これからリフォーム会社が取り組むべきインスペクション(建物調査)とは|住宅リフォーム経営コンシェルジュ

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今年4月1日から宅地建物取引業法の一部改正に伴い、
宅建業者に対して建物状況調査(インスペクション)の告知・斡旋することが義務化されました。

国の後押しを受けて、にわかに注目を浴びつつあるインスペクションは、
リフォーム会社様にとって大きなビジネスチャンスになる可能性があります。

そこで今回はインスペクションについて、リフォーム会社様が知っておくべきことをまとめました。

目次

1. インスペクションとは
2. インスペクションをビジネスチャンスに
3. リフォーム会社のインスペクションの課題
4. インスペクションの費用
5. まとめ

01 インスペクションとは

「インスペクション」という言葉は聞きなれないものかもしれませんが、
今までも民間のインスペクション専門会社や建築士などによって行われていました。
そしてリフォーム会社様にとっても何も新しい手法ではありません。

リフォーム会社様は、住宅をリフォームする前には現地調査を行い、
建物の劣化状況や不具合、構造上の問題点などを見極めた上でリフォームの可否を判断し、
リフォームのプランニングや見積に反映していることでしょう。

リフォーム会社が行ってきた「現況調査」とインスペクションの手法は
基本的にはほとんど変わりません。
むしろリフォーム会社がもっとも得意とする分野で、
リフォーム会社だからこそできる耐震診断や雨漏り調査などの「調査メニュー」も数多くあると思います。

ということは、リフォーム会社には、すでにインスペクションに必要なスキルがあります。
建物の再生などほとんど経験のない設計事務所やハウスメーカーの建築士は、
既存の建物の調査・診断や改修計画の立案は苦手分野でしょう。

本来、インスペクションはリフォーム会社向きの業務なのです。
リフォーム会社が住宅調査のスキルをさらに磨いていくことで、
ビジネスチャンスが広がり、差別化につながるのではないでしょうか。

02 インスペクションをビジネスチャンスに

インスペクションとは、既存建物の基礎・外壁などのひび割れや破損、
雨漏り、水漏れ、白蟻被害の有無、建物の傾きや劣化状況などを専門家が調査することです。

目視を中心とした非破壊調査が原則で、調査結果を依頼主に対して報告します。
安心して中古住宅の売買が行われる様にすることを主な目的としています。

中古住宅の売買が盛んな欧米諸国では、住宅を購入する前にインスペクションを行うのが当たり前になっています。
「インスペクター」と呼ばれる専門の診断士は、欧米の不動産取引にはなくてはならない職業です。

一方、我が国ではリフォームを行う前にリフォーム会社が建物調査を行うのは当たり前です。
違いがあるとすれば、欧米諸国で行われているインスペクションが
主に買主のために行なうのに対し、我が国で行われている建物調査はリフォーム工事を受注するために行っているといえる点です。

そういった事情から、リフォーム会社の建物調査は、「客観性・中立性に欠ける」ととらえられかねません。
調査内容は似た様なものでも「リフォーム会社の建物調査はインスペクションにあらず」といわれる所以です。

しかし、リフォーム会社が営業プロセスの中にインスペクションを上手に取り入れることができれば、より顧客ターゲットを広げることが可能です。

例えば中古住宅のインスペクションを行えば、必ず不具合のひとつやふたつは見つかります。
そして中古住宅を購入する人は、必ず入居前に何らかのリフォームを行っているでしょう。
特に現在は若い人たちを中心に、中古住宅を購入してリノベーションするのがブームです。
そういう事情を反映して、買主がリフォームすることを前提に
素のままの状態で売りに出されている物件が増えています。

インスペクションを専門に行っている人達は建物診断ができても、
具体的なリフォーム相談を受けられる人は実はそんなに多くありません。

また顧客に対するわかりやすい説明も、リフォーム会社なら普段から慣れているでしょう。
物件探しのアドバイスからインスペクション、プランニング、リフォーム工事までをワンストップで提供できれば、大きな武器になるのは間違いありません。

03 リフォーム会社のインスペクションの課題

リフォーム会社が営業プロセスの中にインスペクションを取り入れる際にネックとなるのが、
第三者性、中立性の確保です。

国土交通省のインスペクションガイドラインには、
「インスペクション業務を受託しようとしている住宅において、
媒介業務やリフォーム工事を受託、または受託予定の場合はその旨を明らかにすること」
と記載されています。

これは当事者によるインスペクションには客観性・中立性がないため、
依頼者からの信頼の失墜を懸念しているためです。

あくまで第三者性が大切で、リフォームや耐震補強までセットになっていないことが要求されています。
一部の悪質なリフォーム業者が本来であれば不要な工事を受注するために、
依頼者の不安を煽る様な診断をしてしまう可能性は、残念ながらないとはいえません。

ただし、禁止されているわけではないのがポイントです。
リフォーム工事を受託する可能性があることを事前に明らかにしておけば何の問題もないのです。

では、顧客の立場からはどうでしょうか。
本当に信頼できるリフォーム業者ならば、同じ窓口で全て解決できるのが一番だと思うのではないでしょうか。
「インスペクションとリフォームの窓口が別々では面倒」なのは誰の目にも明らかです。

ただし、本来不動産会社やリフォーム会社と利害関係を持たない第三者の専門家が行うべきインスペクションをリフォーム会社が行う上では、より高いモラルを持つことが要求されます。

インスペクションはリフォームの契約をとるための道具ではなく、
今後の中古住宅流通の仕組み全体の中で必要なものということを忘れてはいけません。

これは非常に大切なことであり、不動産・住宅業界全体の信用にもかかわる問題です。
診断結果の偽装やねつ造の疑念が生まれたら、たちまち顧客は離れて行ってしまうでしょう。

また一部では、「診断技術者のスキルが足りなくて、きちんと報告がされない可能性」が指摘されています。
およそプロの診断とは思えない様な見落としだらけのインスペクションは絶対に避けなければなりません。

リフォーム会社にはすでにインスペクションのスキルが備わっているとはいえ、
定期的な研修なども必要になるでしょう。

04 インスペクションの費用

インスペクションの所要時間は、30坪程度の木造2階建の住宅で2~3時間です。
インスペクションを専門的に行っている会社の料金は、報告書の作成を含めて1件当たり4~6万円が相場です。

ここで「リフォーム会社がインスペクションを行う場合に料金は請求するべきか。」という問題が生じるでしょう。
それぞれの会社の考えがあると思いますが、
「インスペクションは営業戦略上の手段」とするならば、無償という考えもあるでしょう。
反対に「リフォームの営業とは明確に区別する」という意味で、料金を徴収するという考え方もまた正しいと思います。

どちらにしても調査には「中立性、客観性」を維持することはいうまでもありません。

05 まとめ

住宅に求める顧客の価値は、ライフスタイルや家族関係、人生の中の住宅の位置づけなどひとりひとり異なるものです。
特定の顧客のニーズにスポットを当てて、他社よりも優れた提案をしなければ、これからの厳しい競争に勝ち残っていけません。

現在居住している家をリフォームする際でも、新たに中古住宅を購入してリフォームする際でも、リフォームの予定箇所のみではなく、インスペクションで建物全体のコンディションを把握した上で、
長期的視野からひとりひとりの事情に合わせたリフォームの提案を行うことが、
同業他社との差別化や顧客の囲い込みやリピート受注機会の創出にもつながるでしょう。

また、建物全体のコンディションを把握していることは、同業他社よりも絶対的に有利です。

今後新築住宅の着工件数が確実に減少していく中で、大手ハウスメーカーなども着々とリフォーム事業を強化しています。
住宅リフォームを取り巻く環境は激変するでしょう。
リフォーム業界全体が営業プロセスの中にインスペクションを取り入れるのが当たり前になってしまう前に、早めに手を打つ必要があるのではないでしょうか。

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