対策できていますか?軽減税率にともなうインボイス制度のリフォーム業界への影響|住宅リフォーム経営コンシェルジュ
2020.12.17
軽減税率に伴うインボイス制度のことはすでに皆様方もご存知のことだとは思いますが、制度が実施されるまでの3年間にきちんと準備を整えておく必要があります。
そこで、今回は改めてインボイス制度について詳しく理解を深めると共に、リフォーム業界への影響やどんな対策が必要になるのかを考えてみたいと思います。
目次
インボイス制度とは何か?いつから開始される?
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」です。
2019年10月に行われた消費税10%への引き上げ及び軽減税率の導入にともなう税金計算のベースとなる証票制度のことで、2023年10月1日以降から開始が予定されています。
皆様がご存知の通り、軽減税率は増税による日常生活の負担を軽減するために導入されたもので、食料品をはじめとする生活必需品に限って税率を軽減する仕組みです。
しかし、これにより各支出項目が軽減対象の項目なのかどうかが非常にわかりにくくなりました。
目的は軽減対象の明確化
請求書に税率が異なるものが混在すると、どの項目にどの税率が適用されているのかを区別できるようにしなければなりません。
したがって、軽減税率を適正に運用するためには、各支出項目が軽減対象になるのかどうかを明記しておく必要があります。
インボイス制度は、軽減税率の対象品目や消費税率、金額等を明記した適格請求書等の保存を仕入税額控除の要件とするものです。
ここで仕入れ税額控除について復習しておきましょう。
税額控除の例
リフォーム会社が1,000円の商品をメーカーから仕入れて顧客に1,500円で販売する場合には、仕入れには消費税がかかるので仕入れ額は1,100円になります。
一方、販売する際の税込価格は1,650円になるので、納税額は既に支払い済みの消費税100円と受け取った消費税150円の差額150円-100円=50円とすることができ、これを仕入税額控除といいます。
しかし、インボイス制度が導入されると、適格請求書がない場合には仕入税額控除を受けることができなくなります。
インボイス制度がリフォーム業に与える影響
インボイス制度が導入されると、会計処理上の事務手続きが煩雑になること以外にも様々な影響があると思われます。
それではリフォーム事業者にはどの様な影響があるのでしょうか。
1000万円未満のリフォーム業者も課税事業者になる!?
仕入れ税額控除を受ける際に必要となる「適格請求書」等は、税務署長に申請して事業者登録番号が発行された課税事業者である「適格請求書発行事業者」しか交付することができなくなります。
以前から前々年の売上高が1,000万円以上ある事業者は「課税事業者」として消費税の納税義務がありました。
インボイス制度が開始されると、売上高が1,000万円未満でもあえて課税事業者にならざるを得ない状況になることが予想されます。
課税事業者にならないと仕入税額控除の対象外
リフォーム事業者やその取引先によっては、現在免税事業者になっているケースが少なくありません。
そして取引先が免税事業者の場合には、その取引先から発行された請求書は「適格請求書」ではないので、仕入税額控除の対象外になってしまいます。
すなわち取引先に消費税を支払っていたとしても、控除の対象にはなりません。
個人事業の大工さんや職人さんは要注意!
インボイス制度が開始される前までには、取引先に課税事業者として登録してもらう必要があります。
一方、個人事業主やフリーランスの職人として長年活動してきた方の中には、免税事業者が数多く含まれていることでしょう。
こうした大工さんや職人さんに発注する際には、注意が必要になります。
リフォーム会社がとるべき対策は?
インボイス制度が開始される前までに、取引先に課税事業者として登録してもらい、「適格請求書発行事業者」になってもらうように依頼しておく必要があることは前章でお話しました。
では、自社が免税事業者になっている場合にはどうすればよいのでしょうか。
受注先が免税事業者や一般消費者の場合
仕事の受注先が免税事業者である場合や個人の一般消費者である場合には比較的影響が少ないと思われます。
免税事業者や一般の消費者には、支払い済の消費税と仮受消費税の差額を計算して納税する手続きがないためです。
インボイス制度は、課税事業者が適格請求書を受け取れない場合に影響を受ける制度です。
課税事業者の下請け工事をするなら対策が必須
課税事業者の下請け工事をメインに行っている場合には早急な対策が必要です。
これまでにご紹介しましたが、課税事業者になって適格請求書が発行できるようにならないと発注先の税負担が増えてしまうので、仕事が発注されなくなる可能性が高くなります。
すなわち従来通りに仕事を確保するためには、課税事業者として登録せざるを得なくなるでしょう。
その結果、新たに消費税の支払い義務が発生するので、業績が悪化する恐れがあります。
免税事業者がとるべき対策
元々売上高が1,000万円未満の事業者にとって、消費税の負担が増えてしまうことは決して軽視できるものではありません。
そのために免税事業者がとるべき対策として考えられるのは以下の4点です。
- 元請業者に転換する(元請工事の比率を高める)
- 仕事の質を高めて、他社より割高でも発注してもらえる様になる
- 事業を拡大して売上高1,000万円以上の課税事業者になる
- 課税事業者の発注者から消費税を受け取らないようにする
以上の4点ですが、消費税をもらわないのであれば消費税分の売上が減ることになるので、免税事業者のままでいてもあまり意味がありません。
免税事業者のままでいるために必要なことは、いかにして仕事に付加価値を付けるかということになるでしょう。
免税事業者のままか?課税事業者になるか?
一方、免税事業者のままでいることで取引先を限定してしまうと、新規取引先の獲得が困難になって今後の事業拡大に支障をきたすことにもなりかねません。
たとえ元請工事がメインであったとしても、不動産業者や法人化しているアパートオーナーから受注する場合などでは影響を受けてしまいます。
したがって免税事業者のままでいるか、課税事業者になるべきかを今から十分に検討しておくことが重要です。
インボイス制度に対応するための準備
それではインボイス制度に対応するためには、どのような準備を行えばよいのでしょうか。
- 原則として2023年3月31日までに適格請求書発行事業者として税務署へ登録申請
- インボイス制度に対応できる会計ソフトを導入
まずは適格請求書発行事業者として税務署に登録申請することが必要になります。
免税事業者のままでは登録できないので、課税事業者にならなければなりません。
2023年10月1日予定のインボイス制度の開始時に対応するためには、原則として2023年3月31日までに登録申請書を提出しなければなりません。
開始時期が近付くと申請窓口が混雑する恐れがあるので、早めに申請書を提出できるようにしておくと良いでしょう。
ほかに請求書や納品書などの会計作業をコンピューター上で行っている事業者は、インボイス制度に対応できる会計ソフトを導入しておく必要があります。
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まとめ
インボイス制度には、課税事業者を増やして税収入を増やすという目的があります。
すなわちインボイス制度が実施されると、免税事業者のままで事業を継続するのが非常に困難になることが予想されます。
また、免税事業者と取引を行う際にも注意が必要になります。
自社が免税事業者である場合はもちろんのこと、取引先が免税事業者である場合にも、今から必要な対策をきちんと講じておくことが大切です。
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