家族経営がうまくいく方法とは?メリット・デメリットから成功する秘訣を解説
2023.05.08
日本には創業100年を超える企業は4万社以上あるといわれます。
実は老舗企業の約8割が家族経営なのをご存じでしょうか。
家族経営というとお家騒動や一族による公私混同など、ネガティブなイメージを抱く人も多いことでしょう。
しかし、長きに渡って顧客との関係性を構築できたり、迅速な意思決定ができたりなど多くの強みがあります。
本記事では家族経営の強みであるメリットや課題となるデメリット、成功する秘訣について解説しています。
家族経営がうまくいく方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
家族経営とは
家族経営とは家族や親戚などが会社を所有または経営している企業を指します。
「同族会社(経営)」や「ファミリー企業(ファミリービジネス)」、「オーナー企業」とも呼ばれますが、家族経営と同義です。
法律的には持ち株の割合が50%以上を上位3株主が占めている会社を、同族企業と定義しています。
国内で家族経営とされる有名企業の一部をピックアップすると、
- トヨタ自動車
- キヤノン
- パナソニック
- 竹中工務店
- サントリー
などがあります。
海外では次のような企業が挙げられ、いずれも有名企業ばかりです。
- ルイヴィトン(フランス)
- フォルクスワーゲン(ドイツ)
- ウォルマート(アメリカ)
- ナイキ(アメリカ)
- サムスン(韓国)
国内だけでなく海外においても意外に多く、家族経営による企業が世界経済を支えていることがわかるでしょう。
特に日本の家族経営は他国と比べて、長寿企業の多い特徴があります。
家族経営の現状
令和3年度の国税庁「会社標本調査」によると、国内の法人数は286万4,386社。
法人数(単体法人)の内訳をみると、同族会社は96.4%あり9割以上が家族経営を行っています。
また、帝国データバンク2022年全国「老舗企業」分析調査によると、業歴100年以上の長寿企業は4万409社、その内77.3%が同族継承の家族経営です。
国内上場企業の約5割が同族経営といわれ、日本では家族経営が主流といっても過言ではないでしょう。
家族経営を行うメリット
家族経営を行うメリットには次の4つがあります。
- 意思決定が早い
- 長期的な展望が立てやすい
- 後継者を育成しやすい
- 経営理念が浸透しやすい
家族経営の強みともいえる上記メリットについて解説します。
意思決定が早い
経営手法や戦略、方向性を変えたいときに意思決定が早い点は、家族経営の大きなメリットです。
家族経営は株主と経営側が一体なので、経営の見直しや刷新をする際に株主に対して迎合する必要がありません。
新規事業に乗り出す場合など、決断が早ければ事業成長にもつながるでしょう。
しかし、非家族経営の場合、株主と経営側は分離しているため、経営改革を行いたいときには株主の理解を得なければいけません。
株主から拒否されれば、思い通りに経営を進められない可能性があります。
長期的な展望が立てやすい
家族経営は将来にわたって同族が経営の舵を取るため、長期的な思考に立って物事を判断できる点がメリットです。
近江商人の経営哲学である「三方よし」では、商売は売り手と買い手が利益を上げるだけでなく、社会貢献が重要と説いています。
つまり、目先の利益を追求する短期的な思考ではなく、長期的な視点で個人や組織が発展・繁栄していくことが大切なのです。
家族経営が、老舗企業に多い所以ではないでしょうか。
近江商人とは、近江国(現在の滋賀県)に本宅(本店、本家)を置き、他国へ行商して歩いた商人の総称で、大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつ。「近江の千両天秤」ともいうように、天秤棒1本から財を築き、三都(江戸、大坂、京都)をはじめとする全国各地に進出し、豪商と呼ばれるまでに発展していった。
参考:近江商人と三方よし
後継者を育成しやすい
家族経営の場合、経営者の仕事を同族の後継者候補が常にサポートしていれば、次期経営者として育成できます。
適任者がいれば早い段階から指導できるため、腰を据えて教育できるでしょう。
後任者が同族なので経営交代もスムーズに進みます。
建設業においては事業承継は大きな問題です。
後継者を長期的に育て上げられる点は家族経営の魅力でしょう。
経営理念が浸透しやすい
家族経営は家族や親戚が企業を運営しているため、意思疎通を図りやすく経営理念が浸透しやすいメリットがあります。
経営者がビジョンを持って仕事に取り組んでいれば、従業員に与える影響も大きく、企業全体として一体感が生まれ、社内での信頼関係も構築できるでしょう。
家族経営を行うデメリット
家族経営は大きなメリットを享受できる反面で、下記のようなデメリットも存在します。
- 人事評価が偏りやすい
- 同族間での争い
- ガバナンス体制が欠如しやすい
- 有能な人材を確保しにくい
家族経営のデメリットについて見ていきましょう。
人事評価が偏りやすい
家族経営の人事では経営者の公私混同により、同族に対して偏った人事や優遇を与えてしまう場合があります。
人事に偏りがあれば、お気に入りの人材を重要なポストにつけ、意向に沿わない人材を追いやる好き勝手な人事となりかねません。
都合のいい人材だけが残ってしまうと、重大なミスが起きても表沙汰になりにくく悪循環を繰り返します。
同族ばかりが優遇されると、従業員の信頼を失い、モチベーションの低下につながるかもしれません。
同族間での争い
家族間が親密な状態であれば、経営体制も強固です。
しかし、家族間で揉め事や争いが起きた場合には、親族を巻き込んだお家騒動に発展する可能性があります。
経営方針を巡って親子の内紛劇をみせた「大塚家具」や兄弟で主導権を争った「ロッテ」など、家族経営によるお家騒動は記憶に新しいところです。
経営者同士が騒動を起こしていては、企業イメージが落ちて経営自体が停滞してしまうことがあります。
ガバナンス体制が欠如しやすい
ガバナンスとは健全な会社経営に向けて、正しい判断や運営ができるよう監視や統制を行う仕組みのことです。
家族経営は株主と経営側が一体のため、ワンマン経営による利己的な行動を容認してしまう場合があります。
トップが社会規範に反する行動や間違った判断をしても、ガバナンス体制が欠如していれば、過ちを正す人がいません。
その結果、コンプライアンス違反やイメージダウンにつながり、企業の信頼や業績を著しく落としてしまう可能性があります。
有能な人材を確保しにくい
家族経営では後継者を家族や親戚などの血縁関係のなかから選びます。
そのため、必ずしも有能な人材が次期後継者や役職に就くとは限りません。
従業員側からみると、どれだけスキルを積んで能力を高めても重要なポストに就ける見込みがなければ、モチベーションの低下につながります。
家族経営がうまくいく方法
家族経営を成功させるためには、次の4つのポイントを意識しましょう。
- ガバナンス体制の強化
- 公私混同・私物化しない
- 企業理念を共有する
- 後継者をしっかりと選ぶ
項目ごとに解説します。
ガバナンス体制の強化
経営者が第三者的視点に立って、会社経営を行うためにはガバナンス体制の強化が重要になります。
例えば、内部監査部門の設置です。
内部監査とは不正の取り締まりや業務を効率的に進める助言を行う部門になります。
家族経営は独善的なものの見方になりやすいため、組織内で独立した客観的に評価できる機能が求められます。
コンプライアンス違反を未然に防ぎ、リスクマネジメントを図れるため有効的です。
また、社外取締役を招いて外部から経営を監督してもらう手法も効果が高いでしょう。
ガバナンス体制の強化は社外的なイメージアップにもつながる戦略です。
公私混同・私物化しない
家族経営には経営者の公私混同や会社を私物化しているイメージが浮かびます。
健全な家族経営のためには、トップ自らが意識を変革して公私混同しないことが大切です。
- 生活費を会社の経費にしない
- 私情で人事評価しない
- 会社の資金に手を出さない
など真摯な姿勢で経営に努めれば、社員にも良い手本となるでしょう。
企業理念を共有する
家族経営は経営陣が気心の知れた家族や親戚なので連帯感があり、企業理念や事業ビジョンの浸透を図りやすい特徴があります。
企業理念とは会社の活動目的や存在意義を指し、事業ビジョンは将来成し遂げるべき未来像のことです。
無理やり理念を押し付けるとモチベーション低下の原因になるため、企業理念や事業ビジョンに共感してもらえるように次のような取り組みを行いましょう。
- 評価基準に企業理念を取り入れる
- 社内報やSNSなどで発信する
- 定期的に企業理念について説明をする
- 経営トップが企業理念を行動で示す
企業理念が浸透することで、社内に一体感が生まれ、さらに信頼関係が構築されます。
後継者をしっかりと選ぶ
家族経営の後継者候補には、経営者の子供が選ばれる同族承継が多い傾向です。
たとえ経営者の子供であっても、本人に事業を継ぐ意思があるかを確認しておく必要があります。
後継者としての自覚や意識がなく、育成にも時間をかけずに事業承継をしてしまうと企業存続が厳しくなり、最悪の場合は廃業となる恐れも。
経営者の子供が後継者を拒んだ場合は、新たに親族のなかから候補を選ばなければいけません。
候補者が見つからなければ、従業員のなかから資質や能力のある人材を登用したり、社外から後継者を探したりする方法もあります。
いずれにしても後継者となる方には経営者になる自覚を持ってもらい、しっかりと時間をかけて教育・育成していくことが大切です。
まとめ
日本では家族経営の比率が高く、100年以上続く老舗企業のほとんどが同族での経営を営んできました。
現在も多くの長寿企業が存在するのは、家族経営によって企業理念を承継し続けてきたからに違いありません。
家族経営には意思決定を早く行えることや長期展望が立てやすいなどの強みがありますが、人事評価の偏りや会社を私物化してしまうなどのデメリットも存在します。
- 後継者に誰を選ぶのか
- 公私混同していないか
- 企業理念やビジョンは浸透しているか
など、家族経営がうまくいくためには上記のようなデメリットとなる問題を解決しながら、次世代へ引き継いでいける事業を展開していくことが大切です。
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