2022年改正された電子帳簿保存法|導入ポイントをわかりやすく解説
2022.01.31
- 「電子帳簿保存法が改正されるけど、何が変わるの?」
- 「スキャナ保存の対象になる書類って?」
- 「個人で事業をしているんだけど、適用されるの?」
など、あいまいな理解のまま、電子保存を進めることは注意が必要です。
この記事をご覧になると、電子帳簿保存法の概要や施行の内容、今回の改正点などが分かります。
税務調査でNGにならないように、知識を深めて対応しましょう。
2022年1月から施行された改正電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、どのような法律なのでしょうか。
2022年1月施行の電子帳簿保存法への対応準備を進めている企業や個人事業主も多いことでしょう。
電子帳簿保存法の概要や保存方法について解説しますので参考にしてください。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、1998年に高度情報化やペーパーレス化の流れに対応するために施行されました。
正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
帳簿や証拠書類などの国税関係書類は原則7年間、税法の規定で、紙保存する義務があります。
税法の特例として、電子データ保存を承認した法律が、電子帳簿保存法です。
個人事業主や企業を問わず強制的に適用されます。
この法律が、2022年1月に改正されました。
電子帳簿保存法で認められる保存方法
電子帳簿保存法で認められる保存方法は、次の3パターンがあり、それぞれ対象となる文書が異なります。
※スマホで見る場合は横画面の方が見やすいです
対象となる文書 | 保存方法 | |||
国税関係帳簿 | 仕訳帳・総勘定元帳・その他の帳簿 | |||
国税関係書類 | 決算書類 | 貸借対照表 損益計算書 棚卸表 など |
電子データ保存 | |
取引関係書類 | 自己が発行した書類 | 見積書 契約書 請求書 領収書 など |
||
受領した書類 | 見積書 契約書 請求書 領収書 など |
スキャナ保存 | ||
電子取引 | EDI取引 インターネット取引 電子メール取引 など |
電子データ保存 (猶予期間あり) |
電磁的記録での保存
パソコンで作成する帳簿や書類は、電子データとして保存することができます。
対象となる文書は、貸借対照表・損益計算書・棚卸表などの「決算関係書類」と見積書・契約書・請求書・領収書などの「取引関係書類」です。
スキャナ保存
紙の書類をスキャンしたり、カメラやスマートフォンで撮影したりして、電子データとして保存する方法です。
対象となる文書は、紙で作成された見積書・契約書・請求書・領収書などの「取引関係書類」のみとなります。
国税関係帳簿や決算関係書類は、対象にならないので注意が必要です。
電子データ取引保存
EメールやWeb上での電子取引、Amazonや楽天などのECサイトなどで受領した請求書や領収書などの取引関係書類は、電子データとして保存できます。
2021年12月までは書面での出力保存が可能でしたが、2022年1月からは紙での保存が不可となり、電子取引で受領した場合には、電子データとして保存が義務化される予定でした。
しかし、2021年12月10日(金)「令和4年度税制改正大綱」において、2022年1月から義務化される予定の電子取引に関わる電子データの保存義務は、2年の猶予期間が設けられることになりました。
参考URL:令和4年度税制改正大綱
電子帳簿保存法における保存要件
電子帳簿保存法では、帳簿を電子データとして保存するにあたって、真実性の確保と可視性の確保を満たす必要があります。
真実性の確保
- 電子データの訂正や削除履歴を確認できること
- 業務時間外の入力履歴を確認できること
- 電子化した帳簿と関連する帳簿との相互性を確認できること
- 事務処理マニュアルなどのシステム関連書類を備え付けること
可視性の確保
- 電子データを明瞭な形で表示し、速やかに出力できること
- 年月日・金額・取引先の3つの条件で検索が可能なこと
電子帳簿保存法|2022年1月以降の改正ポイント
2022年1月以降の改正ポイントについて説明します。
承認申請制度がなくなる
現行法では、電磁的記録の保存やスキャナ保存を行うには、事前に税務署長へ承認を得る必要がありました。
改正後は、承認申請制度がなくなり、スキャナなどの保存システムを導入すれば、電子での保存が可能となります。
優良保存認定制度が新設
現行法の保存要件を満たしている帳簿は「優良な電子帳簿」と認められ、過少申告加算税が5%軽減される措置が新設されました。
ただし、隠ぺいや偽装がある場合は、この措置の適用はありません。
優良な電子帳簿の要件に関しては以下の図を参照してください。
出典:国税庁 パンフレットPDF「電子帳簿保存法が改正されました」より
スキャナ保存の要件緩和
現行法では、受領した領収書をスキャンして申請する場合、受領者の署名と3日以内にタイムスタンプの付与が必要でした。
改正により、この要件が緩和され、受領者の署名は不要、タイムスタンプ付与期限は最長2ヶ月となりました。
出典:国税庁 パンフレットPDF「電子帳簿保存法が改正されました」より
電子取引データの紙保存が廃止(2年間の猶予期間あり)
ペーパーレス化普及のため、電子取引で受領した書類の紙保存が原則的に認められなくなります。
電子データの保存は、タイムスタンプの付与と訂正や削除内容を確認できること、かつ検索機能を確保した状態で保存する必要があります。
紙保存の廃止は2年間の猶予期間が設けられ、当面は紙での保存も認められます。
罰則規定の制定
承認申請制度の廃止やスキャナ保存の要件が緩和される代わりに、税務処理上の不備があれば、重加算税の加重措置が適用されます。
重加算税とは、意図的に隠ぺいや偽装など悪質な虚偽申告をした場合に課せられる附帯税のことです。
不正が発覚すれば通常の重加算税に10%加算する罰則規定があります。
電子帳簿保存法のメリットとデメリット
企業の会計処理に電帳簿保存法を導入するメリットとデメリットについて解説します。
電子帳簿保存法のメリット
保存スペースを削減できる
国税関係書類は最低7年間、最長10年間保存する義務があります。
企業規模が大きくなるほど、ファイルやキャビネットなど保管場所が必要です。
帳簿書類を電子データ化することで省スペース化できます。
参考URL:国税庁 帳簿書類等の保存期間
業務の効率化
紙で保存するより電子データの方が、検索がスムーズに行え作業の効率化が図れます。
紙の帳簿はオフィスでの閲覧に限られるが、電子帳簿はデータを呼び出すことで外出先から閲覧が可能になり時間を有効的に使えます。
コストを削減できる
インク代やファイル、バインダーなど保管にかかるコストが不要になります。
電子帳簿保存法のデメリット
システム導入にコストがかかる
帳簿書類を電子データ化するコンピュータやシステム導入費用など初期コストに加え、継続して運用するためのランニングコストが必要になる。
所定要件を満たす必要性がある
要件を満たすためにデータ管理の基礎知識やスキルが必要になる。
データ損失の可能性がある
パソコンの故障やサーバーのシステムダウンによるデータ損失の危険性がある。常にバックアップ体制を徹底することが大切です。
まとめ
建設業界での日常の受発注業務は、口約束やFAXなど紙でのやりとりが多く、見積もりや請求、請負契約などの経理業務に時間と手間がかかり効率化が求められています。
電子帳簿保存法の施行に合わせて、要件を満たす帳簿管理システムの導入や業務の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。
今回の法改正で、承認申請の廃止や保存方法の要件が緩和されるなど、電子帳簿保存法へのハードルが一気に下がりました。
世の中全体に電子化のニーズが高まり、ペーパーレス化の流れがさらに推進されるでしょう。
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