建設キャリアアップシステムとは?導入するメリット、デメリットを解説
2022.04.15
建設キャリアアップシステムをご存知ですか?
このシステムは建設業の問題点を改善するために導入されたシステムです。
本記事では建設キャリアアップシステムの詳細とメリット、デメリットについて記載しました。
目次
建設キャリアアップシステムとは
建設業に関わる技術者の資格や就業履歴などを業界全体で登録・蓄積をして、技術者がその技術に応じた処遇が受けられるシステムで、2019年の4月から本格運用が開始されています。
建設キャリアアップシステムの導入の背景
建設業における技術者は、一つの職場で働くのではなく、様々な現場を経験しています。
そのため、技術者の個人のキャリアや能力がわかりにくく、適切な処遇を受けられないという問題があります。
建設キャリアアップシステムの目的
技術・キャリアを見える化する
技術者の次のような情報をシステムに登録することで、技術者のキャリアやスキルが一目でわかります。
- 本人情報
- 保有資格
- 就業履歴
- 社会保険加入情報など
キャリアやスキルが明確になることで、技術者が適正な処遇を受けれることが目的の一つです。
業界の人手不足の対策
建設業は人手不足が深刻な問題になっており、特に若者の建設業離れは進む一方です。
若者が建設業を魅力的な業種と思ってもらえるように、技術やキャリアを蓄積すれば適正な処遇が受けられるという環境作りも目的の一つとされています。
事業者の業務負担の軽減
事業者(元請け)は現場での事務作業がとても多く、その作業は非常に負担が多いことが問題視されています。
建設キャリアアップシステムを導入することで、現場で技術者のキャリア・スキルが簡単に確認ができます。
管理も簡潔にすることで、事業者の事務の作業の負担を減らすことで現場管理本来の業務に集中するという目的もあります。
建設キャリアアップシステムの加入は義務?
建設キャリアアップシステムの加入は、義務ではありません。
任意で加入するか、しないかは事業者が決められます。
しかし、外国人労働者を受け入れる事業者の場合は、加入が義務付けされています。
外国人労働者の加入について
外国人労働者は3つの資格に別れています。
- 技能実習生
- 特定技能外国人
- 外国人建設就労者
元々、「特定技能外国人」のみ建設キャリアアップシステムの義務がありましたが、2020年1月から「技能実習生」「外国人建設就労者」も加入が義務化されました。
建設キャリアアップシステムの導入方法
建設キャリアアップシステムの申請方法は、インターネットか認定登録機関窓口で申請します。
認定登録機関窓口は全ての都道府県にあるわけでないので、注意が必要です。
以下で確認ができます。
「技術者から登録」「事業者から登録」の2パターンがありますが、会社に所属しているのであれば「事業者の登録」→「技術者の登録」をおすすめしています。
詳細確認と登録は以下でできます。
リンク先:建設キャリアアップシステム
建設キャリアアップシステムの使用方法
技術者
技術者の登録が完了すると、カードが届きます。
そのカードを現場に設置されたカードリーダーにタッチすると現場の就業履歴が蓄積されていきます。
元請け事業者
元請け事業者は、事業者登録が完了後、現場の契約情報を入力します。
その後、現場にカードリーダーを設置します。
下請け事業者
下請け事業者は元請け事業者が登録した現場の契約情報に対します。
その後、施工体制を登録し、自社の技術者の情報を入力します。
建設キャリアアップシステムのメリット
建設キャリアアップを導入するメリットについてまとめています。
メリットについては、
「技術者」「下請け事業者」「元請け事業者」という3点から記載しました。
技術者のメリット
- 自身のキャリア、資格などに合った適切な処遇が受けられる。
- 自身のキャリア、資格などを明確に証明ができる。
- 建設業退職金共済事業本部(建退共)の退職金の掛金を漏れなく積み立てができ、適切に受け取れる。
技術者のメリットは、自身の現場の経験や、資格を蓄積することで自身のアピールポイントになります。
また、転職にもこのキャリアップシステムは自身の持っているスキルの証明になるので、有効に活用できることでしょう。
下請け事業者のメリット
- 信頼性が増す。
- 元請けにアピールができる。
- 出面管理が楽になる。
下請け事業者のメリットは、自社に所属している有能な技術者の証明になるので、元請けにアピールできることにあります。
また、現場でICカードをタッチすることで、出面の証明になるので管理も楽になります。
元請け事業者のメリット
- 下請けの事業者の情報を簡単に確認できる。
- 施工管理台帳や名簿の管理が簡単になる。
- 技術者の就労状況の管理が楽になる。
元請け事業者のメリットは、下請けの技術者の情報を確認できるので、有能な下請けの選定ができることがあげられます。
また、施工体制台帳や作業員名簿など面倒な安全書類の作成、管理が楽になることもポイントです。
建設キャリアアップシステムのデメリット
技術者のデメリット
- 登録費用が掛かる
- 登録の手間が掛かる
技術者登録の費用は以下の通りです。
- インターネット申請
簡略型:2,500円
詳細型:4,900円 - 認定登録期間申請 詳細型 4,900円
技術者の登録の場合は、デメリットといってもそこまで負担は少ないです。
有効期限も9年間なので、メリットの方が大きいです。
事業者のデメリット
- 現場利用料が掛かる
- 登録費用が掛かる
- ID管理料が掛かる
事業者のデメリットは下請け、元請けともに、登録費用が掛かることです。
事業者登録の費用は6,000円から2,400,000円と幅が広く、事業者の資本金で決まります。
また、ID管理料が年に11,400円掛掛かります。
事業者によっては費用が大きく負担になることが最大のデメリットといえます。
建設キャリアアップシステムの疑問点
技術者は適切な処遇を受けられるのか?
建設キャリアアップシステムの目的に「技術者の適切な処遇」とありますが、実際に本当に受けれらるのかは、所属する事業者によると考えられます。
技術者のキャリアや能力を所属する事業者が評価していれば、このシステムがなくても適正な処遇を受けているはずです。
建設キャリアアップシステムを導入することで、現時点ではどのように処遇が変わるのか疑問です。
元請けが適正に評価するのか?
建設キャリアアップシステムを導入したことで、元請けが適正に評価するのか疑問です。
発注を検討している下請け業者に能力のある技術者がいたとして、契約金額で決める元請け業者もいることでしょう。
また、技術者の適正な処遇を与えるといっても、元請けとの契約金額によっては処遇が与えられないかもしれません。
ただし、能力のある技術者は適正に評価される仕事を選ぶため、適切な評価を与えない業者は淘汰されるのは目に見えています。
建設キャリアアップシステムの期待ができる点
建設現場の事務作業は非常に大変なことは確かです。
各業者の安全書類は書面ベースでやり取りしているケースは未だ多いです。
安全書類の作成と確認、管理は下請け事業者にとっても、元請け事業者にとっても負担は大きく、現場監督にとっては、本来の現場の管理に支障をきたしています。
建設キャリアアップシステムを導入することで、下請け業者の施工体制を簡単に確認・管理ができれば、現場監督も本来の業務に集中ができ、働き方改革にも繋がります。
まとめ
建設キャリアアップシステムについて、記載しました。
このシステムは、本来の目的である「技術者の適正な処遇を受ける」という点に関しては、疑問点があります。
しかし、現場監督の事務作業の負担の軽減など、期待できる点もあるシステムです。
まだまだ、改善や検討する点はありますが、導入するメリットはありますので、検討してはいかがでしょうか。
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