住宅リフォーム業者が理解しておくべき法律|確認申請の要否や法令不適合の例を解説
2022.12.26
既存住宅の流通や空き家の利活用の促進に注目が集まる昨今、住宅リフォーム市場はいっそうの拡大が見込まれています。
それに合わせてリフォームの品質向上が求められています。
品質を確保するには法令の遵守が必須です。
しかし、複雑で多岐に及ぶ法令の特性から、リフォーム事業者の法令の理解不足があることも現状です。
この記事では住宅リフォーム業者が理解しておくべき法律について、確認申請の要否や法令不適合の例を解説します。
安心・安全なリフォームを提案できるように法的な知識の向上に役立ててみてください。
目次
リフォームに関係する法律
リフォームに関係する法律は、建築基準法をはじめとして多岐に及びます。
次に挙げる法律が遵守すべき主な法令です。
この他にも都道府県や市町村が定める条例に適合する必要があります。
<建築関係法令>
- 建築基準法
- 都市計画法
- 消防法
- 耐震促進改修法
- 建築物省エネ法
- バリアフリー法
- 建設業法
- 建築士法
- 宅建業法
- 長期優良住宅法
- 下水道法
- 浄化槽法
<住宅に関係する法令>
- 住生活基本法
- 住宅品確法
- 区分所有法
- マンション管理適正化法
<その他>
- 民法
- 建設リサイクル法
- 廃棄物処理法
- 家電リサイクル法
このような法令の中でも、大本となる建築基準法にフォーカスして解説していきます。
次は、建築基準法に基づいて申請が必要となる「確認申請」についてみていきましょう。
建築確認申請が必要なリフォームとは
建築確認申請とは、建築物を新築したり改築したりする際、建築基準法に適合しているかどうかを確認するための手続きです。
確認は自治体や自治体から指定を受けている民間の確認検査機関が行います。
建築基準法によって下記の増築・改築は確認申請が必要とされています。
- 建築物の敷地が防火地域及び準防火地域外の場合:10㎡を超える増改築
- 建築物の敷地が防火地域又は準防火地域内の場合:すべての増改築
敷地が防火地域や準防火地域にあるときは小さな増改築であっても確認申請を要するので注意が必要です。
壁紙の貼り替えや家具の造り付け、外装の塗り替えなどは、一定の条件により確認申請は必要ありません。
しかし、建築確認申請の要否に関わらず法令には適合している必要があります。
法令をきちんと理解しておくことが重要です。
次からは、リフォームで特に注意が必要な建築基準法の法令をみていきましょう。
リフォームで注意が必要な建築基準法の法令
リフォームで特に注意が必要な建築基準法の法令としては下記の事項が挙げられます。
- 建ぺい率・容積率
- 防火対策
- シックハウス対策
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
建ぺい率・容積率
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積です。
また、容積率とは敷地面積に対する延べ面積です。
この建ぺい率と容積率は建築基準法により上限が定められています。
増築する際は、定められた数値以下に抑えなければなりません。
防火対策
敷地が防火地域、準防火地域及び特定行政庁が指定する区域(法22条区域)にある場合、防火性能が規定されています。
延焼のおそれのある部分の外壁や軒裏は、防火規定を満たす燃えにくいものにする必要があります。
延焼のおそれのある部分とは、1階部分は道路境界線から3m未満の部分、2階部分は5m未満の部分のことです。
また、火の粉による火災を防ぐ観点から、屋根は不燃材料で作らなければなりません。
シックハウス対策
居室内の化学物質の発散の対策として次の法令が定められています。
- 内装の使用制限
- 24時間換気の設置
- 天井裏等の下地材はホルムアルデヒドの発散が少ない建材とするか換気設備を設置
間取りの変更を行うリフォームでは既存の24時間設備の能力の確認が必要です。
規定の能力が不足する場合は換気扇の増設や取替えが必要になります。
リフォームで起きやすい法令不適合の例
リフォームで起きやすい法令不適合の例としては次の事項が挙げられます。
- 部屋の用途変更により容積率オーバーとなる例
- 火気使用室の内装が不燃性能不足となる例
- 外装や開口部が防火性能不足となる例
- 住宅用火災警報器の不適切な位置への取付け
どのような法令かを理解し対応策をしっかり把握しておきましょう。
ひとつずつ解説していきます。
部屋の用途変更により容積率オーバーとなる例
部屋の用途を変更する際には容積率の上限に注意しなければなりません。
容積率の算定では、一定の上限で自動車車庫の部分等や備蓄倉庫等の床面積の不算入が認められているためです。
例えば、自動車車庫を仕事部屋など他の用途に変更して容積率対象の床面積が増加すれば、容積率も増加します。
この増加した数値が建築基準法で定められた上限を超えていないかの確認が必要です。
火気使用室の内装が不燃性能不足となる例
火気使用室(キッチン)の内装をリフォームする際は不燃性能不足とならないよう注意する必要があります。
2階以上の住宅で1階部分の火気使用室は内装制限を受けるためです。
壁と天井の不燃性能が求められます。
また、火気使用室であるキッチンとダイニングなどのその他の居室を壁や扉で区画しない場合、50cm以上の不燃材料の垂れ壁を設けなければなりません。
垂れ壁を設置しなかったり不足していると、内装制限の対象がダイニングなどのその他の居室に及ぶことになります。
キッチンのリフォームを行う際はクロスの不燃性能と区画の規定に注意が必要です。
外装や開口部が防火性能不足となる例
外装や玄関扉、窓を変更するときは防火性能に注意が必要です。
敷地のある地域によっては、延焼のおそれのある部分に規定の防火性能が求められるためです。
例えば、既存のサッシを樹脂製の断熱サッシに取り替えることは基本的にはNGです。
防火認定品サッシ又は鋼製サッシに網入ガラスとする必要があります。
ただし、建築基準法の告示に定められた仕様であれば木製や樹脂製のサッシも認められますので確認が必要です。
外装や開口部を変更する場合は、防火地域や準防火地域又は特定行政庁が指定する区域(法 22 条区域)かどうかをまずは確認しましょう。
住宅用火災警報器の不適切な位置への取付け
住宅用火災警報器は規定の設置場所に正しく設置できているか注意が必要です。
住宅の台所や寝室等には住宅用火災警報器を設置しなければならない法令があります。
警報器が熱や煙を速やかに感知できるよう設置場所は次のとおり規定されています。
- 壁と 60cm 以上離す
- 梁型と 60cm 以上離す
- エアコンと150cm 以上離す
- 壁付けの場合 天井から 15cm 以上 50cm 以内につける
また、警報器廻りが家具で囲われてしまう場所など、メーカーが不適切と定めている設置箇所もあります。
壁や天井の張り替え等のリフォームの際、不適切な場所に警報器を取付けたり一時撤去後の復旧忘れがあってはなりません。
まとめ
法令を遵守してリフォームを行うことは、住まい手を万が一の災害や事故から守ることに直結します。
また、資産価値の向上の観点からも重要です。
この記事では、リフォームで注意が必要な法令や不適合となりやすい事例を通して、リフォームに関係する法令を解説してきました。
法令遵守の基本はまず法令を知るところからです。
リフォーム関連の法令は複雑多岐ではありますが、ひとつずつ確認し良質な住宅リフォームを行いましょう。
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