パーティクルボードとは?合板との違いやメリットについて解説
2022.10.18
- 「パーティクルボードってなんのことだろう」
- 「パーティクルボードを使用するメリットが知りたい」
こんな疑問はありませんか?
パーティクルボードについて理解していないと、建設現場で困るでしょう。
本記事では、パーティクルボードの概要と併せて、パーティクルボードを使用するメリット・デメリットを解説します。
最後まで読むと、パーティクルボードのメリット・デメリットが理解でき、仕事で活躍できます。
目次
パーティクルボードとは
パーティクルボードとは木材を削った細片やチップを固めて、接着剤で圧着成型した板状の製品です。
削小片と呼ばれることもありますが、JIS A5908でパーティクルボードに統一化されています。
パーティクルとは細かい木の切れ端のことで、これらの原料をメラミン樹脂やフェノール樹脂などの接着剤を用いて木質加工品に作り直します。
パーティクルボードの誕生には次のような背景があります。
- 廃木材や低品質素材の再利用
- 節など木材の欠点を分解して取り除く
- 強度アップ
写真引用元:森林総合研究所「構造用パーティクルボードをJIS規格に」より
上記のように解体で出た廃材を再利用するなど、資源の有効活用にも役立つ建材です。
木材の切れ端を接着して製造するパーティクルボードは天然の木材と異なり、自由なサイズや厚みの板を成型できます。
パーティクルボードの種類
パーティクルボードには大きく分けて次の3種類があります。
- 単層
- 多層
- 3層
それぞれの特徴について解説します。
単層
単層のパーティクルボードは大きさが同程度のチップ(木片)を材料として作られるボードです。
同じ大きさのチップを用いて作られるため、ボード全体の強度が均等になる特徴があります。
しかし、高密度なボードのため多層や3層のボードよりも重くなるデメリットがあります。
多層
多層のパーティクルボードはサイズの違うチップを用いて、複数の層からなるボードです。
外側の層に向かって小さなチップを用い、中心に近づくほど粗めのチップが使われています。
上記構造により、ボードの密度を抑え、軽量化や曲げ強度の向上が図れます。また、加工に優れており、家具など多くの材料として使用されます。
3層
3層のパーティクルボードは最も使用頻度の高い構造で3つの層からできています。
粗めのチップで作られた中心の層を、細かいチップで作られた層で挟み込んだ3層構造で強度が高められています。
パーティクルボードの規格(JIS)
パーティクルボードはJIS(日本産業規格)で次の規格が定められています。
- サイズ
- 種類
- 曲げ強度
- 耐水性
- ホルムアルデヒド放散量
それぞれの規格について解説します。
サイズ
パーティクルボードのサイズはJIS規格において以前から、910mm×1,820mm(サブロク)1,210mm×2,420mm(シハチ)など数種類の標準サイズが規定されていました。
しかし、特殊なサイズの需要が増えたことを受けて、自由に組み合わせができる以下のような範囲表記となっています。
- 厚み 50mm以上〜40mm以下
- 幅 350mm以上〜2,100mm以下
- 長さ 450mm以上〜6,100mm以下
上記の表記に変わったことで、幅広いサイズのパーティクルボードの使用が可能となりました。
種類
パーティクルボードはJIS規格において次の4つに分類されます。
種類 | 表裏面の状態 |
素地パーティクルボード | 両面が素地のボード(基材となるボード) |
単板張りパーティクルボード | 素地ボードに単板を貼り合わせたボード |
化粧パーティクルボード | 素地ボードの両面もしくは片面に化粧板や合成樹脂、フィルムなどが施されたボード |
構造用パーティクルボード | 両面が素地のボード。構造用途で使用できる強度を持つ |
家具や什器には、化粧板が貼られた化粧パーティクルボードや薄板が貼られた単板張りパーティクルボードが一般的によく用いられます。
仕上がり状態や耐久性など用途によって活用方法が異なるため、特徴に合わせて選別することが重要です。
曲げ強度
パーティクルボードは曲げに対する強度(8〜30の記号)によって分類されています。
数字が大きくなれば強度が高くなるため、使用用途に合わせて選別しましょう。
耐水性
パーティクルボードの耐水性能によって3つに分類(普通・耐水1・耐水2)されており、使用用途に合わせて使い分ける必要があります。
例えば、耐水性が低い普通タイプは家具やキャビネットに向いています。耐水1タイプは床や壁などの下地材や造作部材として、耐水2タイプは高い防水性を要する建築下地や造作材に用いられます。
ホルムアルデヒド放散量
パーティクルボードは接着剤が用いられているため、化学物質過敏症やシックハウス症候群の要因とされるホルムアルデヒドの放散量に対して規定が設けられています。
JAS規格(日本農林規格)と共通基準であり、高い順からF☆☆☆☆(エフフォースター)・F☆☆☆・F☆☆・適合なしというランクになります。
家具や什器、機密性の高い室内製品には一般的にF☆☆☆☆が採用されています。
パーティクルボードのメリット
パーティクルボードのメリットは次の通りです。
- コストが安い
- 反りや割れが少ない
- 環境にやさしい
- 遮音性・断熱性能がある
- 材質が均一
それぞれのメリットについて解説します。
コストが安い
解体などで出た廃材や低品質の素材を再利用するので、天然の素材と比べると価格が安い建材です。
大型サイズのボードを使用しても価格が低く、コストを抑えることができます。
反りや割れが起こりにくい
パーティクルボードは細かい木片を圧着して製造されているので、天然木にあるような反りや割れが少なく、加工も容易に行えるメリットがあります。
また、通気性がよくサイズの狂いも少ないため、壁や床、家具などに扱いやすく優れた建材として広く用いられています。
環境にやさしい
パーティクルボードは解体などで出る廃材を再利用して作られています。
そのため、新たに森林伐採による資材の調達や化学物質を用いることもないため、環境に配慮した建材といえます。
遮音性・断熱性能がある
パーティクルボードは遮音性や断熱性に優れています。
パーティクルボードは細かい木片やチップを圧着成型して作られているので、チップとチップの間にたくさんの空間があります。
この空間にある空気が音や熱を伝える力を弱め、遮音性や断熱性を高めています。
遮音性があるので音漏れが気になる部屋やAVルームなどで活用したり、断熱性を活かして寒さ対策に利用したりなど建材として幅広く使用されます。
材質が均一
材質が均一なのがパーティクルボードのメリットです。
木材のチップを固めて作るため、仕上がったパーティクルボードは材質が均一となっています。
無垢材に比べて反りや割れ、狂いが少なく、簡単に加工できる特徴もあります。
製造時にチップの量を調整すれば、厚みや大きさを自由に決められるため、用途に応じて幅広いサイズのボートを作ることができます。
パーティクルボードのデメリット
パーティクルボードのデメリットは次の通りです。
- 湿気や水に弱い
- 釘やネジの効きが悪い
- 長期間荷重がかかるとたわみやすい
- 強度はあまり強くない
それぞれのデメリットについて解説します。
湿気や水に弱い
パーティクルボードは木材チップを固めて圧縮成型しているため、耐久性に優れていますが、水に弱いデメリットがあります。
雨や水に濡れてしまうと劣化が進んで、カビの発生やひび割れが起きる原因となります。そのため、キッチンやバスルームなど水回りへの使用は控えた方が無難でしょう。
どうしてもパーティクルボードを使用したい場合には、耐水性を持つ合板などを貼り合わせるなどの工夫を凝らす必要があります。
釘やネジの効きが悪い
パーティクルボードは細かいチップを固めた構造のため、加工は容易ですが釘やネジの固定力が弱いという点もデメリットです。
ボードに釘やネジを打つときには、接着剤などの補強対策を施しましょう。
長期間荷重がかかるとたわみやすい
パーティクルボードは長期間にわたって負荷がかかるとたわみやすいデメリットがあります。
机や椅子、軽いものを納める家具などには問題ありませんが、長期間重いものを支える箇所への使用には不向きです。
強度を保つためには、補強材を用いるなどの対応が必要でしょう。
強度はあまり強くない
パーティクルボードは強度があまり強くないという特徴があります。
パーティクルボードは細かいチップを集積したものなので、無垢材やベニヤ板といった単一素材の資材よりも強度に劣ります。
そのため、建物の柱などの高い強度が求められる場面には適しません。
さらに、木目がないため切断面が粗くなってしまう点や木材ならではの、特徴を活かしにくいという欠点もあります。
パーティクルボードの主な用途
パーティクルボードの使用用途について3点紹介します。
室内工事の下地材
パーティクルボードは遮音性や断熱性があり、サイズや厚みも自由に選べるので壁や天井などの下地材として最適です。
下地材には、厚みが10mm〜12mmのパーティクルボードをよく使用します。
ただし、湿気に弱い特徴があるため、湿度の高い箇所への使用には注意が必要です。
家具
パーティクルボードは作業性が良好で、反りや割れも少ないことから、組み立てタイプの家具や収納家具によく用いられます。
ただし、湿気の多い水回りへの設置や長時間重い本や荷物を収納する家具にはあまり向いていません。
パーティクルボードは湿気に弱く、長期間重みを与えるとたわみやすいデメリットがあるため、用途に合わせて使い分けましょう。
スピーカー
パーティクルボードは音響用スピーカーにもよく用いられます。
その理由として次の点が挙げられます。
- 遮音性と断熱性に優れている
- 内部構造の均一性が高い
- コストも安く、大量生産できる
- 高い制振性と堅牢性を備える
上記の特徴から、スピーカーの素材として最適です。
音響メーカーだけでなく、加工が容易な点からスピーカーをDIYされる方にもよく利用される素材です。
パーティクルボードと合板の違いとは
パーティクルボードは、木材の細片やチップを固めて作った板のことです。
合板(ベニヤ板)は、複数枚の薄い板を重ね合わせて圧縮した板です。
パーティクルボードと合板(ベニヤ板)は間違えやすいですが、上記のような違いがあります。
まとめ【パーティクルボードについて理解してから使用しましょう】
今回は、パーティクルボードの概要と併せて、パーティクルボードを使用するメリット・デメリットを解説しました。
パーティクルボードとは木材を削った細片やチップを固めて、接着剤で圧着成型した板状の製品です。
パーティクルボードのメリット・デメリットを理解してから、使用するとイメージ通りに施工できます。
この記事を参考にぜひパーティクルボードを使いこなしてください。
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