工事請負契約書って何?解りやすくポイント解説します!
2022.07.01
建設業法に義務づけられた工事請負契約書。
工事を行うにあたり、工事を完工して引渡す請負人と完工工事に対して報酬を支払う発注者との間で契約を交わす大切な契約書です。
工事請負契約書の原則を知ることは、未然に様々なトラブルを防ぐことにも繋がります。
今回の記事では、工事請負契約書の原則は何か・作成時の注意点・効率のよい作成方法などをお教えします。
この記事を通して、工事請負契約書について知識を深めていきましょう。
この記事で分かること
- 工事請負契約書とは何か
- 工事請負契約書の原則
- 工事請負契約書を作成する際の注意すべき点
- 効率のよい工事請負契約書の作成・扱い方
目次
工事請負契約書とは発注者と請負者間で交わす契約書
工事を行う上で契約書を交わすことは、とても重要です。
しかし、建設業での取引においては注文書や請書だけを交わすことが多い場合もあります。
工事の規模が小さければ、注文書や請書さえも交わさないこともあるのではないでしょうか。
工事請負契約書とは、建設に関わる工事やリフォームなどを依頼する『発注者』とその工事を請け負う『工事請負者』との間で工事内容や期間、金額などの項目について合意したことを書面で示したものです。
民法では、書面がなく口約束であっても社会的妥当性に反しないのであれば法律上契約は有効です。
これを「諾成契約(だくせいけいやく)」と言い、請負・売買・贈与・雇用・和解など様々な契約が当てはまります。
ところが、建設業者の方々は建設業法のルールに従う必要があるので、小規模の工事であっても必ず工事請負契約書を交わさなければならないので注意しましょう。
工事請負契約書の原則は、建設業法でルールが定められている
建設業法の第三章「建設工事の請負契約」について決まりが定められています。
第18条では、
「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、審議に従って誠実にこれを履行しなければならない」
と建設工事の請負契約の原則で定めています。
その建設工事の請負契約の当事者に対して、第19条では、
「契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」
と定めています。
条文から読み取れる工事請負契約書の効果
建設業法第三章第18条及び第19条は、以下の効果や役割を果たしています。
請負契約の双務化を証明
契約書を交わすことで、不平等な請負契約の締結を防ぐことができます。
発注者が有利な立場とならないように対等的な債務負担があることを工事請負契約書で証明するのです。
請負工事における認識のすり合わせ
工事請負契約書を交わしても、契約内容の認識の違いによりトラブルが起きる可能性もあります。
そのトラブルを防ぐためにも契約内容のすり合わせを確実に行い、詳細部分まで記載することが大切です。
工事請負契約書を交わしてないと法違反になる
工事請負契約書を行っていなくても請負契約が無くなる訳ではありませんが、立派な法違反です。
建設業の許可を持っているか否かを問わず、国土交通大臣や都道府県知事から指導を受けたり、営業停止処分を受けるおそれがあります。
契約書を作成し交わすことが、結果的に自分の身を守ることに繋がることでしょう。
発注者と工事請負者は書面による契約書を必ず交わさなければならないのです。
工事請負契約書には、記載すべき14項目に注意する
工事請負契約書には、必ず記載すべき14項目が建設業法第19条第1項で定められています。
記載すべき14項目は以下の通りです。
- 工事の内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 請負金額の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申し出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
- 価格等(物価統制令(昭和21勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
- 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引越しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
- 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
以上、これらの内容は必ず書面に記載しなければいけませんので注意して作成してください。
また、以下の項目は契約工事ごとに内容が変わるため、必ず書き換えましょう。
- 工事名、工事内容
- 現場住所
- 工期(着工から完工までの期間)
- 工事を施工しない日、施工しない時間帯
- 請負代金額
- 請負代金の支払い時期と方法
- 調停人(定めない場合は削除)
- その他の項目、備考など
契約内容と比較しながら、間違えのないように作成してください。
工事請負契約書は効率よくデータ化にする
工事請負契約書の作成には、以下の2つの方法があります。
- 市販の工事請負契約書に手書きで記入する方法
- ワードやエクセルなどパソコンを利用する方法
請負工事ごとに手書きで記入するのはとても大変ですので、パソコンを利用して工事請負契約書を効率良くデータ化することをおすすめします。
では、どうやって請負契約書を作るの?イチから作成するなんて難しい!と思いますよね。
そのような方達に向けて、国土交通省などが標準請負契約約款を作成したものを公表してくれています。
以下のひな形を基に作成してみてはいかがでしょうか。
- 国土交通省
→建設工事標準請負契約約款 - 日本弁護士会連合会
→住宅建築工事請負契約約款 - 住宅リフォーム推進協会
→住宅リフォーム標準契約様式 - 全国建設労働組合総連合
→工事請負契約書
工事請負契約書を初めて作成する方や作成することに自信がない方は、専門家によるチェックや相談を行ってもらうことをおすすめします。
まとめ
工事請負契約書は双務契約であり、トラブルを防ぐ効果を持った重要な書類です。
作成には間違いのないように記載すべき項目や詳細事項を必ず記載するようにしましょう。
国土交通省など様々なひな形が公表されているため、そのひな形を利用して作成も可能であり、データ化してしまえば契約書作成の手間を省けて整合性も取りやすくなります。
また、そのような時間もないという方は一元管理システムなどを活用することも一つの選択と言えるでしょう。
慣れるまでは少し時間が掛かるかもしれませんが、結果的にとても短い時間で効率良く作成できます。
自分のやりがいのある仕事をさらに良くするためにも工事を請負うときは必ず相手と工事請負契約書を交わすようにしましょう。
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