国土交通省が認めた安心して購入できる中古住宅「安心R住宅」の特徴と仕組み
2023.09.12
- 「安心R住宅って何?」
- 「本当に顧客は安心して購入できるの?」
そんな疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、国土交通省が認定した安心して購入できる中古住宅「安心R住宅」の特徴と仕組みについてわかりやすく解説しています。
なぜ、「安心R住宅」というものが存在するのか、顧客が中古住宅に持っているイメージと共に安心R住宅の魅力について見ていきましょう。
目次
安心R住宅は国土交通省が認めた安心して購入できる中古住宅
安心R住宅とは、国土交通省によって認められた安心して購入できる中古住宅のことをさします。
国が定めた一定の基準をクリアすることで中古住宅販売の広告に、安心R住宅の認定標識をつけられます。
この標識があることで、その中古住宅は安心して顧客が購入できるということが判断できるのです。
顧客は中古住宅の購入にマイナスイメージを持っている
顧客は中古住宅の購入を検討する際に、マイナスイメージを持っていることが多いです。
誰がどのように使っていたのか、耐震性は問題ないかなどの「不安」を持っていたり、前の住民が使っていたという事実から「汚い」というイメージを持っていたりすることがあります。
また、中古住宅販売の広告の情報が不十分で「よくわからない」と思っている人も多く、いざ中古住宅を購入しようと思っても躊躇ってしまう顧客もいます。
そんな買い手の不安を払拭して安心して中古住宅が購入できるように、「安心R住宅」制度が定められました。
安心R住宅の条件
安心R住宅として認定されるためには、大きく3つの条件を満たす必要があります。
- 安心
- きれい
- わかりやすい
この3つの条件について詳しくみていきましょう。
安心ー基礎的な品質がある
1つ目は「安心」です。
買い手が中古住宅でも安心して住めるように、住まいとして「基礎的な品質」を備えていなければなりません。
例えば、耐震性は新耐震基準で建築されているか、もしくは耐震診断で安全性が確かめられている必要があります。
ちなみに、新耐震基準とは、1981年6月1日以降に建築確認された住宅のことを指します。
他にも、構造上の不具合や雨漏りをしていないかを建築士などの専門家による調査や住宅診断を受けて安全性を確認できているか、不具合等をすでに改修済みであることも条件です。
きれいーリフォーム済み・リフォーム予定である
2つ目は、すでにリフォーム済み・リフォームの予定があり「きれい」な状態であることです。
安心R住宅を認定できる団体として国土交通省に登録された事業者団体が定めたリフォームが済んでいる、もしくは費用を含めてリフォームの提案書が作られていることが条件です。
中古住宅の外装や内装、水回りなどの状態を写真で確認できるようにする必要もあります。
わかりやすいー情報が明確に開示されている
3つ目は、情報が明確に開示されており「わかりやすい」ことです。
その中古住宅がこれまでにどんな点検を実施されているのか、修繕歴はあるのか、どんな保険や保証がついているのかなどの情報が「安心R住宅調査報告書」で表示されます。
これにより、購入する際に顧客が内容を確認できます。
修繕歴や省エネ性能、維持管理計画や建築時の情報を確認することができるので安心して購入を検討できるということです。
売主・購入者に嬉しい安心R住宅のメリット
ここからは、安心R住宅のメリットについて紹介します。
安心R住宅のメリットは、買い手だけでなく売主にも嬉しいメリットがあります。
- 既存住宅瑕疵保険に加入が可能
- こどもエコすまい給付金の補助額が上がる
- フラット35の金利が引き下げられる
- 早期売却の可能性が高くなる
- 契約の際のトラブルを回避しやすくなる
それぞれのメリットを見ていきましょう。
既存住宅瑕疵保険に加入が可能
中古住宅が安心R住宅と国土交通省に認められると、「既存住宅瑕疵保険」に加入することが可能になります。
これは、売却した不動産の保険対象部分に欠陥が見つかった際に、保険金が支払われて補修のために費用を支払ってもらえる保険のことです。
既存住宅瑕疵保険に加入することで、売主が「契約不適合責任」を問われて補修や代替物等の支払い請求されるリスクが軽減されます。
こどもエコすまい給付金の補助額が上がる
こどもエコすまい給付金とは、子育て世帯や若者夫婦世帯によるZEHレベルを有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修などに対して支援する補助金制度のことです。
2050年のカーボンニュートラルの実現を図ることを目的としています。
中古住宅を購入してリフォームする場合、一般住宅に対して30万円の補助上限で補助金が交付されます。
しかし、安心R住宅を購入すると上限が45万円まで引き上げられるので15万円も多く補助金を受け取ることが可能です。
フラット35の金利が引き下げられる
「フラット35」は質の高い住宅に対して、ローン金利を引き下げて住宅制作に合った住宅供給・流通を増やすという仕組みが持たれています。
そのため、安心W住宅を購入してフラット35を利用する場合、「フラット35(維持保全型)」を選ぶことで、ローン金利が0.25%(当初5年間)引き下げられるというメリットもあります。
住宅性能によってさらに金利引き下げ幅が変動する場合もあるので、より低い金利で家のローン支払いが可能です。
早期売却の可能性が高くなる
安心R住宅は、中古住宅を購入するときに買い手が感じやすい不安を解消してくれるので、買い手が安心して購入することができます。
そのため、早期での売却できる可能性が通常の中古住宅よりも高くなります。
契約の際のトラブルを回避しやすくなる
中古住宅の売却の際、契約書の記載と実際の売却物件の状況が異なるというトラブルが発生することがあります。
その際、中古住宅の売却後も一定期間は売主が「契約不適合責任」を負わなければなりません。
安心R住宅は売る際に詳細な情報を相手に開示するため、契約不適合責任によって売主が責任を追求されるというリスクが軽減されるため、買主・売主間でのトラブルも回避しやすくなるのです。
売主・購入者が懸念する安心R住宅のデメリット
続いて、安心R住宅で売主も購入者も懸念するデメリットを2つ紹介します。
- 「専任媒介契約」のみである
- 建物状況調査などの費用が発生する
それぞれ解説していきます。
「専任媒介契約」のみである
専任媒介契約とは、不動産会社の積極的な売却活動をすることが可能ですが売却依頼ができる不動産は1社に限られます。
安心R住宅は、専任媒介契約をする中古住宅でのみ安心R住宅の標識を使うことができます。
一般媒介契約であれば、複数の不動産会社へ依頼することで高値で売却できる可能性も少なくありませんが、その場合安心R住宅の標識を広告に載せることはできません。
建物状況調査などの費用が発生する
中古住宅を安心R住宅と認定されるためには、建物状況調査等のインスペクションの必要があり、そのための費用が発生します。
また、安心R住宅の認定を受けるための手続きをしなければならず、売主はその手間に時間をかけなければなりません。
安心R住宅の注意点
売主・買主にとってもメリットの多い安心R住宅ですが、いくつか注意点もあります。
- 取得は比較的簡単
- 知名度が低い
- 費用が高くなって利益が少なくなる可能性がある
ひとつずつ紹介していきます。
取得は比較的簡単
安心R住宅制度は運用が始まったばかりの新しい制度です。
そのため、認定は比較的簡単に取得ができます。
新しい制度のため、事業者団体ごとに規定やルールが異なるなど事業者団体全体での統一性もうまく取れていません。
また、情報の正確性も事業者団体が保証してくれるものでもありません。
今後はルールを統一化・厳格化していくようになれば取得が難しくなり、安心R住宅の制度の価値が高まっていく可能性もあります。
ただ、現状ではまだその段階に至っていないため、安心R住宅の認定取得は簡単であるといわれています。
知名度が低い
まだ新しい制度のため、安心R住宅の知名度は低い状況です。
安心R住宅は購入者が安心して中古住宅を購入できるようにと始められた制度にもかかわらず知名度が低い状況だとその効果がうまく発揮できないと思われます。
費用が高くなって利益が少なくなる可能性がある
安心R住宅制度の認定取得のためには、インスペクションの実施をしなければなりません。
その費用は、売主が負担する必要があります。
また、インスペクションの結果、補修工事や耐震改修工事が必要になったらその費用も売主負担です。
このようにインスペクションだけでなく補修工事にも費用がかかってくると、せっかく安心R住宅の認定をとって買い手が見つかっても利益があまり得られない可能性があります。
なお、不動産会社によっては専任媒介契約を締結させることでインスペクションの費用を負担してくれる場合もあります。
安心R住宅を取得する手順
中古住宅で安心R住宅の認定を取得するためには、以下の手順で手続きを進めていく必要があります。
- 国土交通省に「特定既存住宅情報提供事業者団体」として登録された団体に仲介依頼。
- 団体から耐震性、リフォーム状況、これまでの記録を調査・審査してもらい、条件を満たしているかどうかを判断してもらう。
- 団体から認定を受けたら、「安心R住宅調査報告書」を作成し、ロゴマークの使用が可能となる。
上記の手順で安心R住宅の認定を受けることができ、認定取得できたら初めて安心R住宅として販売活動を始められます。
まとめ
安心R住宅について解説していきました。
安心R住宅は、買主にも売主にもメリットがある制度です。
まだまだ知名度は低いですが今後知名度が上がってくることも見越して、今のうちに安心R住宅の認定取得を積極的に行っていくのも良いかもしれませんね。
興味のある方は、国土交通省のホームページも参考に、安心R住宅制度を学んでみてはいかがでしょうか。
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