いまさら聞けないリフォーム業の原価管理とは?|住宅リフォーム経営コンシェルジュ

Pocket

会社経営では、売り上げを上げることと共に原価管理が重要になります。

特に工事中に想定外の工事が発生したり、顧客の要望が変わったりすることが多い住宅リフォームにおいては、利益に対する意識を強く持ちながら臨機応変に対応することが求められています。 今回は、リフォーム業の原価管理について改めて考えてみたいと思います。

目次

1. いまさら聞けないリフォーム業の原価管理とは?
2. リフォーム会社の利益を引き下げる要因
3. リフォーム会社の利益を確保するための対策
4. リフォーム業の原価管理の方法
5. まとめ

01 いまさら聞けないリフォーム業の原価管理とは?

原価管理とは、売り上げから工事原価を差し引いた金額である粗利を、予定通りにまたは予定以上に計上できる様に管理することをいいます。

建設業では品質管理、工程管理、安全管理に加えて原価管理を四大管理と呼び、原価管理の良し悪しは、会社の経営に大きな影響を及ぼします。 会社を健全に運営するためには、常に原価を引き下げる努力を行い、適正な利益率を確保しなければなりませんが、そのための手法が原価管理です。

リフォーム会社の場合も例外ではなく、ひとつひとつの現場であらかじめ計画した予定利益を完工時に下回ってしまうことにでもなれば、会社経営が成り立たなくなります。 新築工事と比べて工事単価が低いリフォーム工事では、たった一つのミスが命取りになるケースも多いので、より綿密な原価管理が必要です。

住宅リフォームなどの建設工事では、契約内容に基づきあらかじめ実行予算を組んで予定利益を算出し、計画通りの発注を行って予定利益を確保するという方法が一般的です。 また、大量購入による仕入れ原価の引き下げや取引業者の見直し、工程・工法の改善などによる粗利益率アップに向けた対策も同時に行う必要があります。

以上の様に原価管理は、リフォーム会社経営の基幹となる重要な要素ですが、実際にきちんと原価管理ができている会社はそれほど多くはないのが現状です。

02 リフォーム会社の利益を引き下げる要因

リフォーム会社では会社ごとに契約時の最低粗利益率を設定していて、値引きを行うにしてもそれを下回る様な契約は原則として行わない様にしているのが一般的です。 すなわち、契約時には会社の適正利益は確保されているはずです。

それではリフォーム工事において、予定通りの利益が確保できなくなってしまう要因にはどの様なものがあるのでしょうか。

想定外の追加工事の発生

工事が着工して解体してみるまでは「隠蔽されて見えない部分の状態が事前調査だけではわからなかった」ということは、リフォームではよくある話です。 柱や土台等主要構造部の腐食が激しい、床の水平に狂いがある、壁の中の配管が著しく劣化していた・・・などです。

この時、お客様に追加工事代金を請求することが出来れば問題ないのですが、時にはリフォーム会社の事前調査不足や説明不足等を指摘されて、追加代金の支払いを拒まれてしまうこともあります。

見積落とし

比較的多く発生するのが「見積落とし」や「見積漏れ」です。

数量が不足している場合や、工事項目ごとそっくりと見積書から抜け落ちてしまっている場合もあります。 また中には、お客様との打ち合わせ内容が見積書に反映されておらずにトラブルになるケースや、お客様との間に認識のずれが生じて見積もり内容とお客様の要望が一致していないなどのケースも少なくありません。

発注ミス

建材メーカーや住設機器メーカーへの発注時に、品番、色、勝手等を間違えて発注してしまうケースがあります。 発注ミスは返品不能になってしまう場合もあるので、利益を大幅に落とす要因になります。

手直し工事や手戻り工事の発生

お客様との打ち合わせミスや職人への指示・伝達漏れ、施工不良等による是正工事や、やり直し工事、段取りの悪さから発生する手戻り工事などは、工事原価が膨らむ大きな原因です。

サービス工事

リフォームでは、工事着工後にお客様の要望で追加変更工事が発生するケースがたびたびあります。 その際、有料であることや工事金額を曖昧にしたままで工事を行うと、後から費用を請求しづらくなってサービス工事としてしまうケースが見受けられます。

またお客様との打ち合わせ時に、安易にサービス工事の口約束をしてしまうこともありがちです。 この様な安易なサービス工事も利益を落とす要因のひとつになります。

アフターサービス

アフターサービスが充実していることは他社との差別化を行う上で有効な手段になります。 しかし過剰なアフターサービスは、適正な利益確保を妨げる要因になるので注意する必要があります。

03 リフォーム会社の利益を確保するための対策

リフォーム会社が安定して利益を確保していくためには、前述した「利益を引き下げる要因」を徹底的に排除しなければなりません。 そのための有効な対策をご紹介します。

打ち合せ内容の書面化

打ち合わせ内容をきちんと書面化して残しておくことも原価管理のひとつとして捉えることができます。 これを社員全員がきちんと厳守することで、見積書の記載漏れやお客様との認識のずれ、職人や社員同士の伝達ミス、発注ミスなどの予防につながります。

打ち合わせ時には打ち合わせ記録書を必ず作成し、お客様の署名捺印をもらう様に社内でルール化しておくと良いでしょう。

現地調査シートの作成

リフォームにありがちな工事中に想定外の費用が発生してしまう事態は、担当者の過去の経験やスキルによりある程度回避することができます。 しかし、リフォーム会社の社員全員が豊富な経験とスキルを持っているとは限りません。

建物によって構造や仕様、劣化状況、希望の工事内容などが異なるリフォームの現場調査は見積書を作成する上で欠かせませんが、1件ごとに調査すべき項目や調査内容が異なるので、難易度が非常に高いといえます。  

したがって、見積もりの見落としや現場でのトラブルは、現場調査の不備から発生するものが少なくありません。 現場調査の項目や調査箇所、計測範囲、計測方法などをまとめた現場調査シートやチェックリストを社内であらかじめ作成しておくことにより、調査漏れをなくし、誰が調査しても一定のレベルを保つことができる様になります。

失敗事例集の作成

工事着工後に想定外の費用が発生することが多いリフォームでは、過去の事例をとりまとめて社員全員で情報を共有化しておくことが重要です。 類似の工事で過去に発生した事例をあらかじめお客様に説明し、追加工事が発生する可能性にも言及しておくことで、無用なサービス工事を防ぐことができます。

アフターサービス規準の明確化

アフターサービス規準を明確にした書面を引き渡し時にお客様に渡しておくことにより、有償・無償の判断が明確になるので、本来有償で行うべきアフターサービスを無償で行うことがなくなります。

04 リフォーム業の原価管理の方法

具体的には、リフォーム業の原価管理はどの様にしておこなうのでしょうか。一般的な手法を紹介します。

実行予算書の作成

工事着工前までには、必ず契約書の内容や図面をもとに実行予算書を作成します。 実行予算とは工事にどれだけの費用を要するのかを工種ごとにまとめ、最終的にどれだけの利益をもたらす予定なのかを示したものをいいます。 契約金額と実行予算書の差額が予定利益になります。

注文書の作成

建築資材を購入する際や下請け業者に工事を依頼する際には、事前に作成した実行予算書に基づき注文書を作成して、納材業者や下請け業者と書面で契約を取り交わします。

追加工事が発生した場合にも、必ず追加注文書を発行して発注する様にします。 注文書の発行は上司の検印を受ける様に社内ルール化することで、二重チェックが可能になります。

請求書の検印

工事が完了して納材業者や下請け業者に代金を支払う際にも、実行予算書及び注文書と支払い金額を照合した上で支払いを行います。 その際にも上司の検印を受ける様にルール化し、やむを得ず予算を超過する場合には上司の承認を得るようにします。

完工報告書の作成

工事完成後には、発生した全ての工事原価を取りまとめて最終利益を算出します。 完工報告書よる最終利益と予定利益の差異を分析し、予定利益を下回ってしまった場合には、その原因を分析して会社に報告します。

報告内容をもとに、工事原価の見直しや施工方法の改善など今後の原価管理に役立て、再発を防止することが目的です。  

05 まとめ

リフォーム会社にとって利益確保は重要な経営課題です。

安易なサービス工事や値引きは絶対に避けなければなりません。 そのためには社員の原価意識を高め、原価管理を徹底して行う必要があります。 さらに見積外の追加工事が発生した際にも対応できる様に、お客様に対して事前に追加工事が発生する可能性について説明しておくことで、理解が得やすくなるでしょう。

万が一追加工事代金がもらえなかった場合にも、会社全体で対策を講じ、再発防止に努めることが重要です。 いつでも相談できる様に、日頃からお客様とのコミュニケーションを高め、信頼関係を築いておくことも大切です。

Pocket