業務改善報告書の目的とは?記載方法や作成ポイント(例文つき)を解説
2022.12.18
作業効率や生産性向上のために業務改善を継続していくことは建設業に限らず、あらゆるビジネスにおいて重要な取り組みのひとつです。
しかし、業務改善に取り組みたくても、具体的な対応方法がわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では業務改善に取り組む際に提出が求められる「業務改善報告書」について記載項目や目的、作成ポイントなどをわかりやすく解説しています。
積極的に業務改善を進めていくための参考にしてください。
目次
業務改善報告書とは
業務改善報告書とは社内や社外に向けて業務改善を提案し、取り組み内容を伝達するための報告書です。
わかりやすく読み手に伝える報告書を作成するためには、改善の結果や効果を記載するだけでは不十分です。
どのような方法で改善を進めるのか、改善にかかるコストや人員はどのくらいかなど、具体的に明記することが大切です。
業務改善には新しく機器やシステムを導入する有償のものと、創意工夫を凝らして改善に取り組む無償のものがあります。
特に無償の改善はコストがかからないため、企業にとって大きなメリットがあります。
コストパフォーマンスの高い改善報告には賞与を給付している企業もあり、業務改善報告書の作成は企業と従業員の双方にとって有意義な取り組みとなっています。
業務改善報告書を作成する目的
業務改善報告書を作成する目的は次の2点です。
- 経営陣の納得を得て改善案を実行する
- 客観的にみて改善案を整理する
項目ごとに解説します。
経営陣の納得を得て改善案を実行する
業務改善報告書の作成には業務の課題や現状、改善が必要な理由を社内で共有し、改善案を実行に移す目的があります。
しかし、実際に改善を進めるためにはコストや労働力などのリソースが必要なケースも多く、決定権のある経営陣からの承認を得る必要があります。
上司や責任者から承認を取り付けるためには、改善を行う理由をわかりやすく伝えて納得してもらわなければいけません。
そのためにも第三者が読んでわかりやすい業務改善報告書の作成が必要です。
客観的にみて改善案を整理する
業務改善案を考える際には、業務内容や現状、改善の効果や必要コストなど、あらゆる局面から改善策を練る必要があります。
改善策を客観的に捉えると新たな考えに気づき、改善内容を上手くまとめられます。
ただし、業務改善報告書は個人的な問題を取り上げるのではなく、企業として利益向上につながる改善策を立てることが大切です。
例えば、「作業効率の悪い業務を改善する」や「ムダを省いて残業時間を減らす」など、会社全体として影響のある問題を整理して記載しましょう。
業務改善報告書に記載すべき項目
業務改善報告書を作成するときには、問題点に対して具体的な改善策を提案する必要があります。
さらに改善で得られる効果や必要なコストを明記して、メリットをわかりやすく伝えましょう。
業務改善報告書に記載する主な項目は以下の4点です。
- 業務で抱える問題点・現状
- 具体的な改善策
- 業務改善により期待できる効果
- 業務改善に要するコストや人員
項目ごとに解説します。
業務で抱える問題点・現状
まず、業務で抱えている問題点について記載します。具体的には以下のような感じです。
◯◯の手順を実施したところ、以下の問題が発生しています。
1.対応期限の遅延
△△の理由で対応期限が遵守できない事例が増えています。(◯回/月)
2.対応社員の残業時間増加
期限の遅れから対応社員の残業時間が増加しています。(◯時間/月)
問題点を記載する際には個人的な問題であるかのような印象を与えないように注意しましょう。
客観的に問題を捉え、業務全般を通して影響のある問題について提案してください。
具体的な改善策
次に改善策について記載します。具体的には以下のように提案します。
現状の問題点を踏まえて、業務改善の実施を提案します。
現状行っている◯◯の方法を△△に変更し、以下の作業手順に変更する。
手順1:〜〜〜〜〜
手順2:〜〜〜〜〜
手順3:〜〜〜〜〜
問題点を解決できる具体的な改善策を記載しましょう。
「改善のために努力します」や「注意して作業します」などといった曖昧な表現ではなく、具体的に実行に移せる行動案がベストです。
業務改善により期待できる効果
次に業務改善を実施することで得られる効果・成果について記載します。具体的には以下のような記載です。
改善策を実施することで以下のような効果を見込んでいます。
達成見込みは◯ヶ月後の予定です。
1.対応期限の遅延:遅延回数月◯回から△回に削減
2.対応社員の残業時間増加:◯時間/月から△時間/月に削減
期待できる効果の記載は抽象的な表現ではなく、「◯時間削減します」や「売上◯%アップします」、「人員を◯人削減できます」など具体的な数値を用いると魅力的な提案として採用されやすくなります。
業務改善に要するコストや人員
次に業務改善にかかる予算を記載します。具体的には以下の通りです。
業務改善の実施には、以下の予算を想定しています。
経費:◯◯導入 月△△円
時間:スタッフA ◯時間・スタッフB △時間
期間:◯ヶ月
どの程度の経費や時間、期間が必要になるのかを具体的に記載します。
もし、多くの予算を必要とする場合は、費用対効果を考慮して改善策を見直してみましょう。
業務改善報告書を作成するポイント
業務改善報告書の作成ポイントは以下の4点です。
作成ポイントを押さえて、業務経験がない人にもわかりやすい内容で記載しましょう。
より具体的な内容を盛り込むことで、改善案のメリットが理解しやすくなります。
- 具体的な内容を書く
- 客観的な視点で書く
- 社内で共有する
- 改善案の目的と結果を明確化する
項目ごとに解説します。
具体的な内容を書く
業務改善報告書を作成する際には、読み手が誰であっても理解できるように具体的な内容を記しましょう。
改善案を実施するとどのような効果があって、どういったことが実現できるのかを明確に記載します。数字を用いて記載するとイメージが伝わりやすくなります。
例えば、業務効率化を目的とした改善案の場合、「この改善案によって業務効率が向上します」と記載するよりも、「この改善案によって業務時間を1/3削減できます」とした方が効果をより実感できるのではないでしょうか。
抽象的で漠然とした表現を避け、作業時間や人員、コストなどを具体的な数値で明記しましょう。
客観的な視点で書く
2つ目は、読み手に目を向けた客観的な視点で報告書を作成する点です。
業務改善報告書で提案する改善策がなぜ必要なのか、どのような価値を生み出すのかを客観的に記載します。
この点が主観的になると、感想文のような印象になり適切ではありません。
改善案の承諾を得るためには、個人的な提案ではなく会社の利益につながる提案を心がけて下さい。
また、報告書は基本的に経営陣が読み手になるため、自分たちだけがわかるような内容ではよくありません。
現場を知らない人が見てもわかるように専門用語を一般化したり、図や写真を挿入したりするなどして、わかりやすい報告書にしましょう。
社内で共有する
作成した業務改善報告書を社内で共有すれば、取り組みに直接関与しない上司や同僚へも改善への理解を深められます。
業務改善に向けた取り組みやノウハウが全社的に蓄積されるので、より効果的に業務改善報告書を活かすことができるでしょう。
しかし、社内共有をする場合、紙媒体では共有に時間がかかります。
報告書をPDF化してメールを送信することもできますが、担当者の負担も大きくなるでしょう。
そのため、円滑に情報交換できる効率的なシステムの導入が有効的です。
業務デジタル化が実現できれば、報告書作成から承認、共有までの一連の流れをスムーズに行えるでしょう。
改善案の目的と結果を明確化する
改善案を考える際には業務改善を行う目的や結果を明確にしておきましょう。
提案した改善策の目的や結果が曖昧な表現であれば、共感を得られないどころか承認も難しくなります。
最後に前項の「業務改善報告書に記載すべき項目」をもとにした業務改善報告書の例文を紹介します。
◯◯年◯月◯日
◯◯部◯◯課
◯◯部長
業務改善報告書
この度、◯◯部の業務改善案について提案いたします。以下の取り組みについて、ご承認のほどよろしくお願いいたします。
現状報告
現状ではと◯◯いう手順で業務を行っている。
※添付資料①の作業手順書をご参照ください。
現状の問題点
◯◯の手順を実施したところ、以下の問題が発生しています。
1.対応期限の遅延
△△の理由で対応期限が遵守できない事例が増えています。(◯回/月)
2.対応社員の残業時間増加
期限の遅れから対応社員の残業時間が増加しています。(◯時間/月)
具体的な改善方法
現状の問題点を踏まえて、業務改善の実施を提案します。
現状行っている◯◯の方法を△△に変更し、以下の作業手順に変更する。
手順1:〜〜〜〜〜
手順2:〜〜〜〜〜
手順3:〜〜〜〜〜
改善後の効果
改善策を実施することで以下のような効果を見込んでいます。達成見込みは◯ヶ月後の予定です。
1.対応期限の遅延:遅延回数月◯回から△回に削減
2.対応社員の残業時間増加:◯時間/月から△時間/月に削減
必要な予算
業務改善の実施には、以下の予算を想定しています。
経費:◯◯導入 月△△円
時間:スタッフA ◯時間・スタッフB △時間
期間:◯ヶ月
詳細につきましては添付書類②をご覧ください。
以上
上記例文を参考にして業務改善報告書を作成するときには、改善案の目的と結果を踏まえた具体的な記載を心がけましょう。
まとめ
この記事では業務改善報告書について記載項目や目的、作成ポイントなどを解説しました。
従業員の高齢化や若者不足などさまざまな課題を抱える建設業では、労働環境向上のため業務改善が欠かせません。
しかし、実際に業務改善に取り組めている建設業者は少ないのではないでしょうか。
まずは残業時間削減など取り組みやすい改善からはじめて、徐々に着眼点を広げながら積極的に取り組むことが大切です。
改善に取り組む際には、今回解説した作成ポイントや例文を参考にして、具体的かつ改善結果がイメージできるような記述を心がけましょう。
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