工事請負契約書の作成義務者は?必要性は?
2023.01.19
- 今まで現場ばかり集中してしまい、いざ事務方の仕事をしようと思っても何から始めればいいかわからない…
- 事務手続きをしてくれていた方に毎回お願いしてもいいけれど、そろそろ自分でやってみたい…
そう考えている方もいると思います。
事務的なところも抑えて、より良い経営を目指しましょう。
最後まで読めば、工事請負契約書について詳しくなります。
それでは「工事請負契約書」について、詳しく記載していきます。
目次
そもそも工事請負契約書とは?
工事請負契約書とは、戸建て住宅やリフォーム、改修工事など、あらゆる工事を発注者や元請け先から受注する時に交わす契約書の事です。
「こういう物件を建てたい」など、注文者と請負者(業者)との「約束をきちんとしましたよ」と証明する為の書類です。
この契約書でどんな約束を交わしたのか、はっきりわかるようにする為に必要です。
工事請負契約書の作成の目的・役割・記載事項
受注者が建物を建てる → 発注者に引き渡す → 発注者は対価を支払う
これを約束する事が、工事請負契約書の役割です。
規模に関わらず、全ての工事で交わす必要があります。
どのような工事で必要なのかは、後ほどお伝えします。
目的として、
- 工事の内容や仕様を明確化し、着工してからのトラブルを予防することが出来る
- 万が一トラブルになった時の為に、ルールを決めておける
- 訴訟などに発展した時に、証拠として使用する事が出来る
などがあります。
工事請負契約の原則
- 18条:
建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない - 19条:
契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない
契約書を作成・交付する義務、署名又は記名押印する義務があり、記載しなければならない内容も決まっています。
細かく記載するとなると14事項程になり、とてもボリューミーなものになってしまいますが、一般的には下記の項目で締結される事が多いです。
工事請負契約書の記載事項
- 工事名
- 工事場所
- 工期
- 請負金額
- 請負金の支払時期及び方法
- 調停人(定めなしの場合は削除)
- その他
以上を記載したものを2部用意し、双方が捺印(押印)署名し、保管する事で締結となります。
工事請負契約書を締結する場面はどんな時?
工事請負契約書が締結されるのは、住宅・添付用物件・ビルなど、建物に関する工事を行うケースが多いです。
例えば、
- 新築工事
- 増改築
- 改装工事
- 土木・建設一式工事
- 左官工事とび・土木・コンクリート工事
- 外構工事、電気系、水道系、消防関係、内装仕上げ、防水、機械器具設置 など
その他多数の工事にも必要になってきます。
小さな工事であっても、締結するようにしましょう。
工事請負契約書が、万が一ない場合の罰則などは?
工事を施工する時に契約書がない場合、罰則の規定はありませんが法律違反になり契約は成立していても企業は行政処分を受ける事になります。
処分を受けるだけでなく、業者を変えられてしまい工事が飛んで(なくなって)しまったり揉めてしまったりするリスクがあります。
たとえ、口頭で約束しそれを録音や録画していても、「言った」「言ってない」と水掛け論になり、最悪の場合弱い立場になりやすい下請けが、契約違反による損害賠償請求をされかねません。
さらに、建設業の許可を新規で取得する際も、これが専任技術者としての証明になりますし、許可を取った後に経営業務の管理責任者や専任技術者を変更する場合も工事請負契約書を確認する場合があります。
また公共の経営事項審査を受ける場合、実態調査として請負契約書の確認は必ず行われます。
罰則はなくても、余計なトラブルやクレームを未然に防ぐ為に工事請負契約書は注文書や注文請書と同じく、必ず作成するべきと言えます。
工事請負契約書は誰と交わすものなのか?
契約書は、発注者と請負人が交わします。
請負人が下請けに依頼する場合は、また別な書面での契約が必要になってきます。
自分が請負人になったら、ひとまず発注者との契約は必須条件となります。
どの立場の会社が作る?自分で作成するパターンと相手に作成してもらうパターン、違いは?
契約書を作成すること自体は、どちらの立場でも支障ありませんが、相手方に作成の依頼されたり自分で作成してもいい場面になった時は、多少面倒でも是非作成させて頂きましょう。
理由は「完璧にやれば、自分にとって不利にならないように作成する事ができるから」です。
相手方に作成作成してもらいそれを隅々までチェック出来ればいいですが、多忙であったり案件がいくつも重なっている時期だったりすると不利な内容が記載されていても見落としてしまい、後々大変な事に…なんて事もあります。
自分で作成する方が、明らかにメリットは沢山です。
- 自分で作成
忙しい中で時間を見つけ、着工までに仕上げなければならないが締結内容は有利にしやすい。 - 相手に依頼
仕上がったものに署名捺印するだけでいいが、隅々までチェックできないと後で自分が不利になりやすい。
実際に工事請負契約書を作成する時の注意点
自分に有利な契約書を作成するにしても、注意しなければならない事はしっかり把握しておきましょう。
まず、工事請負契約書には標準約款雛形が存在します。
ですので、通常はこの約款に沿って作成されます。
ですが、工事の内容や性質によっては約款と異なる合意も必要になることもあります。
この場合は、約款を修正する形で作成することが一般的です。
あと、テンプレートを拾ってきて作成することもあると思いますが、あまりおすすめはしません。
手間ですが、自社オリジナルのものの雛形を用意し、そちらで作成する方がいいでしょう。
ちなみにですが、建設業の許可がなくても契約書は必要です。
工事請負契約書の作成に必要なもの
注意点を踏まえた上で仕上がったら、工事の種類による各種約款を用意します。
公共工事なのか、民間工事なのかで変わってきますので、注意が必要です。
公共工事の場合
- 公共工事標準請負契約約款
- 国や省庁が工事を発注するパターンの時
- 電気やガスなど、インフラ系の民間企業も使用できる
民間工事の場合
- 民間建設工事標準請負契約約款
- 民間が工事を発注するパターンの時
- 中央建設業審議会によって定められているもの
あとは、金額によって額は変わりますが、収入印紙も用意しましょう。
収入印紙の金額
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
まとめ
- 契約書は建設業の許可の有無を問わない
- 基本的には可能であれば自社で作成、そして必ず署名、捺印後に双方で1部ずつ保管しておく
- 契約書は請負人でも、発注者でも作成できる
工事を安全に施工することも大切ですが、着工前にその工事に関係する業者全てが納得し、安全に工事を進めていけるように準備をしておく事も大切になってきます。
いざ着工してみて、「こうやって話合っておけばよかった」「こういう場合はどうしよう…」などと不安や不満を抱えていては、いい工事ができませんよね。
その為にも契約書はきっちり、しっかりした内容で締結しましょう。
デキる会社の経営を
カタチにしました
リフォーム統合管理システム「SAKSAK」はできる会社の経営管理をカタチにしたシステムです。SAKSAKを使うことで、次のような悩みを解消いただけます。
- 粗利管理ができていない
- 請求書の確認に時間と手間がかかる
- 会社として顧客管理ができていない
- 見積書作成は営業担当者の負担が大きい
- 入金遅延や未入金・額の相違が多い など
意外と、知られてはいませんがリフォーム業界20年という実績があるシステムです。SAKSAKを使って、利益率が5%アップした会社もあります。また、SAKSAKとともに上場した会社もあります。
次は、SAKSAKがあなたの会社をお手伝いする番です。まずは、どのようなシステムか、ご覧ください。
導入事例集もありますので、こちらもご参考ください。
建築業、リフォーム業向けにすぐに使えるエクセル4種類のテンプレート(御見積書・工事請負契約書・工事台帳・工程表)を無料でプレゼントしております。
- 関連キーワード:
- 帳票