建設業の利益計算は複雑!?問題と対策を解説
2022.09.28
建設業の利益計算は、他の業種と全く違う考え方であることをご存知でしょうか?
そのため、建設業の利益計算などの財務管理は難しいと頭を悩ます経営者も多くいらっしゃいます。
また、建設業特有の考え方なうえに、さまざまな問題も起こる可能性もあります。
しかし、利益計算は会社を運営するうえでは必要な業務になります。
そこで本記事では、建設業の利益計算の考え方についてまとめました。
目次
なぜ建設業の利益計算が複雑なのか
建設業の利益計算は複雑といわれ、頭を悩ます経営者や経理の方もたくさんいらっしゃいます。
その原因として、建設業の粗利の確定の仕方があげられます。
他の業種では、原価を販売前に把握することができるので、売値を決めることができれば利益がある程度把握できます。
しかし、建設業は先に受注金額が確定してから、工事の進行とともに原価の支払いをします。
そのため、利益の把握や予測が非常に難しいことが複雑に思われる原因といえます。
建設業の利益とは
利益の種類
利益にはさまざまな種類が存在しますが、よく耳にするものが「粗利益」と「営業利益」です。
粗利益とは、正式名は「売上総利益」といい、売上から原価を差し引いて計算します。
営業利益とは、粗利益から更に営業活動にかかる経費を引いたものです。
営業活動にかかる経費は以下のものがあります。
- 人件費
- 家賃
- 通信費
- 水道光熱費
- 交通費
- 消耗品 etc…
営業や施工管理者は、現場ごとで利益を把握することが多いので、粗利益を意識する傾向にあります。
売上総利益計算の方法
利益を計算する方法は、「売上高−売上原価=売上総利益(粗利益)」という計算方法で算出します。
建設業でも、この計算方法で利益を算出することが一般的で、
「完成工事高−完成工事原価=売上総利益」と表します。
また、収益性を表す方法として「粗利率」があります。
粗利率の計算方法は、「売上総利益(粗利益)÷ 売上高 × 100%=粗利率」です。
売上高1000万円で利益(粗利)が300万円の場合は、
300万円÷1000万円×100%=30% と計算をし、この場合は粗利率は30%になります。
粗利率が高ければ高いほど、収益性の高い事業となります。
建設業の利益計上の考え方
売上や利益の計上は、「納品を完了」を基準に行うことが一般的であり、建設業でも多くの企業が納品を完了して計上をしています。
建設業での納品完了は「引渡し」という言葉を使用します。
建設業は他業種と異なり、「納品=引渡し」までに時間がかかってしまいます。
工事の規模によっては、1年以上または、2年3年以上と長い期間かかる工事もたくさんあることでしょう。
そのため、建設業では計上の基準が2通りあります。
- 工事完成基準
- 工事進行基準
以下で、2つの基準について解説をしていきます。
工事完成基準
工事完成基準とは、工事が完了しクライアントに引渡しを完了したあとに計上をすることをいいます。
工事完成基準では、クライアントから中間金を受け取った場合でも、売上に計上せず「未成工事受入金」という項目で計上をします。
また反対に、工事完了するまでにかかった費用は「未成工事支出金」という項目で計上をします。
工事完成基準のメリットは、会計上の確実性が高いことがあげられます。
デメリットは、長期間何も計上できないので赤字なのか利益がでているのか不明確な点です。
また、定期的な予実差異のチェックでもどんぶり勘定になりやすいこともデメリットと言えるでしょう。
工事進行基準
工事進行基準とは、工事の進捗に合わせて工事収益を分割計上をする方法です。
工事進行基準を適用することで、工事が途中であっても工事の進捗に合わせて、事業年度の収益を計上します。
工事進行基準を適用するためには、「成果の確実性」が必要となります。
成果の確実性とは、以下の3つの要素があります。
- 工事収益総額
- 工事原価総額
- 決算日における工事の進捗度
以上の3要素を、信頼性をもって見積もることが可能であれば、工事進行基準の適用が可能になります。
工事進行基準のメリットは、複数回にて計上をするので、建設業でよくある「終わってみたら赤字だった」ということを回避できます。
デメリットは、複数回計上するため経理側の負担が多いことと、経費や進捗度も常に把握が必要なため体制を整えることが難しいことがあげられます。
建設業の利益計算における問題
利益が出ているのかわかりずらい
建設業特有の収益計上のタイミングでは、利益が出ているのかわかりづらいという問題点があります。
工事着工から引渡しまでの期間中に、さまざまな経費も発生します。
また、工事現場は天候にも左右される業種のため、台風や雪が多い時期では工事が思うように進まないことも多いです。
そのため、人工が予想よりかかり経費がかさむようなこともあります。
途中で予実差異のチェックをしても、後から予想していない支払いも発生するということもよくある話です。
引渡し完了まで計上ができないために、実際にいくら利益が残るのか、赤字にならないのか非常にわかりづらいことが建設業の利益計算の大きな問題になります。
支払いの管理が大変
建設業の工事現場では、完成引渡しまで発生する支払いを管理することが重要です。
工事期間は長期であることがほとんどなので、下請け業者には出来高で請求指示をするため、同じ業者から何回も請求が送られてきます。
また、材料費や運搬費、産廃処理費など支払いが多く発生します。
たくさんの支払いがある中で、未払いが無いように締め日には最深の注意が必要です。
また、中には下請け業者が忘れていることもあるので、その場合は指示を出す必要があります。
利益計算の対策
建設業の利益計算が複雑で難しいことは、業界のシステム上仕方がないことです。
しかし、利益計算は必ず必要な業務であり、間違えてはいけない業務でもあります。
そこで、ポイントをまとめてみました。
定期的にチェックを行う体制を作る
引渡しまでの期間が長いため、収益の把握が難しいのであれば、定期的に原価の見直しをする体制を作ることが重要です。
収益の計上はできなくても、毎月の下請け業者や問屋への支払いは発生します。
そのタイミングで全体的な原価を洗い出し、現時点で予実差異がないか確認しましょう。
定期的チェックをすることで、予実差異が発生しても対策を打つことも可能になります。
見積の精度を上げる
現場の工期は長期になるため、利益を下げるトラブルも発生します。
特に天候は建設業にとって回避のできないトラブルです。
台風が来れば飛散養生で余計に人件費がかかりますし冬は大雪で除雪で余計に人件費もかかる可能性があります。
見積を作成する際には、工事の時期を確認しトラブルを考慮した見積作成することが重要です。
過剰に金額を上げれば、クライアントから指摘を受ける可能性がありますが、理由づけができる値上げはクライアントも納得する可能性があります。
見積の精度を上げて、赤字工事にならないように心がけましょう。
まとめ
建設業は、他の業種と異なる計上方法になるため非常に頭を悩ます問題です。
しかし、見積の精度を上げ、適正な金額で受注をし、定期的に原価管理を行うことで、問題が起こることは減少することができます。
利益計算は会社にとって重要な業務になります。
しっかりと体制作りを行い、利益の出る仕事を目指していきましょう。
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