新人不足に陥る建築業界…工務店はどのように若手育成するべき?
2022.06.29
建設業の従事者は年々減少傾向にあり、いかに若手の人材を確保していくかに頭を悩ませている経営者は少なくありません。
せっかく新人が入ってきても若手育成の方法がわからず、いつまでも新人のようなミスをしたり、なし崩しに会社を辞めてしまうというケースもあります。
本記事では、工務店において若手育成をどのようにすべきか解説していきます。
参考にして、入ってきた新人をベテランに育てていきましょう。
建築業界は若い従業者が減少している
前述しましたが、建築業界は年々新人の確保が難しくなっています。
したがって、募集をかけて人数を揃えるのももちろん大切ですが、入ってきた新人をいかに離職させず育てていくかが大切です。
建設業界の特徴の一つですが、いつまでも新人のまま会社に居残るというタイプの従事者は少なく、反面辞職を選ぶ従事者が多いです。
自社で起こっていませんか?NGな育て方
若手育成において、やってはいけないポイントを以下に解説します。
- 最初から一人にする
- 機嫌が悪いような態度をとる
- 指導が具体的でない
- 指摘はするが賞賛はしない
- 一度に沢山のことを言う
- 大勢の前で指導する
工務店に限らず建設業界全体に言えることですが、自分が上記のような育てられ方をしてきたからといって、新人に当てはめるのはやめましょう。
「従来の通りにやっていれば間違いはない」という風潮は、若手育成の件に限らず建築業界全体にありますが、慣習を無視することもときには大切です。
建築業界NGな新人の育て方①:最初から一人にする
手本を見せたり指導することなく「やってみろ」と放りだしたり、あるいは「自分がやった方が早いから」という理由で何もさせないという育て方はNGです。
一人で仕事をさせるという手法は有効な場合もありますが、それは失敗しても構わないという会社側の余裕がある場合に限ります。
多くの工務店では失敗すると単に時間が取られるだけでなく、資材の無駄遣いや他部署への迷惑、悪い場合怪我などが発生します。
かといって、何もさせることなくただ見ていろと言っても若手育成にはなりません。
ベテランであればあるほど、自らが仕事をした方が早いし確実であると思ってしまいがちです。
建設業は顧客と協力業者の二重の納期があるため、特にその傾向が顕著です。
しかし、未来への投資だと考えて、最初は1つの仕事を2人で行うくらいの気持ちを持ちましょう。
建築業界NGな新人の育て方②:機嫌が悪いような態度を取る
機嫌が悪いような態度を取ると、部下は質問ができず余計に仕事が遅れるためNGです。
ポイントは、本当に機嫌が悪いかどうかに関わらず、そう見えてはいけないということです。
特に工務店は現場に出ると、重機の音や工具の音が響くため、皆大声が習慣づいています。
新人は大声を出されると、「怒っている」「機嫌が悪い」と思いがちです。
しかし、大声は現場の人間にとって必要なものでもあります。
大声を出さないのではなく、怒っているわけではないと目で見て分かってもらえるよう、笑顔を心がけましょう。
建築業界NGな新人の育て方③:指導が具体的でない
具体的でない指導はNGであるため、止めましょう。
具体的に指導していると思っていても、新人にとってそうではないということはよくあります。
例えば現場を掃除をして欲しいとき、「ここを掃除しておいて」という言い方では不十分です。
たったこれだけのことでも、建設現場においては下記のようなことがすべて頭に入っていなければなりません。
- 清掃範囲
- 掃除の方法
- ごみ捨て場位置
- 分別の方法
- 安全なごみの拾い方
- ごみ捨て場に行くまでのルート
- どの業者がどこでどのような作業をしているか
- 邪魔にならないために注意すべきこと
上記のようなことは慣れれば簡単にわかりますが、慣れない人にはわかりません。
また、想定外のことが起こり失敗したとしても、「考えたらわかるだろう」はNGです。
考えてもわからないのが新人であると心得てください。
建築業界NGな新人の育て方④:一度に沢山のことを言わない
若手育成において教育熱心な人がやりがちなNGですが、一度に沢山のことを言ってはいけません。
言っても構いませんが、すべて覚えていると考えるのはNGです。
一度に沢山のことを言われると、言われた方は「言われたのに思い出せなかった」と思ってしまい、言った方は「言ったのに覚えてない」と苛立ち、悪いことしか起こりません。
工務店は現場仕事であり、ベテランは現場の一部をちらりと見ただけで、無数の情報を掴めます。
それらの情報をすべて伝えても、新人がその場で覚えられるわけではありません。
最優先で覚えるべきことは怪我をしないため、命を失わないためにすべき行動であり、その他のことは「覚えてないかもしれない」と思っておきましょう。
建築業界NGな新人の育て方⑤:指摘はするが賞賛はしない
注意ばかりして、行動を褒めないのはNGです。
これは甘やかしているわけではありません。
新人はやるべきこととやってはいけないことの区別がつかないため、できている点はできていると口に出さなければ、後日になってからミスをしてしまいます。
指導役は「以前できていた仕事なのになぜ?」と感じますが、新人からすると「それで合っている」と言われなかったため、仕事の方法を変えても問題はないと判断してしまうのです。
若手育成は時間をコストにするものです。無駄なロスを防ぐためにも、できたことはできていると伝えましょう。
健全な若手育成のために
若手育成のために積極的に行うべきことを解説します。
もちろん方法はさまざまであり、本記事に記載のあることがすべてではありませんが、主だったものをまとめるので参考にしてください。
- フィードバックをきちんと行う
- 「助かる」「ありがとう」などの言葉かけを心がける
- 全員で行動を見守る
- 仕事を任せる
中には難しいこともありますが、難しいからできないと諦めず、どうすればできるのか考えることが大切です。
健全な若手育成①:フィードバックをきちんと行う
仕事が終わったらフィードバックをきちんと行いましょう。
工務店の場合作業日報が習慣化している所も少なくありませんが、新人に報告させるだけではなく、どこが良くどこが悪かったのか指導側から言葉をかけることが大切です。
また、本人の中でまとめる時間を与えてください。
特に案件が終わった直後は、すぐに次の案件に取り掛かってもらいたい場合もあるかもしれません。
しかしそこをこらえ、学んだことを本人に整理させる時間を与えることが大切です。
いくつもの案件を同時進行できるようになるのは、新人という肩書が取れた後の話です。
健全な若手育成②:「助かる」「ありがとう」などの言葉かけを心がける
他愛ないことでも、仕事をこなしたら「良し」「ありがとう」などの言葉を心がけてください。
言葉をかけることで、新人は会社に貢献しているという実感が得られ、会社に居やすくなります。
建設業は現場仕事であり、技術的にまだまだと思う場合があるとしても、行った事は評価することが大切です。
最大のメリットはノーコストで可能なことです。
ありがとうと一言言うだけであれば、数秒あれば十分済んでしまいます。若手育成などに関係なく、会社全体で心がけても良いでしょう。
健全な若手育成③:全員で行動を見守る
誰が教育係であろうと、部署や会社全体で面倒を見るつもりで業務を行うことは大切です。
「他部署の新人のことなんか関係ない、こちらに迷惑をかけるな」という人が居ると、新人は委縮してしまいます。
工務店は営業をはじめ、設計や施工、見積など部署同士での連携が重要であるため、他部署であっても関わらないわけにはいきません。
矢面に立つのが上司の勤めであると考えましょう。
健全な若手育成④:仕事を任せる
少し慣れたころで構わないので、仕事を任せてみるのも大切です。
いきなり大きなことを任せるのではなく、小さいことから任せて成功経験を積ませまることがポイントです。
仕事の手引きは大切ですが、ずっと手引きし続けていると、任せてもらえないことを気にし始めるようになります。
特に建設業は体で覚える仕事も多く、数をこなすことの比重がデスクワークの業界と比べて大きいです。
最初から何でも任せすぎるのもいけませんが、任せなさすぎるのも問題となることを覚えておきましょう。
まとめ
若手育成においてNGな行動ややるべき行動は、業界問わず共通していることが多いです。
問題は建設業や工務店において、どのようにすればそのようにできるのかということです。
他業種であれば簡単にできることでも、自業種ではなかなか難しいということは少なくありません。
しかし人間を育てる基本はどの業界であっても共通していると考え、健全な若手育成を行って会社を成長させていきましょう。
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