Column コラム

工務店必見!工事原価の正しいとらえ方と利益の計算

2022.06.13

コラム

建設業は、「モノを仕入れて売って」という一般的なサイクルを繰り返さない業種です。

「仕入れて加工して販売」する、いわゆる「モノづくり」の業種で、原価の捉え方も一般的な会計と建築業の会計では捉え方も少し異なります

一般会計とは異なりますが、建築業会計も経営・経理に大いに関わる大切なものです。

ここでは建設業で理解しておかなければならない原価の捉え方と、一般会計と建築業会計の違いを押さえて、正しい利益の計算方法をご説明します。

工事原価とは?建築業における原価のとらえ方

工事原価の前に、原価とは売上を得るために商品を仕入れた経費のことです。

売上-原価=粗利益

となります。この考え方は一般会計も建築業会計も同じです。

しかし、建築業は「仕入れて加工してから販売」する業種なので、仕入れて加工してから販売するまでの過程が経費となります。

  • 工事完了まで商品を仕入れる原価
  • 工事に関わる人件費や作業費
  • 工事で利用する水道光熱費 など

一つの工事で発生するすべての費用を、建築業では「工事原価」と呼びます。

この工事原価には、上記のような費用のほか、現場までの交通費や駐車場代、検査費なども含んでいます

また、この工事原価を売上から引くことで、ひとつの現場ごとの「粗利益」を出すことができます。

工事原価の4要素とは

工事原価は大きく分けて次の4つの要素に分類することができます。

工事原価の4要素①:材料費

1つの現場で使用するために仕入れた木材や鋼材・住宅設備などの材料のことをいいます。

工事原価の4要素②:労務費

現場に関わった従業員に発生する賃金や手当などの費用のことをいいます。

これは、雇用形態に関わらずその現場に関わった人材の賃金などが当てはまりますが、現場に直接関わらない事務員などの費用は除外されています。

工事原価の4要素③:外注費

基礎工事や大工工事、電気工事など、職人や企業など外部に委託した工事にかかる費用のことをいいます。

上記のような工事でも社内で処理できる工事であれば、外注費に該当しません。

工事原価の4要素④:経費

材料費・外注費・労務費に当てはまらないすべての費用のことをいいます。

先にも述べていた交通費のほかに、現場で使用する仮設トイレのティッシュペーパーなどの消耗品も含みます。

注意

経費は様々な費用をカバーできるので、誤った費用を経費として処理しないように注意が必要です。

上記のように分類した費目を工事台帳に記帳することで、費目ごとの集計と現場の収支や利益率を算出することができます。

工事原価を理解するための建築業会計とは?

一般会計と建築業会計とは異なると説明しましたが、原価の考え方は同じです。

では、どのような相違点があるのでしょうか?

また、どういった点に注視すればよいのでしょうか?

建築業会計と一般会計の違い

建築業で販売する商品は「工事の請負」です。

工事を請負い、完成して引き渡すことで売上を計上することができます。

一般的な企業では、仕入れてから販売するまで長くても2,3か月程度で売上計上できますが、建築業では完成して売上を計上するまで、1年以上かかる場合も少なくありません

工事途中の現場を含んでいても1年に1回業績の報告が必要となりますが、工事によっては1年ごとに会計処理することが難しくなります。

このように、仕入れてから販売して、売上を計上するまでの期間が短い一般会計と違い、建築業は一般会計と違う処理を行う必要があります。

そして、法律で定められた建築業専用の会計処理「建築業会計」を使用しなければならないのです。

建築業会計の勘定科目

売上から原価を引いて粗利益を求めるという点は一般会計とお同じですが、建築業会計では、扱う科目が一般会計と異なります

また、建築業会計は勘定科目によって計算方法や内容が定められています。

建築工事に関する勘定科目であることを分かりやすく表記するようになっています。

※以下、( )内が一般会計で使用する勘定科目です。

完成工事高(売上高)

工事が完成してすべての検査が終わり、引き渡しの時に得られる収益です。

また、着工から完成まで、次の2種類の計上方法があります。

  • 「工事完成基準」
    経費も含めすべての売り上げをまとめて計上する
  • 「工事進行基準」
    工事の進捗状況に応じて売上高を計上する

工事完成基準は、以前までの建築業界では主流の計上方法でしたが、完了するまで利益が分からない追加工事に対応できないというデメリットがあるため、現在ではほとんど用いられていません。

完成工事未収入金 (売掛金)

工事は完成していても、入金が来期になるような集金が完了していない工事費用のことをいいます。

工事未払金(買掛金)

工事が進行中契約した金額のうち、未払いとなっているお金のことを差します。

未成工事受入金(前受金)

未完成の工事に対して、完成前に請負金額の一部でも顧客から受け取ったお金のことを差します。

memo

このほかにも、

  • 完成工事原価(売掛金)
  • 完成工事総損益(売上総利益)
  • 未成工事受入金(前受金) など

の勘定科目があります。

なぜ、工事原価の理解が必要なのか?

工事原価を正確に把握することは、1つの工事にかかる費用を把握することができて、工期が長い建築業界において会社の収益を正しく理解する大切な仕組みです。

また、工事原価を正しく理解する上で工事台帳を用いることが大切になってきます。

工事台帳に工事全体の費用を細かく記帳していくことで、次回以降の工事費用をたてやすくなります。

ただし、工事台帳に工事原価を記帳する時には、次のようなことに注意するとより精度の高い工事原価を管理することができます

  1. 集計はリアルタイムにおこなう
  2. 現場別に経費をふりわける
  3. 内訳を細分化する
  4. 交通費の仕訳の考え方を統一する
  5. 経費の違いを理解する

工事原価管理のコツ①:集計はリアルタイムにおこなう

長期化しやすい工事現場では、リアルアイムに行うことで、工事の無駄を洗いだすことができます。

工事原価管理のコツ②:現場別に経費をふりわける

請求書でよくみられるパターンで、同じ分譲地内で請け負う工事などの場合、現場ごとに振り分けられていないことが多々あります。

そういった場合、現場ごとの収益を把握するためにも一度かかった経費を現場ごとに振り分けて集計をおこない管理します。

工事原価管理のコツ③:内訳を細分化する

直接工事にかかわった費用と、そうでない費用とにわけることでさらに細かく分類することができます。

工事原価管理のコツ④:交通費の仕訳の考え方を統一する

現場に行く工程のガソリン代、現場での駐車場代は経費として計上できますが、現場と関係のない交通費は現場管理費にあたります。

工事原価管理のコツ⑤:経費の違いを理解する

交通費だけでなく、経費にはその他の費用も含まれます。

 

注意

工事原価の経費は、工事で発生する費用のみです。

その他事務で使用する分文具類などは、一般管理費となります。混同しないように仕分けることが大切です。

まとめ

建築業会計は複雑なことが多いですが、会社の収益を算出する大切な仕組みです。

また、現場管理者や施工管理者の中には、自身の経験や勘にたより「どんぶり勘定の原価計算」をしている場合もあるかもしれません。

行き当たりばったりの原価計算を行っていると、現場が完成したころには、赤字だらけの工事が残ってしまったなんていう事態にもなりかねません

そうならないためにも、一般会計と建築業界会計との違いを把握しておく必要があります。

複雑で難しく感じる建築業会計ですが、工事原価を理解し、工事台帳に記載していくことで見えない経費を可視化することができます。

工事原価を理解し、ぜひ会社の収益につなげてください。

 

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