経営事項審査で工務店経営を有利に!概要やメリット、ポイントを解説
2022.04.19
- 経営事項審査について聞いたことはあるけれどハードルが高そうで実際にまだ取り組んでいない・・
- 経営事項審査を取り入れたけれども、資料を準備する時間や費用がかかる割には、収益があまり上がっていない・・
上記のように、戸惑っている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、経営事項審査に関する仕組みや注意すべき点についてわかり易く解説します。
併せて審査の申請方法についても順を追って説明していきます。
経営事項審査を受けるメリットや受注アップにつながる活用方法を提示しますので参考にしてみてください。
公共工事入札参加資格を得ることで信用・信頼アップや民間工事の受注のチャンスも広がります。
経営事項審査の申請には、時間や費用もかかりますが、それ以上の効果を得ることが期待できます。
自社のアピールポイントや弱点を客観視し、経営事項審査の評価点を上げ、官民問わず受注機会を増やしていきましょう。
目次
経営事項審査とは
建設会社が元請として公共工事の入札に参加するためには、事前にいくつかの準備が必要です。
経営事項審査、通称【経審】の制度もその一つです。
経営事項審査を受けることで自社の経営規模や経営状況が客観的に評価されます。
自社が点数化された結果、いわゆる会社の『通知表』にあたる書類の提出です。
公共工事を発注する側は、工事の規模により「この会社に発注して、問題なく施工できるか?」経営事項審査の結果を見て判断するわけです。
このうち経営事項審査が必要な場合は、国や地方公共団体が発注する1件あたり請負金額500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の建設工事になります。
経営事項審査の審査項目
経営事項審査は以下の4つの項目に分けられます。
- ①経営規模(X)
- ②経営状況(Y)
- ③技術力(Z)
- ④その他の審査項目(W)
そして項目ごとの数字を以下の計算式に当てはめて、総合評定値(P)を出します。
P=0.35x(X1)+0.010x(X2)+0.20Y+0.20Z+0.15W
①経営規模(X)
完成工事高(X1)は、金額および建設業種区分ごとに評点が決まります。
総合評定値(P)を算出する計算式のうち全体の35%を占める最も重要な項目です。
経営規模(X2)は、自己資本額及び平均利益額から決まってきます。
②経営状況(Y)
こちらは、企業の収益性を見極め、健全な経営状況かどうかを判断します。
主に建設業財務諸表から算出します。
③技術力(Z)
技術者の資格と元請完成工事高から業種区分ごとに決まります。
④その他の審査項目(W)
社会貢献度・営業年数などの項目です。
営業年数は、建設業許可を受けた時から直前の決算日までの年数になります。
点数アップのポイント
経営規模(X)や経営状況(Y)のような部分は、「完成工事高を上げる」、「売掛金の早期回収」が重要になってきます。
実際には、中小の企業では、営業年度によっては、取引先の都合で早急に改善するのは難しい場合もあります。
そこで確実に点数アップできる、その他の審査項目(W)が重要になります。
具体的には、建設業退職金共済制度の加入や退職一時金制度、社会保険加入などです。
特にこの社会保険制度は、ポイントアップどころか1つにつき未加入でマイナス40点にもなってしまうので必ず加入しましょう。
申請方法
ここでは、経営事項審査の申請について解説します。
まず申請手続きするまでの流れは、以下の①と②になります。
- ①決算日(審査基準日)
- ②事業年度終了届
決算書をもとに、建設業法に定められている事業年度終了届を提出→許可を受けている行政機関へ(事業年度終了後4か月以内)
(1)経営状況分析の申請
国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関へ上記②で作成した事業年度終了届を基にした資料や建設業許可通知書の写しと言った必要書類を提出
個別に申請時期、方法、手数料が異なります。
~国土交通省ホームページ参照~https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000091.html
(2)経営状況分析結果通知書(Y)の取得
(3)経営規模等評価の申請・総合評定値の請求
上記(2)で受け取った経営状況分析結果通知書や申請書等を提出→都道府県知事または国土交通大臣
建設業許可が都道府県知事許可の場合→都道府県知事の審査
建設業許可が国土交通大臣許可の場合→国土交通大臣の審査
(4)経営規模等評価通知書・総合評定通知書(P)取得
上記(3)の申請後約1か月後に取得できます。総合評定値をもとにランク付けされた結果は、一般に公表されます。
以上のように、決算日(審査基準日)から総合評定通知書を取得するまでには約5~7か月ほどかかります。
そのため決算を終えたらなるべく早く、経営状況分析に取り掛かりましょう。
申請費用
申請費用は、全部合わせて3項目あり、それぞれの費用の算出方法は異なります。
①経営状況の分析
国土交通大臣の登録を受けた【登録経営状況分析機関】が行います。
各機関により費用が異なり、こちらは各機関が定めた方法で支払います。
②経営規模等評価
8,100円に審査対象業種1種類につき2,300円加算した額になります。
例えば、審査対象業種が2種類→【8,100円+(2,300円x2業種)=12,700円】
③総合評定値
400円に審査対象業種1種類につき200円加算されます。
例えば、審査対象業種が2種類→【400円+(200円x2業種)=800円】
上記②と③の費用は都道府県知事または国土交通大臣宛てに納めます。
(都道府県知事または国土交通大臣許可業者により異なります)
有効期限
経営事項審査の有効期限は、審査基準日から1年7か月です。
審査基準日とは、確定済の直前の決算日です。
そのため、決算日を迎えたらなるべく早く審査を受けるようにしましょう。(決算終了後4か月以内目安)
参照:経営事項審査制度の概要について ~国土交通省関東地方整備局~
経営事項審査を受けるメリット
経営事項審査を受けるには、必要書類をそろえ、申請時期の確認、申請費用がかかるなど手続きが難しく感じられるかもしれません。
それでも経営事項審査を受けることで得られるメリットの方が多く、建築業に携わる企業にとって、必要不可欠です。
ここでは、そのメリットを4つ紹介します。
①公共工事入札資格を得る
経審を受けることは、公共工事の入札参加資格要件の一つにあたります。
【公共工事の入札参加資格要件】
- 建設業の許可を受けている
- 経営事項審査を受審
- 税金の完納
- 欠格要件に該当しない
公共工事は、民間工事よりも受注金額が大きい場合が多く、また何と言っても現金回収が約束されています。
企業にとっては、工事代金未収の心配も無く、資金繰りの目途も立てやすいため、経営の安定にもつながります。
また、その後の軽微な修繕の追加依頼等も見込めるため、公共工事の受注は企業にとって大きな利点です。
②自社の情報公開と他社の分析
経営事項審査を受け①の公共工事の入札参加申請により、入札参加資格者として登録されます。
その後、建設業者としての格付評点やランク、経営事項審査の点数が一般公開されます。
つまり国や地方自治体に認められた実績のある業者として高い評価を受けることができます。
また自社のアピールだけでなく、公開されているデータを見て他社の経営状況を判断できます。
新規取引予定の企業について、経営事項審査の評点を基準に与信限度額を定めている企業も多くあります。
③民間工事受注の可能性増える
元請業者のなかには、工事を発注する業者を選ぶ際に、経営事項審査を受けていること、ある程度の評点に達していることを条件にしている場合もあります。
今後新たな顧客をつかめる可能性もあります。
④自社の経営状況把握
経営事項審査では、共通の審査を受けることで、自社の経営状況が客観的に評価されます。
自社の状況が点数化されることで、今後の発展のカギとなるアピールポイントや、改善すべき点がはっきりと目に見えてきます。
まとめ
経営事項審査を受けると、公共工事入札参加資格を得るだけでなく、民間工事受注の機会も増えます。
一方でさまざまな書類の準備や申請時期の確認など正確な手続きが必要となります。
今回の記事を参考にしていただき、しっかり準備をして、経営事項審査を受けてみてはどうでしょうか?
今後の自社の成長と発展の一歩となることでしょう。
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