給電機能がない場合がありV2H機器に対応不可
V2Hのメリット4つ
V2H導入で考えられているメリットを4つ紹介します。
V2Hのメリット①:停電時の非常用電源としての利用可能
台風や地震などの自然災害が多発している現在、停電が長く続くと小さな子どもや高齢者が体調を崩すことが考えられます。
また企業にとっても長時間の停電は、セキュリティー面も含め非常に不便です。
オール電化の家庭であれば、停電時でも電気自動車に蓄えた電気を自宅で使用することができ安心です。
電気自動車のバッテリーは約10~60KWhと一般的な家庭用蓄電池(4~12KWh)より大容量です。
より長い時間、電化製品を使用が可能です。
V2Hのメリット②:電気代を節約できる
太陽光発電を設置している家庭や事業所の場合、太陽光発電した電気を電気自動車へ充電できるので電気代は実質0円です。
また複数台、車を所有している場合、電気代が安い深夜料金で電気自動車へ充電し、日中家庭に停めてある電気自動車を家庭用電源として使えます。
V2Hのメリット③:電気自動車の充電時間の短縮
V2H機器利用で家庭用200Vコンセントの場合より、約半分の時間で充電が完了できます。
急に長距離ドライブが必要になっても、充電がすぐにできず、電気自動車を利用できないと言った不安を無くすことができます。
V2Hのメリット④:太陽光発電の余剰電力を有効に活用できる
使いきれなかった太陽光発電の電気を電気自動車へ充電しておき、消費電力が多くなった時に電気自動車に蓄えた電気を家庭へ放電することで節電にもなります。
V2H導入の注意点
SDGs貢献や電気自動車の普及で注目されているV2Hですが、現時点での導入はそれほど多くありません。
それでは、実際に導入を検討しようとする際には、どんな点に注意すればいいのでしょうか?
初期費用が高額
V2Hがあまり浸透していない原因は、費用が高額であるという点です。
導入するにあたり初期費用としてまっさきに考えなければならない点は、以下の3つです。
- 電気自動車
- V2H機器
- 設置用土台工事も含む電気工事代
V2H設置場所が限られる
戸建て住宅や事業所でV2H機器を設置するには、事前に以下の点を確認しましょう。
- 自動車のサイズ・駐車場の広さ
- V2H機器を設置する場所
- 充電ケーブルが自動車の給電口に届くか?
電気自動車のバッテリー劣化
V2Hによって電気自動車のバッテリーが劣化する理由は次の2点です。
- 使用頻度が高い
- 急速充電を繰り返す
バッテリーを長持ちさせるためには、ある程度までバッテリを使ってから充電したり、なるべく普通充電をおこなうようにしましょう。
バッテリー保証がある車種を選択するなど電気自動車を購入する際にも注意が必要です。
V2Hの機種選びと停電時の電力供給方法
V2Hが電力を供給するタイプには「特定負荷型」と「全負荷型」があります。
それぞれのタイプの特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。
特徴 | メリット | デメリット | |
特定負荷型 | 停電時にV2Hで給電できる回路をあらかじめ決定 | 回路が限定され、電力消費を抑えられる | 設定してある家電しか利用できない |
全負荷型 | 家中すべての回路に電気を流すことが可能 | 停電時にも普段と同じ生活ができる | 特定負荷型よりも機器代が高額 |
V2H導入費用のめやす
V2Hの導入により家庭や事業所における電気代の節約や非常電源としての機能は非常に魅力的です。
ただし高額な初期費用と削減できる電気代などのコストパフォーマンスを考えて本当に必要かどうか検討しましょう。
一般的な導入費用の目安を紹介します。
V2H本体
V2H機器の機種によって変わってきます。
40万円(スタンダードモデル)~100万円(プレミアムモデル)が目安です。
プレミアムモデルの主な特徴は以下の通りです。
- 保証期間が長い(5年)
- スマートフォンのアプリと連携
V2H設置費用
設置工事費は、V2H機器の種類・配線の長さ、設置場所、太陽光発電の有無により変わってきます。
30万~40万円が目安です。
電気自動車
電気自動車を保有していない場合は、代表的な車種で500万円前後必要です。
補助金の利用
V2Hの導入には、初期費用の高さがネックとなりますが、一定の条件を満たせば、国や自治体が交付する補助金によって補うことが可能です。
補助金の交付条件や金額は毎年変わってきます。
2022年度は、国による補助金の上限額(機器購入と工事費合算)が115万円となっています。
V2H機器の種類や工事の内容によって変わります。
各自治体でも条件次第では、国の補助金との併用が可能な場合もありますので、検討する際の参考にしてみてください。
国の補助金
国の補助金は、経済産業省が交付する「CEV補助金」の1種類です。
地方自治体の補助金
全ての自治体で補助金の事業を行っているわけではありません。
また補助金の申請は新着順です。
自治体の予算金額に達し、終了している場合もあるので、必ず事前に該当する自治体の状況を調べるようにしましょう。
まとめ
電気自動車の普及に伴い、注目されているV2H。
節電や停電時の利用も可能で自然災害が増えている現在では、いざという時の備えにもなります。
また補助金の活用で初期費用をある程度抑えることも可能です。
V2Hについて詳細を確認し、家庭や事業所で日中の電気自動車の使用状況などをあらかじめシミュレーションのうえで、検討してはいかがでしょうか?
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